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プールサイド(晴香SIDE)

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「……」

部屋が広過ぎる。入り口からだいぶ歩いても全貌がわからない。
冴子さん達が泊まっているそのスイートルームは値段を聞くまでもなく、こちらが萎縮するような部屋だった。

かつて自分がプロデュースしたブティックホテルの部屋、あれがもうおもちゃみたいにしか思えないほどの、本当の豪華さをびんびんに感じさせて憚らない、そういう空間が広がっていた。

…冴子さんってばこういう部屋を当たり前みたいに利用できる感じになっちゃってるのか、遠くへ行ってしまったな…などと事実とは何の関係もない勝手な思い込みと勝手ながっかりを繰り返す。

「あれ?ここって」
「そうそう、2ベッドルームなんだって」
「……」

「なんで二人で利用するのにこんなにベッドばっかり必要なんだろ」と梢さんは文句を言っているが、別にこの部屋は二名専用でもあるまい。

「ここのスイートはみんなこういう作りなんだって」

冴子さんはずっと苦笑いだ。

「あ!こっちこっち」

先に部屋をうろちょろしていた梢さんが窓の方へと進み私を呼ぶ。
近付いてみると、そこは一面に広がる海、海以外何もないようにさえ見える。

三面が壁いっぱいの窓、そのうち一面にやたらと広いバルコニーが付いていて、そこに姿の見えなかった美咲さんが椅子に座ってスマホをチェックしていた。
…仕事に関する何かであるなら無粋だ、と思うけれど実際はそうでもないらしく、観光情報なんかをチェックしているようだった。

「あ、どうも」
「どうぞご遠慮なく、出て来てみてよ」
「はい」

梢さんと二人でバルコニーに出てみて、そりゃわかっていたけどやっぱり海しか見えなくて、あー自分が志しているデザインなんて自然の前にはものすごく無力だったりして、なんて少し落ち込むような気さえした。
家族旅行ではそこそこあちこちに行ったつもりでいたし、家庭の経済状況も比較的裕福だとは思っていたけれど、さすがにホテルの部屋一つでここまで豪勢な所に泊まった事はないし、見せてもらうのだって滅多にない事だと思う。

「……」

言葉もなく突っ立っていると、冴子さんが声をかけてくれた。
「すっごく広いソファもあるんだよ」と。
それについては既に目視で一瞥した時目に入っていた。
…ただ、何だかわからないけど、ファブリックを見ているといちいちそこで絡み合う冴子さん達の姿が連想されてきつい感じがした。

この旅行において二人は別に何か生々しい感じを見せて来た事はないけれど、やっぱりあの時の三人での交わりの記憶がこびりついてしまっているのかもしれない。
まったくとんでもない罰を与えられたものだと頭が痛くなる思いがする。

…しかし梢さんはそういう未来を予期できているのだろうか、謎だ。
この頭痛に耐えながら梢さんを攻めるなど、できる気が全くしないんだけど。

「あ」

ヴィラと違って白色で統一されたモダンな室内には、花が活けられておりそれがすごく綺麗でいい匂いがした。
ヴィラにも花は活けられていたんだけど、テラスから続く広い庭の所為なのか、花の存在はそこまで目立っていなかったように思う。

モダンな部屋に綺麗に行けられた花、それこそ冴子さんのようだと思う。人に見られる場所にあって、こうして傍で香りを確認する事もできるし、それでも損なわれる物は何もない。

そして梢さんは野生の中にある、一見目立たない花なのだろう。鳥や動物に触れられむしり取られるかもしれない環境にあるのに、なぜか存在が保たれ守られているかのようだ。
だからこそ、人が近づき踏み荒らされれば儚く散ってしまいそうで、踏み荒らしている所の私としては、この上ない背徳感やら支配欲やらにどっぷり浸かってしまうのだろう。

かくれんぼができるくらい広い部屋だったけど、私は長居すべきでないような気がして、一通り部屋を見せてもらった所でスイートルームを後にした。

「あれ?イマイチだったの?」

ヴィラに戻る道すがら梢さんに聞かれたけれど、「そういう訳じゃない」とだけ答えておく。
…私は多分、「四人で交わる」件を四人の中で一番恐ろしいと思っているのだ。

「部屋に戻ったらすぐしよう、梢ちゃん」
「ちょ…廊下でそんな事言わないでよ」
「いいじゃん…誰も居ないんだし」
「そうかもしれないけど」

私は彼女の手を引いてすたすたとヴィラに向かって歩く。
梢さんは淫乱のくせになんで恥ずかしがっているんだか、わからない。

「ほら、もう一度全部脱いで」

扉には鍵をかけ、それなのに窓は全開にして彼女に命じる。
彼女は黙って服を脱いではベッドの上に並べるように置き、脱ぐ物がなくなると私に近づいて来た。

「あそこに寝て」

さきほど彼女がうとうとしていたビーチチェアを指差し、先にそこへ歩を進める。陽射しを避けるためのパラソルはあえてたたんだ。
ない方が開放的だと思ったのと、先ほどよりは少し陽射しが和らいでいる気がしたからだ。

さっきまで普通に裸でうろうろしていたくせに、急に梢さんはおろおろしながら私の後をついて来た。

「ほら」
「うん」

身体を引いて梢さんをそこに寝かせる。
自分だけ裸にされて心もとないはずなのに、彼女は私にも服を脱げとは言ってこない。
私は目だけで「脚を開いて」と促すと、心得たように彼女は寝そべったビーチチェアの上で両脚を開いて見せた。

自身の膝下に手を差し込んで開かれた脚の先は、チェアからはみ出して宙に浮いたようになっている。
目線を下げれば自分の恥ずかしい恰好を目の当りにしてしまうし、かと言って空や私の顔を堂々と見上げる事もできないようで、梢さんの視線は定まらず彷徨っていた。

「……」

真昼の太陽光とは違う、少し夕暮れに近づき黄色みがかる光を浴びながら裸体を晒す梢さんを私は見下ろす。
いつの間にそうなったのか、彼女の秘部は濡れていた。

「何これ」とまた視線だけでその事を咎めると、彼女は内腿をぴくりと痙攣させる。
それを合図に私は思い切り彼女の秘部に吸い付いた。

…ジュル、ジュルルッ…

本来彼女のこぼした蜜の量だけならそこまで派手で下品な音はしないだろう。
だが瞬間的に溢れた自分の唾液もごちゃ混ぜにしてしまえば、高らかに水音を奏でるのは造作もない事だった。

ジュッ、ジュルル、としつこいぐらいにものすごい音を立てて秘部を吸い尽くす。
彼女は、水音に紛れる程度の音量ではあるけれどもはっきりと「あ、あ…」と喘いでいる。
喘ぎ声の合間には、どこかから鳥の鳴き声とばさばさという羽根の音が聞こえてきた。

ここは屋外だからどんなに声を上げても、それはただ庭の木々や海からの風に溶けて消え去っていくだけだ。

…どんどん喘いでよがればいい、そう思いながら強く吸い付いたはずの秘部を、次は舌先でくすぐるように愛撫する。
先ほどまでとはうって変わって、控えめなチロチロという音が、私の唇と彼女の萌芽の間で小さく響いた。
すると彼女はこちらが気持ちよくなるぐらいに襞を疼かせ愛液を迸らせる。

「は、晴香たんいきなりそういうのは……あぁんっ…」

当然言葉は無視だ。どうせ待っていたくせに。
やめろと言うならやめてやっても良いが、それで納得なんかしないはずなんだから。
…それがわかっているから私は彼女の抵抗を完全に無視して、口淫もそこそこに指を立てて彼女の秘部に押し込んでいく。

「ん…あはぁっ」

毎日のように偽竿でかき回している場所なだけに、指は吸い込まれるようにすんなりと収まっていく。

「ほんと、いやらしいおまんこだね、梢ちゃん」

今にも笑い出しそうな声で言うけれど、内心そこまで彼女を嘲ってはいない。
実際はものすごく煽られていて、本音では甘えた声でもっと彼女をとろけさせたいと思っている。

「…だって、そんなの」
「いやらしくないって言うの?」

これ見よがしに指を出し入れさせつつ淫蜜の音を響かせると、観念したように彼女は「あぁっ」と声を上げてようやく快感に身を任せ始めた。

…さっさとそうして素直になれば良いものを、何故一旦軽く抵抗するのだろうか。
でもまあ、素直によがる様子を見せてくれたので、ご褒美にクリトリスをたっぷりと丁寧に嘗め回してあげる事にする。

蜜穴に差し込んでいた指は浅い所まで戻して入り口辺りをこね回しつつ、すぼめた唇の先でチュルルと軽く肉芽を吸引してからまるごと口内にしまうようにして自分の唾液と共にそこを嬲っていくと、見る見るうちにその粒は充血し膨らんでいくのがわかった。

思わず、舐める行為に集中したくなり蜜穴の入り口で遊ばせていた指先はそっと穴から離した。
指先を彼女の鼠蹊部へと沿わせる過程で、一瞬だけ光る糸が伸びてぷつりと切れる。

「ん、ふぅ…っ」
「あ、それぁ……あん」

舌を上下、左右に動かして膨らんだ萌芽をピンピンと弾いていくと、どういう訳だか彼女の愛蜜が下唇の上までせり上がって来た。
同時に、交換して私が履いている彼女のショーツの内側に、引きずられるようにして淫液が垂れ落ちていくのを感じる。

私は若干腹立たしくなり、ただでさえ従順に大きく開かれた彼女の両太腿に指を食い込ませる勢いで、かなり強くそこを押さえつけた。
もはや痙攣すら認めないぐらいの力で太腿を押さえつけると、その拘束された感覚だけで更に興奮したのか、何もしていないのに彼女の秘部から透明な液が湧き出すようにこぼれてきた。

さながら、どこかの映像で見覚えのある山奥の湧き水みたいだな、と全く関係のない事を連想してしまう。

透き通った愛蜜がお尻の方にまで垂れるより先に私は舌を伸ばし、押さえつけていた太腿を今度は担ぐようにして持ち上げ、彼女の尻穴付近からその蜜を思い切り舐め上げていく。

「あふ、あ…はぁっ…」

これなら彼女にもしっかり私の口淫の様子が見えるはずだ。

「梢ちゃん」

わざとにんまりと笑ってそう声をかけると、彼女は声を失って期待でいっぱいの胸を震わせた。

「…もっとしゃぶって欲しいんでしょ?ここ」
「…うんっ、クリトリスいっぱい舐めて欲しい…」
「ホント、変態だよね梢ちゃんは」
「うん、変態だから、だから…して」

飼い主に「して」と命令するとはどういう了見かとも思ったが今はそこはスルーする。
その代わり、彼女の秘部をすすっては「おいしい」とか「エッチな味がする」とか「いくら吸っても止まらないんだね」とか、都度いやらしい言葉を浴びせてあげた。

そのうちに、ただズルズルと秘部をすすって唇を離しただけなのに、何を言われるのかと構えた身体は先回りして反応し始める。

「…まだ何も言ってないよ?どうしたの」
「…だって」
「そんなに、いやらしい事言われたいの?梢ちゃんは」
「……」

現に秘部からは脊髄反射のように、私が唇を離したタイミングで自動的に蜜が溢れ出ていた。

「ねえ、梢ちゃん…」
「……っ…ん」
「そろそろパンツ返してあげる」

あえて彼女の蜜まみれの秘部は放置して、私はビーチチェアから離れた。
わざとらしくスカートをたくし上げて、見せつけるように(元々は彼女の)ショーツを脱いでいく。
旅行用に新調したのか肌触りはすこぶる良くて、淡いブルーの生地にちょっとしたレースの飾りが付いている物だった。

「ほら」

軽く放り投げて彼女の胸の谷間にそれを落としてやると、彼女は手を出す事もなくそれを見つめる。
これがまた偶然にも、私が淫液で濡らしてしみのできているクロッチの内側が、しっかりと上を向いた状態で彼女の胸の谷間に収まっている。

「晴香たん」
「何?」

私はスカートを戻して何でもないような素振りで立ち彼女の顔を覗き込んだ。

「…いっぱい、晴香たんのおまんこ汁が付いてるよ」
「そうだね」

彼女は自分の膝の下に手を入れて脚を開いたままの恰好で、胸の谷間に落とされたショーツを見下ろす。
更に大きく深呼吸して本当に変態っぽいなと思えるような事を口にした。

「それに、晴香たんの匂いもする」
「そこから?匂うの?」
「…うん」

私は思わず吹き出して「自分のじゃないの?」と彼女を罵った。
そうされても彼女は、違うともそうだとも言わず黙っている。

「ほんとに私のおまんこ汁かどうか、ちゃんと確かめてよね」
「……」

私は彼女の顔面に腰を乗せるために、ビーチチェアから彼女を引きずりおろしてプールサイドの平らな床に彼女を寝かせた。
その過程で梢さんの胸の谷間にあったショーツはプールサイドにひらりと落ちて、手を伸ばさないと届かないぐらいの所へ行ってしまった。

背中が痛いかもしれないけど、さほど長くこれを継続するつもりはなかったので我慢してもらう事にする。

梢さんの顔の上をまたぎながらふと横を見ると、傾きかけた陽射しがガーデンプールの水面に乱反射して、ものすごくキラキラと、綺麗に輝いていた。
耳をすませば、海風が水面の上を滑るサラサラという音が波のように聞こえてくる。

「ほら…舐めて確かめてよ」

そんな幻想的な場面には全く似つかわしくないような、冷淡さといやらしさを含んだ声で彼女に語り掛けるのは、かなりの倒錯をもたらした。

だいたい私が履いていたショーツを脱いでいるんだからこんな事は確かめるまでもない事なのに。
攻めに乗じてめちゃくちゃな理屈を通すのは、もはや常套手段と言って良い。

上半身を起こした私の太腿の前には梢さんの丸い双丘があり、私の履いたスカートが半分その二つの山を隠している。
普通にしていたらあり得ない構図にやっぱり興奮しながらも、私は素早く彼女のお腹、恥丘、秘部、脚へと、舐めるように視線を走らせた。

…それからわずかに浮かせていた腰を動かして、彼女の唇にちょんちょんと秘部を振れさせてみる。
腰を浮かせる度に唇が追いかけてくるような感じがして、たまらなく可笑しく思えた。

何度かその感覚を楽しんでから、私は起こしていた上半身を前傾させプールサイドに肘をついた。
それから彼女の秘部に溜まった蜜をすすり上げ、同時に思い切り彼女の顔面に股間を押し当てて、口淫を強要した。

「ん…くぅ…ふぅん」

互いの声がくぐもって聞こえる。
私は時折彼女の秘部から唇を離して「はぁん」とわざと大きく快感の声を漏らした。
けれども彼女にそういう隙は与えない。腰を浮かせる事はせずひたすらに口淫を強いた。

「梢ちゃんいやらしい…舐め方しちゃって」
「ん…っ」
「そう、もっと頑張って」
「……」
「あ、あ、あはぁ…気持ちいいよぉ」

ついに私は彼女への口淫を諦め、上半身を起こして彼女の顔面に何度も腰をなすりつけてしまう。
彼女はまくり上げたスカートの布と私の小さな尻肉を掴んで揉み回しながら、必死で鼻だけでの呼吸をしつつ私の秘部の奥深くで舌を蠢かせた。

「梢ちゃん上手…すっごく気持ちいいよぉ…っ」

褒められた彼女は俄然やる気を出して、私の秘部を舌で盛大に掻き回した。

「やだ、いっちゃいそう…あ、あぅ…ん」
「うん」

どうにかその言葉らしきものだけは聞き取れたけど、残りは彼女の呼吸なのか喘ぎなのかわからないようなんーんー言う音と、ぺちゃぺちゃと私の身体の内側に響く水音だけになっていき、私は背中を反らせ頭ごと身体を振って快感に身を任せていく。

「梢ちゃんっ、イっちゃう、あ…あぁっ…はんっ…!」

気が付けば太陽光の下で喘いでいるのは自分の方になってしまっていた。
派手に達したその直後から、何故か再びプールの水面が奏でるサラサラという音が耳に入ってくる。

「んん…」

イったくせにしばらくの間私は彼女の口に自分の秘部を押し当てたまま動かずにいた。
絶頂の余韻の中で、ゆるゆるとした彼女の甘い口淫を、もっと感じていたかったから。

「あ…梢ちゃん、好きだよ」

息継ぎの暇も与えないぐらいに素早く私は身体を反転させ、彼女の太腿をまたぐような恰好でその上半身を引き起こしつつ、下品なぐらいに激しいキスをしてしまう。

「ん…っ…」

本当は、硬い床から早く背中を外してあげたかったからとか、色々理由はあるけれど、それを伝える時間も惜しくて私は彼女の唇に付いた自分の愛蜜と、彼女の唾液とをいっしょくたに舐め吸った。

それだけの事なのに、彼女は私のキスに応えながらしっかりと私の背中に腕を回してくる。

プールサイドで顔面に馬乗りされたのに、そんな事は何でもないと言うかのように、彼女はうっとりと身体をとろけさせ私に全てを預けるようにしなだれかかってきた。

次はベッドルームに戻り、窓は開けたままで彼女を犯す事にする。

この旅行のためにわざわざ偽竿は二つも持参している。
使い慣れた方ではなく、特別感を出して大き目の方を装着して、何の前触れもなく彼女を貫いた。

「あぁぁっ…あ…」

まずは正常位で。
彼女は筋肉質なだけではなく身体が柔らかいので、先ほどさんざんビーチチェアで無理な態勢を取ったりプールサイドの硬い床で寝そべって私の顔面騎乗に耐えていたとは思えないほどに、両脚を滑らかに開いて私の偽竿を受け止めた。

「気持ちいい?…変態の梢ちゃん♪」
「あ、あ…気持ちいいよ、おっきくて…奥まで…あはぁ…」
「そう、奥がいいんだね?」

リクエストに応えて偽竿の先端で子宮口をぐりぐりと刺激する。

「や、だめっ、そこばっかり…しちゃ…やぁん……」

そう言う割には腰がガンガン揺れているのだけれど。
変化をつける為にほんの少しだけ腰を引いて、またそれまでより奥へと押し込む動作を繰り返す。

「やぁ、あ、あ、はぁ…あぁぁっ」
「後ろからもしてあげる」

それから乱暴に彼女の身体を引き起こして裏返しにし、片手を掴んでそのまま後方から偽竿を撃ち込んでいく。
この態勢だと普通にしていても深井挿入感が得られるだろうから、ここではあまり奥は意識せずにいつもの高速ピストンを繰り出して彼女を追い詰めた。

「だ、あ…いく、もう…いっちゃうぅ」
「イキたくないの?ならやめるけど」
「だめ、意地悪…言わないで、お願いっ…」
「そうなんだ」

私は、超絶ピストンの最中にでも普通に会話ができる。
彼女の方は声もガタガタ震えて呂律が回らない感じも相まって、幼児のような話し方になるのだけれど。

「じゃいっぱい突いてあげるからね…」
「うん、いっぱい、してぇ…あ、あぁんっ…あイっちゃうっ…もう…いくぅっ」

「いっぱい」よりかなり手前で彼女は果ててしまった。
物足りないので今度は彼女を横向きに寝かせて脇から挿入するように、実際はバックの応用なんだけど、ちょっと捻じれたような組み方で身体を重ねる。

「もっと欲しいでしょ」
「…うん」

この場合あまり高速では動けないが、突く時にすごく擦れる感覚が味わえるだろう。
彼女は緩慢に「あっ」と喘ぎながらもこの隙に呼吸を整え体力の回復を図っているようだった。

…そうだった。彼女に偽竿をしゃぶらせるのを飛ばしてしまっていた。
私は頃合いを見計らって偽竿を抜き、梢さんをまた仰向けにさせてその口元に偽竿をもっていく。

彼女は自発的に身体を起こして私の偽竿をじっくりと嘗め回してきた。
…自分の淫汁まみれの偽竿を、どうしてそんなにいやらしく舐める事ができるんだろうか。

「梢ちゃんて女の子専門じゃなかったの?そんな夢中でフェラしちゃって」
「……ん」

彼女は答えはせず少し目を合わせてきただけで、ただ偽竿をしゃぶり続けている。
たっぷりと自分の唾液をまぶしながらジュポジュポと音を立てて、手も使いながら口の中に竿を出し入れしたり、深く咥えたまま舌を動かして竿の先端を舐め回したりしている。

…そうかどうかは知らないが、明らかに男のそれをしゃぶった経験がありそうに思えて、私は苛立ち混じりに腰を振って彼女の喉奥を一度突いてしまった。
一瞬彼女の動きが止まり、むせてしまいそうなのをこらえている様子が見えた所でようやく苛立ちが過ぎ去り、あさましい独占欲も鳴りを潜めていった。

「…なんか、もっと梢ちゃんの中に入りたくなっちゃった」
「うん…来て」

媚びるようなそのおねだりに、ほんの一瞬芽生えたはずの愛おしさや、優しくしてあげようという寛大な心が薄れてしまって、やっぱりめちゃくちゃに犯して、帰ってこられないぐらいの絶頂まで吹き飛ばしてしまいたくなった。

…でも、本当は違う。それはお互いわかっている事なのだ。
偽竿による挿入なんて、私たちにとってはただの前戯でしかないという事を。

最後にとっておくのはあの貝合わせ、そうに決まっている。
私は梢さんとの貝合わせしか知らないけど、それでも多分あれが特別に気持ちいい事はわかる。
あれを最高に気持ち良くするために、激しい挿入さえも前戯として受け入れてしまっているのだろう、梢さんは。

「…いいよね?いっぱい突いちゃっても」
「いいよ…したいだけ犯して」

顔だけでなく言葉まで、全て使って私の我儘を許してくれている。
そして実際その態度に嘘や強がりはない。ありのまま受け止めて全て快感として享受できる身体を、彼女は持っているのだ。

「……」

話すのさえも面倒になり、あるいはその労力さえも挿入への集中力に使いたくて、私は黙って梢さんの秘部の内側、奥まで全てを偽竿で何十回、いや百何十回と擦り上げた。
飽きなかった。突いても突いても彼女はよがり続けているし、軽く達していても、そのまま挿入を続けていればまた彼女は官能を取り戻していく。

「凄、い…ずっと…入ってるぅ…んっ」
「…気持ちいいでしょ?」

そう私が言葉を発したのは、この挿入を始めて何分後ぐらいだったのだろう。
その間梢さんはずっと気持ち良さそうに喘いでいたし、何度も「イクっ」と声を上げて身体を痙攣させていた。そのうち何回かは澄んだ無色透明の潮を吹きだしていたと思う。

「まだ…足りないよ、梢ちゃん」
「うん、うん、いいよ…もっと…あぁぁっ」

大丈夫なんだろうか、私は。
全く腰の動きを止める気になれないし、現に動かし続ける事ができている。
…もう、いいかげんに貝合わせしたい、そう思っているのも事実なんだけど、いくらでもついて来てくれる梢さんを見ていると、本当にいつまでも挿入を続けていたくなった。

私は更に腰の動きを激しく、速くしたくなって彼女の二つの乳房を両手で鷲掴みにした。
指が食い込むぐらいに握り込んで、むにゅむにゅと乳房を揉みしだく。

胸を押さえつけるようにしながら、私はこれまで以上に腰を斜め後ろに引くようにして、結果的にはお尻を突き出すように腰を引いてから、強烈な一撃を彼女の中に撃ち込んだ。
二度、三度とそれを繰り返して、また偽竿を奥深くまで突っ込んでから腰を小刻みに動かしていく。

「あぁぁっ…あ、あ、あふ…っ!」

どれが絶頂のリアクションなのか、区別がつかなくなって来る。
でも、これだけじゃ全然物足りないはずなんだ…梢さんは、と私もわかっている。わかっているんだけど、この挿入をやめられなかった。

「…あれ?」

急に自分の意識が遠のく感覚があり、まさか自分が攻めながら達してしまうのだろうかという恐怖感にとらわれた時にはもう手遅れだった。
何秒間?あるいはもっと長く、自分の手足も目も耳も、塞がれたように真っ白に染まっていく。

…自分の中ではそのすぐ直後に、顔のどこかが彼女の胸に包まれているような感触を得た。
そうなる直前の記憶がなかったから、私はある時間意識を失ったのだと気付く事ができている。

「…梢ちゃん」

見上げると彼女の顔があって、それからゆっくりとした動作で私の装着していた偽竿が取り払われていく。

「水の中で、してみようか」

そう言うと梢さんはさっと私の身体を抱きかかえてプールへと歩を進めていく。
…まるで、それまでの激しい偽竿による挿入なんてなかった事のように、その足取りは軽やかに思えた。

「…怪我しないように」と言いながら、二人して裸の身体にそれだけは身に着けていたシルバーのネックレスを、梢さんは二人分外して、プールサイドに置いた。
それからまた私の身体を片手で抱えるように支えながら、ゆっくりと足先からプールの水へと浸かっていく。

…もう、ほとんど日が暮れかかっているではないか。
この時間になると、庭の草木は暗緑色の影となり、プールの水面だけがぎらぎらと光って見えてくる。
梢さんの身体も、私の身体も、その光の粒に溶けていくように、プールの水に沈んでいった。

「……っ」

身体が浮く感覚と同時に、梢さんと密着している感覚が来て、それから温かい唇同士が触れ合う感覚が来た。
面白いぐらい身体が軽く感じて、私たちは立った姿勢のままでも脚をクロスさせる事ができ、片足だけで体重を支える事も簡単にできてしまっている。

…と思ったけど、やっぱり水圧でよろよろして、私たちは半分水に沈みながら秘部をくっつけて、そしてキスも止められない。
唇と唇が結ばれているから、そのまま頭が水に沈んでも、案外大丈夫だったりして、それも不思議に思った。

身体同士が絡み合う動きに任せて水に浮かんだり沈んだり、横になったり入れ替わったりを繰り返す。
複雑な事をしているように見えるかもしれないが、私たちが行っているのは、単なる貝合わせとキスだった。

「…ん、梢ちゃん」
「晴香たん、は…ぁ」

顔が空気に触れている間、息継ぎしながら呼ぶのは互いの名前だけだ。
秘部から溢れているはずの粘液はどんどん水に溶けて消えてしまう。
だからせっかくの愛液を逃さないようにと、私たちは必死でその場所をくっつけた。
浮力で花弁が自然とほころび、身体の内側同士の、より熱い場所を重ね合わせようとしてしまう。

そして身体の火照りもまた、冷たい水に吸収されてしまって、自分たちがどこまで極まっているのかさえもわからなくなっていく。

「んっ…んん…ふぁ……」

果たしてどういう態勢で何をしている時にだかわからない中で、淫襞がぴくぴくと疼いて、自分が絶頂した事を自覚する。
当然ぴったりとその場所を合わせている彼女にも、それは伝わっているはずだ。

水中にいてもはっきりとわかるくらいに私の蜜穴はそれまで以上に大量の淫蜜を吹き出し、その蜜はプールの水に溶け流れていった。

「…んん」

私の絶頂を察した梢さんが、すごい勢いで私の口内に舌をねじ込んでくる。
私はただそれを受け止めて、遅れを取らない程度に舌を絡めて応じる事しかできなかった。

…まだなの?梢ちゃんはまだ貝合わせで達していない?…
熱の引かない淫襞を強く押しつけて、私は彼女の絶頂を待ちわびる。

「…ふ…あぁ」

激しいキスと私の熱い淫襞の圧迫のダブルの刺激で、彼女は達したようだった。
…私はそこで、水中で達して淫蜜を溢れさせるとこうなるのか、という事をやっと客観視して顔が熱くなる。
熱い蜜穴から、とろとろの液体が広がって自分の秘部さえも包むようで。

なるほど、これを感じてしまうと確かにキスしたくなるなあ、と思いながら先ほどのお返しの如く彼女の唇に吸い付いた。

「は、んっ…ん…」

水に浮かんだり沈んだりを繰り返しながら、私たちは飽きる事なく水中での貝合わせとキスに溺れ、気が付くと辺りは暗くなっていた。
…何時なんだろう、と一瞬考えるけれどそれさえも実際はどうでも良い。
お腹なんて空かなければいいのにと恨めしく思いながら、私たちは体力の限界までその行為を繰り返した。
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