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本編
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それに気づかず何故かこの場で1番苦しいかのような顔をしているイシュメルに対し、フランチェスカの顔から表情が失われる。
その美しいサファイアの目に涙が浮かんでいるのを何人かの人物が目撃したが、それは本当に一瞬だった。
「そう……ですか……ごめんなさい、気づかなくて……わたくし、知らない間にお二人の邪魔をしていたのね……わかりましたわ」
フランチェスカは、誰もがわかる歪な笑顔を浮かべた。彼に気を遣わせないため、無理をしているのがバレバレであった。
口元は歯を食いしばっているし、その拳はきつく握られている。声は震えていて、見ている人々は今すぐにでも抱きしめてやりたいと気が気でない。
だが彼女はあろうことか、婚約者の浮気相手にさえ頭を下げた。
「変に気を遣わせてしまいごめんなさいね、アイラ様。どうかイシュメル様を幸せに、」
アイラは奇妙なものを見る目でフランチェスカを見た。逆上する姿でも期待していたのだろうか。
フランチェスカが言葉を詰まらせ、場が静まり返ること数秒。
「……っ、ごめんなさい!」
フランチェスカは突然顔を背け、その場を逃げ出した。
「ま、待てフ、フランチェスカ!これからは友達として……!」
イシュメルがふざけたことを言おうとしていたが、フランチェスカは聞こえていなかった。
このあまりに心苦しい婚約破棄を目撃した人々は、口々に言っていたという。
「どうしてあんな一途に愛してくれる人を振って、明らかに遊んでそうな知能の足りない令嬢を選んだんだ?馬鹿か?」と。
そんな婚約破棄から早2年。
事件も忘れ去られ始めた今日この頃。
イシュメルもアイラとの結婚を控え、婚約者として仲睦まじくしている……はずだった。
その美しいサファイアの目に涙が浮かんでいるのを何人かの人物が目撃したが、それは本当に一瞬だった。
「そう……ですか……ごめんなさい、気づかなくて……わたくし、知らない間にお二人の邪魔をしていたのね……わかりましたわ」
フランチェスカは、誰もがわかる歪な笑顔を浮かべた。彼に気を遣わせないため、無理をしているのがバレバレであった。
口元は歯を食いしばっているし、その拳はきつく握られている。声は震えていて、見ている人々は今すぐにでも抱きしめてやりたいと気が気でない。
だが彼女はあろうことか、婚約者の浮気相手にさえ頭を下げた。
「変に気を遣わせてしまいごめんなさいね、アイラ様。どうかイシュメル様を幸せに、」
アイラは奇妙なものを見る目でフランチェスカを見た。逆上する姿でも期待していたのだろうか。
フランチェスカが言葉を詰まらせ、場が静まり返ること数秒。
「……っ、ごめんなさい!」
フランチェスカは突然顔を背け、その場を逃げ出した。
「ま、待てフ、フランチェスカ!これからは友達として……!」
イシュメルがふざけたことを言おうとしていたが、フランチェスカは聞こえていなかった。
このあまりに心苦しい婚約破棄を目撃した人々は、口々に言っていたという。
「どうしてあんな一途に愛してくれる人を振って、明らかに遊んでそうな知能の足りない令嬢を選んだんだ?馬鹿か?」と。
そんな婚約破棄から早2年。
事件も忘れ去られ始めた今日この頃。
イシュメルもアイラとの結婚を控え、婚約者として仲睦まじくしている……はずだった。
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