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本編

2.理不尽な失望

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知らない世界に何人もの使用人、まるでお姫様のようにもてなされ、私は戸惑った。しかしそんな生活もたった2日で終わりを告げた。

藤岡さんのついでにやってきた魔術師が、私のステータスを鑑定して憤慨したからだ。

『なんだこれは!魔力もスキルもまるで凡人じゃないか!』

それから周りが私を見る目は一気に冷ややかになり、私の部屋はいつのまにか物置のような使用人部屋に移された。そこはとても寒くて、暗くて、私の不安を掻き立てた。

……私を巻き込んで召喚したのはそっちなのに、どうしてこんな扱いを受けなくてはならないの?

魔法という未知の力が恐ろしくて、私は毎日のように追いやられた部屋に閉じこもった。

どうか悪い夢であってほしい。
毛布すらない部屋の中ガタガタと震えながらずっとそう思っていた。



魔法学院への入学は強制だった。

どうやらこの国では魔力を持った人間は全員魔法学院に通う義務があるようで、藤岡さんの10分の1にも満たない魔力量の私ももれなく学院に放り込まれた。

そこで3ヶ月ぶりに見た藤岡さんを見て、私は驚愕した。

私はてっきり、彼女も自分と同じような心境にあると思っていた。

しかし藤岡さんは王族が着るような仕立ての良い服に身を包み、王太子殿下にエスコートされながら幸せそうに微笑んでいたのだ。

どうして知らない世界に来てそんな顔をできるのだろう。私は信じられなかった。

藤岡さんはいつのまにか皆に慕われ、簡単に近づけない人物になっていたけど、私は隙を見て彼女に近づいた。

「あの、藤岡さん。元の世界に帰る方法の手がかりとかあった…?」

しかしそれは無駄足に終わった。彼女が私を迷惑そうに睨みつけ、突き飛ばしたからだ。

「は?何馴れ馴れしく話しかけてきてるの?どうでもいいわよそんなの、あたし帰らないし。自分が落ちこぼれだからってあたしに媚びてこないで」

それは衝撃的な一言だった。元の世界の藤岡さんは友達というほど仲良くはなかったけど、こんな蔑むような目で私を見なかったのに。

勝手に同郷の仲間として心の拠り所にしていた私は、孤独の中に突き落とされた。

学院生活が始まっても、私に話しかけてくる人は教師くらいしかいない。

「ねえ見て、あの人も聖女様と同じ異世界人なんだって」
「え?嘘、地味ー」

魔法という力は、もし1人で学んでいたならばきっと楽しいものだっただろう。しかし常に好奇の視線に晒され聖女様と比べられる時間は地獄で仕方なかった。

座学も、技術も、どんなに頑張っても平均点。そして私は授業も休みがちになった。

他人からの風当たりにも自分の無能さにも耐えられなかったのである。
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