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1章 1節 仲間と成長の時間 《ディスペア編》

第17話 歴史

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前日と同じく朝食後、
剣術訓練と魔術訓練を終え、倒れなければ昨日初めて受けるはずだった座学の授業を受ける。
壁際には本棚が置かれ、その本棚には大量の本が並べられている学習室と呼ばれる大部屋で僕らは過去に起こった出来事、歴史を聞いていた。


「…と言うのが約4000年前聖魔大戦と呼ばれる大規模な戦争です。
聖魔対戦終わりの頃には争っていた人類陣営と魔族陣営どちらも多くの犠牲者を出し、
残っているのはそれぞれのトップである勇者と魔王そして数人の従者しか残っていませんでした、
そしてそのどちらも約100日間続いた激戦のせいで疲労が溜まっていました。

そしてそこに魔女と呼ばれる魔族でも人間でもない存在がいきなり現れました、
魔女はいきなり落雷を生み出し、大地を焦がし魔術とも魔法とも違う力を使い好き勝手暴れていました。」

「結局その大戦はどうなったんですか?」

1人の生徒がこの座学訓練の教官、ローガン・スミット教官に尋ねる。


「窮地に陥った勇者陣営と魔族陣営、このままでは魔女陣営に滅ぼされてしまうのは分かりきっています。

その時我が先祖、第13代目の絶対魔王は言ったのです、
『このままでは魔女に全ての種族を滅ぼされてしまう、忌々しいが一時だけ手を組まないか』…と」

眼鏡を外し布でレンズを拭きながらローガン教官は言った。


「しかし勇者はその申し出を断り、あまつさえ不意打ちを仕掛け魔王様を傷つけ、
魔王様に加担した他の種族ごとその隙に封印し別の場所に飛ばしたのです!」

すると教室には動揺が走る。

「そして魔王様とほかの種族は昼も夜もな来ることは無い赤い大地、
今皆さんが住んでいる《ラエド》の地に降り立ちました。

そしてその御御足でこの地を歩き自分の目で確かめ、魔族や他の種族が暮らせる場所を自分達で作ったのです」

教室には魔王様を敬う声が多数上がる。

「魔王様封印されている間、
勇者陣営と魔女陣営はどうなったんですか?」


「詳しくわかりませんが人類が滅亡していないのが答えのひとつでしょう、
魔女陣営に勝ち魔族や魔族に加担した他の種族が居なくなった土地で、
我らの気持ちなど知らずのうのうと暮らしているという説が有力ですが。

魔女と契約し勇者自身がその身を捧げる代わりに見逃して貰ったと言う一説もあります…っと今日の座学はここまでです次回は聖魔大戦後から建国に至るまでにエラドの地で起こったことを学びましょう」


終了を知らせる鐘が鳴り、
ローガン教官は部屋を出ていく。

 

「ハイルもタイガもよく聞いていられるよな」

座学開始直後からずっと隣で寝ていたアルが起きたようだ。

「聖魔大戦、名前は知ってたけど内容は知らなかったから面白かったよ?」

「ハイルの言う通りだよ、アルはすぐ寝ちゃうからね、そのうち呼び出されても知らないよ?」

「俺にはその考えがわからねえよ…そう言えば
話に出てきた魔女の子孫に当たる人ってまだ生きてるか?」

アルは机に張り付きながらタイガに尋ねる。

「どうなんだろ、聖魔大戦時代に現れた魔女は最初の魔女、《原初の魔女》って呼ばれてるんだけど、
どの記述に書かれているものも見た目の特徴が一致しているんだよね。

長い白い髪に赤い目。

だから同一人物って可能性が高いと思うけど…
ハイルどうしたの?」

 

「ちょっと引っかかる事があってね」

再び鐘が鳴る、次の訓練への移動の鐘だ。

 

「アル起きて次はジェイケル教官の特殊訓練だよ」

「げっ、まじかよ昨日もやったじゃん、あの教官偶にしか訓練しないからって連続かよ」

「ねえ、特殊訓練って?」

少年は初めて聞く特殊訓練という言葉に心を踊らせる。

「それはね…
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