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となりの宮川さんは人気Vtuberになりたいストーリー版

宮川さんと夜

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その後もアトラクションに乗り続けるとあたりはいつの間にか暗くなっていた。

 「そろそろパレードの時間だね」

 「そうね。そろそろ場所を確保しましょうか」

 続々と他の人々もパレードに移動していく。すごい人だ。それに周りも暗いしはぐれ・・

 「ちょっと!どいて!」

 となりにいたはずの宮川さんが人混みに流されていく。やばいこのままだと。

 「すいません!通してください!」

 僕は必死に声を上げて人混みをかき分けていく。なんとか宮川さんの下にたどり着くと、とっさに僕は宮川さんの手を握っていた。

 そして宮川さんを自分の下に引き寄せる。

 「ふー。危なかったね」

 宮川さんを見ると顔が真っ赤に染まっていた。僕も急に恥ずかしくなってきた。その後僕たちは黙って手を繋ぎながら歩いた。

 パレードの事はあまり覚えていない。僕も宮川さんも黙ってパレードを見つめていた。宮川さんの手の温もりだけが感じられた。

 パレードが終わり続々と人が帰っていく。

 「僕たちも帰ろうか」

 「・・そうね。最後にお土産を買いましょう」

 僕たちはお土産屋さんに向かった。お土産屋さんにはぬいぐるみやキーホルダー、お菓子などたくさんの商品が並べられている。

 「宮川さんは何を買うの?」

 「当然、コンちゃんとコン太郎のぬいぐるみよ。全種類買うからあなたも持ちなさい」

 「いいけど買いすぎじゃない?!」

 「ここでしか買えないんだからしょうがないでしょ。はやく買うわよ」

 そうやって僕と宮川さんは全種類を持って会計に向かった。値段がすごいことになっていたが見なかったことにしよう。

 「よし。これで目標は達成したわね。それじゃあ帰りましょうか」

 「そうだね!」

 僕たちは一緒にゲートをくぐる。初めて来たけど楽しかったな。また来たいな。あれ?でもこれからどうするんだ?

 「宮川さん。ここからどうやって帰るの?」

 「そんなの電車に決まってるじゃない」

 宮川さんが怪訝そうな表情で答える。

 「でも電車はたぶんもう・・・あっ。あと10分後に最終電車だよ・・」

 そこにはポツンと取り残された二人の男女の姿があった。ど、どうしよう。

 「僕はてっきりじいやが迎えにくるかと」

 「・・・うちの車はちょうど車検にだしているから無理よ」

 「そっか」

 宮川さんを見るともうキャパオーバーみたいだ。何も考えていない顔をしている。よし!ここは僕がなんとかしないと!

 僕は片っ端からこの辺のホテルに電話をかけた。すると3件目くらいで今日部屋に空きがあり泊まれるとのことだ。僕はすぐに向かいますと連絡を入れた。

 「宮川さん。今日はホテルに泊まろう!」

 「・・・え?」

 宮川さんは訳が分からない顔をしている。

 「あれだよ!なんか部屋もコンちゃんとコン太郎のグッズがあるらしいよ!枕とか毛布とかもコンちゃんとコン太郎みたいだよ!」

 僕はなんとか宮川さんを説得する。

 「・・そ、そう。それなら行きましょうか」

 宮川さんは戸惑いながらも納得してくれた。僕も男女で止まるのはどうかと思うがしかたない。僕たちはホテルに向かった。

 ホテルに着くとチェックインして部屋に向かう。当然部屋は一つなので一緒の部屋で寝ることになる。部屋を開けると大きいベットが一つしかなかった。ベット一つかい!完全にカップル用じゃん!僕たちは荷物を置いてベットに座った。しばらく沈黙が訪れる。

 ところどころにコンちゃんとかのデザインがあるが宮川さんは全然反応を示さない。

 「・・と、とりあえずお風呂に入ってきたら?僕は後でいいよ」

 沈黙に耐えかねてそんなことを言ってしまった。宮川さんは黙ったままお風呂に向かう。今何を考えているのだろうか。

 シャワーの音が聞こえる。僕はスマホで母親にメールをしながらついドキドキしてしまう。合宿では部屋は違ったけど今回は同じ部屋でねるんだよな。やばい緊張してきた。

 しばらくすると宮川さんが風呂場から出てきた。長い黒髪がしっとりと濡れていた。

 「・・じゃ、じゃあ。僕もお風呂に入るね」

 宮川さんは一回もこちらを見ない。ホテルにきてから一回もしゃべってないけど大丈夫かな?もしかして怒ってる?とりあえず僕もお風呂に行こう。

 宮川さんの後に入るのは緊張するな。とにかくあまり意識しないようにしよう。僕は髪と体を洗って湯舟に浸かる。

 「宮川さんと一緒の部屋で寝る日がくるなんてね。でも宮川さんにとって僕はただの協力者なのだろうか。登録者100万人になったら関係は終わってしまうのかな」

 そう思うと少し寂しくなった。友達くらいにはなりたいけど。たとえそうだとしても僕は宮川さんの願いを叶えてあげたい。これからも頑張ろう!僕は気合を入れ直した。

 お風呂から上がると、宮川さんはもう布団にくるまっていた。まあ今日はいっぱい遊んだもんな。僕も一気に眠たくなってきた。僕は電気を消して宮川さんの布団に入る。

 僕は宮川さんと反対側を向いて横になった。隣に宮川さんの体温を感じる、これ眠れるかな?

 「・・起きてるポチ?」

 「起きてるけど」

 いきなり話しかけられてびっくりした。なんだろう?

 「・・私こんな遊んでていいのかしら?」

 急に不安になったのだろうか。

 「・・いいと思うよ。本人が楽しまないととリスナーも楽しめないと思うよ」

 「・・楽観的ね。さすがだわ」

 なにがさすがなのか分からないけど・・

 「だれかと一緒に寝るなんて子供のころ以来だわ・・」

 「僕もだよ」

 もしかして宮川さんはお母さんを思いだしているのかもしれない。母親がいない気持ちなんて僕には分からないけれど・・

 すると宮川さんがいきなり僕の手を握ってきた。

 「え?・・あの・・」

 いきなりで驚いたけど宮川さんの手が子供のようで振りほどくことが出来なかった。たまには宮川さんも誰かに甘えたいのかもしれない。何か言うのはやめよう。僕はそのまま手を握り返した。

 そしていつの間にか眠りについていた。

 
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