僕の恋、兄の愛。3

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弟くんと指輪の出会い編◆友人視点◆

ある日の百鶴学園高校③

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実は百鶴学院高校ウチ特別進学コースとくしん同士が受験年に付き合い出すのはそう珍しい事じゃない。

“2人一緒に志望校に受かって、大学生活も一緒に楽しもう!”とお互いのヤル気を鼓舞する為だ。

ウチのクラスとくしん限定で、“受験年に付き合い始めたカップルは第一志望校に受かる。”なんてアホなジンクスまである。

クラスメートの『温かく見守る。』も毎年見られる伝統的光景なのだ。

なんだその伝統。

「ちげーって、全部聞けよ、唐!
俺の誕生日夏休みじゃん?
塾の前にスタバで予習してる時にさぁ、
『俺の誕生日、長期休みのど真ん中でツレに忘れ去られっから、家族しか祝ってくんねえの。』
って言ったら、カスミがわざわざ祝ってくれて!
しかも!俺の誕生日になった瞬間に
『誕生日おめでとう!私、松戸が好き!』ってメッセ来たんだよ!!
そりゃ俺も好きー!ってなんじゃん!」

「おぉ~♪」

「話が長い。
話を端的に纏めるのも知識だぞ、松戸。」

「うっせー唐。
んでな、イチケン!
俺はココで奮起した訳よ!
まず、夏休みの模試だ!
俺マジでメッチャ勉強頑張って、A判定出したんだ!」

「うん~。
・・・?
指輪関係なくなってない?」

「俺、ずっとA判定だけどな。」

「うっせぇ唐。
んでな、ココからだイチケン!
夏休み明け直前に、『お陰でA判定出せた!
付き合おうぜ、俺達!!』ってカスミにメッセしたんだ!
更に!新学期初日にペアリングを送ったんだぞ!」

「うん~。
あ、指輪~。」

「つまりな、イチケン。
佐梨と松戸のウキウキは、『同じ指輪趣味の同士発見ヤッホー。』じゃ無くて、『俺達付き合ってるんだぜヤッホー。』だ。」

「!!!
成る程~。
アレ?んん??」

「まぁ聞けって唐。
俺達のどっちかが大検落ちて浪人になろうもんなら、片方は大学生活満喫、片方は再受験に向けて再び多忙だ!
接点無くなんじゃん?
カスミと俺の志望校の偏差値で言えば、俺の方が浪人リスクは高い。
カスミが大学生で、彼氏の俺が浪人生とかカッコワリー!
一緒に受験パスして大学生活満喫しようぜ!って意味で、このペアリングは俺の決意表明なんだぜ!」

「うん~??」

「松戸。話が長い。
つまり。
佐梨と松戸のお揃いメーカーのリングは、恋人定番の“ペアリング”ですよ、っつー話だ。
よく買いに行く暇あったな、ギリギリ松戸。
勉強しろよ。」

「ん~???」

「売れない芸人みたいな呼び方すんな、首席ヤロー。
勉強してるわ。
ペアリングは、勉強の休憩時間にネットでポッチしたんだよ!
どれがカスミに似合うか超サーチしたんだぞ!」

「あのn・・・「「分かったか?イチケン。」」

「んん~??」

「「どうした?」」

「ねぇ~?ペアリングって何~?」

「「そこからか!」」

「もう!
イチケンさっきから全然着いて行けてなかったわよ!
イチケン、ペアリングだけど、ゼ〇シィみてみ、キレイ系デザインだけどメッチャ載ってるから。」

俺の前の席の水戸が振り返って会話に参加してきた。

自習中だ!と思わなくもないが、水戸も話に混ざりたくて集中力が切れてるんだろう。
仕方ない。

「ゆかもんも持ってるの~?
噂のペアリング~?」

「噂ってw
まぁねー♪」

「彼氏いるのか水戸。」

「去年の夏からねー♪」











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