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密室っぽい殺人4

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「改めて状況を確認したいと思います。まず僕はそこの死体に呼び出されて14時に予備室2に行きます。するとドアには鍵がかかっていました。そのためドアについている窓から中の様子を見たところ死体先輩がいたということです。」

「おい、死体先輩とはなんだ。」彼女は不満そうに僕を見つめる。

「だって名前しらないですし」

「そうだったな。よし、お前が見事謎を解けたら名前を教えてやろう。」彼女は誇らしげにそう言った。

いや、別にそこまで興味があったわけではないが。「分かりました。」今はこう答えておこう。

「えっと、それで死体をみつけたため、その場から立ち去ろうとしたところ先生に会って、鍵を取りに行くように言われて、管理室に予備室2の鍵を取りにいきました。

管理室では予備室2の鍵と演劇部の部室の鍵だけがなく、しかたないのでマスターキーを持っていきました。予備室2に戻ると風林先輩がいてドアを叩きながら叫んでいました。」でもなんであんな騒いでいたんだ?

「先輩なんであんな騒いでいたんですか?」「それはそうしたほうが疑われないかなと思って」たしかにそうだが何か引っかかる。まあいいか。

「その後マスターキーでドアを開け中に入ったというのが今日の僕の出来事です。」我ながらすごい高校生活1日目だ。「そして部屋を調べた結果密室のトリックに使われたものはこのほうきとガムテープと糸の3つだと分かりました。」僕はそれらの道具を皆に見せた。

「僕は密室を作る方法として鍵を後から入れるか、鍵がかかったまま自分が部屋から出るかのどちらかだと考えました。そして今回の事件は鍵を閉めた後に鍵を部屋に入れたパターンです。」

「なんでだー?」雷先輩が言う。

「それはこのほうきとガムテープと糸を使えば鍵を入れることが可能だからです。僕がこのトリックに気づけたのは演劇部の部室の窓の存在です。」

「窓がどうかしたの?」「演劇部の窓は開いており、また下枠には糸とガムテーがありました。このおかげで僕はトリックに気づくことができました。」

「そのトリックを聞こうじゃないか」死体先輩がいう。

「はい。まず犯人はほうきに鍵と糸をガムテープで張り付けた後、予備室2の両側の窓と演劇部の部室の窓それと廊下にある予備室2に最も近い窓。この4つの窓を廊下、予備室2、演劇部の部室の順に鍵のついたほうきをくぐらせたんです。それにより一周させた後で鍵でドアを閉めます。そして糸を使って予備室2の左側の窓から部屋の中に鍵のついたほうきを入れたんです。」

「たしかにその方法だとできるかもしれないけど、予備室2の右側の窓と演劇部の部室の窓は一人では届かないよ」

「そうです。一人では無理です。それなら犯人には協力者がいたんです。その協力者とは先生のことです」

「私か?」

「はい。先生と風林先輩の二人がいれば窓から手を伸ばせばほうきの長さが加算されて届くはずです。そうやってほうきを一周させたんです。それがこの密室のトリックです。つまり犯人は風林先輩と先生の二人です!」

僕は高らかに宣言する。あれ、みんなの反応がいまいちだな。まちがってた?

「なるほど。それがお前の答えか」死体先輩がゆっくりと近づいてくる。「うーん。50点!」

「えーー。どこか違いました?」

「なぜあそこに雷がいたかはあっているが密室のトリックについては間違っている。たしかにお前の方法でも密室は作れるかもしれない。だがお前は自分に都合の悪い違和感を勝手に排除してしまっている。」

「そんなことは・・」

「いやそうだ。なぜ風林はしきりにドアを叩いて叫んでいた?それに先生はなぜ協力したんだ?お前の推理には大事なことがかけている。それは動機だ。殺人には必ず動機がある。今回のようにわざわざ呼び出して殺したんだ。動機がないというほうがおかしい。」

たしかにそのことまで考えていなかった。

「今回の種明かしをしようか。まず、犯人は風林だ。先生は無関係だ。」

「ならどうやって密室をつくったんですか?」

「ドアにはもともと鍵なんてかかっていなかっんだ」

「え?でもたしかにドアをスライドしても動かなかったですよ?」

「そうドアが開かない=鍵がかかっていると勝手に思いこんでいたんだ。マスターキーで鍵を開けるときに何か違和感はなかったか?」

「そういえば、鍵を一回まわしても開かなかったですけど。」

「それだ。些細な違和感を探偵は逃してはならない。それをしてしまえば真実へはたどり着けない」

「じゃあ、なんでドアが開かなかったんですか?」

「理由は簡単だ。ほうきがドアにつっかえていたんだ」

「それだけ?」

「ああ。それだけだ。犯人はドアがスライドしても開かないようにほうきでつっかえさせた後にそのほうきをまたいで右側のドアを普通にあけて外にでたんだ。」

「そんなのもし僕が左からドアを開けたら成り立たないじゃないですか?」

「そのための風林だあいつはわざと左側のドアに立ち君が右側からドアをスライドさせるように誘導したんだ。」

「それならドアを叩いで叫んでいた理由は?」

「その前にあいつが廊下側の窓を開けたのを疑問に思わなかったか?」

「そういえばそんなことしていた気が」

「おかしな行動には必ず理由がある。ほうきがつっかえていたままではお前はドアを開けることができない。そこであらかじめほうきに糸を固定しその糸を廊下の窓から届く位置にガムテープで固定していたんだ。そしてお前がドアを開けるタイミングで糸を引っ張ることでほうきが動いてドアが開いたんだ。」

「それではドアを叩いて叫んでいる理由にはなりませんよ」

「いやほうきを糸で動かすと必ずドアに当たったりして物音がする。その音を消すために大きな音を出す必要があったんだ。」

なるほど、確かにすべての辻褄があう。確かに僕は間違っていたらしい。自分に都合のいいように真実を捻じ曲げていたんだ。

「これが事件の真相だ」なんか悔しい。悔しさがこみ上げている。

「まあ、中々いい線いっていたと思うぞ。だがこの小説は返せないなー」そういうと先輩はカバンから僕の小説を取り出して見せつけてくる。

「なんでですか。返してくださいよ」

「その前に、どうだ楽しかったか?」確かに初めての経験だった。まるでミステリーの世界に入り込んだような。

「はい!楽しかったです。でも悔しいです」

「そうか。それは良かった。この小説を返してもいいが条件がある」

「条件?」

「お前が我が探偵部に入部することだ!」そういうと教室の後ろにあるホワイトボードを持ってくる。

そこには「ようこそ!探偵部へ!」と書いてあった。

「ちなみに拒否権はないぞ」

「えええええええーーー」こうして僕は探偵部に入部することとなった。
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