僕の恋、兄の愛。3

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市井弟の成功談

プロポーズの行方。

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「あ、あぁ、そうだ健!
アレだ!
唐所長!
唐所長がね!」

僕がションボリから脱出できずに居ると、兄ちゃんの声が少し大きくなった。

・・・む?

「うん・・・所長さんが?」

(↓やさぐれ中)

所長さんお仕事しすぎで頭の毛が薄くなったの?

兄ちゃんも同じお仕事だから気を付けないとね。

頭皮ケア一緒に頑張ろ?

「唐所長が、俺達をホテルのディナーに誘ってくれたんだ。
『急なんだけど、明後日の夜に行かない?
亮太も家事の息抜きに行く予定だから弟くんもどう?』って。」

「うん?」

所長さんは、僕の親友、りょーちんのパパだ。
しかも同じタワーマンション内に住んでいる。

だからたまに、りょーちん、所長さん、兄ちゃん、僕の4人でご飯会したり、お出かけしたりしている。
明後日も4人で夕ご飯?

でも所長さんから急なお出かけのお誘いは珍しい。
言い出すのは大体僕かりょーちんだ。

でもやったぜ!りょーちんと夕ご飯♪
僕はすぐさま機嫌が回復し、そんな僕に兄ちゃんも優しく笑った。

「ホテルのレストランでの夕ご飯だそうだよ?
健は行きたい?」

明後日のご飯会会場、ホテルのレストランですか。
ホテルでお高級ディナーとか、流石りょーちんパパ!
研究所の所長さんだけある!
りょーちんとのご飯は、お互いがいっぱい食べるから楽しいのだ。
他の子だと最終的に「・・・イチケンまだ食うのか・・・」とか言われちゃうから控えめにしている。

「うん。
りょーちんファミリーとのご飯会いいよね~♪」

「じゃあ明日、夕ご飯会よろしくお願いします、って唐所長にお返事しておくね。」

「うわ~い♪」

でも兄ちゃんと2人でホテルディナーとかだったらもっと素敵だろうな~。
そんな妄想に顔がニヤける。

機嫌が直った僕に微笑んで、兄ちゃんが立ち上がってキッチンへ移動した。

「さ、夕ご飯にしよう。」

僕も立ち上がってキッチンへ急ぐ。

両親が伊豆に引っ越してから、家事は主に僕の担当になった。
兄ちゃんはお仕事忙しいし、僕は元々家事が得意だったから。

だけど、兄ちゃんが家に居るときは家事をしてくれる。「健は学業を頑張ってるんだから、家事は分担しようね。」って。

僕の旦那様は優しい。好き。

「うん♪
今夜はね~♪
筑前煮なの~♪」

「いつも美味しいお料理ありがとう。」

兄ちゃんが皿を並べる合間に頭を撫でてくれる。

んふふ~♪
僕の旦那様は格好よくてハイスペックなんだぞ。

フェイク告白騒動も無事解決したし、ルンルンだ♪

「あ、そうだ。
明後日の夕ご飯会なんだけどね、ホテルのディナー。亮太くんとは別の個室になりそうなんだ。」

兄ちゃんが湯呑みを並べながら呟く。
・・・ん?

「うん?」

「何でだろうね?
お二人様限定の個室コースを予約してるからとかかな?
隣の個室なのかな?
兎に角、別室なんだって。
曖昧でごめんね、明日唐所長によく聞いとくよ。」

「りょーちんファミリーとのご飯会なのにお部屋は別々~?」

兄ちゃんの、よく分かって無さそうな説明が耳を通り抜ける。

・・・これって・・・。

「ホテルのレストランまでは一緒に行くみたいだよ。
明後日は学校が終わったら、亮太くんと一緒に研究所ラボにおいで。」

「うん、わかった・・・。」

まさか・・・。
そうだよ!
コレ、もしかして、だ!

「あぁ。亮太くん達と一緒に行くのに別々の部屋で夕ご飯なんて寂しい?
できれば亮太くんと一緒に食べたいです、って唐所長に相談してみようか?」

考え込んでいた僕を見て、兄ちゃんはそう付け加えた。

「ううん。僕平気だよ!」

2人っきりがいい!

だって!
もしかして、のヤツだよ!

「唐所長いわく、『夜景の見える部屋で、2人だけのロマンチックディナー』なんだって、健。
いい大人が『ロマンチック』って。
ちょっと面白かったよ。」(←健介は後半聞こえていません。)

兄ちゃんがニヤッと笑ってる。

ほら!やっぱり!!
これ、僕の『アニプロ作戦』成功なんじゃないの!?
サプライズ プロポーズ!!

「ホテルでロマンチックディナ~!!行く~!!」

僕のテンションは天元を突破した。











※勘違い、再来
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