僕の恋、兄の愛。3

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市井弟の成功談

自己嫌悪。

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・・・と言うことは。

『高校生の告白リサーチ』も、本当に兄ちゃんの職場けんきゅうじょで、最近の高校生の恋愛、ってのが話題になって、「高校生現役の弟くんに聞いてみて。」って頼まれたの?

所長さんからの昇進祝いのプレゼントも、単に所長さんのセンスで、国技のペアヌイグルミを送ってくれただけ?

もし、もしそうなら・・・。

ど、どどどうしよう。

ややややばい、やばいぞ。

僕、浮かれ切ってたから、僕の勘違いだった場合の対策を全く考えて無かった。

・・・と言うか、兄ちゃんの告白リサーチ、僕、嘘教えたって事になるんでは!?

しかも、兄ちゃんからの僕の嘘告白情報の報告を受けて、研究所の人達も『僕の理想のプロポーズ』を『コレが最近の高校生の一般的な告白方法だ。』って勘違いしちゃってる!?

その上、僕は図に乗って自分のオススメ乙女ゲームの話を、盛りに盛って「高校でこれが流行ってる。」って兄ちゃんに言っちゃったのだ。

どどどどどうしよう。

僕がちゃんと兄ちゃんの話を聞いてなかったばっかりに・・・。

落ち着かず、家の中をウロウロしていると、玄関の“ユウくんとケンちゃん”が目に留まった。

玄関にちょこんと座る可愛いペアのヌイグルミ。

もう泣きそうだ。

『兄ちゃんにプロポーズして貰えるかも。』なんて浮かれてた自分がバカみたいだ。

・・・どうしよう・・・。

引っ越して、以前より広くなった自宅の玄関ホールで兄ちゃんの帰宅を待つ。

取り合えず、まず兄ちゃんに謝らなきゃ。

高校生の告白事情も、流行ってる乙女ゲームも、嘘教えてごめんなさいって。

ペアリングが欲しかったから嘘ついたの、って言ったら兄ちゃん怒るかな。

『恋人に嘘つく子なんて嫌い。』って言われちゃったらどうしよう。

ソレから、兄ちゃんの研究所しょくばの人達にも謝らなきゃ。

研究所しょくばの人達、お仕事の出先で話題にしちゃったりしてたらどうしよう。

僕のせいで『世間に疎い無知な研究員』とかって言われてないかな。

ごめんなさい。

「・・・ぐすっ・・・」

嘘ついた僕が泣くなんて卑怯だと思うけど、涙が止まらない。

沢山の人に迷惑をかけちゃった。

兄ちゃんに嫌われたらどうしよう。

兄ちゃん、ごめんなさい。

僕の事、嫌いにならないで。

僕は玄関のドア前でグズグズと座り込んだ。










◆◆ ◆1時間後◆ ◆◆





ピーンポーン、ガチャガチャ。

家のインターホンに続いて鍵を開ける音・・!
兄ちゃんが帰って来た!

「けーん。ただい・・・おわ!」

ドアの直ぐ側に踞ってたせいで兄ちゃんが驚いた声を出した。

でもそんな事気にしていられない。

僕・・・謝らなきゃ。

「驚いたよ健、かくれんぼでもしてたの?
ドアにぶつからなかった?」

優しく声をかけてくれる兄ちゃんに、意を決して少しづつ顔を上げ、ゆっくりと見上げる。

「あのね~、兄ちゃん。」

僕の事、嫌いにならないで。









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