15 / 26
第15話《《防衛戦》当日ですが、久しぶりに王都に戻り緊張しています。》
しおりを挟む
《シュベルハイツァ》に降り立つ、
少し前までは毎日の様にここに居たが、あれからは避けているつもりは無いが寄り付かなくなっていた。
既に大勢のプレイヤーが正門に集まっている。
周りを見渡すと名を馳せるプレイヤーを数人見つける。
あれは《聖雷のクデン》か?《疾風》も居るな…
この分だとギャウリディアでも名のあるプレイヤーに声をかけたようだ、
しかし目立つプレイヤー以外殆ど中堅クラスの奴らばかりだ、
俺と同じ《傭兵》が稼ぎのために参加したのか?
目の前を通りがかった剣に青い竜が巻き付いたエンブレムを鎧に着けた《青龍騎士団》の青年に声をかける。
「青龍騎士団の団長に呼ばれて来たんですが…何処に居ますかね?」
「ご案内致します」
見覚えはない、俺がいた時も団員全員の顔を把握している訳ではいなかったが、
おそらく俺が抜けた後に入ったプレイヤーだろう。
彼について行くと青龍騎士団のテント、本陣が存在した。
「隊長!お疲れ様ですっ!」
青年は本陣入口で仁王立ちをしていた大男に敬礼する。
「よいよい、見回りご苦労だったな、その者は?」
「はっ、団長を探しておられたので案内致しましたっ!おそらく団長自らお呼びした方かと…」
大男は俺を鋭い眼光で観察する。
変わってないな…まあこんな短期間じゃ人間変わるもんじゃないか、年長者なら特に。
「久しぶりですガレスさん」
深く被っていたフードを脱ぐ。
すると彼は厳しい目から懐かしむような表情に変わる。
「ああ、リク殿出会ったか…噂は聞いておりますぞ?」
「噂?」
なんだろうか?
「先日の《討伐戦》にて頂点「その話はやめてくれ色んな人から勧誘やら執拗いインタビューが来て正直参ってるんだ」…そうであったか、済まない」
「いやいいんだ、ちょっと調子に乗りすぎただけだから」
先日のイベント《討伐戦 剛腕ギーファス》で《個人ランキング》のトップを取ったのは失態だった。
《討伐戦》とはボスモンスターを繰り返し倒しドロップする素材を集めるイベントで、
前回はサブドロップの装備修復素材が美味すぎた、
《装備修復》をするには素材を消費する、
修復すればする程必要素材の要求レアリティと失敗確率が上がり、
ギーファス戦では《装備修復》における失敗確率を下げ成功確率を上げる《鍛治精霊イヴァンの霊粉》が確率でドロップした。
元々失敗確率が高いレア武器や愛着があり何回も修理し使っている装備があるプレイヤーには
垂涎の品だろう。
《剛腕のギーファス》は体長10m程の巨人で一撃は重いが動作は鈍いモンスターだ。
通常では推奨lv60《巨人の都》で登場するフィールドを徘徊しているリポップ型の《ボス》にあたる。
《ボス》扱いの為耐久力はそこらのモンスターに比べ桁違いに多く、攻撃は動作は遅いが一撃が重く、全ての攻撃が範囲攻撃、そしてスタン体制も多いため、
推奨レベル付近のガッチガチに固めたタンクでさえ直撃すれば一撃で7割近くは持っていかれるだろう。
倒すなら少数精鋭で瞬殺するか、多少犠牲を払ってでも物量攻撃で押し潰すしかない…
が俺の場合は《呪い》のおかげで火力が大幅に上がっている事もあり少し硬い敵程度にしか感じなかった、
《巨人の都》には行ったことがないので分からないがおそらく《討伐戦》で登場するモンスターは通常より弱体化されているのだろうか?
そのおかげで素材を荒稼ぎするために回数をこなすため無心で周回していたらいつの間にか個人討伐数ランキングの上位になっていた。
反省はしているが大量に素材が手に入ったため後悔はしていない、
しかし10回に1つ落ちるかどうかは率を絞りすぎてると思う。
《鍛治精霊イヴァンの霊粉》で成功確率が上がるとしても1つにつき1%程だ、
《装備修復》で修理し続ければ最終的には
初期値が10%程まで下がるため修理1回につき90個の《鍛治精霊イヴァンの霊粉》が必要となる、まじで要求数えげつねえ。
しかも《討伐戦》は通常通りHPが尽きたらこの世界から退場だ、
そんな危険を犯してまで倒す奴もいないので俺がトップを取れたのだろう。
「んで?ルースは?」
「団長ならこの中ですが只今会議中で…」
「会議なら今終わったよ」
天幕から少し顔色が悪いやつれ気味のルースが出てくる。
「来てくれて嬉しいよ」
「前金はたんまり貰ったしな《傭兵》は依頼があれば直ぐに駆けつけるぜ、
……にしても人多すぎないか?よくこんなに集めたな?」
「殆どはこの《防衛戦》で活躍して名声とお金、あわよくば大ギルドやレギオンに入りたいプレイヤー達だよ、
俺もここまで集まるのはちょっと予想外だったかな?」
確かに活躍し目に止まればその後の人生は約束されたようなもんか…
生き抜けばと言う言葉が着いて回るが。
「中で話そうか」
天幕の中へと案内される。
「んで俺の場所は?前衛から後衛まで報酬以上の働きはするつもりだぜ?」
「陸には正門で露払いをお願いしたい、君の高火力の範囲攻撃は頼りになるからね」
「了解した…だが北、城の裏手にある森と西の貧民街はどうするんだ?」
都市の地図を見ながら疑問点を聞く。
「森は隠れる場所が多い、だから隠密戦闘と森での戦闘が得意な人達に着いて貰っている、
西は1番突破される確率が高いから安全を期して少し多めに戦力を回しているよ」
「貧民街の住人は?」
「教会も含め多くの人には騎士団本部に避難してもらっているあそこなら安全だ」
地図を見る限り西側はまだ城壁が完成していない、
協会が心配だったが騎士団本部に避難しているなら安心か。
「景虎とユオは?やっぱり森か?」
「いや、彼らはリスタリアと一緒に本部の守りに付いている、
《防衛戦》最中は都市内部の人員が少なくなる、
万が一都市内部でトラブルが起こった場合に対象する人員は割いておきたい」
なるほど…挨拶したかったが終わった後だな。
「そいえばルースお前、俺の手助けする人とかなんか言ってなかったか?」
昨日から気になっていた事を聞いてみる。
「そうだったね紹介するよ、こっちだ」
ルースに連れられ天幕を出た。
少し前までは毎日の様にここに居たが、あれからは避けているつもりは無いが寄り付かなくなっていた。
既に大勢のプレイヤーが正門に集まっている。
周りを見渡すと名を馳せるプレイヤーを数人見つける。
あれは《聖雷のクデン》か?《疾風》も居るな…
この分だとギャウリディアでも名のあるプレイヤーに声をかけたようだ、
しかし目立つプレイヤー以外殆ど中堅クラスの奴らばかりだ、
俺と同じ《傭兵》が稼ぎのために参加したのか?
目の前を通りがかった剣に青い竜が巻き付いたエンブレムを鎧に着けた《青龍騎士団》の青年に声をかける。
「青龍騎士団の団長に呼ばれて来たんですが…何処に居ますかね?」
「ご案内致します」
見覚えはない、俺がいた時も団員全員の顔を把握している訳ではいなかったが、
おそらく俺が抜けた後に入ったプレイヤーだろう。
彼について行くと青龍騎士団のテント、本陣が存在した。
「隊長!お疲れ様ですっ!」
青年は本陣入口で仁王立ちをしていた大男に敬礼する。
「よいよい、見回りご苦労だったな、その者は?」
「はっ、団長を探しておられたので案内致しましたっ!おそらく団長自らお呼びした方かと…」
大男は俺を鋭い眼光で観察する。
変わってないな…まあこんな短期間じゃ人間変わるもんじゃないか、年長者なら特に。
「久しぶりですガレスさん」
深く被っていたフードを脱ぐ。
すると彼は厳しい目から懐かしむような表情に変わる。
「ああ、リク殿出会ったか…噂は聞いておりますぞ?」
「噂?」
なんだろうか?
「先日の《討伐戦》にて頂点「その話はやめてくれ色んな人から勧誘やら執拗いインタビューが来て正直参ってるんだ」…そうであったか、済まない」
「いやいいんだ、ちょっと調子に乗りすぎただけだから」
先日のイベント《討伐戦 剛腕ギーファス》で《個人ランキング》のトップを取ったのは失態だった。
《討伐戦》とはボスモンスターを繰り返し倒しドロップする素材を集めるイベントで、
前回はサブドロップの装備修復素材が美味すぎた、
《装備修復》をするには素材を消費する、
修復すればする程必要素材の要求レアリティと失敗確率が上がり、
ギーファス戦では《装備修復》における失敗確率を下げ成功確率を上げる《鍛治精霊イヴァンの霊粉》が確率でドロップした。
元々失敗確率が高いレア武器や愛着があり何回も修理し使っている装備があるプレイヤーには
垂涎の品だろう。
《剛腕のギーファス》は体長10m程の巨人で一撃は重いが動作は鈍いモンスターだ。
通常では推奨lv60《巨人の都》で登場するフィールドを徘徊しているリポップ型の《ボス》にあたる。
《ボス》扱いの為耐久力はそこらのモンスターに比べ桁違いに多く、攻撃は動作は遅いが一撃が重く、全ての攻撃が範囲攻撃、そしてスタン体制も多いため、
推奨レベル付近のガッチガチに固めたタンクでさえ直撃すれば一撃で7割近くは持っていかれるだろう。
倒すなら少数精鋭で瞬殺するか、多少犠牲を払ってでも物量攻撃で押し潰すしかない…
が俺の場合は《呪い》のおかげで火力が大幅に上がっている事もあり少し硬い敵程度にしか感じなかった、
《巨人の都》には行ったことがないので分からないがおそらく《討伐戦》で登場するモンスターは通常より弱体化されているのだろうか?
そのおかげで素材を荒稼ぎするために回数をこなすため無心で周回していたらいつの間にか個人討伐数ランキングの上位になっていた。
反省はしているが大量に素材が手に入ったため後悔はしていない、
しかし10回に1つ落ちるかどうかは率を絞りすぎてると思う。
《鍛治精霊イヴァンの霊粉》で成功確率が上がるとしても1つにつき1%程だ、
《装備修復》で修理し続ければ最終的には
初期値が10%程まで下がるため修理1回につき90個の《鍛治精霊イヴァンの霊粉》が必要となる、まじで要求数えげつねえ。
しかも《討伐戦》は通常通りHPが尽きたらこの世界から退場だ、
そんな危険を犯してまで倒す奴もいないので俺がトップを取れたのだろう。
「んで?ルースは?」
「団長ならこの中ですが只今会議中で…」
「会議なら今終わったよ」
天幕から少し顔色が悪いやつれ気味のルースが出てくる。
「来てくれて嬉しいよ」
「前金はたんまり貰ったしな《傭兵》は依頼があれば直ぐに駆けつけるぜ、
……にしても人多すぎないか?よくこんなに集めたな?」
「殆どはこの《防衛戦》で活躍して名声とお金、あわよくば大ギルドやレギオンに入りたいプレイヤー達だよ、
俺もここまで集まるのはちょっと予想外だったかな?」
確かに活躍し目に止まればその後の人生は約束されたようなもんか…
生き抜けばと言う言葉が着いて回るが。
「中で話そうか」
天幕の中へと案内される。
「んで俺の場所は?前衛から後衛まで報酬以上の働きはするつもりだぜ?」
「陸には正門で露払いをお願いしたい、君の高火力の範囲攻撃は頼りになるからね」
「了解した…だが北、城の裏手にある森と西の貧民街はどうするんだ?」
都市の地図を見ながら疑問点を聞く。
「森は隠れる場所が多い、だから隠密戦闘と森での戦闘が得意な人達に着いて貰っている、
西は1番突破される確率が高いから安全を期して少し多めに戦力を回しているよ」
「貧民街の住人は?」
「教会も含め多くの人には騎士団本部に避難してもらっているあそこなら安全だ」
地図を見る限り西側はまだ城壁が完成していない、
協会が心配だったが騎士団本部に避難しているなら安心か。
「景虎とユオは?やっぱり森か?」
「いや、彼らはリスタリアと一緒に本部の守りに付いている、
《防衛戦》最中は都市内部の人員が少なくなる、
万が一都市内部でトラブルが起こった場合に対象する人員は割いておきたい」
なるほど…挨拶したかったが終わった後だな。
「そいえばルースお前、俺の手助けする人とかなんか言ってなかったか?」
昨日から気になっていた事を聞いてみる。
「そうだったね紹介するよ、こっちだ」
ルースに連れられ天幕を出た。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

呪われた装備品との、正しい? つきあい方。
月白ヤトヒコ
ファンタジー
呪われた装備品。
それは、様々な事情といわくに拠り、通常の装備として扱うことが困難な武具、防具のこと。
そんな危険極まりない呪いの装備品だが、やはりある程度の有用性は認められるだろう。
呪いのリスクをコントロールできれば、装備品として効果的に運用することが可能になる。
今回は、そんな呪われた品々とのつきあい方を記した本を紹介しようと思う。
時間に余裕があり、心身共に強靭で頑健であるなら、試してみるのもいいだろう。
※試してみてなんらかの事故や不幸が振り掛かっても、当方は一切の責任を負わないが。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?
ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚
そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

Free Emblem On-line
ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。
VRMMO『Free Emblem Online』
通称『F.E.O』
自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。
ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。
そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。
なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
VRゲームでも身体は動かしたくない。
姫野 佑
SF
多種多様な武器やスキル、様々な【称号】が存在するが職業という概念が存在しない<Imperial Of Egg>。
古き良きPCゲームとして稼働していた<Imperial Of Egg>もいよいよ完全没入型VRMMO化されることになった。
身体をなるべく動かしたくないと考えている岡田智恵理は<Imperial Of Egg>がVRゲームになるという発表を聞いて気落ちしていた。
しかしゲーム内の親友との会話で落ち着きを取り戻し、<Imperial Of Egg>にログインする。
当作品は小説家になろう様で連載しております。
章が完結次第、一日一話投稿致します。
伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のルナリス伯爵家にミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる