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狙われる女の飼い慣らし方(真帆SIDE)
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私はこれまでずっと、どういうわけだか女性にばかりモテてきた。
何もしていなくても勝手に相手が寄って来る感じで、正直女性との付き合いに関して悩んだ経験など一度としてない。
ではなぜ私が現在亜里沙と付き合っているのかと言えば、それは亜里沙が誰よりもストレートに私を求めてくれたから、というのが理由だ。
私自身に情熱がないからこそ、それをはっきりとぶつけてくれる相手に惹かれるし、その思いに応える事で私自身も満たされるように思う。
「ねえ、真帆…もう1回、しちゃってもいい?」
ベッドの上でそう語り掛けてくる亜里沙に私は笑顔で頷いた。
この所毎週末は私が亜里沙の部屋を訪れお泊りするというのが定番となっている。
亜里沙の部屋は潔くシンプルなインテリアでまとめられており、実に亜里沙らしい、と毎回のように思う。
ベッドシーツや枕カバーは全て真っ白なリネンで統一され、窓にはブラウンの遮光カーテンがかけられている。
「シティホテルの部屋みたいにしたかった」と亜里沙が言う通り、一目瞭然でそういうインテリアだと誰もが納得するはずだ。
この部屋へ遊びに来る度、私はただひたすらもてなされ接待される。
亜里沙は料理も上手いし手際も良い。
金曜日の夜は毎週のように、私は亜里沙が振舞ってくれる料理を楽しみにしていた。
その後は二人でお風呂に入って、ベッドで身体を重ねる。
夜半まで互いの身体を求め合い、疲れて一眠りすると朝が来ているという感じだ。
でも、のんびりとした休日の朝に恋人とベッドの中で一緒に寝ていれば、やはり再び身体を重ねてしまいたくなるのが人情と言うものだろう。
瞳を閉じて亜里沙の唇を自分の唇で受け止めている間にも、鳥のさえずりが締めきった窓越しに聞こえてきて、今が朝なのだという事を否応なく理解させられてしまう。
「……ん」
しわ一つない、完璧にメイクされたベッドに入るのは最初のうち気が引けたけど、亜里沙は「遠慮なく汚してよ」なんて言ってくるし、そこで一晩を過ごせば当然、シーツも寄れてくるし汚す事にもなる。
もう、今の私はその罪悪感を感じる事はほとんどなくなった。
「真帆…ほんとに大好き」
亜里沙は切なそうな目をしてそういう事を言う。
亜里沙自身は髪を短くしているからか、長い私の髪を触るのが好きらしい。
亜里沙は、甘い言葉を囁きながら私の髪を指ですくような愛撫を繰り返した。
遮光カーテンの隙間からは朝の陽射しが入り込んできて、ベッドの上の私たちを部分的に明るく照らしている。
亜里沙の唇が私の首筋から胸の谷間を通り過ぎて、腰の辺りまで下がった所で私は身体の向きを変え手ベッドにうつ伏せになった。
亜里沙の言う「もう一回」が指す行為を始めるために。
亜里沙は心得たように私の足元の更に下にまで下がり、身体を起こして私を見つめている。
私は、ベッドに胸をべったりと付けて顔も枕に埋めた。
それから背中を思い切り反らせて、膝の間を少し開きながらお尻を高く突き出す姿勢をとる。
「真帆、すごくいやらしい恰好…」
「…だって」
「黙って」
亜里沙の両手が私のお尻に添えられて、そっと左右に割り開くと普段は晒されない場所に空気が振れる感覚があって私の全身に寒気が走った。
亜里沙は舌先を器用に使って、その中心にある穴の周りを小刻みにくすぐってくる。
「あ、あはぁ…ん…っ」
亜里沙は、私のお尻の穴周りを舐めるのが大好きなのだ。
おかげで私もこの快感を覚えてしまい、すっかり夢中になってしまっている。
舌先がその入口をくすぐると、一瞬抵抗するようにそこは閉じていくのだが、柔らかく濡れた舌が這い回るほどに、今度は緩んで開いてしまいそうになる。
羞恥と欲望がダイレクトに、その場所を開いたり閉じたりさせるのだ。
だから亜里沙に隠し立てはできない。
「ん、ふぅ…」
亜里沙の吐息が秘部の方にまでかかり、私は背筋がぞくりとして一度だけ身体を振るわせる。
それを見るのがとても楽しいとでも言うように、亜里沙は要所要所で私の秘部にわざと吐息を吹きかけてきた。
「や、だ…そんな、しちゃ…焦らさないで」
亜里沙の舌先はあくまでも私の肛門だけを愛撫しているのだが、それだけで私は花弁の間から徐々に蜜が溢れだしてこぼれそうになるぐらいに感じてしまっていた。
あ…垂らすかもと思った時にはもう遅く、軽く開いた太腿の間に、不規則に生温かいものが流れ落ちていく感覚があった。
亜里沙からは、この様子が全て見えているだろう。
「いい景色よ、真帆…ほんとに」
「…恥ずかしいよぉ」
早く、その場所にも触れて欲しくて私はそれまでよりも広く膝の間を開く。
それに連動して腰が突き出され、結果的に亜里沙の顔に自分のお尻を擦りつけるような恰好になってしまうのだが、構ってなどいられない。
「亜里沙、お願い……おまんこにもして」
「わかったわ」
亜里沙が舌をいっぱいに伸ばして、下から私の花弁を舐め上げる。
一回ずつ下から上へ、花弁の割れ目からお尻の穴までを丁寧に舐め上げていき最後の場所では軽く舌先を蠢かせてくるので、その度に私はいやらしく喘ぎ声を上げてしまう。
「あ…あっ…あふ……」
「顔、上げて」
枕に埋めたままでは声がよく聞こえないから、という事なのだろう。
しかし顔を上げるとますます背中が反って、お尻が上を向いて卑猥なスタイルになってしまう。
亜里沙はそれも見たいのか、こうして顔を上げろとリクエストするのが常だった。
「はぁ……あ、あ…あぁ…ん」
「いい声、もっと聴かせて?」
「あ……んっ」
股間に亜里沙の顔が密着し、指では皮ごと萌芽をこね回しながら大胆に舌を秘部へと挿入してきた。
身体の内側で蠢く舌の感触と、綺麗に筋の通った亜里沙の鼻先が私のお尻の穴に触れて刺激してきて、私は二重に感じる事になってしまった。
「あ…亜里沙っ、はぁんっ」
さほど時間をかけていないのに、私はあっさりと絶頂を迎えてしまう。
果てた後も態勢は買えずに荒い呼吸だけをしていると、亜里沙はこぼれた蜜を丁寧に舐め取りながら私が落ち着くのを待ってくれた。
「…真帆」
声をかけられただけで、次にどうするのか私もわかっている。
身体を亜里沙の方に向けて二人で向かい合い、足と足をかませるように交差させ、秘部同士を擦り合わせる。
ゆるくもどかしい刺激でお互いをわざと焦らすのだ。
亜里沙の花弁が振れる瞬間はいつも、亜里沙がこぼした蜜の量を確かめるように腰を動かしてしまう。
最終的には、お互い唇を重ねながら互いの秘部に二本の指を挿入して、中をめちゃくちゃに掻き回しながら果てるのだ。
身体が震えて時々唇が離れる度に、私たちは自分がいかに感じているかを相手に伝え合う。
「亜里沙、わたし…またいっちゃうよぉ」
「うん、イって?いっぱい……私も…もうすぐだから」
亜里沙の身体の内側はもう、十分知り尽くしている。
どこをどう触れば最速で達する事ができるか、という事もだ。
「亜里沙、ここ…好きでしょ?」
「ひゃ、あ…そこダメっ、ぐりぐりしないで……」
溢れ出る蜜が行き場を失い対流するので、指先がその場所を的確にとらえられないぐらいにぬるついてしまう。
そんな状態の中で、私たちはお互いを必死にまさぐり合うのだ。
亜里沙がメイクしてくれた真っ白でのりの利いたシーツが、二人の愛液で濡れていく。
それがたまらなくもあり、ますます蜜が溢れるのを止められなくなった。
「真帆…私の、真帆だよ」
亜里沙の指が、私の最も感じるスポットにドンピシャで力を加えた瞬間、私は再びあっさりと果てを迎えた。
膣内を痙攣させ亜里沙の指をひくひくと捕まえながら、私は「すぐいっちゃうから…恥ずかしいのに」と言葉にする。
「だからしたくなっちゃうんだよ」
亜里沙が私を押し倒して、私の両脚を思い切り開きながらびしょびしょの秘部を舐めしゃぶってくる。
「あ、あ…ダメ…っ」
「ダメじゃないでしょ」
「あぅ…ん……っ」
もう、膣のひくつきが止まらない。
亜里沙の施す刺激が変化に富んでおり、飽きる事なく私の秘部はその快感を痙攣で訴え続ける。
私はぎゅっと拳を握って自分の口元を覆った。
何か、力を入れていないと意識を失いそうなぐらいに感じてしまっているからだ。
「我慢なんてしないで…私の前ではいっぱい乱れて見せてよ」
そう言いながら、ずるずると私の秘部を亜里沙がすする。
開かされた両脚の膝も小刻みに動いて、脚が伸びかけたりたたまれたりを繰り返す。自分の意志とは関係なくそうなってしまうのだ。
「亜里沙も、来て…舐めたい」
「うん、いっぱい舐めて」
目の前に亜里沙の秘部がやって来て、私はそれを唇で柔らかく受け止めた。
顔を斜めにして亜里沙の花弁にキスするように重ねつつ、舌をゆっくりと左右に動かして、割れ目を上下になぞる動きをする。
「真帆、それっ…好き」
そんな言葉がなくても、それは溢れ出る蜜の量でよくわかる。
口だけでは受け止めきれなくなり、亜里沙の蜜が私の頬や顎にも垂れてきた。
このままでは蜜で溺れてしまいそうだ、と思いながら私もまた亜里沙の口淫により大量の愛液をこぼしている事だろう。
もっとも、亜里沙はそれらを全て舐め尽くしてしまうのだが。
「…んっ、くふ……っ」
私のあらゆる恥ずかしい場所は、既に亜里沙によって暴かれ様々な刺激を与えられ、快楽を拾うように開発されている。
その所為なのか、私は行為の最中に軽く失禁してしまう事が増えた。
しかも亜里沙は、少しぐらいなら平気でそれを飲み下してしまうから、私はますます我慢がきかなくなり、下半身をまるごと弛緩させ亜里沙に預けてしまうようになっている。
「亜里沙っ、で、出ちゃうっ…」
「…うん、大丈夫…飲んであげるから」
「やだ…そんな事、言わないで…っ」
言わないでなんて嘘に決まっているのに、ぬけぬけと言ってのける自分が嫌になりそうだ。
亜里沙は亜里沙で、舌で秘部をこじるふりをして軽く尿道まで刺激してくる。
そんな事をされたらとてももたないのは明白で、私は亜里沙の口めがけてほんの少しだけだが、蜜とは別種の液体を放っていた。
亜里沙がそれを、喉を鳴らして飲み下していく。
いつも亜里沙はそうだ。
愛液だろうが何だろうが音を立てて飲み下し、その様子をしっかりと私に見せつけ、音を聞かせてくる。
そんな亜里沙を見ているだけで、私の身体の芯からは新たな熱が生まれていくのだ。
「あはぁ……っ」
恥ずかしさをごまかそうと思い亜里沙の秘部を夢中でしゃぶる。
すると亜里沙も興奮してきたのか、今まで以上にわかりやすく喘ぎ声を上げ始めて絶頂が近い事を知らせてきた。
「あ、ふぅ…ん……」
もう一度、指を使って亜里沙の中のいい所を擦り立てる。
そうしながら柔らかく唇で亜里沙の入り口を食んでやると、倒錯した刺激によって亜里沙は高い声を上げた。
「ま、真帆…それっ、いいよぉ…いっちゃうっ…」
そこで勢い良く亜里沙の萌芽を吸いまくると、亜里沙の身体から力が抜けて、崩れるように私の身体に体重を預けてきた。
そうしながら小刻みに身体を振るわせて、絶頂している事を態度で伝えてくる。
「はぁ……はぁっ」
力尽きる寸前まで追い詰められてもなお、亜里沙は私の秘部を舐め回そうとするのを止めない。
「真帆…好き、大好き」
合間にそんな愛の言葉を呟きながら、私の剥き出しになった萌芽や腫れあがった膣肉をぺろぺろと嘗め回してくるので、私の身体は休む事なくそれに反応してしまう。
「亜里沙だめ…やめられなくなっちゃうよ」
「…平気でしょ?まだやめなくても」
「…っ、はぁん」
亜里沙の繰り出す刺激のパターンが多いから、何度達してもまた新たな刺激に身体は感じ始め、更に体温は上昇する。
「…ねえ、真帆」
私が、もはや反応する体力さえも尽きかけてぐったりしていると、緩く私の股間を舐めていた亜里沙が尋ねてきた。
「…何?」
「…そのうち、本気で真帆がおしっこしてるとこ、見せて欲しいな」
「は…恥ずかしいよ」
「恥ずかしい所が、見たいの」
言葉の合間にも、巧みな舌使いで私の敏感な部分をつついたり転がしたりする亜里沙。
「んっもう……」
「お風呂場でなら、いいでしょ?」
明確にどうとも返答しなかったが、亜里沙としては既にやる気になっているだろう。
普段は凛々しく、秘書課の課長代理としててきぱきと仕事をこなすような人物である亜里沙が、その整った顔や身体を私の愛液まみれにして、挙句私の放つ別の液体まで浴びたがっているというのが、強烈なギャップとなって期待と興奮を誘った。
「…そんな事、他の人とはした事ないでしょ?」
「…うん」
「真帆にそういう事、させたいの」
亜里沙が身体を反転させ、這い上がるように腕を絡めて抱きついてくる。
私もそれに応じて亜里沙の腰に腕を回した。
何度もついばむように唇を吸い合って、ようやく亜里沙との行為は収束の気配を漂わせる。
「真帆…お腹すいた?」
「うん、まあ…ね」
「すぐ作るから、だからもう少しだけ」
終わらないのではないかと思えるほど亜里沙のキスは延々と続く。
だが本人の言葉通り、それを十数回繰り返した後、名残惜しそうに亜里沙は私から離れた。
私は、ベッドに残る亜里沙の痕跡をたどるようにシーツで身体をくるんで、交わりの余韻に浸り続ける。
そうしていると、キッチンの方から亜里沙が手早く朝食を用意している物音が聞こえてきた。
…これが、土曜日の朝の醍醐味だ。
亜里沙はどこまでも、私を甘やかしてくれる。
私がベッドから出ようとしなければ、そこで朝食を食べさせてくれるぐらいに。
但しその代わりいつまでも裸のままでいた罰として、また亜里沙に何度も絶頂させられてしまうのだが、それは望む所なので罰としては機能していないだろう。
「……」
時折、この土曜日の朝を、彼女たち--つまり松浦部長と冴子ちゃんがどう過ごしているのかな、と考えたりする事がある。
その所為で亜里沙には私の寝起きが悪いと勘違いされているふしもあるが。
冴子ちゃんが私に似ていると言うのであれば、きっと有り余る愛情を注がれているに違いない。
今の私と同じように、だ。
…でも。
本当にそうだろうか。
亜里沙と松浦部長に違いがあるとすれば、「遠慮」の量ではないかと思われる。
亜里沙は私が気にしないと言っても、勢い余って将来の話までしようとするぐらいに一途な自分を晒してくるけれど、松浦部長はどうだろうか。
理知的な分、冴子ちゃんの将来を縛りたくないなんて考えていたりはしないだろうか。
…そんなものはあまり意味がない。
自由を尊重するなんて、私や冴子ちゃんのような女には単なる隙にしかならないのだから。
第一、逃げようと本気で思えばどんな束縛からでも逃げる手段はあるだろう。
そして亜里沙や松浦部長のような人は、迷惑や法律を犯してまで逃げる相手を追うような馬鹿なまねはしないはずだ。
例えは変かもしれないが、動物にはそれぞれ飼育方法があるように、狙われる女の繋ぎ止め方というのは独自に存在する。
例えばあの、梢ちゃんに私が悪戯していた夜の事もそうだ。
冴子ちゃんに「見て」と直接頼めば、案の定逃げなかった。
冴子ちゃんや私のような人間に対しては、言葉というものが案外に有効な支配の手段となるのだ。
勿論一時的に、の前提付きだけど。
…余計なお世話だ、と思いながらも松浦部長があの娘に苦戦しているであろう事が容易に想像できて、私は一人で含み笑いをしてしまう。
「…思い出し笑い?」
「いや、違うけど」
予想通りベッドサイドまで朝食を運んできた亜里沙がいぶかしげに尋ねてくる。
きっと、他の誰かの事でも考えていたのではないかと疑っているのだろう。
「…食べさせてほしいな」
「もうっ、我儘なんだから」
不服そうに言うがその割に亜里沙は笑顔だ。
この程度の無茶なお願いぐらい、当然聞いてもらえるとわかっていて頼むあたり私も図々しいものだと思うが、やはり亜里沙に対して遠慮はしなかった。
亜里沙は、裸の身体にエプロンだけを着けてベッドサイドに座っている。
黒くて、まるでカフェの店員さんがしているようなごわっとした麻素材のエプロンもまた、亜里沙のものらしくきっちりとアイロンがけされていた。
別に全然いやらしい雰囲気ではないから、何だか自分ばかりが行為の余韻を引きずっているようで、ほんの少し恥ずかしくなる。
亜里沙をその余韻にまた引きずり戻したくて、私は甘えてしまったのかもしれない。
「…美味しい?」
スプーンですくった、生に近い半熟のスクランブルエッグを私の口に押し込みながら亜里沙は心配そうに尋ねてくる。
「味見してないの?…してるんでしょ?」
「まあ…そうだけど」
亜里沙の料理の腕前は素人とは思えないほどなのに、こうして私の好みに合うかをいちいち心配してくるあたりが、完璧主義の亜里沙らしくて可愛いと思う。
「美味しいよ」
改めてそう伝えて、私は亜里沙の顎を掴み無理やり自分の方へと引き寄せた。
亜里沙は慌てて手に持っていたスプーンをサイドテーブルに置いたプレートに戻して、そこから手を離す。
同時にバランスを崩した亜里沙の身体が、どさりと私の上に乗っかってきた。
「……」
口移しでほんの少し、亜里沙にスクランブルエッグを食べさせる。
亜里沙は顔を真っ赤にして息を止めていた。
それだと味がわからないじゃないか、と私は呆れてしまう。
「…ね?」
美味しいでしょ、と尋ね返すのだが、その前にさんざんいやらしい音を立てて亜里沙の口内に私の唾液を流し込んだので、亜里沙はやっぱり顔を赤くしたままもごもごと何か呟くばかりだった。
「…お腹、空いてるんでしょ?」
困ったように亜里沙が尋ねてくるが、私ははぐらかしてしまう。
「亜里沙が食べたくなっちゃった」
「…まったく、もう」
そしてまた、私たちは身体を重ねる。
あの二人は今頃どうしているだろうという考えは、亜里沙の美味しい朝食と、甘い誘惑の前にすっかり忘れ去ってしまった。
何もしていなくても勝手に相手が寄って来る感じで、正直女性との付き合いに関して悩んだ経験など一度としてない。
ではなぜ私が現在亜里沙と付き合っているのかと言えば、それは亜里沙が誰よりもストレートに私を求めてくれたから、というのが理由だ。
私自身に情熱がないからこそ、それをはっきりとぶつけてくれる相手に惹かれるし、その思いに応える事で私自身も満たされるように思う。
「ねえ、真帆…もう1回、しちゃってもいい?」
ベッドの上でそう語り掛けてくる亜里沙に私は笑顔で頷いた。
この所毎週末は私が亜里沙の部屋を訪れお泊りするというのが定番となっている。
亜里沙の部屋は潔くシンプルなインテリアでまとめられており、実に亜里沙らしい、と毎回のように思う。
ベッドシーツや枕カバーは全て真っ白なリネンで統一され、窓にはブラウンの遮光カーテンがかけられている。
「シティホテルの部屋みたいにしたかった」と亜里沙が言う通り、一目瞭然でそういうインテリアだと誰もが納得するはずだ。
この部屋へ遊びに来る度、私はただひたすらもてなされ接待される。
亜里沙は料理も上手いし手際も良い。
金曜日の夜は毎週のように、私は亜里沙が振舞ってくれる料理を楽しみにしていた。
その後は二人でお風呂に入って、ベッドで身体を重ねる。
夜半まで互いの身体を求め合い、疲れて一眠りすると朝が来ているという感じだ。
でも、のんびりとした休日の朝に恋人とベッドの中で一緒に寝ていれば、やはり再び身体を重ねてしまいたくなるのが人情と言うものだろう。
瞳を閉じて亜里沙の唇を自分の唇で受け止めている間にも、鳥のさえずりが締めきった窓越しに聞こえてきて、今が朝なのだという事を否応なく理解させられてしまう。
「……ん」
しわ一つない、完璧にメイクされたベッドに入るのは最初のうち気が引けたけど、亜里沙は「遠慮なく汚してよ」なんて言ってくるし、そこで一晩を過ごせば当然、シーツも寄れてくるし汚す事にもなる。
もう、今の私はその罪悪感を感じる事はほとんどなくなった。
「真帆…ほんとに大好き」
亜里沙は切なそうな目をしてそういう事を言う。
亜里沙自身は髪を短くしているからか、長い私の髪を触るのが好きらしい。
亜里沙は、甘い言葉を囁きながら私の髪を指ですくような愛撫を繰り返した。
遮光カーテンの隙間からは朝の陽射しが入り込んできて、ベッドの上の私たちを部分的に明るく照らしている。
亜里沙の唇が私の首筋から胸の谷間を通り過ぎて、腰の辺りまで下がった所で私は身体の向きを変え手ベッドにうつ伏せになった。
亜里沙の言う「もう一回」が指す行為を始めるために。
亜里沙は心得たように私の足元の更に下にまで下がり、身体を起こして私を見つめている。
私は、ベッドに胸をべったりと付けて顔も枕に埋めた。
それから背中を思い切り反らせて、膝の間を少し開きながらお尻を高く突き出す姿勢をとる。
「真帆、すごくいやらしい恰好…」
「…だって」
「黙って」
亜里沙の両手が私のお尻に添えられて、そっと左右に割り開くと普段は晒されない場所に空気が振れる感覚があって私の全身に寒気が走った。
亜里沙は舌先を器用に使って、その中心にある穴の周りを小刻みにくすぐってくる。
「あ、あはぁ…ん…っ」
亜里沙は、私のお尻の穴周りを舐めるのが大好きなのだ。
おかげで私もこの快感を覚えてしまい、すっかり夢中になってしまっている。
舌先がその入口をくすぐると、一瞬抵抗するようにそこは閉じていくのだが、柔らかく濡れた舌が這い回るほどに、今度は緩んで開いてしまいそうになる。
羞恥と欲望がダイレクトに、その場所を開いたり閉じたりさせるのだ。
だから亜里沙に隠し立てはできない。
「ん、ふぅ…」
亜里沙の吐息が秘部の方にまでかかり、私は背筋がぞくりとして一度だけ身体を振るわせる。
それを見るのがとても楽しいとでも言うように、亜里沙は要所要所で私の秘部にわざと吐息を吹きかけてきた。
「や、だ…そんな、しちゃ…焦らさないで」
亜里沙の舌先はあくまでも私の肛門だけを愛撫しているのだが、それだけで私は花弁の間から徐々に蜜が溢れだしてこぼれそうになるぐらいに感じてしまっていた。
あ…垂らすかもと思った時にはもう遅く、軽く開いた太腿の間に、不規則に生温かいものが流れ落ちていく感覚があった。
亜里沙からは、この様子が全て見えているだろう。
「いい景色よ、真帆…ほんとに」
「…恥ずかしいよぉ」
早く、その場所にも触れて欲しくて私はそれまでよりも広く膝の間を開く。
それに連動して腰が突き出され、結果的に亜里沙の顔に自分のお尻を擦りつけるような恰好になってしまうのだが、構ってなどいられない。
「亜里沙、お願い……おまんこにもして」
「わかったわ」
亜里沙が舌をいっぱいに伸ばして、下から私の花弁を舐め上げる。
一回ずつ下から上へ、花弁の割れ目からお尻の穴までを丁寧に舐め上げていき最後の場所では軽く舌先を蠢かせてくるので、その度に私はいやらしく喘ぎ声を上げてしまう。
「あ…あっ…あふ……」
「顔、上げて」
枕に埋めたままでは声がよく聞こえないから、という事なのだろう。
しかし顔を上げるとますます背中が反って、お尻が上を向いて卑猥なスタイルになってしまう。
亜里沙はそれも見たいのか、こうして顔を上げろとリクエストするのが常だった。
「はぁ……あ、あ…あぁ…ん」
「いい声、もっと聴かせて?」
「あ……んっ」
股間に亜里沙の顔が密着し、指では皮ごと萌芽をこね回しながら大胆に舌を秘部へと挿入してきた。
身体の内側で蠢く舌の感触と、綺麗に筋の通った亜里沙の鼻先が私のお尻の穴に触れて刺激してきて、私は二重に感じる事になってしまった。
「あ…亜里沙っ、はぁんっ」
さほど時間をかけていないのに、私はあっさりと絶頂を迎えてしまう。
果てた後も態勢は買えずに荒い呼吸だけをしていると、亜里沙はこぼれた蜜を丁寧に舐め取りながら私が落ち着くのを待ってくれた。
「…真帆」
声をかけられただけで、次にどうするのか私もわかっている。
身体を亜里沙の方に向けて二人で向かい合い、足と足をかませるように交差させ、秘部同士を擦り合わせる。
ゆるくもどかしい刺激でお互いをわざと焦らすのだ。
亜里沙の花弁が振れる瞬間はいつも、亜里沙がこぼした蜜の量を確かめるように腰を動かしてしまう。
最終的には、お互い唇を重ねながら互いの秘部に二本の指を挿入して、中をめちゃくちゃに掻き回しながら果てるのだ。
身体が震えて時々唇が離れる度に、私たちは自分がいかに感じているかを相手に伝え合う。
「亜里沙、わたし…またいっちゃうよぉ」
「うん、イって?いっぱい……私も…もうすぐだから」
亜里沙の身体の内側はもう、十分知り尽くしている。
どこをどう触れば最速で達する事ができるか、という事もだ。
「亜里沙、ここ…好きでしょ?」
「ひゃ、あ…そこダメっ、ぐりぐりしないで……」
溢れ出る蜜が行き場を失い対流するので、指先がその場所を的確にとらえられないぐらいにぬるついてしまう。
そんな状態の中で、私たちはお互いを必死にまさぐり合うのだ。
亜里沙がメイクしてくれた真っ白でのりの利いたシーツが、二人の愛液で濡れていく。
それがたまらなくもあり、ますます蜜が溢れるのを止められなくなった。
「真帆…私の、真帆だよ」
亜里沙の指が、私の最も感じるスポットにドンピシャで力を加えた瞬間、私は再びあっさりと果てを迎えた。
膣内を痙攣させ亜里沙の指をひくひくと捕まえながら、私は「すぐいっちゃうから…恥ずかしいのに」と言葉にする。
「だからしたくなっちゃうんだよ」
亜里沙が私を押し倒して、私の両脚を思い切り開きながらびしょびしょの秘部を舐めしゃぶってくる。
「あ、あ…ダメ…っ」
「ダメじゃないでしょ」
「あぅ…ん……っ」
もう、膣のひくつきが止まらない。
亜里沙の施す刺激が変化に富んでおり、飽きる事なく私の秘部はその快感を痙攣で訴え続ける。
私はぎゅっと拳を握って自分の口元を覆った。
何か、力を入れていないと意識を失いそうなぐらいに感じてしまっているからだ。
「我慢なんてしないで…私の前ではいっぱい乱れて見せてよ」
そう言いながら、ずるずると私の秘部を亜里沙がすする。
開かされた両脚の膝も小刻みに動いて、脚が伸びかけたりたたまれたりを繰り返す。自分の意志とは関係なくそうなってしまうのだ。
「亜里沙も、来て…舐めたい」
「うん、いっぱい舐めて」
目の前に亜里沙の秘部がやって来て、私はそれを唇で柔らかく受け止めた。
顔を斜めにして亜里沙の花弁にキスするように重ねつつ、舌をゆっくりと左右に動かして、割れ目を上下になぞる動きをする。
「真帆、それっ…好き」
そんな言葉がなくても、それは溢れ出る蜜の量でよくわかる。
口だけでは受け止めきれなくなり、亜里沙の蜜が私の頬や顎にも垂れてきた。
このままでは蜜で溺れてしまいそうだ、と思いながら私もまた亜里沙の口淫により大量の愛液をこぼしている事だろう。
もっとも、亜里沙はそれらを全て舐め尽くしてしまうのだが。
「…んっ、くふ……っ」
私のあらゆる恥ずかしい場所は、既に亜里沙によって暴かれ様々な刺激を与えられ、快楽を拾うように開発されている。
その所為なのか、私は行為の最中に軽く失禁してしまう事が増えた。
しかも亜里沙は、少しぐらいなら平気でそれを飲み下してしまうから、私はますます我慢がきかなくなり、下半身をまるごと弛緩させ亜里沙に預けてしまうようになっている。
「亜里沙っ、で、出ちゃうっ…」
「…うん、大丈夫…飲んであげるから」
「やだ…そんな事、言わないで…っ」
言わないでなんて嘘に決まっているのに、ぬけぬけと言ってのける自分が嫌になりそうだ。
亜里沙は亜里沙で、舌で秘部をこじるふりをして軽く尿道まで刺激してくる。
そんな事をされたらとてももたないのは明白で、私は亜里沙の口めがけてほんの少しだけだが、蜜とは別種の液体を放っていた。
亜里沙がそれを、喉を鳴らして飲み下していく。
いつも亜里沙はそうだ。
愛液だろうが何だろうが音を立てて飲み下し、その様子をしっかりと私に見せつけ、音を聞かせてくる。
そんな亜里沙を見ているだけで、私の身体の芯からは新たな熱が生まれていくのだ。
「あはぁ……っ」
恥ずかしさをごまかそうと思い亜里沙の秘部を夢中でしゃぶる。
すると亜里沙も興奮してきたのか、今まで以上にわかりやすく喘ぎ声を上げ始めて絶頂が近い事を知らせてきた。
「あ、ふぅ…ん……」
もう一度、指を使って亜里沙の中のいい所を擦り立てる。
そうしながら柔らかく唇で亜里沙の入り口を食んでやると、倒錯した刺激によって亜里沙は高い声を上げた。
「ま、真帆…それっ、いいよぉ…いっちゃうっ…」
そこで勢い良く亜里沙の萌芽を吸いまくると、亜里沙の身体から力が抜けて、崩れるように私の身体に体重を預けてきた。
そうしながら小刻みに身体を振るわせて、絶頂している事を態度で伝えてくる。
「はぁ……はぁっ」
力尽きる寸前まで追い詰められてもなお、亜里沙は私の秘部を舐め回そうとするのを止めない。
「真帆…好き、大好き」
合間にそんな愛の言葉を呟きながら、私の剥き出しになった萌芽や腫れあがった膣肉をぺろぺろと嘗め回してくるので、私の身体は休む事なくそれに反応してしまう。
「亜里沙だめ…やめられなくなっちゃうよ」
「…平気でしょ?まだやめなくても」
「…っ、はぁん」
亜里沙の繰り出す刺激のパターンが多いから、何度達してもまた新たな刺激に身体は感じ始め、更に体温は上昇する。
「…ねえ、真帆」
私が、もはや反応する体力さえも尽きかけてぐったりしていると、緩く私の股間を舐めていた亜里沙が尋ねてきた。
「…何?」
「…そのうち、本気で真帆がおしっこしてるとこ、見せて欲しいな」
「は…恥ずかしいよ」
「恥ずかしい所が、見たいの」
言葉の合間にも、巧みな舌使いで私の敏感な部分をつついたり転がしたりする亜里沙。
「んっもう……」
「お風呂場でなら、いいでしょ?」
明確にどうとも返答しなかったが、亜里沙としては既にやる気になっているだろう。
普段は凛々しく、秘書課の課長代理としててきぱきと仕事をこなすような人物である亜里沙が、その整った顔や身体を私の愛液まみれにして、挙句私の放つ別の液体まで浴びたがっているというのが、強烈なギャップとなって期待と興奮を誘った。
「…そんな事、他の人とはした事ないでしょ?」
「…うん」
「真帆にそういう事、させたいの」
亜里沙が身体を反転させ、這い上がるように腕を絡めて抱きついてくる。
私もそれに応じて亜里沙の腰に腕を回した。
何度もついばむように唇を吸い合って、ようやく亜里沙との行為は収束の気配を漂わせる。
「真帆…お腹すいた?」
「うん、まあ…ね」
「すぐ作るから、だからもう少しだけ」
終わらないのではないかと思えるほど亜里沙のキスは延々と続く。
だが本人の言葉通り、それを十数回繰り返した後、名残惜しそうに亜里沙は私から離れた。
私は、ベッドに残る亜里沙の痕跡をたどるようにシーツで身体をくるんで、交わりの余韻に浸り続ける。
そうしていると、キッチンの方から亜里沙が手早く朝食を用意している物音が聞こえてきた。
…これが、土曜日の朝の醍醐味だ。
亜里沙はどこまでも、私を甘やかしてくれる。
私がベッドから出ようとしなければ、そこで朝食を食べさせてくれるぐらいに。
但しその代わりいつまでも裸のままでいた罰として、また亜里沙に何度も絶頂させられてしまうのだが、それは望む所なので罰としては機能していないだろう。
「……」
時折、この土曜日の朝を、彼女たち--つまり松浦部長と冴子ちゃんがどう過ごしているのかな、と考えたりする事がある。
その所為で亜里沙には私の寝起きが悪いと勘違いされているふしもあるが。
冴子ちゃんが私に似ていると言うのであれば、きっと有り余る愛情を注がれているに違いない。
今の私と同じように、だ。
…でも。
本当にそうだろうか。
亜里沙と松浦部長に違いがあるとすれば、「遠慮」の量ではないかと思われる。
亜里沙は私が気にしないと言っても、勢い余って将来の話までしようとするぐらいに一途な自分を晒してくるけれど、松浦部長はどうだろうか。
理知的な分、冴子ちゃんの将来を縛りたくないなんて考えていたりはしないだろうか。
…そんなものはあまり意味がない。
自由を尊重するなんて、私や冴子ちゃんのような女には単なる隙にしかならないのだから。
第一、逃げようと本気で思えばどんな束縛からでも逃げる手段はあるだろう。
そして亜里沙や松浦部長のような人は、迷惑や法律を犯してまで逃げる相手を追うような馬鹿なまねはしないはずだ。
例えは変かもしれないが、動物にはそれぞれ飼育方法があるように、狙われる女の繋ぎ止め方というのは独自に存在する。
例えばあの、梢ちゃんに私が悪戯していた夜の事もそうだ。
冴子ちゃんに「見て」と直接頼めば、案の定逃げなかった。
冴子ちゃんや私のような人間に対しては、言葉というものが案外に有効な支配の手段となるのだ。
勿論一時的に、の前提付きだけど。
…余計なお世話だ、と思いながらも松浦部長があの娘に苦戦しているであろう事が容易に想像できて、私は一人で含み笑いをしてしまう。
「…思い出し笑い?」
「いや、違うけど」
予想通りベッドサイドまで朝食を運んできた亜里沙がいぶかしげに尋ねてくる。
きっと、他の誰かの事でも考えていたのではないかと疑っているのだろう。
「…食べさせてほしいな」
「もうっ、我儘なんだから」
不服そうに言うがその割に亜里沙は笑顔だ。
この程度の無茶なお願いぐらい、当然聞いてもらえるとわかっていて頼むあたり私も図々しいものだと思うが、やはり亜里沙に対して遠慮はしなかった。
亜里沙は、裸の身体にエプロンだけを着けてベッドサイドに座っている。
黒くて、まるでカフェの店員さんがしているようなごわっとした麻素材のエプロンもまた、亜里沙のものらしくきっちりとアイロンがけされていた。
別に全然いやらしい雰囲気ではないから、何だか自分ばかりが行為の余韻を引きずっているようで、ほんの少し恥ずかしくなる。
亜里沙をその余韻にまた引きずり戻したくて、私は甘えてしまったのかもしれない。
「…美味しい?」
スプーンですくった、生に近い半熟のスクランブルエッグを私の口に押し込みながら亜里沙は心配そうに尋ねてくる。
「味見してないの?…してるんでしょ?」
「まあ…そうだけど」
亜里沙の料理の腕前は素人とは思えないほどなのに、こうして私の好みに合うかをいちいち心配してくるあたりが、完璧主義の亜里沙らしくて可愛いと思う。
「美味しいよ」
改めてそう伝えて、私は亜里沙の顎を掴み無理やり自分の方へと引き寄せた。
亜里沙は慌てて手に持っていたスプーンをサイドテーブルに置いたプレートに戻して、そこから手を離す。
同時にバランスを崩した亜里沙の身体が、どさりと私の上に乗っかってきた。
「……」
口移しでほんの少し、亜里沙にスクランブルエッグを食べさせる。
亜里沙は顔を真っ赤にして息を止めていた。
それだと味がわからないじゃないか、と私は呆れてしまう。
「…ね?」
美味しいでしょ、と尋ね返すのだが、その前にさんざんいやらしい音を立てて亜里沙の口内に私の唾液を流し込んだので、亜里沙はやっぱり顔を赤くしたままもごもごと何か呟くばかりだった。
「…お腹、空いてるんでしょ?」
困ったように亜里沙が尋ねてくるが、私ははぐらかしてしまう。
「亜里沙が食べたくなっちゃった」
「…まったく、もう」
そしてまた、私たちは身体を重ねる。
あの二人は今頃どうしているだろうという考えは、亜里沙の美味しい朝食と、甘い誘惑の前にすっかり忘れ去ってしまった。
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