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旅行計画
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「今月最後の土日に、冴子の異動を祝ってお泊り旅行、ってのはどう?」
美咲さんの暮らす恵比寿のマンション、そこで暮らすようになってからもう3ヶ月近くが経つ。
いつものように二人で朝食を摂りながら、あまりに何でもない事のように美咲さんに切り出された。
夢みたいに嬉しい提案だけど、もう3月も後半に入っている。
「え、でも…こんな間際になって泊まれる所なんてあるんですか」
「大丈夫」
理由はよくわからないが、まあ美咲さんの事だから私よりもはるかに宿の手配などは手馴れているのだろう。
「あ、あの…」
そうなると、にわかに気になってくるのは宿代だ。
収入に大幅な格差があるとは言え、何から何まで出してもらう事を当たり前のように考えるわけにはいかない。
今日の朝食は、美咲さんがプロテインバーにコーヒー、私は具だくさんスープにクロワッサンという内容だ。
多分、美咲さんは今日は早く出るつもりなのだろう。
「私が勝手に行き先決めるけど、その代わり冴子は主賓なんだから、お金の事は気にしなくていいわよ」
「…はい」
素直に喜びを表現しないといけないのに、手放しで喜べない。
かと言ってめちゃくちゃに高い宿を取られても、私の給料ではあまり多くを払えないし、結局表面的に恐縮するしかなかった。
「冴子、心配するポイントが間違ってるわよ」
「どういう、事ですか…?」
「つまり私が全額払って好きに選ぶという事は、宿については冴子の意向を忖度しないって事なんだから」
「はい…」
それを聞いてもやっぱり意味はわからず、私は少し考え込んだ。
美咲さんが私に気を使わずに選ぶ宿って何だろう。
素敵な所を選ぶに決まっている…と思ったが、直後にその意図に気付き私は慌てた。
…多分、とんでもないハイクラスのホテルとか、高級温泉旅館とか、やばいスペックの所を押さえるに違いないと思ったからだ。
「あの、止めてください」
「ダメよ」
言うだけ言って美咲さんは自分の食器を下げにキッチンへと向かってしまう。私は慌てて後ろを追いかけた。
「だって、何か凄い所予約しようとしてますよね」
「うん」
私とは視線を合わせる事なく、美咲さんはさっさとコーヒーカップやお皿を洗ってラックに立てかけた。
「…嫌なの?」
「そういう、訳ではないんですが…」
美咲さんの腕が伸びてきて、起き抜けの部屋着ワンピース一枚姿の私の身体を引き寄せた。そのまま私の長い黒髪を撫でられる。
そうする美咲さんは既に身支度を整え追えていて、仕事モードのスイッチが入りつつある感じだから、いきなりそうされて私はびっくりした。
「こういう時は、素直に甘えておくものよ」
「はい…嬉しいです」
ちょっと泣きそうになったけど、私は一生懸命喜びを表現しよう、とだけ意識して美咲さんに笑顔を向けた。
そんな私の唇に、美咲さんのキスが降ってくる。
朝の忙しい時間なのだから、軽く済むかと思ったのに、思いのほかそれは深いものとなっていった。なんとなく舌先を絡めているうちにちょっと勢いがついてしまったのか、美咲さんは私の頭を抱えるようにしながら私の口の中まで舌を差し入れてきて、私のそれと触れ合わせる。
「ん…っく…ふ…」
心の準備ができておらず私だけがやたらと吐息を漏らしてしまう。
唇がほんの少し離れた瞬間、つい「お姉さま」と呼んだ声が妙に艶っぽくなってしまい、美咲さんが少し困ったような怒ったような顔になる。
「ちょっと、冴子誘わないでよ」
「さ、誘ってません」
「嘘、いやらしい声出しちゃって」
「だって、それは…」
「いいから、早く着替えなさい、これ以上そこにいられたら脱がして襲うわよ」
最後の言葉は冗談だろう。
美咲さんは決して、人とのいちゃつきで仕事に遅刻したり、ギリギリに出勤するような事はしない。そこは大人だなと思う。
私は美咲さんの叱責に、それでも条件反射で身体を動かしていた。即座にキッチンから下がり残りの食事を片付けて身支度をする。そうしている間に、美咲さんは部屋を出てしまった。
朝の通勤は、一緒に出る事もあるけれど、こうして美咲さんが先に行ってしまう事もある。
一緒に出られない時には、必ずいってらっしゃいのキスを交わすけど、今日はさっきのがそれに当たるのか、と私は納得した。
まだ私の出勤時間までには余裕がある。
自分の食器を片付けて、洗濯物を干しにかかった。
この部屋には洗濯乾燥機があるけれど、普段は乾燥機能は使わない。大体は部屋干しか外干しをする。
ちょっと変態っぽい趣味かもしれないけど、美咲さんの着ている服や下着を洗濯して干したり、アイロンをかけたりするのが私は好きだった。
美咲さんは、いやらしい行為の後汚した下着をそのままにせず、簡単に手洗いしてから洗濯機に入れるようにしているようだけど、私からすればそんな事する必要ないのにと思う。できれば私が預かり丁寧に手洗いしたいぐらいなのだ。
でもあまりそれについて言及するのははばかられる気がして、言っていない。それに、実のところ美咲さんと自分の年齢差を強く感じるのが、着ける下着の違いに現れていると私は思っている。
美咲さんは年相応に大人なデザインの下着を、何気なく着こなしているが、私にはそれが本当に刺激的で興奮してしまうのだ。
シックな色合いの、面積の狭いサイド紐ショーツとか、総レースのスリップとか、そういうものを割と普段から着ているので、「見えないお洒落」にもこだわっているのだろうと思うし、それがはまっている。
私とこんな関係になるまではどうだったかわからないけど、最近は特にそれを意識しているようでもあり、私としては嬉しい限りだ。
勿論服装により補正下着も使ってはいるけれど、特にスカートスーツスタイルであればそれは気にしなくて良い訳で、そういう時にはデザイン重視で下着を選んでいるらしいのも知っているだけに、それをじっくり見たくて、帰宅後の美咲さんの服をすぐ脱がせたくなる衝動にかられるのも事実だ。
一方の私は、そもそも胸が大きすぎて合う下着の選択肢が少ない。
『WS』アプリで最近はGカップ対応品のコラボランジェリーも購入できるようになり、私は専らそこから買う頻度が高くなっていた。
ほぼ毎回のようにイメージモデルを務める晴香ちゃんの写真を見るけれど、最近はますます色気がアップして大変な感じがする。
下着のモデル写真で「これはイカン」と思えるぐらいの妖艶さを表現しており、好評なのも頷ける。
…私、こんな人にばんばんキスマーク付けてしまったんだ、なんて事も思ったりするから、余分な感慨がプラスされているにしても、晴香ちゃんの細身の身体に色白の肌、そしてサラサラの銀髪と青みがかった瞳のビジュアルに加えて、冷たくも挑発的な表情に、撃ち抜かれる人は多い事だろう。
洗濯ものも干して一息つきながら、ふとスマホの通知を確認すると、図ったように晴香ちゃんからのメッセージが届いていた。
あれ以来、やっぱり晴香ちゃんは小悪魔どS街道まっしぐらと言うか、ある意味大人の階段を上ってしまったと言うか、私からしたら嬉しいような困ってしまうような状況に驀進中という感じで。
自分がどう見えるかという事への意識が高い事もあるし、クリエイター気質でこだわりまくる性格も相まって、晴香ちゃんがよこしてくる画像や映像はクオリティが高すぎて大変な破壊力を持つ。
それを知ってか知らずか、晴香ちゃんは私にはなんのためらいもなく「オナニーしちゃいました」とかいうコメントを添えて動画を送ってくるので、ありがたい反面色々心配になってしまうのだ。
先日などは全裸で電動マッサージャーを自分の股間に当てて喘ぐ映像をよこしてきたりして、実家なのに大丈夫なのだろうかと心配になったりもした。
今朝の通知はそういう類のものではなく、ちょうど新作のコラボランジェリーが発売されるので、良かったらチェックして欲しいという内容でほっとする。
「ありがとう、見てみるね」と返信を送り、ついでに「今度泊まり旅行する事になったよ、あの人と」という報告をした。
晴香ちゃんは「それは素敵ですね!」と私以上に喜んでいるようなメッセージをくれた。
晴香「どちらに行かれるんですか?」
冴子「それはまだ、場所は任せてしまったからわからなくて」
晴香「絶対温泉旅館ですよ」
冴子「なんで?」
晴香「そんなの、そうに決まってるじゃないですか、わからないなんて冴子さん相変わらず鈍いですねー」
なんで晴香ちゃんはそんな事を断言できるんだろう。
美咲さんは高級ホテルを選ぶかもしれないのに。
晴香「個人的にはビーチリゾートもお勧めですけど、やっぱり初めてとなればそれより旅館ですね、間違いなく」
冴子「だから、何でそれがわかるの?」
晴香「冴子さんが映えるシチュエーションっていうのがあるんですよ、多分あの方はそれを熟知しているはずです」
時々思うけど、なぜか私にわからない事柄で晴香ちゃんと美咲さんが持つ共通認識みたいなものがあるらしい。しかもそれはすごく通じている感じで。
こういう事に年齢は関係ないのだろうか。
晴香「なんか、想像しただけで私の方がドキドキしてきました…かなり興奮します」
「冴子「…そうなんだ」
晴香「はい」
まあ、晴香ちゃんにオカズにされる分にはむしろ光栄だけど。
私だって晴香ちゃんのくれる画像や映像でそういう気分にもなったりするし。
晴香「とにかく頑張ってください」
冴子「うん」
…とは言ったけど何を頑張れと言うのだろう。
美咲さんの攻めに頑張って応えろという意味だろうか。
「あ、いけない」
出勤時間が迫り、私は手早く戸締りをして美咲さんの部屋を後にした。
*-*-*-*-*-
その日のうちに美咲さんは宿を決めたらしく、私に「取ったよ」と報告してくれた。
夕食も終えて私は秘書検定のテキストを読みながら無造作に「温泉旅館ですか」と口にしてみたが、美咲さんは驚いて「なんでわかったの?」と不思議そうにしている。
……やっぱり。
二人の、謎の共通認識が発動している。
「いえその、なんとなくです」
「ま、温泉旅館と言っても色々あるからね」
ソファに座ってテキストを読む私の隣に美咲さんが座ってきた。炭酸水のペットボトルを片手にニュースアプリでもチェックするのか、スマホも持ってきている。
今日はとても暖かい一日だったから、お風呂上がりの美咲さんは、それこそ大人なデザインの黒いレーススリップにショーツを履いただけの恰好で、これは非常に目の毒だ。
「秘書課へ異動が決まったのに更に勉強するの?」
「…異動するからこそ、絶対合格しないといけなくなっちゃいました」
「そうかなあ…?」
「そうですよ」
私の認識では、どんなに遅くとも異動後1年以内にはせめて準1級か1級に合格してないとまずいのではないか、と思う。
新入りとして仕事を覚える上でも、その方がいいに決まっているはずだ。
「本当に、冴子が私たち部長の担当に当たってくれたらいいけどなー、そんな都合良くはいかないわよね、きっと」
「…今はどんな方なんですか?」
「あー、ベテランの人」
どんな人なんだろう、ものすごく気になる。
「すっごい優秀よ、あの人一人で四人ぐらい見てるんじゃないのかな?」
「そうなんですか」
「そう、でも年は30歳ぐらいじゃないかな…」
美咲さんは知っていて、私は知らない人。でもこの人が先輩になるんだ、そんな事を考えつつ聞いていた。
「あと、冴子にちょっと似てる」
「へ?…その人がですか?」
「うん、冴子からしたら『全然違う』って思うかもしれないけど、なんとなく雰囲気がね、似てるかもって今急に思ったわ」
「…」
絶対に余計な心配なんだけど、違う意味で気になってしまうではないか。
いつの間にか私の視線は手元のテキストから美咲さんの顔へと移っていた。
「何、その聞き捨てならないみたいな顔は」
「いえ、そういう意味合いはありませんが」
「…妬いたの?」
「妬いてません」
「…顔にはそう書いてあるんだけどなあ」
あまり追求しないで欲しい。
それを察してか、美咲さんはおもむろに炭酸水のペットボトルを開けてそのままあおった。
「…本当は、自信ないんです」
「え?何が?」
「仕事もですけど、お姉さまの仕事上の関係者の方について私はまだ知りませんし、…知っていく中で色々思ってしまわないか、自信ないです」
「うーん、そうだなあ」
美咲さんはすぐに言葉を発さずしばらく考えていた。
「現実的な話しちゃうと、まあ割り切りは必要なんだろうけど」
「はい」
「ただ、秘書業務って、ある程度ボスのプライベートにも関わる仕事が入ってきちゃうしね、そこは微妙なんだと思うけど」
「はい」
「だからこそ、冴子には私の担当になってもらいたいんだけどなあ…まあ部長レベルはさすがにプライベートを秘書に晒すほどの事はしてないんだけど」
「…はい」
「さっきはあんな事言っちゃったけど、冴子がもしセクハラおっさん役員の担当なんかになったら、それこそ私の方が我慢できるか自信ないわ」
「……」
そういう可能性もあるのか。
時代が時代だから、露骨に誘うボスは今時いないだろうけど、それでもそれとなくギリギリのセクハラ攻撃を繰り出す男性は多い。禁止事項になった文、セクハラは巧妙化しているのだ。
「私はそういうの、断り慣れてますから大丈夫ですよ」
「まあ、疑ってはいないけどね…冴子が嫌な思いするのは耐えられない」
そういう美咲さんの表情も正に「耐えられない」という様子があからさまで、私はどうしていいのかわからなくなった。
「まあ考えても仕方ない事よね」
美咲さんは無理に空気を切り替えようとして声を張る。
「そうですよ、それより週末の行き先は教えてもらえないんですか?」
「あー、そうだった」
美咲さんがスマホの画面を見せてくれる。
「ここは見ないで」と金額の所を指で隠そうとしてるけど、ちらりと見えてしまった。一万の位に5とあったように見えた。
…部屋あたり?一人あたり?どちらにしても私からしたら高級すぎる。
「…修善寺ですか」
「うん、ここなら車でも行けるしね」
各部屋に、露天風呂だけでなく内風呂まで温泉が完備された部屋だ。しかもかなり広いような気がする。
露天風呂は広い庭園と続いていて、まるでプライベート空間のように見えるけど、それも広々としていて、どこまでが庭なのかわからないぐらいだ。
「こんな凄い部屋に泊まれるんですか」
「まあ、お祝いだしね」
美咲さんは笑ってそう言った。
「…と言いつつ私もこんな部屋、泊まった事ないけど」
「ないんですか」
「うん、ない」
意外だ。美咲さんぐらいの人なら、例えば恋人とこういう所に泊まるなんて事、あったろうにと思っていた。
そういう私の疑問を察してか、美咲さんが付け加える。
「…若い頃からハイスペック男に縁がなかったし、今は自分がハイスペックになっちゃったからね」
「はぁ…」
「古いって言われるかもしれないけど、少なくとも男と付き合うなら、自分よりステータスの低い奴に興味ないし」
「……」
その気持ちはわからないでもない。そして私はある考えに思い至った。
「それ、袴田さんにも言ったんですか」
「言った」
聞いておいて私が固まってしまう。
袴田氏、けちょんけちょんに打ち捨てられているではないか。
私も相当敵視しておいて何だが、こうなるとなんだか誰か慰めてやってくれという情けすらかけたくなる。
「…だけどあいつめんどくさいから、今度はどうにかして私を追い出す事なく自分が部長になれる道を模索してるくさいんだよね」
「…他部署で出世するって事ですか」
「多分」
美咲さんは「そういう事じゃないんだけど、どうもわかってないみたいなんだよね」と呟いた。
まあ、袴田氏が美咲さんの部下でなくなるのは歓迎すべき事だ。私にとってはそれで十分だと思う。
「ごめんね、余計な話しちゃった」
「私が聞いたから、いいんです…」
「じゃ、勉強はその辺にして…ね」
吸い寄せられるように、私は美咲さんに近づいてそのままくっついた。
「旅行の事、本当に嬉しいです」
「うん、…生理に当たらないわよね?」
「た、多分大丈夫です」
「まあ、当たっても行くんだけど、楽しみがね」
「はい」
私はどうしても、美咲さんにたくさん触りたくなって、美咲さんの身体をあちこち撫でまわしたりキスしたりした。
「くすぐったいよ」と笑われたりもしたけど、その反応さえ見ていて嬉しい。
指先で、ゆっくり美咲さんの身体に触れていくと、特に膝から下とか、肘から先とか、背中とかお尻辺りの反応が良い。
ちょっと好奇心がわいて美咲さんの膝裏を舐めたら、美咲さんがぴくりと反応した。
「ここ、感じますか…?」
「うーん…」
自分でもよくわからないようで、はっきりした言葉はない。だからもう一度膝裏をぺろぺろ舐めてみると、美咲さんの息が詰まった。
「やっぱり、ちょっと気持ち良かったりしますか」
「…そうかも」
舌だけでなく、手で優しくふくらはぎや足の甲を撫でるのも、良いようだ。
「あぁ…気持ちいい」
薄着で肌の温度が下がっていたはずだが、触る事で血色が良くなっていくのがわかる。
「ずっとされたくなっちゃう」
「やりますよ」
さっきの美咲さんの「気持ちいい」は性的な意味をあまり含んでいないのだろう。だからちょっと遠慮している感も入っていた。
「…やっぱり、ちょっとくすぐったいかな」
「…そうですか」
それを区切りに私たちはどちらからともなくベッドへと向かう。
私は布団を背中に背負い、横たわる美咲さんの足元辺りに陣取った。美咲さんの身体が冷えないように、私は布団の中に隠れて美咲さんの膝下に再び触れていく。
「……」
美咲さんは思考を止めて身を任せてくれている。私のしようとしている事を察して早々に眼鏡を外してサイドテーブルに置いていた。
私は、美咲さんのふくらはぎを優しく愛撫しつつ、美咲さんの内腿に舌を這わせていく。
「…はぁ」
美咲さんのか細い吐息が漏れた。それでも私は欲望をどうにか抑えてじっくりと舌で内腿をたどっていく。
焦れたように美咲さんが脚をもじもじさせるので、私は膝の下に手を入れて折り曲げさせ、そのまま脚を開かせるようにして膝を持ちあげた。これでいつもの開脚姿勢と同じになる。
更にふくらはぎへの愛撫と内腿舐めを継続すると、今度は美咲さんの内腿だけが軽くぴくりと痙攣する。
その挙動が愛らしくもあり、私は内腿の付け根、ぎりぎりショーツの端にあたる部分を嘗め回した。
「…冴子、あ…っ」
美咲さんの吐息に、性的な期待の色が濃く混じっていく。
私は唐突に、美咲さんの着けているショーツの中央のくぼみに舌をあてがった。少し濡れているかな、程度の様子だけど、舌先でそこをこじるとすぐヌルヌルになった。
「冴子、直接舐めて」
「はい」
私は急いで美咲さんのショーツを脱がせて、再度開いた脚の間に陣取り控えめに花弁をすする。
「あ…っあ……ん」
気持ち良さそうな喘ぎ声。これを聞いているだけでも相当満たされる。
さほど、直接的な刺激を加えていないから、秘部も軽く濡れている程度だけど、美咲さんが脱力してリラックスしている状態をできる限りキープしたい。
「ねえ…冴子」
「はい」
その態勢のままなんとなく会話する。
「制服、変わるのね」
「そうですね…」
秘書課には専用の制服があり、受付とは色合いが違う。
他に制服のある部署はないだけに、受付と秘書課は女性社員からの人気が高い。
「あれも似合うんだろうな」
美咲さんは私の秘書課制服姿を想像しているのだろうか。
確か、あの制服は深いワインレッドを基調としたカラーで、ボトムスのデザインだけは選べる仕様のはずだ。
過去に何人か秘書課員を見た事はあるけど、皆それぞれに着こなしていて、案外年齢体形問わず似合うものなんだなと感心したものだ。
「あれを着られるというだけでも、なかなか羨ましがられましたよ」
「そうでしょうね……早く見たいなあ」
「じきに毎日見られますから」
「うん」
そこまで話して私は今度は本気の口淫を始める。
「ちょ、あ…急に何してるのよ」
「…っん…ふ」
美咲さんの花弁を思い切り舐めしゃぶっていくと、こらえきれないといった風情で秘部から蜜が溢れてきた。
やっぱり溜まってるじゃないか、と思いそれを盛大にすする。
「あっ…あん…」
美咲さんが少女のように甲高い声で鳴く。
それをもっと聞きたくて、私は舌先を会陰の辺りまで伸ばしそこをチロチロと舐めた。
「やっ…だ…ぁ……」
「…ここに、流れてきてますよ」
蜜をジュッと吸って、会陰にこぼれない間合いを見計らって短く告げた。
「冴子、もっとして」
「はい」
言われるまま、美咲さんが欲しがるままに私は花弁をしゃぶり萌芽を嘗め回した。
その日は夜更けまでそうして美咲さんの秘部を舐め続けていたと思う。
きっと、週末の温泉旅行ではこれの逆で今している事以上に攻め立てられるんだろうけど。
それも少し想像して期待しながら、私はひたすら美咲さんの大切な場所を愛で続けた。
美咲さんの暮らす恵比寿のマンション、そこで暮らすようになってからもう3ヶ月近くが経つ。
いつものように二人で朝食を摂りながら、あまりに何でもない事のように美咲さんに切り出された。
夢みたいに嬉しい提案だけど、もう3月も後半に入っている。
「え、でも…こんな間際になって泊まれる所なんてあるんですか」
「大丈夫」
理由はよくわからないが、まあ美咲さんの事だから私よりもはるかに宿の手配などは手馴れているのだろう。
「あ、あの…」
そうなると、にわかに気になってくるのは宿代だ。
収入に大幅な格差があるとは言え、何から何まで出してもらう事を当たり前のように考えるわけにはいかない。
今日の朝食は、美咲さんがプロテインバーにコーヒー、私は具だくさんスープにクロワッサンという内容だ。
多分、美咲さんは今日は早く出るつもりなのだろう。
「私が勝手に行き先決めるけど、その代わり冴子は主賓なんだから、お金の事は気にしなくていいわよ」
「…はい」
素直に喜びを表現しないといけないのに、手放しで喜べない。
かと言ってめちゃくちゃに高い宿を取られても、私の給料ではあまり多くを払えないし、結局表面的に恐縮するしかなかった。
「冴子、心配するポイントが間違ってるわよ」
「どういう、事ですか…?」
「つまり私が全額払って好きに選ぶという事は、宿については冴子の意向を忖度しないって事なんだから」
「はい…」
それを聞いてもやっぱり意味はわからず、私は少し考え込んだ。
美咲さんが私に気を使わずに選ぶ宿って何だろう。
素敵な所を選ぶに決まっている…と思ったが、直後にその意図に気付き私は慌てた。
…多分、とんでもないハイクラスのホテルとか、高級温泉旅館とか、やばいスペックの所を押さえるに違いないと思ったからだ。
「あの、止めてください」
「ダメよ」
言うだけ言って美咲さんは自分の食器を下げにキッチンへと向かってしまう。私は慌てて後ろを追いかけた。
「だって、何か凄い所予約しようとしてますよね」
「うん」
私とは視線を合わせる事なく、美咲さんはさっさとコーヒーカップやお皿を洗ってラックに立てかけた。
「…嫌なの?」
「そういう、訳ではないんですが…」
美咲さんの腕が伸びてきて、起き抜けの部屋着ワンピース一枚姿の私の身体を引き寄せた。そのまま私の長い黒髪を撫でられる。
そうする美咲さんは既に身支度を整え追えていて、仕事モードのスイッチが入りつつある感じだから、いきなりそうされて私はびっくりした。
「こういう時は、素直に甘えておくものよ」
「はい…嬉しいです」
ちょっと泣きそうになったけど、私は一生懸命喜びを表現しよう、とだけ意識して美咲さんに笑顔を向けた。
そんな私の唇に、美咲さんのキスが降ってくる。
朝の忙しい時間なのだから、軽く済むかと思ったのに、思いのほかそれは深いものとなっていった。なんとなく舌先を絡めているうちにちょっと勢いがついてしまったのか、美咲さんは私の頭を抱えるようにしながら私の口の中まで舌を差し入れてきて、私のそれと触れ合わせる。
「ん…っく…ふ…」
心の準備ができておらず私だけがやたらと吐息を漏らしてしまう。
唇がほんの少し離れた瞬間、つい「お姉さま」と呼んだ声が妙に艶っぽくなってしまい、美咲さんが少し困ったような怒ったような顔になる。
「ちょっと、冴子誘わないでよ」
「さ、誘ってません」
「嘘、いやらしい声出しちゃって」
「だって、それは…」
「いいから、早く着替えなさい、これ以上そこにいられたら脱がして襲うわよ」
最後の言葉は冗談だろう。
美咲さんは決して、人とのいちゃつきで仕事に遅刻したり、ギリギリに出勤するような事はしない。そこは大人だなと思う。
私は美咲さんの叱責に、それでも条件反射で身体を動かしていた。即座にキッチンから下がり残りの食事を片付けて身支度をする。そうしている間に、美咲さんは部屋を出てしまった。
朝の通勤は、一緒に出る事もあるけれど、こうして美咲さんが先に行ってしまう事もある。
一緒に出られない時には、必ずいってらっしゃいのキスを交わすけど、今日はさっきのがそれに当たるのか、と私は納得した。
まだ私の出勤時間までには余裕がある。
自分の食器を片付けて、洗濯物を干しにかかった。
この部屋には洗濯乾燥機があるけれど、普段は乾燥機能は使わない。大体は部屋干しか外干しをする。
ちょっと変態っぽい趣味かもしれないけど、美咲さんの着ている服や下着を洗濯して干したり、アイロンをかけたりするのが私は好きだった。
美咲さんは、いやらしい行為の後汚した下着をそのままにせず、簡単に手洗いしてから洗濯機に入れるようにしているようだけど、私からすればそんな事する必要ないのにと思う。できれば私が預かり丁寧に手洗いしたいぐらいなのだ。
でもあまりそれについて言及するのははばかられる気がして、言っていない。それに、実のところ美咲さんと自分の年齢差を強く感じるのが、着ける下着の違いに現れていると私は思っている。
美咲さんは年相応に大人なデザインの下着を、何気なく着こなしているが、私にはそれが本当に刺激的で興奮してしまうのだ。
シックな色合いの、面積の狭いサイド紐ショーツとか、総レースのスリップとか、そういうものを割と普段から着ているので、「見えないお洒落」にもこだわっているのだろうと思うし、それがはまっている。
私とこんな関係になるまではどうだったかわからないけど、最近は特にそれを意識しているようでもあり、私としては嬉しい限りだ。
勿論服装により補正下着も使ってはいるけれど、特にスカートスーツスタイルであればそれは気にしなくて良い訳で、そういう時にはデザイン重視で下着を選んでいるらしいのも知っているだけに、それをじっくり見たくて、帰宅後の美咲さんの服をすぐ脱がせたくなる衝動にかられるのも事実だ。
一方の私は、そもそも胸が大きすぎて合う下着の選択肢が少ない。
『WS』アプリで最近はGカップ対応品のコラボランジェリーも購入できるようになり、私は専らそこから買う頻度が高くなっていた。
ほぼ毎回のようにイメージモデルを務める晴香ちゃんの写真を見るけれど、最近はますます色気がアップして大変な感じがする。
下着のモデル写真で「これはイカン」と思えるぐらいの妖艶さを表現しており、好評なのも頷ける。
…私、こんな人にばんばんキスマーク付けてしまったんだ、なんて事も思ったりするから、余分な感慨がプラスされているにしても、晴香ちゃんの細身の身体に色白の肌、そしてサラサラの銀髪と青みがかった瞳のビジュアルに加えて、冷たくも挑発的な表情に、撃ち抜かれる人は多い事だろう。
洗濯ものも干して一息つきながら、ふとスマホの通知を確認すると、図ったように晴香ちゃんからのメッセージが届いていた。
あれ以来、やっぱり晴香ちゃんは小悪魔どS街道まっしぐらと言うか、ある意味大人の階段を上ってしまったと言うか、私からしたら嬉しいような困ってしまうような状況に驀進中という感じで。
自分がどう見えるかという事への意識が高い事もあるし、クリエイター気質でこだわりまくる性格も相まって、晴香ちゃんがよこしてくる画像や映像はクオリティが高すぎて大変な破壊力を持つ。
それを知ってか知らずか、晴香ちゃんは私にはなんのためらいもなく「オナニーしちゃいました」とかいうコメントを添えて動画を送ってくるので、ありがたい反面色々心配になってしまうのだ。
先日などは全裸で電動マッサージャーを自分の股間に当てて喘ぐ映像をよこしてきたりして、実家なのに大丈夫なのだろうかと心配になったりもした。
今朝の通知はそういう類のものではなく、ちょうど新作のコラボランジェリーが発売されるので、良かったらチェックして欲しいという内容でほっとする。
「ありがとう、見てみるね」と返信を送り、ついでに「今度泊まり旅行する事になったよ、あの人と」という報告をした。
晴香ちゃんは「それは素敵ですね!」と私以上に喜んでいるようなメッセージをくれた。
晴香「どちらに行かれるんですか?」
冴子「それはまだ、場所は任せてしまったからわからなくて」
晴香「絶対温泉旅館ですよ」
冴子「なんで?」
晴香「そんなの、そうに決まってるじゃないですか、わからないなんて冴子さん相変わらず鈍いですねー」
なんで晴香ちゃんはそんな事を断言できるんだろう。
美咲さんは高級ホテルを選ぶかもしれないのに。
晴香「個人的にはビーチリゾートもお勧めですけど、やっぱり初めてとなればそれより旅館ですね、間違いなく」
冴子「だから、何でそれがわかるの?」
晴香「冴子さんが映えるシチュエーションっていうのがあるんですよ、多分あの方はそれを熟知しているはずです」
時々思うけど、なぜか私にわからない事柄で晴香ちゃんと美咲さんが持つ共通認識みたいなものがあるらしい。しかもそれはすごく通じている感じで。
こういう事に年齢は関係ないのだろうか。
晴香「なんか、想像しただけで私の方がドキドキしてきました…かなり興奮します」
「冴子「…そうなんだ」
晴香「はい」
まあ、晴香ちゃんにオカズにされる分にはむしろ光栄だけど。
私だって晴香ちゃんのくれる画像や映像でそういう気分にもなったりするし。
晴香「とにかく頑張ってください」
冴子「うん」
…とは言ったけど何を頑張れと言うのだろう。
美咲さんの攻めに頑張って応えろという意味だろうか。
「あ、いけない」
出勤時間が迫り、私は手早く戸締りをして美咲さんの部屋を後にした。
*-*-*-*-*-
その日のうちに美咲さんは宿を決めたらしく、私に「取ったよ」と報告してくれた。
夕食も終えて私は秘書検定のテキストを読みながら無造作に「温泉旅館ですか」と口にしてみたが、美咲さんは驚いて「なんでわかったの?」と不思議そうにしている。
……やっぱり。
二人の、謎の共通認識が発動している。
「いえその、なんとなくです」
「ま、温泉旅館と言っても色々あるからね」
ソファに座ってテキストを読む私の隣に美咲さんが座ってきた。炭酸水のペットボトルを片手にニュースアプリでもチェックするのか、スマホも持ってきている。
今日はとても暖かい一日だったから、お風呂上がりの美咲さんは、それこそ大人なデザインの黒いレーススリップにショーツを履いただけの恰好で、これは非常に目の毒だ。
「秘書課へ異動が決まったのに更に勉強するの?」
「…異動するからこそ、絶対合格しないといけなくなっちゃいました」
「そうかなあ…?」
「そうですよ」
私の認識では、どんなに遅くとも異動後1年以内にはせめて準1級か1級に合格してないとまずいのではないか、と思う。
新入りとして仕事を覚える上でも、その方がいいに決まっているはずだ。
「本当に、冴子が私たち部長の担当に当たってくれたらいいけどなー、そんな都合良くはいかないわよね、きっと」
「…今はどんな方なんですか?」
「あー、ベテランの人」
どんな人なんだろう、ものすごく気になる。
「すっごい優秀よ、あの人一人で四人ぐらい見てるんじゃないのかな?」
「そうなんですか」
「そう、でも年は30歳ぐらいじゃないかな…」
美咲さんは知っていて、私は知らない人。でもこの人が先輩になるんだ、そんな事を考えつつ聞いていた。
「あと、冴子にちょっと似てる」
「へ?…その人がですか?」
「うん、冴子からしたら『全然違う』って思うかもしれないけど、なんとなく雰囲気がね、似てるかもって今急に思ったわ」
「…」
絶対に余計な心配なんだけど、違う意味で気になってしまうではないか。
いつの間にか私の視線は手元のテキストから美咲さんの顔へと移っていた。
「何、その聞き捨てならないみたいな顔は」
「いえ、そういう意味合いはありませんが」
「…妬いたの?」
「妬いてません」
「…顔にはそう書いてあるんだけどなあ」
あまり追求しないで欲しい。
それを察してか、美咲さんはおもむろに炭酸水のペットボトルを開けてそのままあおった。
「…本当は、自信ないんです」
「え?何が?」
「仕事もですけど、お姉さまの仕事上の関係者の方について私はまだ知りませんし、…知っていく中で色々思ってしまわないか、自信ないです」
「うーん、そうだなあ」
美咲さんはすぐに言葉を発さずしばらく考えていた。
「現実的な話しちゃうと、まあ割り切りは必要なんだろうけど」
「はい」
「ただ、秘書業務って、ある程度ボスのプライベートにも関わる仕事が入ってきちゃうしね、そこは微妙なんだと思うけど」
「はい」
「だからこそ、冴子には私の担当になってもらいたいんだけどなあ…まあ部長レベルはさすがにプライベートを秘書に晒すほどの事はしてないんだけど」
「…はい」
「さっきはあんな事言っちゃったけど、冴子がもしセクハラおっさん役員の担当なんかになったら、それこそ私の方が我慢できるか自信ないわ」
「……」
そういう可能性もあるのか。
時代が時代だから、露骨に誘うボスは今時いないだろうけど、それでもそれとなくギリギリのセクハラ攻撃を繰り出す男性は多い。禁止事項になった文、セクハラは巧妙化しているのだ。
「私はそういうの、断り慣れてますから大丈夫ですよ」
「まあ、疑ってはいないけどね…冴子が嫌な思いするのは耐えられない」
そういう美咲さんの表情も正に「耐えられない」という様子があからさまで、私はどうしていいのかわからなくなった。
「まあ考えても仕方ない事よね」
美咲さんは無理に空気を切り替えようとして声を張る。
「そうですよ、それより週末の行き先は教えてもらえないんですか?」
「あー、そうだった」
美咲さんがスマホの画面を見せてくれる。
「ここは見ないで」と金額の所を指で隠そうとしてるけど、ちらりと見えてしまった。一万の位に5とあったように見えた。
…部屋あたり?一人あたり?どちらにしても私からしたら高級すぎる。
「…修善寺ですか」
「うん、ここなら車でも行けるしね」
各部屋に、露天風呂だけでなく内風呂まで温泉が完備された部屋だ。しかもかなり広いような気がする。
露天風呂は広い庭園と続いていて、まるでプライベート空間のように見えるけど、それも広々としていて、どこまでが庭なのかわからないぐらいだ。
「こんな凄い部屋に泊まれるんですか」
「まあ、お祝いだしね」
美咲さんは笑ってそう言った。
「…と言いつつ私もこんな部屋、泊まった事ないけど」
「ないんですか」
「うん、ない」
意外だ。美咲さんぐらいの人なら、例えば恋人とこういう所に泊まるなんて事、あったろうにと思っていた。
そういう私の疑問を察してか、美咲さんが付け加える。
「…若い頃からハイスペック男に縁がなかったし、今は自分がハイスペックになっちゃったからね」
「はぁ…」
「古いって言われるかもしれないけど、少なくとも男と付き合うなら、自分よりステータスの低い奴に興味ないし」
「……」
その気持ちはわからないでもない。そして私はある考えに思い至った。
「それ、袴田さんにも言ったんですか」
「言った」
聞いておいて私が固まってしまう。
袴田氏、けちょんけちょんに打ち捨てられているではないか。
私も相当敵視しておいて何だが、こうなるとなんだか誰か慰めてやってくれという情けすらかけたくなる。
「…だけどあいつめんどくさいから、今度はどうにかして私を追い出す事なく自分が部長になれる道を模索してるくさいんだよね」
「…他部署で出世するって事ですか」
「多分」
美咲さんは「そういう事じゃないんだけど、どうもわかってないみたいなんだよね」と呟いた。
まあ、袴田氏が美咲さんの部下でなくなるのは歓迎すべき事だ。私にとってはそれで十分だと思う。
「ごめんね、余計な話しちゃった」
「私が聞いたから、いいんです…」
「じゃ、勉強はその辺にして…ね」
吸い寄せられるように、私は美咲さんに近づいてそのままくっついた。
「旅行の事、本当に嬉しいです」
「うん、…生理に当たらないわよね?」
「た、多分大丈夫です」
「まあ、当たっても行くんだけど、楽しみがね」
「はい」
私はどうしても、美咲さんにたくさん触りたくなって、美咲さんの身体をあちこち撫でまわしたりキスしたりした。
「くすぐったいよ」と笑われたりもしたけど、その反応さえ見ていて嬉しい。
指先で、ゆっくり美咲さんの身体に触れていくと、特に膝から下とか、肘から先とか、背中とかお尻辺りの反応が良い。
ちょっと好奇心がわいて美咲さんの膝裏を舐めたら、美咲さんがぴくりと反応した。
「ここ、感じますか…?」
「うーん…」
自分でもよくわからないようで、はっきりした言葉はない。だからもう一度膝裏をぺろぺろ舐めてみると、美咲さんの息が詰まった。
「やっぱり、ちょっと気持ち良かったりしますか」
「…そうかも」
舌だけでなく、手で優しくふくらはぎや足の甲を撫でるのも、良いようだ。
「あぁ…気持ちいい」
薄着で肌の温度が下がっていたはずだが、触る事で血色が良くなっていくのがわかる。
「ずっとされたくなっちゃう」
「やりますよ」
さっきの美咲さんの「気持ちいい」は性的な意味をあまり含んでいないのだろう。だからちょっと遠慮している感も入っていた。
「…やっぱり、ちょっとくすぐったいかな」
「…そうですか」
それを区切りに私たちはどちらからともなくベッドへと向かう。
私は布団を背中に背負い、横たわる美咲さんの足元辺りに陣取った。美咲さんの身体が冷えないように、私は布団の中に隠れて美咲さんの膝下に再び触れていく。
「……」
美咲さんは思考を止めて身を任せてくれている。私のしようとしている事を察して早々に眼鏡を外してサイドテーブルに置いていた。
私は、美咲さんのふくらはぎを優しく愛撫しつつ、美咲さんの内腿に舌を這わせていく。
「…はぁ」
美咲さんのか細い吐息が漏れた。それでも私は欲望をどうにか抑えてじっくりと舌で内腿をたどっていく。
焦れたように美咲さんが脚をもじもじさせるので、私は膝の下に手を入れて折り曲げさせ、そのまま脚を開かせるようにして膝を持ちあげた。これでいつもの開脚姿勢と同じになる。
更にふくらはぎへの愛撫と内腿舐めを継続すると、今度は美咲さんの内腿だけが軽くぴくりと痙攣する。
その挙動が愛らしくもあり、私は内腿の付け根、ぎりぎりショーツの端にあたる部分を嘗め回した。
「…冴子、あ…っ」
美咲さんの吐息に、性的な期待の色が濃く混じっていく。
私は唐突に、美咲さんの着けているショーツの中央のくぼみに舌をあてがった。少し濡れているかな、程度の様子だけど、舌先でそこをこじるとすぐヌルヌルになった。
「冴子、直接舐めて」
「はい」
私は急いで美咲さんのショーツを脱がせて、再度開いた脚の間に陣取り控えめに花弁をすする。
「あ…っあ……ん」
気持ち良さそうな喘ぎ声。これを聞いているだけでも相当満たされる。
さほど、直接的な刺激を加えていないから、秘部も軽く濡れている程度だけど、美咲さんが脱力してリラックスしている状態をできる限りキープしたい。
「ねえ…冴子」
「はい」
その態勢のままなんとなく会話する。
「制服、変わるのね」
「そうですね…」
秘書課には専用の制服があり、受付とは色合いが違う。
他に制服のある部署はないだけに、受付と秘書課は女性社員からの人気が高い。
「あれも似合うんだろうな」
美咲さんは私の秘書課制服姿を想像しているのだろうか。
確か、あの制服は深いワインレッドを基調としたカラーで、ボトムスのデザインだけは選べる仕様のはずだ。
過去に何人か秘書課員を見た事はあるけど、皆それぞれに着こなしていて、案外年齢体形問わず似合うものなんだなと感心したものだ。
「あれを着られるというだけでも、なかなか羨ましがられましたよ」
「そうでしょうね……早く見たいなあ」
「じきに毎日見られますから」
「うん」
そこまで話して私は今度は本気の口淫を始める。
「ちょ、あ…急に何してるのよ」
「…っん…ふ」
美咲さんの花弁を思い切り舐めしゃぶっていくと、こらえきれないといった風情で秘部から蜜が溢れてきた。
やっぱり溜まってるじゃないか、と思いそれを盛大にすする。
「あっ…あん…」
美咲さんが少女のように甲高い声で鳴く。
それをもっと聞きたくて、私は舌先を会陰の辺りまで伸ばしそこをチロチロと舐めた。
「やっ…だ…ぁ……」
「…ここに、流れてきてますよ」
蜜をジュッと吸って、会陰にこぼれない間合いを見計らって短く告げた。
「冴子、もっとして」
「はい」
言われるまま、美咲さんが欲しがるままに私は花弁をしゃぶり萌芽を嘗め回した。
その日は夜更けまでそうして美咲さんの秘部を舐め続けていたと思う。
きっと、週末の温泉旅行ではこれの逆で今している事以上に攻め立てられるんだろうけど。
それも少し想像して期待しながら、私はひたすら美咲さんの大切な場所を愛で続けた。
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