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第三話 保健室
しおりを挟むお互いに保健室は知らない場所ではない。
しかし、立場が今までとは大きく違う。優馬は患者として、そして陽菜は患者を誘惑しようとしている。
「先輩。座っていてください」
「陽菜ちゃん。いいよ、自分でやるよ?」
「ダメです。先輩は患者さんなのですから座っていてください」
「はい。はい。わかりました」
少しおどけているが優馬から少しだけ緊張している雰囲気が伝わる。
「あっ先輩の荷物」
「ん?大丈夫だよ。今日は手ぶらだからね。午前中は小テストだけだったから荷物は持ってきていないよ」
「お財布とかは・・・」
「それも大丈夫!ほら!」
優馬は小さな袋を見せた。
手を洗っている最中に友達が持ってきてくれたということだ。
「それだけなのですか?」
「そうだよ」
「中を見ても」「ダメ!」
陽菜が中を見ようとすると止められた当然のことなので陽菜もそれ以上は要求しなかった。
「少し暑いですね」
締め切っている部屋で、今から誘惑しようとしている対象が目の前居るのだ。体温が上がってもしょうがない。
陽菜は着ていたジャージの上着を脱いでベッドに投げた。わざと少しだけ乱暴に投げたのだが、優馬は陽菜の一挙手一投足を見ることしかできなくなっている。
擦り傷の薬を持って陽菜は、優馬が座っている近くに立つ。少し汗の匂いと混じるように女になろうとしている女性の匂いが優馬の鼻孔を擽る。高校3年生は大人か?という議論はあるが、この時の優馬は立派な紳士になろうと心がけていた。
いつ崩壊してしまっても不思議ではない状況の中で耐えている。
陽菜はこんな日を夢見てリサーチを重ねている。
優馬の好きな匂いがわかれば、似たような匂いのシャンプーやボディーソープを買って使った。香水は買えなかったがじゃまにならないような匂いを髪の毛につけることには成功している。そして香水を付けなかった事で匂いの調和が保たれていた。優馬が好きな匂いの状態になっていたのだ。ジャージの下を脱ぐまでは優馬を優しく刺激する匂いになっている。
優馬の心は水が満たされたコップのようになっている。
まだコップには余裕があるが、陽菜が水を・・・。欲望という甘くそして切ない水を注ぎ込んでいく・・・。
「先輩?」
「あっごめん。手。ありがとう」
陽菜は、優馬の手の治療を終えた。
傷は深くなかったが、水では洗い流せなかった石が入ってしまっていた。陽菜は優馬の手を持ってピンセットで石を取った。生理食塩水を使って傷口を綺麗に洗い流してから傷口を乾燥させないように治療を行った。ラップ状の物を貼って上からガーゼを当てて包帯を巻いた。
優馬は治療が終わったと思って立ち上がろうとした。
”ジャリジャリ”
立ち上がった優馬のジャージから砂が落ちてきた。
「先輩。足にも傷ができていませんか?」
「え?」
「どこか痛いですよね?」
「そんなこと無いよ?」
「なぜ疑問形なのですか?ほら、ジャージが擦れています」
擦れているところを陽菜が触ると優馬は声を出してしまった。
「いたっ」
膝を擦りむいているようだ。
「先輩。ジャージを脱げますか?」
「え?陽菜ちゃんのエッチ!」
「先輩?」
陽菜は心臓の音が跳ね上がるのを自覚した。
優馬からエッチと言われて自分がしようとしていることがばれたのではないかと考えてしまった。優馬はそんなつもりはなく軽口を叩いただけだったのだ。
「うそ。うそ。短パンを履いているから大丈夫だよ?」
「それでは・・・」
陽菜は、先輩が自分で脱ぐ前に先輩のジャージに手をかけて脱がした。
ジャージに隠されていた汗と男の匂いが陽菜の理性を飛ばしそうになる。なんとか踏みとどまった陽菜は、そのまま先輩を椅子に座らせて、跪くような格好で治療を開始した。
優馬に足を広げさせた。
理由は・・・。そのほうが、優馬を誘惑できるからだったからなのだが、腿の内側には傷が有って治療をする目的も存在していた。
優馬は、陽菜の策略にハマってしまっている。
跪いた陽菜を椅子に座った状態で見る状態になっている。
少し大きめのTシャツからは黒のブラが白い肌と一緒に見えている。
ハーフカップのブラを付けているので谷間もしっかりと見えてしまっている。怪我の治療の為に床に置いた薬を取る時には、胸元が開けて乳首が見えそうな状態になっている。優馬は気が付かなかったが、陽菜は優馬が自分の胸元を見ているのに気がついている。それだけではなく、乳首が痛いくらいに勃起しているのもわかっている。
(先輩になら・・・優馬さんになら見られてもいい)
陽菜の誘惑は続く、足の治療といいながら足を優しく触って少しでも優馬が反応を示すと、治療を止めて優馬の顔を覗き込む。
もちろん胸元をわざと見えるようにするのは忘れない。
足の治療が終わった。
優馬は自分の忍耐力が誘惑に打ち勝ったことを嬉しく思っていたのだが、陽菜の最終攻撃が始まろうとしていた。
「先輩。他に痛い所は無いですか?」
下から見上げるように陽菜は声をかける。優馬からブラがしっかりと見えていることを認識している。優馬は見ているが、見ていても気がついていない可能性もある。片方の乳首がハーフカップのブラからはみ出しているのも認識している。優馬の視線は乳首がはみ出ている胸に注がれているのを認識して陽菜は自分の作戦が順調に進んでいると認識した。
「え?あっありがとう。大丈夫だよ」
優馬はなんとか言葉を絞り出した。
「そうですか・・・」
陽菜は少しだけ残念に感じるような声を出してから治療に使った薬剤や道具を集めて、少し離れた所に置いてから立ち上がろうとした。
床に手をついて身体を起こす。わざとジャージの裾を踏むようにして立ち上がる。当然バランスを崩すことになる。ジャージのズボンもおしりの半分くらいまで脱げてしまう。そしてバランスを崩した陽菜が向かうのは当然優馬の腕の中だ。
狙ったとおりに優馬は陽菜を抱きしめる形になる。陽菜の攻撃はそれだけではない。陽菜の攻撃からなんとか保っていた優馬の股間の上に倒れ込むように胸を押し付けるのだ。
慌てて立ち上がろうとしてジャージのズボンが少しだけ脱げて、パンツが露出する位置までずり落ちた。
ズボンが脱げた事実を優馬が認識してから慌ててズボンをたくし上げるが、再度バランスを崩して優馬に抱きついてしまう。
計算はしていたがここまで全部がうまくいくとは思っていなかった。
ブラのホックもドサクサに紛れて外すことができた。ハーフカップのブラはすでにブラジャーの役目をはたしていない。
優馬は抱きつかれたことや腕の中で少しだけ恥ずかしそうにしている陽菜になんて声をかけていいのかわからない。
どのくらい時間が流れたのだろう。優馬は陽菜から醸し出される匂いに気をとられている。そして、さっき目にしてしまった、陽菜の黒い下着。ジャージが脱げてしまったことで偶然目に入ってしまった。それだけではなく、自分の腕の中居る女の子をどうしていいのかわからない状態なのだ。
自分の股間に当たる感触が柔らかいものに変わっていることもわかっている。それがどういった状況なのかは判断できないで居た。
ただわかっているのは自分の股間が陽菜の匂いや感触や目にしてしまったことに反応して大きくなり始めていることだ。
優馬は陽菜に気が付かれる前に身体を離そうと考えた。
そして、抱きしめている腕の力を抜いて陽菜を最初に座っていた場所に戻そうとした。
自分の足の間の床に陽菜を座らせて落ち着かせようとしたのだ。
陽菜も優馬の誘導に素直に従った。
床にペタリと座った。
「先輩。ごめんなさい。滑っちゃいました」
「ん・・。あっ・・・。うん・・・」
優馬の返事は片言になってしまっていた。
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