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side 亮太(息子)
自我
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翌日、(本当に翌日なのかは分からないが)、目を覚ますとベッドに寝かされていた。
ああ。このベッドも5年前のと同じだ。
やはり裸だが拘束はされていない。
部屋をぐるっと見回す。
窓は無い。
ベッドを降りて部屋の向こうに見えるドアへ。
1つ目はトイレだった。
数人で入れるこの広さに5年前を思い出して震える。
その隣は豪華な風呂場だった。
コッチは更に広い。もう思い出さないようにしよう。
最後のドアは、取っ手を動かすが鍵がかかっていて開かない。
ドアに耳を当てる。
向こう側の音は聞こえない。
5年前もそうだった。
どんなに足掻いても、この部屋から、自分の力では出られなかった。
一晩寝て冷静になった自分が囁く、こんなのおかしい。
昨日は液晶テレビの音声に言われるがままだった。
椅子に縛られて、言われるがままに自慰なんて自分の行動もおかしい。
手が自由になっても、逃げるなんて発想が無かった。
まるで心まで支配されているようだった。
深層心理を操られているのだろうか。
怖い。
自分も怖い。
自分まで信じられないなんて、何を信じればいいのだろうか。
パパ。
そうだ、パパの言葉は信じられる。
パパは5年前、誘拐された僕を助けてくれた。
「大丈夫だよ。」って抱きしめてくれた。
パパに会いたい。
パパへの想いは、家族への愛をとっくに越えて僕を捉える。
こんな事になる位なら、パパに好きですって言っておけばよかった。
血の繋がりなんて気にせずに、いっぱい甘えればよかった。
血が繋がらないって疎まれても、パパがしてくれるならなんでも受け入れられるのに。
だからパパ、側に居させて。
このままでは昨日言われたように客を取らされる。
“奉仕しろ”と液晶テレビの音声は言っていた。
そしてこのベッドだ。
過去の自分がどうしたか、思い出して震える。
あれは嫌だ。
でも“ご主人様”の命令には逆らえない。
僕はパパが好きなのに。
パパを愛してるのに!!
もう、信じられるのはパパだけ。
そうだ、パパがご主人様ならいいのに。
パパのエッチな奴隷になら喜んでなる。
ご奉仕も、パパにだけしたい。
だけど僕の体は“ご主人様”の命令が絶対だ。
次また液晶テレビの音声が命令してきたら絶対に逆らえない。
気持ちいいことが大好きになって、心もそっちに引っ張られてしまう。
やめたい意志なんてスグ無くなって、もっとって思うんだ。
心まで支配されたくない。
どうしよう。
どうしたらいい?
そうだ、僕の深層心理を“僕のご主人様はパパ”に上書きできないだろうか。
パパはずっと僕を大切にしてくれた。尊敬もしている。
信じられるのはパパだけだ。
もしご主人様をパパで上書きできれば、抵抗して、逃げ出せるかも知れない!
でもどうすれば・・・
『おはよう。ウタ。よく眠れた?』
“ご主人様”の声が聞こえた。
「はい。おはようございます。」
『今日は接客のおさらいだよ。』
「はい。」
また卑猥な1日が始まる。
ああ。このベッドも5年前のと同じだ。
やはり裸だが拘束はされていない。
部屋をぐるっと見回す。
窓は無い。
ベッドを降りて部屋の向こうに見えるドアへ。
1つ目はトイレだった。
数人で入れるこの広さに5年前を思い出して震える。
その隣は豪華な風呂場だった。
コッチは更に広い。もう思い出さないようにしよう。
最後のドアは、取っ手を動かすが鍵がかかっていて開かない。
ドアに耳を当てる。
向こう側の音は聞こえない。
5年前もそうだった。
どんなに足掻いても、この部屋から、自分の力では出られなかった。
一晩寝て冷静になった自分が囁く、こんなのおかしい。
昨日は液晶テレビの音声に言われるがままだった。
椅子に縛られて、言われるがままに自慰なんて自分の行動もおかしい。
手が自由になっても、逃げるなんて発想が無かった。
まるで心まで支配されているようだった。
深層心理を操られているのだろうか。
怖い。
自分も怖い。
自分まで信じられないなんて、何を信じればいいのだろうか。
パパ。
そうだ、パパの言葉は信じられる。
パパは5年前、誘拐された僕を助けてくれた。
「大丈夫だよ。」って抱きしめてくれた。
パパに会いたい。
パパへの想いは、家族への愛をとっくに越えて僕を捉える。
こんな事になる位なら、パパに好きですって言っておけばよかった。
血の繋がりなんて気にせずに、いっぱい甘えればよかった。
血が繋がらないって疎まれても、パパがしてくれるならなんでも受け入れられるのに。
だからパパ、側に居させて。
このままでは昨日言われたように客を取らされる。
“奉仕しろ”と液晶テレビの音声は言っていた。
そしてこのベッドだ。
過去の自分がどうしたか、思い出して震える。
あれは嫌だ。
でも“ご主人様”の命令には逆らえない。
僕はパパが好きなのに。
パパを愛してるのに!!
もう、信じられるのはパパだけ。
そうだ、パパがご主人様ならいいのに。
パパのエッチな奴隷になら喜んでなる。
ご奉仕も、パパにだけしたい。
だけど僕の体は“ご主人様”の命令が絶対だ。
次また液晶テレビの音声が命令してきたら絶対に逆らえない。
気持ちいいことが大好きになって、心もそっちに引っ張られてしまう。
やめたい意志なんてスグ無くなって、もっとって思うんだ。
心まで支配されたくない。
どうしよう。
どうしたらいい?
そうだ、僕の深層心理を“僕のご主人様はパパ”に上書きできないだろうか。
パパはずっと僕を大切にしてくれた。尊敬もしている。
信じられるのはパパだけだ。
もしご主人様をパパで上書きできれば、抵抗して、逃げ出せるかも知れない!
でもどうすれば・・・
『おはよう。ウタ。よく眠れた?』
“ご主人様”の声が聞こえた。
「はい。おはようございます。」
『今日は接客のおさらいだよ。』
「はい。」
また卑猥な1日が始まる。
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