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本編
04 お勉強。※
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※粗相。ちょい鬼畜?
………………………………………………
真っ白い陶器の上に美しい青の模様で織りなされる。青花の灯燭に炎が揺らめき、紅蓮の豊かな髪ととけあってゆく。紅の花型の格子窓から青い月光が漏れ出していた。
いやに彼女はかしこまった様子だった。
真剣味をおびた双眸で彼を見ている。
「今日から貴方の蔑名は華火よ」
重々しく、禰娜は告げた。煎れたばかりのお茶から湯煙が立ちのぼってゆく。
「女人の名前ではありませんか!というか蔑名って……あなたは后妃でしょう?」
蔑名は宦官の名前である。仕宮したその日に元の姓名は消失する。そして、上司先達より新しい名前が与えられる。大抵、蔑名というのに相応しい、嫌がらせのような名前だ。
賜名は名称通り貴人から賜る名である。内青宮においては、后妃がお気に入りの宦官や女官に与えることがあった。賜名を賜った者は賜名で呼ばれる。
少年は賜名を持っていた。蔑名を授かる前に禰娜が与えてしまっていた。
けれども、禰娜は可愛い弟に自分専用の呼び名をつけたような気分でいて、他者がその名で呼ぶことを嫌っていた。
彼は単に弟君とか、その髪から紅と呼ばれていた。
「あら、師の名よ?」
姉は豊満な胸を張って乳房をゆさっと鳴らし、得意げな様子を見せた。
そこではない。華火といい珠佳といいいい加減にしてくれ。
珠佳は少年の賜名だった。彼は自身の名前の中では、姉がつけたものではないと確信できる、太白という幼名を気に入っていた。
彼女は男に男らしくない名をつけ、女に女らしくない名をつけるという悪癖を持っていた。
飼っている雌猫には崕気と名づけていたし、腹心の淑やかな女官に醒剡と名づけたときは止めてあげてよ、と少年は思った。醒剡はよく仕事のできる女官であり、しっかり者の内面とは裏腹に実に嫋々たる佳人だった。
この日から少年は華火と呼ばれるようになった。
※
「霄帥ちゃん、今日は霄帥の気持ちよくなれるところのお名前を覚えていこうねぇ」
東雲色の滑らかな絹の敷布が見渡す限り広がっている。金襴の衾褥だとか、透かしの美しい真っ白な翡翠の枕だとかもあった。
天蓋から吊り下げられた錦の帯が光の射し込んでくる紗幕の向こう側で揺れていた。
華火はそう言って、帷の向こう側から銀の鏡を受け取った。背面に神獣と霊鳥の円紋が彫られた、美しい真円の鏡である。水のような薄い青藍の珠玉が随所に嵌められ、中央の穴に月李紅色の紐が通されて細い二重の蝶に結ばれ、先端から房が垂れ下がっていた。
照明の光を浴び、磨きぬかれた鏡面が光輝く。華火は少し斜めに鏡を立てた。螺鈿細工の鏡立てが差し出され、鏡が収まる。
「霄帥ちゃん、立ってごらん」
「はい、わが君」
この短い期間で霄帥には耐性が出来ていた。というか、華火の言葉には逆らえなかった。逆らうことが畏ろしかった。
幼女は従順に立ち上がった。
華火は帷の向こうの影を手招きした。
「幻鬼、霄帥ちゃんの帯紐を解いて」
主人の命令に従って幻鬼が動き始めた。
霄帥は慌てて口を挟んだ。
「わ、わたしは自分で出来ます」
「そう、ならいいや」
華火は軽く手を振った。
妖魔が元いた場所に控え終わってから、霄帥はやっと安堵した。華火は眷属がどこにいても平然としているが、ほぼ一日中洞窟で一人の時間を過ごしてきた霄帥はそうではない。
薄紫の帯紐が落とされる。方領の手前が開き、未成熟な白い肢体が覗いた。わずかに膨らんだ可憐な胸元、その先端のほんのりと色づいたまあるい珠、なだらかなお腹の小さな切れ込み。華火の目が一瞬にして、それらを検分した。
霄帥は肩から寝衣を落とした。華火はそれに何も言わなかった。甘く薫る香煙が帷の内側にたゆたう。
華火は鏡の手前に胡座をかき、片腿をぽんぽん叩いた。
「僕の股の間に座ってくれる?」
霄帥は躊躇ったが、おずおずと艶やかな絹の寝衣を着たままの華火の股座に座りこんだ。
「霄帥ちゃんのかぁいいお臍が映っているねぇ。両脚を広げてみて」
白く輝くような脚から恥ずかしそうにすき間が覗いた。
「だめ、もっと広げるの。そう霄帥ちゃんの股の裂け目が見えるくらいに。僕の両腿に小枝のような愛しい脚を乗せるんだ」
霄帥は畏怖と羞恥を天秤にかけ、即座に従順になった。
華火の形の良い手が白膚の上を滑ってゆく。霄帥は華火が満足するまで一通り両脚を愛でられた。
「もう少し僕に深く腰かけてくれるかな、多少仰向けの方がいいんだ」
霄帥はおそるおそる大人の男の人の胸元に頭をつける。
「そうそう、上手だ」
華火はにこやかに霄帥を褒め讃えた。
幼女の陰部はまだ茂みに隠されておらず、ほのかに色づいた様は白桃のようであった。
お臍から下に向かって指を滑らせ、陰裂に入る手前のなだらかな丘で止めた。
「ここを恥丘という」と恥丘全体を撫ぜながらいう。
綺麗な指が霄帥の裂け目の周囲をぐるりとなぞっていく。
「これは大陰唇、今みたいに股を開ききっていると分かりにくけど、脚を閉じているときは陰裂を左右から閉じている襞だよ。ああ、陰裂はこの裂け目のことね」
そう言われても、意識したことのない霄帥は思い至れない。
華火の指がそこから陰裂を覗かせている、だらんと垂れた肉の襞を優しく抑えた。
「このびらびらは小陰唇っていう」
鏡の中の幼女は黒目を青みがかったしろがねに輝かせている。霄帥は自分の股の間はあまりじっくり見ていたいものではないな、と思った。
一々名前がついているらしいそれを、鏡の中に克明に描かれた外観を脳内に複写し、華火の言葉と紐づけて脳裏に染みこませていく。華火を憚る、霄帥は真面目に習得しようとしていた。
「見えずらいけど、この裂け目の際から覆い被さっている肉の襞を陰核包皮という。陰核を包んいる皮ってことだね、この中に陰核という膨らみが隠されていて、女の子はここで快楽を感じ取るんだよ」
「小陰唇内部の上の膨らみが尿道口だね、普段おしっこはここから出しているんだよ」
「尿道口の手前にへこんでいるところがあるのが分かるかな、これは膣前庭という」
華火の指がそこを撫でさすり、すぐ下の膣をぐいと押し広げた。
「そして、ここが膣だね。女の子はここに男の陽物を……僕にはないけど、受け入れる。それがいわゆる性交で、陽物がこの膣の中で精を吐きだし、上手いこと陰陽の気が交われば妊娠するって寸法だね」
指が陰裂の下の隆起を撫ぜた。
「ここは会陰。その下の窪みが肛門だよ」
「大体はこんなところかな。さて、ちょっと触ってみようか」
華火は霄帥を見たまま、片手を帷に向かって差し出した。
「可愛い霄帥ちゃんの陰裂とちょうど同じ温度に合わせてね」
普段とは異なる感触がある方が感覚を意識しやすいかもしれない。
幻鬼の掠れた低い声が空気を震わせる。
「はい、……つつがなく」
邸宅に仕える幻鬼は普段は受肉しておらず、ただ空間を歪ませる透明な肉体と時折ちらつく油膜のような虹色の反射が、その存在を示していた。
玻璃の小瓶が置かれた。澄み渡る透明な玻璃の切りこみ細工が美しい。華火は紅玉髄の栓を抜いて、とろりとした透明な液体をとりだした。
霄帥は良い匂いがすると思った。柑橘の皮のような香りと甘やかな花を感じさせる香り。ほのかに甘い透明感のある香りだ。
華火の端正な手に透明な雫が垂らされる。
そのまま霄帥の陰裂がなで回され、液体に塗れさせた。鏡の中の裂け目はぬらぬらと輝いている。
「とりあえず、今日は陰核と膣をすこし触るだけにしようか」
霄帥のびらびらの上の肉襞がぐいと押し上げられ、ぬるぬると滑る液体でなで回される。
くちゃくちゃと淫靡な音がした。
ざわざわとする。なんだか、感じたことのない何かが湧き上がってくる。
下半身が弛緩するというか、変な感じだ。お漏らししてしまいそうな感触と霄帥は闘った。
それからなで回され続け、霄帥が華火の胸元にくったりと肢体を預けきってしまったとき、ちょろちょろと液体が流れた。すべらかな絹の敷布が濡れていく。
「あらあら、潮を吹いちゃったねぇ」
華火はくすくすと笑った。なにやら楽しそうな様子である。
「お、おしお……これって、あの、」
霄帥は嘘であって欲しいと思った。これは「おしお」という名の何かなのでは?
「粗相しちゃって恥ずかしいのかな?」
やっぱり!
「う、ぅぅ」
どうしよう?どうしよう?どうしよう?ご主人さまの前で粗相しちゃった。どうすればいいんだろう。もう無理だ。ここにはいられない。今すぐ彼の目の前から身を隠したかった。
いや、待て。
ちょっと待て。
もしかしなくても、これ、ちょっと、……指にかかっていなかったか?いや陰核は尿道口の上のはず。たが霄帥の小さな陰裂では二箇所の距離は極めて近いし、指は曲げられていた。少しぐらい滲んだかもしれない。
「霄帥ちゃん、これはよくあることだから。珍しくないから。泣かないで。大丈夫、大丈夫」
片手は霄帥のふるえる肩をさすって慰めながらも、片一方の手は裂け目を弄んだままだ。
涙がぽたぽたと落ちてゆく。
陰核から尿道口に指を滑らせ、幼女の尿とぬるい液体に塗れさせてこじ開けた膣へと指先を挿入した。
お漏らししてしまった幼女は、絶望のあまり死にたいような気持ちだった。
ぼんやりとした意識で、膣が刺激されるのを感じる。
考えがまとまらず、霧散していく。意識が混乱しているからか却って下部の刺激が鮮明だった。
「あ、あぁう」
自分の身体が自分のものではないような感覚だ。
口が勝手に喘ぎ声を上げている。変だ。霄帥はおかしい。華火にくったりと身体を預けたまま人形になってしまったような気がした。
華火の手が止まった。
「霄帥ちゃん大丈夫?」
華火が心配そうに覗き込んでくる。声音が優しい。
「とりあえず、湯浴みして、寝る?」
紗幕が開けられた。篭もっていた空気が流れ出し、外の風が入ってくる。
真紅の花片がぷかり、ぷかりと浮かんでいる。厚みのある大ぶりの花片はどれも形が整っている。
泣きじゃくる霄帥のふるえる肩に、真っ白いお湯がかかった。青い月光が射し込み、豪奢な灯燭に炎がゆらゆらする。霄帥の湯船ととけあうような乳白色の肢体が幻想的に浮かび上がる。濡れた黒髪も。
普段は幻鬼たちに世話されるのを好まない霄帥が為されるがままになっていた。
泣き疲れ、入浴したことで身体が温まり、身体の体力を消耗して、霄帥は寝入った。
広い牀榻で小さな幼女がすぅすぅと寝息を立てる。
その目尻には涙の跡が残っていた。
「ごめんね、霄帥ちゃん」
華火の手が滑らかな黒髪を撫ぜた。明日は謝ろう。霄帥の好きなことを聞き出して、楽しいことだけしよう。
………………………………………………
真っ白い陶器の上に美しい青の模様で織りなされる。青花の灯燭に炎が揺らめき、紅蓮の豊かな髪ととけあってゆく。紅の花型の格子窓から青い月光が漏れ出していた。
いやに彼女はかしこまった様子だった。
真剣味をおびた双眸で彼を見ている。
「今日から貴方の蔑名は華火よ」
重々しく、禰娜は告げた。煎れたばかりのお茶から湯煙が立ちのぼってゆく。
「女人の名前ではありませんか!というか蔑名って……あなたは后妃でしょう?」
蔑名は宦官の名前である。仕宮したその日に元の姓名は消失する。そして、上司先達より新しい名前が与えられる。大抵、蔑名というのに相応しい、嫌がらせのような名前だ。
賜名は名称通り貴人から賜る名である。内青宮においては、后妃がお気に入りの宦官や女官に与えることがあった。賜名を賜った者は賜名で呼ばれる。
少年は賜名を持っていた。蔑名を授かる前に禰娜が与えてしまっていた。
けれども、禰娜は可愛い弟に自分専用の呼び名をつけたような気分でいて、他者がその名で呼ぶことを嫌っていた。
彼は単に弟君とか、その髪から紅と呼ばれていた。
「あら、師の名よ?」
姉は豊満な胸を張って乳房をゆさっと鳴らし、得意げな様子を見せた。
そこではない。華火といい珠佳といいいい加減にしてくれ。
珠佳は少年の賜名だった。彼は自身の名前の中では、姉がつけたものではないと確信できる、太白という幼名を気に入っていた。
彼女は男に男らしくない名をつけ、女に女らしくない名をつけるという悪癖を持っていた。
飼っている雌猫には崕気と名づけていたし、腹心の淑やかな女官に醒剡と名づけたときは止めてあげてよ、と少年は思った。醒剡はよく仕事のできる女官であり、しっかり者の内面とは裏腹に実に嫋々たる佳人だった。
この日から少年は華火と呼ばれるようになった。
※
「霄帥ちゃん、今日は霄帥の気持ちよくなれるところのお名前を覚えていこうねぇ」
東雲色の滑らかな絹の敷布が見渡す限り広がっている。金襴の衾褥だとか、透かしの美しい真っ白な翡翠の枕だとかもあった。
天蓋から吊り下げられた錦の帯が光の射し込んでくる紗幕の向こう側で揺れていた。
華火はそう言って、帷の向こう側から銀の鏡を受け取った。背面に神獣と霊鳥の円紋が彫られた、美しい真円の鏡である。水のような薄い青藍の珠玉が随所に嵌められ、中央の穴に月李紅色の紐が通されて細い二重の蝶に結ばれ、先端から房が垂れ下がっていた。
照明の光を浴び、磨きぬかれた鏡面が光輝く。華火は少し斜めに鏡を立てた。螺鈿細工の鏡立てが差し出され、鏡が収まる。
「霄帥ちゃん、立ってごらん」
「はい、わが君」
この短い期間で霄帥には耐性が出来ていた。というか、華火の言葉には逆らえなかった。逆らうことが畏ろしかった。
幼女は従順に立ち上がった。
華火は帷の向こうの影を手招きした。
「幻鬼、霄帥ちゃんの帯紐を解いて」
主人の命令に従って幻鬼が動き始めた。
霄帥は慌てて口を挟んだ。
「わ、わたしは自分で出来ます」
「そう、ならいいや」
華火は軽く手を振った。
妖魔が元いた場所に控え終わってから、霄帥はやっと安堵した。華火は眷属がどこにいても平然としているが、ほぼ一日中洞窟で一人の時間を過ごしてきた霄帥はそうではない。
薄紫の帯紐が落とされる。方領の手前が開き、未成熟な白い肢体が覗いた。わずかに膨らんだ可憐な胸元、その先端のほんのりと色づいたまあるい珠、なだらかなお腹の小さな切れ込み。華火の目が一瞬にして、それらを検分した。
霄帥は肩から寝衣を落とした。華火はそれに何も言わなかった。甘く薫る香煙が帷の内側にたゆたう。
華火は鏡の手前に胡座をかき、片腿をぽんぽん叩いた。
「僕の股の間に座ってくれる?」
霄帥は躊躇ったが、おずおずと艶やかな絹の寝衣を着たままの華火の股座に座りこんだ。
「霄帥ちゃんのかぁいいお臍が映っているねぇ。両脚を広げてみて」
白く輝くような脚から恥ずかしそうにすき間が覗いた。
「だめ、もっと広げるの。そう霄帥ちゃんの股の裂け目が見えるくらいに。僕の両腿に小枝のような愛しい脚を乗せるんだ」
霄帥は畏怖と羞恥を天秤にかけ、即座に従順になった。
華火の形の良い手が白膚の上を滑ってゆく。霄帥は華火が満足するまで一通り両脚を愛でられた。
「もう少し僕に深く腰かけてくれるかな、多少仰向けの方がいいんだ」
霄帥はおそるおそる大人の男の人の胸元に頭をつける。
「そうそう、上手だ」
華火はにこやかに霄帥を褒め讃えた。
幼女の陰部はまだ茂みに隠されておらず、ほのかに色づいた様は白桃のようであった。
お臍から下に向かって指を滑らせ、陰裂に入る手前のなだらかな丘で止めた。
「ここを恥丘という」と恥丘全体を撫ぜながらいう。
綺麗な指が霄帥の裂け目の周囲をぐるりとなぞっていく。
「これは大陰唇、今みたいに股を開ききっていると分かりにくけど、脚を閉じているときは陰裂を左右から閉じている襞だよ。ああ、陰裂はこの裂け目のことね」
そう言われても、意識したことのない霄帥は思い至れない。
華火の指がそこから陰裂を覗かせている、だらんと垂れた肉の襞を優しく抑えた。
「このびらびらは小陰唇っていう」
鏡の中の幼女は黒目を青みがかったしろがねに輝かせている。霄帥は自分の股の間はあまりじっくり見ていたいものではないな、と思った。
一々名前がついているらしいそれを、鏡の中に克明に描かれた外観を脳内に複写し、華火の言葉と紐づけて脳裏に染みこませていく。華火を憚る、霄帥は真面目に習得しようとしていた。
「見えずらいけど、この裂け目の際から覆い被さっている肉の襞を陰核包皮という。陰核を包んいる皮ってことだね、この中に陰核という膨らみが隠されていて、女の子はここで快楽を感じ取るんだよ」
「小陰唇内部の上の膨らみが尿道口だね、普段おしっこはここから出しているんだよ」
「尿道口の手前にへこんでいるところがあるのが分かるかな、これは膣前庭という」
華火の指がそこを撫でさすり、すぐ下の膣をぐいと押し広げた。
「そして、ここが膣だね。女の子はここに男の陽物を……僕にはないけど、受け入れる。それがいわゆる性交で、陽物がこの膣の中で精を吐きだし、上手いこと陰陽の気が交われば妊娠するって寸法だね」
指が陰裂の下の隆起を撫ぜた。
「ここは会陰。その下の窪みが肛門だよ」
「大体はこんなところかな。さて、ちょっと触ってみようか」
華火は霄帥を見たまま、片手を帷に向かって差し出した。
「可愛い霄帥ちゃんの陰裂とちょうど同じ温度に合わせてね」
普段とは異なる感触がある方が感覚を意識しやすいかもしれない。
幻鬼の掠れた低い声が空気を震わせる。
「はい、……つつがなく」
邸宅に仕える幻鬼は普段は受肉しておらず、ただ空間を歪ませる透明な肉体と時折ちらつく油膜のような虹色の反射が、その存在を示していた。
玻璃の小瓶が置かれた。澄み渡る透明な玻璃の切りこみ細工が美しい。華火は紅玉髄の栓を抜いて、とろりとした透明な液体をとりだした。
霄帥は良い匂いがすると思った。柑橘の皮のような香りと甘やかな花を感じさせる香り。ほのかに甘い透明感のある香りだ。
華火の端正な手に透明な雫が垂らされる。
そのまま霄帥の陰裂がなで回され、液体に塗れさせた。鏡の中の裂け目はぬらぬらと輝いている。
「とりあえず、今日は陰核と膣をすこし触るだけにしようか」
霄帥のびらびらの上の肉襞がぐいと押し上げられ、ぬるぬると滑る液体でなで回される。
くちゃくちゃと淫靡な音がした。
ざわざわとする。なんだか、感じたことのない何かが湧き上がってくる。
下半身が弛緩するというか、変な感じだ。お漏らししてしまいそうな感触と霄帥は闘った。
それからなで回され続け、霄帥が華火の胸元にくったりと肢体を預けきってしまったとき、ちょろちょろと液体が流れた。すべらかな絹の敷布が濡れていく。
「あらあら、潮を吹いちゃったねぇ」
華火はくすくすと笑った。なにやら楽しそうな様子である。
「お、おしお……これって、あの、」
霄帥は嘘であって欲しいと思った。これは「おしお」という名の何かなのでは?
「粗相しちゃって恥ずかしいのかな?」
やっぱり!
「う、ぅぅ」
どうしよう?どうしよう?どうしよう?ご主人さまの前で粗相しちゃった。どうすればいいんだろう。もう無理だ。ここにはいられない。今すぐ彼の目の前から身を隠したかった。
いや、待て。
ちょっと待て。
もしかしなくても、これ、ちょっと、……指にかかっていなかったか?いや陰核は尿道口の上のはず。たが霄帥の小さな陰裂では二箇所の距離は極めて近いし、指は曲げられていた。少しぐらい滲んだかもしれない。
「霄帥ちゃん、これはよくあることだから。珍しくないから。泣かないで。大丈夫、大丈夫」
片手は霄帥のふるえる肩をさすって慰めながらも、片一方の手は裂け目を弄んだままだ。
涙がぽたぽたと落ちてゆく。
陰核から尿道口に指を滑らせ、幼女の尿とぬるい液体に塗れさせてこじ開けた膣へと指先を挿入した。
お漏らししてしまった幼女は、絶望のあまり死にたいような気持ちだった。
ぼんやりとした意識で、膣が刺激されるのを感じる。
考えがまとまらず、霧散していく。意識が混乱しているからか却って下部の刺激が鮮明だった。
「あ、あぁう」
自分の身体が自分のものではないような感覚だ。
口が勝手に喘ぎ声を上げている。変だ。霄帥はおかしい。華火にくったりと身体を預けたまま人形になってしまったような気がした。
華火の手が止まった。
「霄帥ちゃん大丈夫?」
華火が心配そうに覗き込んでくる。声音が優しい。
「とりあえず、湯浴みして、寝る?」
紗幕が開けられた。篭もっていた空気が流れ出し、外の風が入ってくる。
真紅の花片がぷかり、ぷかりと浮かんでいる。厚みのある大ぶりの花片はどれも形が整っている。
泣きじゃくる霄帥のふるえる肩に、真っ白いお湯がかかった。青い月光が射し込み、豪奢な灯燭に炎がゆらゆらする。霄帥の湯船ととけあうような乳白色の肢体が幻想的に浮かび上がる。濡れた黒髪も。
普段は幻鬼たちに世話されるのを好まない霄帥が為されるがままになっていた。
泣き疲れ、入浴したことで身体が温まり、身体の体力を消耗して、霄帥は寝入った。
広い牀榻で小さな幼女がすぅすぅと寝息を立てる。
その目尻には涙の跡が残っていた。
「ごめんね、霄帥ちゃん」
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