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帰還3
しおりを挟む「我が妻に危害を加えようとした愚か者二人には、過去に我が妻がされたのと同じように、廃嫡のうえ王宮からの追放を求める」
「は、はい……」
お父様が強く頷く。
二人は「そんな!生きていけない!」「死ねというの!」などと騒いでいる。
「さらに、我が妻は今回の件について、非常に憤り、王宮の現状に対して失望している。そこで我が妻を再度王女として復権させ、政治の舵をとらせることを提案する」
「は、仰せのままに」
元々、お父様は私が廃嫡されたことすら知らなかったのだ。
全てはメルダとフォルター王子がお父様に内密でやったこと。
お父様としてはココの提案に否のあろうはずもない。
正直なところを言うと、この二人がいなくなれば、政務は非常にやりやすくなる。
本当に国家国民のための政治ができるようになるだろう。
「マイアーレ」
お父様が、私の方を向いた。
そして深々と頭を下げた。
「すまなかった。あの二人が、こんなことをしでかしていたとは……。さぞかし大変だっただろう。すべて、儂の監督不行き届きのせいだ」
「そんな……。顔をお上げください。私は何も大変な思いなどしてはおりません。こうして、素晴らし過ぎる伴侶を得ることもできたのですから」
「それは最もだが、儂の責任が消えるわけではない。儂は、退位しようと思う」
「お父様!なにをおっしゃるのですか!」
「前々から考えていたことだ。それに、今回のことで、儂は自分の衰えを痛感した。十年前の儂であれば、メルダ達にこんな好き勝手はさせなかっただろう」
「そんな……。それでは、この国は誰が治めていくのですか」
「最も適任な人物がいるではないか。マイアーレ、儂はお前に王位を譲ろうと思う。女王となって、守護竜様とともに、この国を導いてくれ」
「そ、そんな……」
私は驚いた。
しかし確かに、考えれば考えるほど、この国にとってそれ以上の案はないように思える。
元々ココはこの国の伝説の守護竜である。
私はその伴侶であり、王族だ。
ドラゴンと直接的な繋がりのある神聖王国としてこの国を盛り立てて行けば、あらゆる面で良い方向に進むだろう。
「……わかりました。お受けいたします」
「そうか。引き受けてくれるか。重圧を背負わせることになるが、お前ならできるだろう」
「微力を尽くします」
「この二人は儂が責任を持って追放する。それを儂の最後の仕事とさせて欲しい」
「わかりました」
お父様が合図をすると、王直属の近衛騎士がやってきて、メルダとフォルター王子を引きずって行った。
二人は、最後まで喚いていたが、もはや誰もその言葉に耳を傾ける者はいなかった。
「さあ」
お父様が、バルコニーの下を示した。
私はココと共に振り返り、下を見下ろした。
階下には、たくさんの人々が集まっていた。
「皆に挨拶をしてやるがいい。神聖竜王国の誕生だ」
雲が開け、国中に光が降り注いでいた。
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