魔王に憧れた少年は無属性の魔術しか使えませんが、大切な人達を護るために強くなろうと決意しました。《LegendWhiteDemonKing》

1章 1節 仲間と成長の時間 《ディスペア編》

S第29話 小さき少女と青き竜1

もう一度自己紹介するね、私の名前はルナ・シャイン。
シャインの名前は知ってるよね?

……えっ?知らない?

──ハイル君ってどんな辺境に住んでいるの?

……えっとじゃあ、ラングロート様のお名前って聞いたことある?


……無いんだね。
──シャインの名前もラングロート様のお名前も魔都では知らない人が居ないほど有名なのだけど……
ほんとうにハイルくんって不思議。



────えっと、ラングロート様は昔、始祖魔王様達と共に一緒にこの魔界にやってきて、
魔界に拠点を作るために最初の大きな一歩を踏み出して功績を挙げた方なの。

始祖魔王様の友人であり1,2争う従者だったラングロート様は魔界に住まっていた生物の1つ、強大な力を持って魔界を支配していた竜を力と説得によって協定を結んだすごい魔人なの。

ラングロート様のおかげで始祖魔王様達と竜達はお互いに協力関係そして戦友になったの、
竜達は始祖魔王様達が魔界で安心して暮らせる拠点を作るのをお手伝いして、
始祖魔王様達は竜たちに自分達が魔界に来る前の知識や魔術を教えた。

魔界定住してからもラングロート様は始祖魔王様や仲間のために尽くし数々の功績を挙げたの、
例えば竜の他にも魔界には強い生物が沢山住んでいて彼らに魔人や魔族達に手を出さないように、自分達が安心して暮らせる居場所を維持するために説得したり邪魔な山々を切り払ったり色々なことを始祖魔王様達のためにやったの。
そしてそのランフロート様の傍らには最初に竜達と協定を結ぶ前に何度も激突し対話した竜、
【七継竜】の1竜《レド》が隣には佇んでいたの。
魔人のラングロート様と竜のレドの2人は戦友であり親友であり家族だった、
何度も何度も戦い合い、本音を言い合う中で2人はお互い自身が大切なものへと変化した。

それからもラングロート様が魔界のために行った数々に武勇や功績をお父様やお母様から聞いて。

そんなすごい方が私の祖先なんだって聞いてびっくりしたのと同時に憧れた。
いつか私もそんなふうになりたいって思った。

竜騎士として現役でお活躍なさっているお父様やお母様のお背中をみて、
幼いながらも将来私は竜騎士になるんだって思ってた、
お父様やお母様が誇らしく思ってくれる竜騎士になってやるって決めたの。

そのために竜騎士に必要な知識をお父様に教えてもらった、
将来竜の背に乗って戦うためにお父様のお知り合いの方に体の鍛え方を教えてもらった、
竜騎士として恥ずかしい行動をしないようにマナーや立ち振る舞いを覚えたりもした。



そんな日々を過ごしていた中私はリュピィに初めて出合ったわ、今でもはっきり覚えてる……



お勉強をしていた時にお母様に手招きされて私はある部屋に案内されたの、
お母様が私を呼んだ理由は何となくわかっていた。

少し前に私の良いパートナーになる竜が見つかったって教えてくれたの、
嬉しくて嬉しくてその日は寝れない夜を過ごした……
明日すぐに会えるって訳じゃないのにね?

ついに会えるんだって胸がドキドキしてワクワクしながら案内された部屋の扉を開けたの。

そこには部屋中を飛び回る青くてちっちゃい竜が居た、
部屋の中の物を珍しそうに見ながらふわふわと飛んでいたの。
そして私達に気がついたリュピィは勢いよくこちらに飛んできた。

その時私はすっごく驚いたの、だっていきなりこっちに向かってすごいスピードで突進してくる勢いで近づいて来たんだよ?誰だってびっくりするでしょ?
そんなびっくりしている私を置いてリュピィは私のスカートを口に含んで食べようとしていたわ。

そんなリュピィを見て私は恐怖と同時にがっかりした……
本当に私にぴったりな竜なのかな、仲良くなれるかなって不安だった。

でもそんな思いは直ぐに消え去った……
リュピィは少し食いしん坊なだけで優しくて可愛い竜だったの。
ちっちゃくて可愛くてもふもふであたたかくて目がくりくりして、
眠い時は舌がちょこっと出ちゃったりして私がじっと見つめると首を傾げながら笑ってくれて、
たまに大切なご飯をわけてくれたりして、
いつも私から持っていくご飯の量の方が多かったりしたけど……
私の匂いが好きなのか私の洗う前の下g────っ!?──こほん。

─────とにかくリュピィが来てくれたから毎日がさらに楽しくなったの、
難しいお勉強も大変だった訓練もリュピィとなら頑張れた、
一緒に遊んで食べて寝て。

私とリュピィだけが知ってる秘密の抜け穴を使って訓練を抜け出して遊んだりして、泥だらけになってリュピィと一緒に怒られて、
夜寝たくなくて2人で一晩中おしゃべりしたこともあった……
私はリュピィを大切に思って、
リュピィも私を大切だと思ってくれて。
そしてこのまま2人で頑張って立派な竜騎士になるために勉強して成長して訓練場に入学して竜騎士になってお父様とお母様と方を並べて頑張っていくんだって思っていたの───



───あの日が来るまでは───────