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オフィスでの秘め事

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「お、姉さま…」

頭の中では、一体どうやってそういう声を出せるのか、と混乱しながら、身体はただ硬直するばかりだった。
いや、身体の内側はもうどろどろに溶けてしまいそうなくらい熱くなっている。

美咲さんは私のそんな反応さえも楽しんでいるようだった。
そして再び私の名前を呼ぶ。私の驚きや混乱や疑念は、それで確信へと変わっていく。

『冴子』

別人ではない。ないのだが、同じ人物とも思えない。

普段の美咲さんの、からりと明るい感じの声では勿論ない。二人きりの時に聞かせてくれる、人を安心させるような優しい声音でもない。
強いて言うならそういう時よりも高く、ゆっくりとしていて、声自体に濡れたような艶があって、本当に私の耳にしか届かないような小さな声なのに、とても濃密で妖艶で、全身が溶けてしまいそうな艶めかしさしか含んでいない。

いやらしいという事以外の要素は一切なく、聞いた人間の欲情のスイッチを強制的にオンにしてしまう力があると思った。

私は自分の内側から身体が崩れていきそうな感覚に耐えるしかない。

「あの…」
「……どうしたの…?」

どんな言葉をかけられても、誘惑されているようにしか聞こえない。

「冴子ったら……声だけで感じちゃうの…?」

こんな調子で言われればそうなるに決まっているではないか。なぜいちいち聞いてくるのか、ともどかしくなる。

目を閉じてしまうと耳に意識が集中してますます興奮してしまいそうなので、私はぐっと目を開いてデスクの並ぶその部屋を見つめた。それ以外は、もはや顔を動かす事も手を動かす事もできなかった。
金縛りにでもあっているようだ。

「冴子……、顔が赤くなってるよ」

可愛くそんな風に言われても。それで冷静になれる訳でもない。

「…」

「この制服…」

言いながら美咲さんが私の胸元に触れた。
指先で私の鎖骨や脇、みぞおちの辺りをなぞり、軽く鼠蹊部や太腿にも触れてくる。

「……冴子によく似あってる、可愛い」

美咲さんの手が触れて立つ衣擦れの音に混じって、耳には相変わらず甘く温かい囁きが流し込まれて、一気に私の体温は上昇した。
美咲さんにはこれまでに何度も「可愛い」という言葉をかけられたけれど、今日聞いているのはそれらと全く違う響きを含んでいる。

「…もう、我慢できない?」
「…はい」

私はどうにか、ものすごく小さな声で返事だけするのだが、美咲さんはまだ焦らす気のようだ。「ふふ」というかすかな笑い声さえも、私の期待と興奮を強烈に高める材料にしかならないから、このまま美咲さんの言葉によって自分が壊れてしまうかもしれないと考えると、不安だった。

「…触って欲しいんだ?」

私は黙って頷く。

「じゃあ、どこにしようかな……」

言いながら美咲さんは私の身体の上を指先でなぞっていった。服ごしに触られるのがもどかしい。
思わず、私の身体の上をさまよう美咲さんの手に、自分の手を重ねてしまった。

「冴子ったら」
「…だって」
「わかった…じゃあ触ろうね」

美咲さんは最小限の動作でブラウスのボタンを一つだけ外して、そこから指を潜り込ませてくる。
器用にブラジャーの隙間も縫って指先が乳首に到達した。

「あんっ…」

小さく声が漏れてしまう。
美咲さんは相変わらず艶めかしい声色で「フフ」と笑って優しく乳首を愛撫した。

「…これ?して欲しかったの?」

美咲さんの指は少し冷たく感じられた。気持ちよさに身体をのけぞらせると、意図せず美咲さんの指に胸を押し付けているような状態になる。

「…いやらしい子ね」

そういう言葉をもっと聞きたい。

「…は…っ」

美咲さんが少し強引に、掌で私の胸を掴んだ。指が食い込むぐらいに揉まれて、軽い痛みが走る。
更に美咲さんはもう片方の手を私の背中に回して、ブラジャーのホックを外してくれた。ブラウスごしにでもそれができるのは女性だからだと思う。

ぐっと胸を揉まれた時に、その先端が硬くなっていくのを感じた。

「おっきくて柔らかくて、ずーっとこうしていたくなっちゃう…」

美咲さんはそんな事を、私の耳のすぐ近く、もう唇が触れてしまうほどの位置で囁くのだ。

「あ…んっ…」
「いいの?会社でそんな声出しちゃって」

そんな事を言われるとますます声が抑えられなくなる。

「まだ胸しか触ってないのよ」
「……」

胸を揉む力を強くしたり弱めたりしながら、美咲さんは言葉を続けた。

「ちっちゃいローターを、仕事中の冴子に付けさせて、それからここに呼び出すの」
「や…ぁん…」

そんな事をされたら仕事ができなくなってしまう。だが想像するとものすごく興奮するシチュエーションだった。

「それで私が冴子にいやらしいメッセージを送るの」

今度は硬く尖った乳首をしごきながら言う。

「メッセージが届くのに合わせて、おまんこにくっつけたローターが止まったり、強く震えたりして」

まだ、秘部には何もされていない。スカートだって履いたままだ。
それなのに、そこにどんどん蜜が溜まっていく感覚があった。

「冴子…濡れてるの?」

いつもとは全然違う美咲さんの声色にすっかりなじんで、心地よささえ覚えてきている。

「はい、でも…」
「…でも?」

美咲さんは胸への愛撫を続けながら尋ねてくる。

「お姉さまのその声、聴いているだけで…いっちゃいそうです」
「…ほんと?」
「…はい」

美咲さんが「うふふ」とまた小さく笑う。それが私の体内を通って私の想像上のリモコンローターを動かすように、確実に股間への刺激となっていく。

「じゃあ、あとでじっくり見てあげる。冴子のびちょびちょのおまんこも、冴子がイく所も」
「……ぁ…」

後で、なんて我慢できない。
私は足を振ってパンプスを床に落とし、両脚を椅子の座面に乗せて開いた。

「…早く見て欲しいの?」
「はい、…お姉さま」

また美咲さんが笑う。その声と、胸への愛撫との刺激に反応して、腰がわずかに前に出た。自然に脚が大きく開く。

「そんなに開いちゃって…いいの?」

私は震えながら頷いた。今、美咲さんのその声で「もっと開きなさい」と言われればすぐに従う。というよりもそう命じられる事を期待して脚を開いたり少し閉じたりした。
私の期待に応えるように美咲さんが言う。

「そうよ、私に言われてからしたかったんでしょ?」
「…はい」
「冴子、もっと脚を開いて」
「はい…」

私は座面ギリギリまで腰を前に出した。少しバランスをとりにくくなり、M字に開いた脚が小刻みに震える。
美咲さんはすかさず私の膝に片手を添えて、支えながら開くのを手伝ってくれた。

「そう、こうよ」
「はい…」
「冴子のおまんこがどうなってるか、説明して聞かせて?」

膝を押さえていない方の手では相変わらず私の胸を愛撫している。そちらは時折指先で乳首を弾いたり、軽く引っかいたりするようなものに変わっていた。

「お、おまんこは」
「うん」
「……多分、下着にしみができて、横から漏れてるぐらい、濡れてます」
「そうなんだ…」
「もう、熱くて、溶けちゃいそうです」
「どれ?…じゃおまんこ触ってあげる」
「はい」

美咲さんの手が膝から太腿へ、そして内腿から股間へと移動していく。
そのまま軽くスカートをたくし上げられ、まずはショーツの股の部分を横から触られた。

「…っ…」
「…ほんと、はみ出してるよ…?」
「やぁ…ん…恥ずかしいです」
「それにここもしみてる」

その部分に指を突き立てられる。鈍くぐしゅっという音がした。

「びしょびしょ…ねえ今の聞こえたでしょ?」
「はいっ…」
「スカートまでたれちゃうんじゃないの?こんなに濡らしちゃったら」

美咲さんの指が離れていき、今度はおなか側からショーツの中に手を突っ込まれた。

「あっ」
「…直接、触って欲しいんでしょ?」
「はい、お姉さま」

言葉を発する美咲さんの唇は、私の耳元から少しも離れない。耳で犯す、それ以外はおまけと言わんばかりだ。それでも休む事なく愛撫は続いているのだが。

「スカート汚さないようにしなくちゃね」
「いいんです、もう…」
「ダメよ」
「…んっ…あ!」

花弁をほんの数回指先でいじった後、すぐに指が挿入された。またくちゅりという音がしたような気がする。

「お姉さま、お姉さまぁ…」

知らないうちに自分の声が、美咲さんの声をかき消すほど大きくなっていた。
こんな静かな、明るいオフィスでとんでもない声をあげてしまっている。でももう押さえる事はできなかった。

私の声が途切れる所で美咲さんは絶え間なく、いやらしい囁きをくれた。名前を呼ばれ、身体について実況され、可愛いと何度も言ってくれた。
美咲さんの愛撫と、特別な艶めかしい囁きを身体中に浴びながら、私は絶頂を迎えそうになる。

「お姉さまっ、いっちゃいます…」
「いいのよ、イきなさい」
「はい………っああっ…!」

美咲さんの指が一際激しく中を掻き回す。同時に中指の根本で萌芽を擦り上げられ私は果ててしまった。

「……」

私は美咲さんの唇を求めて、顔を動かす。首を伸ばして美咲さんの唇に吸い付くと、美咲さんは優しく受け止めてくれた。

「…っ…ふぅ…ん」

流し込まれる美咲さんの唾液を半分は飲み込んで、半分は口に残して自分の口内に広げ更にぬるつかせる。そうしながら美咲さんの舌を誘った。
差し出される舌をわざと音を立てて吸う。その様子に興奮したのか、美咲さんが「んっ」という声を漏らすけれど、それもやっぱりいつもと違う、特別な艶を含んだものだった。

私は思う。
もしかしたら美咲さんはこれまでは男の代わりを演じていたのかもしれない、と。
でも今日はそうじゃない。美咲さんのメスの一面が露わになっている、そう強く感じた。

もっと、壊れるぐらいに快楽を交換したい。それが我慢できなくなってきたその瞬間、物音がした。
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