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モンブラン(美咲SIDE)
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…冴子が戻ってくるまでに、もしかすると何日かかかるかもしれない。
根拠はないがそんな予感がした。
けれど、冴子はこまめに私にメッセージを送ってくる。
今日はどんな事をしたとか、どんな事を思ったのかとか、些細な事をあえて知らせてきているようだ。
本人はどう思っているか知らないが、さながら冴子の事は生命力に溢れていて誰の指図も受けずに優雅に暮らす、飼われない猫のように思っていたりする。
そんな風に言うと失礼なのかもしれないが、わかりやすくするために私はそう思う事にしていた。
なぜならそんな猫は餌付けして手中に置いておこうとしても、無理なのだ。
餌なら他からいくらでも調達できる術を持っていて、気分によってその時欲しい餌をくれる人の下を訪れる。
気が向けば身体を撫でさせたりもするが、つまらなくなると黙って去っていく。
そういう事をあちこちでしているはずで、こちらはわかっていても来ればつい接待してしまうのだ。
あまりにも可愛い猫だから。
それを完全に独り占めしたいと願っても、土台無理な話であって、居なくなれば「あー行っちゃった」と軽く名残惜しむ程度にしておくのが無難である。
ところが猫と違うのは、冴子は私に惜しみなく身体を差し出し奉仕する所だ。
ここだけは優雅な猫とはわけが違うため、例えとしては実際問題不十分なのである。
…何か、そんなおとぎ話がどこかにあったような気もするが、思い出せない。
鶴の恩返しでもないし、竹取物語でもないし、何だったろうか。
そもそも美女がいきなり現れる話はあるけれど、セックスさせてどうこうなんて話は、あるとすれば神話か古典の物語、もしくは純文学の何かだろう。
…源氏物語か谷崎だったかな、なんて曖昧に記憶をたぐるがそれは諦める事にした。
冴子が居ない時間をやり過ごす事は普通にできる状況なのだけれど、私の思考はなぜかどんどん捻じれていく。
どういうわけか、冴子の思考をトレースしようとするあまり、自分も抗えないような強烈な誘惑というものに身を投じてみたいと思ったり、思わなかったりして。
…そんな事してどうする、という突っ込みも自分で入れているのだが、有り余る性欲の持ち主である冴子が、それを自覚してどうにかしたいと思っていても逆らえないぐらいの状況というのが、なかなかうまくイメージできない。
あの動画の女の子をわずかにヒントにしてみるけれど、何をどうしたらああいう映像をもらうような間柄になるのか、プロセスは皆目見当がつかなかった。
…もう一つ冴子の罪深い所は猫とは違い、微妙に罪悪感を持っている所である。
堂々と餌をねだり、一方的に立ち去る事の何が悪い、という態度は取らない。しかしそこが罪深いのだ。
冴子は身体さえ満たされれば他は興味なし、と割り切れている娘ではない。
微妙な申し訳なさや、自分を満たしてくれた相手にありがたいなどという態度を取って見せる。
猫の例えで考えれば、本質的に宿主を持たない猫が、態度として媚びてきたり一瞬でも自分を明け渡したように寛いでみたりして、それでこちらが勘違いするなとなれば、混乱をきたすのは必然だ。
だから、そこは冴子の罪深い所である。
他ではしていなさそうな事までさんざんさせておいて、「だからって自分のものになったとか思わないで」なんて事実を突き付けられる側としては、準備をしていてもけっこう面食らう。
そういう冴子の思考を理解しようとしてできるのかはわからないが、冴子が言っていたのはとにかく「流された」という事だった。
つまり目の前に、とてつもなく美味しそうな餌が置かれて、食べろ食べろと言われたという事になる。
私の場合、餌らしいものはなくもなさそうだが、それは「とてつもなく美味しそうな」ものではない。
例えば袴田あたりは、頼まずとも餌らしいもの--それは性的なものに限らず経済力なんかも含めてだが、一般的な女性が言う所の餌は、あれこれ持ち合わせているだろう。
ただ、それは私にとってさして美味しそうなものには思えないから、食いついていないのだ。
「…あ」
ほとんど関連性はないはずなのだが、私は『WS』アプリのある広告を思い出した。
本当に珍しい広告だから記憶にあったのだけど、それはいわゆる女性が女性に性的サービスを提供する風俗店の広告だった。
私は冴子ほど、明確に性的行為を「餌」のようには認識しないけれど、冴子に対しても、そしてあの動画の女の子の自慰シーンにも、身体が反応したのは確かだ。
その好奇心のようなものを手がかりに、WSアプリを開いて広告バナーをタップしてみる。
店名が「スターフルーツ」とあって、何だか若っぽい感じだな…などと思っていたけれど、サイト内には利用者からのレビューが数多く、しかも大変に熱のこもった長文が寄せられていた。
男性経験も女性経験もなく自分に自信がなかったという人も居れば、興味はあったがなかなか勇気が出なかったという人もいたりする。
生粋の女性好きというよりも、そうではないかもしれないぐらいの感じで利用している人が多いのだなとわかった。
そして料金体系を見てみると、相場がいくらかは知らないが、決して一回きりの記念利用でないと無理、なんて事はない金額なのにも驚いた。
金額を具体的な数字で見て以降、私は俄然このサービスへの興味がわいてくるのを感じた。
冴子を独占するのは土台無理というのはわかっている。
けれども冴子以外の相手を持たず、これを続けていれば大なり小なり冴子の一挙手一投足に気を取られて、過剰に反応してしまうような気がして不安でもあった。
…だからと言って他の相手と関係すればそれが緩和されるという保証はないけれど、私は何か、変かしたいと思っている。
そういう意味で未知のこの世界を垣間見る事は、悪くないような気がしていた。
*-*-*-*-*-
「こんにちは」
新宿の駅前で声をかけられ、私はそちらを見た。
待ち合わせ場所に着いて自分の服装を店に伝え、待っている所だった。
「ミサキさん、ですか?」
「はい、はじめまして」
「怜奈です、宜しくお願いいたします」
「こちらこそ宜しくお願いします」
ある土曜日の午後を指定して、私は店に依頼を行っていた。
どんな子が良いのか正直あまり良くわからなかったけれど、とにかく20代前半の、若い娘かどうかという基準で指名をした。
「今日はもう一人…で良いんですよね?」
「そう、良いです」
「良かった、じゃそちらはご指定の時間に合流しますので」
「わかりました」
私は、事前に以下のようなプランでオーダーを入れている。
前半はこの怜奈という子とカフェでお茶をする。
少し打ち解けた所でホテルへ移動、そこでもう一名のキャストと合流し、いよいよお楽しみという流れだ。
私が開けようと思っている未知の扉、それは「2人の女性に攻められる=3人で交わる」というものにしてみた。
こういうサービスだからこその醍醐味を味わってみたくて、疑似恋愛ではなく普段はできないような事を、お願いしてみようと思った。
でもいきなりは精神的に疲れる気がしたから、そのうちの一人と先に少し関わりを持ってから、という事にしたのが経緯である。
これは私なりの工夫で、二人両方と最初からお話をしてしまうと、どうも仕事で部下に接する時と被る気がしたのだ。
心を通わせるのは最小限の量、人数であれば良い。
こちらが混乱したり不安にならない程度の最小限度はそこだった。
あとはむしろ、あまり知らない方が没頭できるような気がしている。
現に冴子とも、直接会ったその日に関係を結んだのだから。
怜奈と名乗る女の子は、丸みのあるボブヘアに細身の身体つきをしている。服装もさっぱりとしていて、白いダンガリーシャツにグレーのペンシルスカートを履いていた。
顔を見ればはっきりと女性だとわかるものの、全体的な雰囲気が少し中性的で、それ故にかなり若く見えた。幼いと言っても良いぐらいである。
近場のカフェまで歩き、時間にして1時間ほど、怜奈と話をした。
「実は私、エステとかリフレクソロジー系の仕事をしてたんです。それで女性の身体に触れるのは慣れていたし仕事にもしているぐらいだったんですけど、あるお客様の身体に触れた時に、何かものすごく興奮してしまって…それでもっと深く女性の身体に触れたいという欲望に気付いてこのお店に登録しました」
「そうなんだ」
「ミサキさんは初めてですか?…こういうの」
「うん」
「…珍しい、って言ったら失礼かもしれないけど、勇気がありますね」
「なんで?」
「その…いきなり3人でとか、そういうのが」
「あれ、やっぱりあんまり居ないんだ、そういうお客さん」
「いないわけじゃないですけど…多くはないと思います」
「…なるほど」
「…実際、3人でちゃんとするのって難しいですし、経験ある人も少ないから…対応できるキャストは少ないです」
「私も、3人は初めてだから、どうなるのかなって思ってたりはするけどね」
「それにしては冷静ですね」
「そりゃまあ…」
「もし、あー無理だなって思ったりしたら、その時は遠慮なくストップかけてくださいね」
「わかりました」
怜奈は25歳との事だったから、冴子とほとんど年齢は変わらない。
ただ、サービスの内容に関する話は、当然の事なのだろうがスムーズ過ぎるほど手馴れていたし、冴子にはない余裕のようなものも感じられて、年が近くても随分感じが違うなあと思った。
「…あんまりこういう事言っちゃいけないんだけど、ミサキさんって相手には困らなそうな感じが、すごくする」
「…相手に困ってるかと言われたら、そうでもないのかもしれないけど」
「やっぱり」
「でも、それはそれで困るのよ、立場もあるしね」
「そりゃそうだ」
やたらと頷く怜奈は、私が多くを語らずとも様々な事に思いを巡らせて察する能力に長けている。
ほとんど話をする事なく女性の身体を触る、美容業界に身を置いていたのも頷けた。
「私、あえて本名で仕事してるんです」
「怜奈って、本名なの?」
「はい」
躊躇なく、免許証の氏名欄を見せてくる怜奈。
苗字は親指で隠していたけれど、そこには確かに怜奈という名前が印字されていた。
「医療者もそうだと思うんですけど、人の身体に触れる仕事をする上で一番大切なのは、お客様との信頼関係だと思っていて…それは名前がどうでも関係ないと言えばないんですけど、私なりにお客様の信頼を少しでも得られるようにと思っての、ポリシーみたいなものなんです」
「へー、それこそ珍しい、んじゃないの?」
「そうですね、リスクもありますから」
「だよね」
「あと…そういう事してる時に、どうも違う名前だとうっかりしちゃうって言うか、あ、今自分はその名前だったんだとかっていちいち切り替えるのが苦手なんですよね、だから名前を使い分けるのは向いてないなって思って、諦めました」
「そっか」
年の割にはよく考えているし、話もわかりやすい。
客が不思議に思うであろう事も、先回りしてさらりと説明してくれる。
だから私はただ相槌を打っているだけで良く、非常に楽だった。
「私、今貴女と同じぐらいの歳の娘と、付き合ってるの」
「本当ですか?…それは羨ましい、いや違った」
「でも年が離れてるし、こっちが色々リードしたり我慢したり、気付いたらそんな感じになっちゃってて、何だか難しいね」
「うーん…何も考えたり意識しないでいるのって、難しいですよね」
「そうそう」
これから本当にこの娘と肌を重ねるのかと思うと、全く現実感がない。
ただ単に茶飲み話で終わるんじゃないか、ぐらいに私は和んでしまっていた。
リラックスしようと思って紅茶の他にモンブランも頼んでそれを食べていたのだけれど、なぜだか今日はうまくフォークを裁けなくて、皿の上でケーキがひっくり返りそうになったりして、かえって慌ててしまう。
「大丈夫ですか?」などと怜奈に声をかけられると、どちらが年上なんだかわからなくなりそうだった。
「因みに、聞いてもいいですか?」
「何?」
「…その、お互い相手をどう呼んでます?」
「…え」
「ほんとは最初に聞かなきゃいけなかったんですけど、と言うか勝手にそれで始めちゃったんですけど…お名前の後、敬称はどうすれば良いのか、悩んでいたので」
「あー…」
「年上のお客様には『様』付けが基本なんですが、今日はその、それをやっちゃうと1時間で打ち解けられる気がしなくて、しかも初めてご利用されるのだとわかっていたので、勝手にさん付けでスタートしてしまいました…」
「いや、その事は大丈夫だから」
「すみません、ありがとうございます…それで」
「…呼ばせ方?」
「はい、まさか…呼び捨てとかじゃないですよね?」
「私はそうだけど、相手は違うね」
…変にもったいぶるとかえって言いにくくなるのはわかるのだが、私の中には躊躇が生まれていた。
一応あの呼称については二人だけの秘密という事にしていたから。
だからそこをズバリ聞かれて私は怜奈の鋭さに素直に驚いている。
まあ怜奈は直接の知り合いではないし、ここでそれを話しても差し支えはないだろう。
それに、冴子のような娘が私をそう呼ぶ件について、他の女性からの意見を聞いてみたいという興味もあった。
「彼女は私を『お姉さま』って呼んでる、二人の時だけね」
「あ~っ、それ、イイですね!うんうん、なるほど」
怜奈はこれまで以上に勝手に何度も頷いている。
「そういう距離感って堪らないですね、でも…確かに呼ばれる側はプレッシャーかもしれませんね」
怜奈にとって私は客だからそんなフォローをするのだろうけど、いちいちそれなりにポイントを押さえている所が憎い。
「…可愛い子なんですか?」
「そうだね、容姿の偏差値は非常に高いと言って良いと思う」
「え~っ、……なんか、興奮してしまいます」
物分かりと察しの良い怜奈に乗せられてしまったのか、頼まれもしないのに冴子の写った写真なんかもつい見せびらかしてしまった。
「…何ですかこれ?、めっちゃ美人なんですけど」
「おまけに胸が超デカイのよ、反則でしょ?」
「これは…そうですね、もしうちのお店にこんな人がいたら私たち指名取れなくなりそう…」
「ほんと、贅沢な話だよね…こんな子がいてそれなのにあなたみたいな子にまで勝手な要求しちゃおうって言うんだから」
「いやいや、そこは女同士と言えども付き合ってしまうとなかなかに難しい問題は起こりがちですから…」
「ちょっと興奮して顔が熱いです」と怜奈は手で仰ぐようにしながら自分の方へ風を送っている。
「そんな事言うけど、それなりに経験や思い入れがあるからこそ、こういうお仕事してるんじゃないの?」
「いやー、仕事は仕事ですけど、趣味と実益を兼ねてという方が正しいですね、私には」
「……」
「とにかく女性の身体を触っているのが好きで、そして喜んでもらえるのが嬉しくて、それで満足しちゃう癖がついちゃって、真剣に恋愛しながらというのは正直未経験に近いですから」
「…そうなんだ」
「仕事から入っているからでしょうね、もっと本能的に求めていくタイプの人なら、それこそ出会い系なんかを使ってガチでたくさんの女性と付き合ってみたりそういう事だけしてみたりっていう人はいます」
「…そっか」
感慨にふけっている事を隠しきったつもりだったが、怜奈は一瞬で見破り言い当ててくる。
「彼女さんは、そっち側なんですね?」
「まあ、そうだね」
「…なるほどね、だんだんわかってきました」
「そりゃ、助かる」
「…行きましょうか」
怜奈は時計をちらりと確認する。
時間が迫っているというのがその仕草でわかった。
今日の私は自分がリードしたり場をコントロールしたりという事から開放されたいというテーマを持っていたので、自ら体内時計のスイッチは切っている。
カフェの会計は私が済ませ、二人でブティックホテル街に向かって歩いた。
こういう時、手は繋ぐべきかどうなのかよくわからなかったけど、なんとなくいきなり交わる時だけ触るのも変な気がして、肌のなじみ度合の確認も兼ねて怜奈と手を繋いで歩いた。
…そう言えば、冴子と街を歩く時にはどうしていたっけ。
いちいち意識していないから、手を繋いでいたかどうか、思い出せない。
多分繋いでいたはずだけど、それをしようとすると冴子がえらく恐縮したり、「知り合いに見られたら」なんて事を気にして遠慮したりしていた事はあったなと思い出す。
私は、冴子のそんな言動の影に隠れている本音をしっかり考えていなかったように思われた。
…本当は、始終ベタベタしていたいと思っていたんだろうか。
いたんだろうな、と思う。そこははっきりしている。
問題は、私がその気持ちをちゃんと汲んで多少遠慮されても押し切って行動していたかどうかだ。
そこが定かではない。
「のら猫なんだから繋いでおくのは無理」と先回りしているから、そもそも私は一度でも冴子を繋ごうと試みた事さえない。
必死になってやろうとしないで、先に「無理だから」と考えている。
そこが私の問題点だと思った。
繋いでおきたいと真剣に考えて行動し、それでもだめだという事実を突きつけられて初めて、冴子の所為にする事ができるのではないか。
先に決めつけておいて冴子を責めるのは筋が通らないと思う。
私は思わず、怜奈の手を握る力を強くしていた。
握り返してくる怜奈からは、何か強い意志のようなものを感じた。
それと同時に怜奈がイメージしているであろう、これからの甘美な時間の前触れも伝わってくるようだった。
…私に期待させるだけの自信がある、という事なのだろう。
ビジネスとしてやっているのだから当たり前ではあるけれど、私はそんな怜奈が急に挑戦的な娘に思えてきて困惑すると同時に、どんなお手並みかしっかり確認させてもらおうじゃないか、という気持ちになった。
根拠はないがそんな予感がした。
けれど、冴子はこまめに私にメッセージを送ってくる。
今日はどんな事をしたとか、どんな事を思ったのかとか、些細な事をあえて知らせてきているようだ。
本人はどう思っているか知らないが、さながら冴子の事は生命力に溢れていて誰の指図も受けずに優雅に暮らす、飼われない猫のように思っていたりする。
そんな風に言うと失礼なのかもしれないが、わかりやすくするために私はそう思う事にしていた。
なぜならそんな猫は餌付けして手中に置いておこうとしても、無理なのだ。
餌なら他からいくらでも調達できる術を持っていて、気分によってその時欲しい餌をくれる人の下を訪れる。
気が向けば身体を撫でさせたりもするが、つまらなくなると黙って去っていく。
そういう事をあちこちでしているはずで、こちらはわかっていても来ればつい接待してしまうのだ。
あまりにも可愛い猫だから。
それを完全に独り占めしたいと願っても、土台無理な話であって、居なくなれば「あー行っちゃった」と軽く名残惜しむ程度にしておくのが無難である。
ところが猫と違うのは、冴子は私に惜しみなく身体を差し出し奉仕する所だ。
ここだけは優雅な猫とはわけが違うため、例えとしては実際問題不十分なのである。
…何か、そんなおとぎ話がどこかにあったような気もするが、思い出せない。
鶴の恩返しでもないし、竹取物語でもないし、何だったろうか。
そもそも美女がいきなり現れる話はあるけれど、セックスさせてどうこうなんて話は、あるとすれば神話か古典の物語、もしくは純文学の何かだろう。
…源氏物語か谷崎だったかな、なんて曖昧に記憶をたぐるがそれは諦める事にした。
冴子が居ない時間をやり過ごす事は普通にできる状況なのだけれど、私の思考はなぜかどんどん捻じれていく。
どういうわけか、冴子の思考をトレースしようとするあまり、自分も抗えないような強烈な誘惑というものに身を投じてみたいと思ったり、思わなかったりして。
…そんな事してどうする、という突っ込みも自分で入れているのだが、有り余る性欲の持ち主である冴子が、それを自覚してどうにかしたいと思っていても逆らえないぐらいの状況というのが、なかなかうまくイメージできない。
あの動画の女の子をわずかにヒントにしてみるけれど、何をどうしたらああいう映像をもらうような間柄になるのか、プロセスは皆目見当がつかなかった。
…もう一つ冴子の罪深い所は猫とは違い、微妙に罪悪感を持っている所である。
堂々と餌をねだり、一方的に立ち去る事の何が悪い、という態度は取らない。しかしそこが罪深いのだ。
冴子は身体さえ満たされれば他は興味なし、と割り切れている娘ではない。
微妙な申し訳なさや、自分を満たしてくれた相手にありがたいなどという態度を取って見せる。
猫の例えで考えれば、本質的に宿主を持たない猫が、態度として媚びてきたり一瞬でも自分を明け渡したように寛いでみたりして、それでこちらが勘違いするなとなれば、混乱をきたすのは必然だ。
だから、そこは冴子の罪深い所である。
他ではしていなさそうな事までさんざんさせておいて、「だからって自分のものになったとか思わないで」なんて事実を突き付けられる側としては、準備をしていてもけっこう面食らう。
そういう冴子の思考を理解しようとしてできるのかはわからないが、冴子が言っていたのはとにかく「流された」という事だった。
つまり目の前に、とてつもなく美味しそうな餌が置かれて、食べろ食べろと言われたという事になる。
私の場合、餌らしいものはなくもなさそうだが、それは「とてつもなく美味しそうな」ものではない。
例えば袴田あたりは、頼まずとも餌らしいもの--それは性的なものに限らず経済力なんかも含めてだが、一般的な女性が言う所の餌は、あれこれ持ち合わせているだろう。
ただ、それは私にとってさして美味しそうなものには思えないから、食いついていないのだ。
「…あ」
ほとんど関連性はないはずなのだが、私は『WS』アプリのある広告を思い出した。
本当に珍しい広告だから記憶にあったのだけど、それはいわゆる女性が女性に性的サービスを提供する風俗店の広告だった。
私は冴子ほど、明確に性的行為を「餌」のようには認識しないけれど、冴子に対しても、そしてあの動画の女の子の自慰シーンにも、身体が反応したのは確かだ。
その好奇心のようなものを手がかりに、WSアプリを開いて広告バナーをタップしてみる。
店名が「スターフルーツ」とあって、何だか若っぽい感じだな…などと思っていたけれど、サイト内には利用者からのレビューが数多く、しかも大変に熱のこもった長文が寄せられていた。
男性経験も女性経験もなく自分に自信がなかったという人も居れば、興味はあったがなかなか勇気が出なかったという人もいたりする。
生粋の女性好きというよりも、そうではないかもしれないぐらいの感じで利用している人が多いのだなとわかった。
そして料金体系を見てみると、相場がいくらかは知らないが、決して一回きりの記念利用でないと無理、なんて事はない金額なのにも驚いた。
金額を具体的な数字で見て以降、私は俄然このサービスへの興味がわいてくるのを感じた。
冴子を独占するのは土台無理というのはわかっている。
けれども冴子以外の相手を持たず、これを続けていれば大なり小なり冴子の一挙手一投足に気を取られて、過剰に反応してしまうような気がして不安でもあった。
…だからと言って他の相手と関係すればそれが緩和されるという保証はないけれど、私は何か、変かしたいと思っている。
そういう意味で未知のこの世界を垣間見る事は、悪くないような気がしていた。
*-*-*-*-*-
「こんにちは」
新宿の駅前で声をかけられ、私はそちらを見た。
待ち合わせ場所に着いて自分の服装を店に伝え、待っている所だった。
「ミサキさん、ですか?」
「はい、はじめまして」
「怜奈です、宜しくお願いいたします」
「こちらこそ宜しくお願いします」
ある土曜日の午後を指定して、私は店に依頼を行っていた。
どんな子が良いのか正直あまり良くわからなかったけれど、とにかく20代前半の、若い娘かどうかという基準で指名をした。
「今日はもう一人…で良いんですよね?」
「そう、良いです」
「良かった、じゃそちらはご指定の時間に合流しますので」
「わかりました」
私は、事前に以下のようなプランでオーダーを入れている。
前半はこの怜奈という子とカフェでお茶をする。
少し打ち解けた所でホテルへ移動、そこでもう一名のキャストと合流し、いよいよお楽しみという流れだ。
私が開けようと思っている未知の扉、それは「2人の女性に攻められる=3人で交わる」というものにしてみた。
こういうサービスだからこその醍醐味を味わってみたくて、疑似恋愛ではなく普段はできないような事を、お願いしてみようと思った。
でもいきなりは精神的に疲れる気がしたから、そのうちの一人と先に少し関わりを持ってから、という事にしたのが経緯である。
これは私なりの工夫で、二人両方と最初からお話をしてしまうと、どうも仕事で部下に接する時と被る気がしたのだ。
心を通わせるのは最小限の量、人数であれば良い。
こちらが混乱したり不安にならない程度の最小限度はそこだった。
あとはむしろ、あまり知らない方が没頭できるような気がしている。
現に冴子とも、直接会ったその日に関係を結んだのだから。
怜奈と名乗る女の子は、丸みのあるボブヘアに細身の身体つきをしている。服装もさっぱりとしていて、白いダンガリーシャツにグレーのペンシルスカートを履いていた。
顔を見ればはっきりと女性だとわかるものの、全体的な雰囲気が少し中性的で、それ故にかなり若く見えた。幼いと言っても良いぐらいである。
近場のカフェまで歩き、時間にして1時間ほど、怜奈と話をした。
「実は私、エステとかリフレクソロジー系の仕事をしてたんです。それで女性の身体に触れるのは慣れていたし仕事にもしているぐらいだったんですけど、あるお客様の身体に触れた時に、何かものすごく興奮してしまって…それでもっと深く女性の身体に触れたいという欲望に気付いてこのお店に登録しました」
「そうなんだ」
「ミサキさんは初めてですか?…こういうの」
「うん」
「…珍しい、って言ったら失礼かもしれないけど、勇気がありますね」
「なんで?」
「その…いきなり3人でとか、そういうのが」
「あれ、やっぱりあんまり居ないんだ、そういうお客さん」
「いないわけじゃないですけど…多くはないと思います」
「…なるほど」
「…実際、3人でちゃんとするのって難しいですし、経験ある人も少ないから…対応できるキャストは少ないです」
「私も、3人は初めてだから、どうなるのかなって思ってたりはするけどね」
「それにしては冷静ですね」
「そりゃまあ…」
「もし、あー無理だなって思ったりしたら、その時は遠慮なくストップかけてくださいね」
「わかりました」
怜奈は25歳との事だったから、冴子とほとんど年齢は変わらない。
ただ、サービスの内容に関する話は、当然の事なのだろうがスムーズ過ぎるほど手馴れていたし、冴子にはない余裕のようなものも感じられて、年が近くても随分感じが違うなあと思った。
「…あんまりこういう事言っちゃいけないんだけど、ミサキさんって相手には困らなそうな感じが、すごくする」
「…相手に困ってるかと言われたら、そうでもないのかもしれないけど」
「やっぱり」
「でも、それはそれで困るのよ、立場もあるしね」
「そりゃそうだ」
やたらと頷く怜奈は、私が多くを語らずとも様々な事に思いを巡らせて察する能力に長けている。
ほとんど話をする事なく女性の身体を触る、美容業界に身を置いていたのも頷けた。
「私、あえて本名で仕事してるんです」
「怜奈って、本名なの?」
「はい」
躊躇なく、免許証の氏名欄を見せてくる怜奈。
苗字は親指で隠していたけれど、そこには確かに怜奈という名前が印字されていた。
「医療者もそうだと思うんですけど、人の身体に触れる仕事をする上で一番大切なのは、お客様との信頼関係だと思っていて…それは名前がどうでも関係ないと言えばないんですけど、私なりにお客様の信頼を少しでも得られるようにと思っての、ポリシーみたいなものなんです」
「へー、それこそ珍しい、んじゃないの?」
「そうですね、リスクもありますから」
「だよね」
「あと…そういう事してる時に、どうも違う名前だとうっかりしちゃうって言うか、あ、今自分はその名前だったんだとかっていちいち切り替えるのが苦手なんですよね、だから名前を使い分けるのは向いてないなって思って、諦めました」
「そっか」
年の割にはよく考えているし、話もわかりやすい。
客が不思議に思うであろう事も、先回りしてさらりと説明してくれる。
だから私はただ相槌を打っているだけで良く、非常に楽だった。
「私、今貴女と同じぐらいの歳の娘と、付き合ってるの」
「本当ですか?…それは羨ましい、いや違った」
「でも年が離れてるし、こっちが色々リードしたり我慢したり、気付いたらそんな感じになっちゃってて、何だか難しいね」
「うーん…何も考えたり意識しないでいるのって、難しいですよね」
「そうそう」
これから本当にこの娘と肌を重ねるのかと思うと、全く現実感がない。
ただ単に茶飲み話で終わるんじゃないか、ぐらいに私は和んでしまっていた。
リラックスしようと思って紅茶の他にモンブランも頼んでそれを食べていたのだけれど、なぜだか今日はうまくフォークを裁けなくて、皿の上でケーキがひっくり返りそうになったりして、かえって慌ててしまう。
「大丈夫ですか?」などと怜奈に声をかけられると、どちらが年上なんだかわからなくなりそうだった。
「因みに、聞いてもいいですか?」
「何?」
「…その、お互い相手をどう呼んでます?」
「…え」
「ほんとは最初に聞かなきゃいけなかったんですけど、と言うか勝手にそれで始めちゃったんですけど…お名前の後、敬称はどうすれば良いのか、悩んでいたので」
「あー…」
「年上のお客様には『様』付けが基本なんですが、今日はその、それをやっちゃうと1時間で打ち解けられる気がしなくて、しかも初めてご利用されるのだとわかっていたので、勝手にさん付けでスタートしてしまいました…」
「いや、その事は大丈夫だから」
「すみません、ありがとうございます…それで」
「…呼ばせ方?」
「はい、まさか…呼び捨てとかじゃないですよね?」
「私はそうだけど、相手は違うね」
…変にもったいぶるとかえって言いにくくなるのはわかるのだが、私の中には躊躇が生まれていた。
一応あの呼称については二人だけの秘密という事にしていたから。
だからそこをズバリ聞かれて私は怜奈の鋭さに素直に驚いている。
まあ怜奈は直接の知り合いではないし、ここでそれを話しても差し支えはないだろう。
それに、冴子のような娘が私をそう呼ぶ件について、他の女性からの意見を聞いてみたいという興味もあった。
「彼女は私を『お姉さま』って呼んでる、二人の時だけね」
「あ~っ、それ、イイですね!うんうん、なるほど」
怜奈はこれまで以上に勝手に何度も頷いている。
「そういう距離感って堪らないですね、でも…確かに呼ばれる側はプレッシャーかもしれませんね」
怜奈にとって私は客だからそんなフォローをするのだろうけど、いちいちそれなりにポイントを押さえている所が憎い。
「…可愛い子なんですか?」
「そうだね、容姿の偏差値は非常に高いと言って良いと思う」
「え~っ、……なんか、興奮してしまいます」
物分かりと察しの良い怜奈に乗せられてしまったのか、頼まれもしないのに冴子の写った写真なんかもつい見せびらかしてしまった。
「…何ですかこれ?、めっちゃ美人なんですけど」
「おまけに胸が超デカイのよ、反則でしょ?」
「これは…そうですね、もしうちのお店にこんな人がいたら私たち指名取れなくなりそう…」
「ほんと、贅沢な話だよね…こんな子がいてそれなのにあなたみたいな子にまで勝手な要求しちゃおうって言うんだから」
「いやいや、そこは女同士と言えども付き合ってしまうとなかなかに難しい問題は起こりがちですから…」
「ちょっと興奮して顔が熱いです」と怜奈は手で仰ぐようにしながら自分の方へ風を送っている。
「そんな事言うけど、それなりに経験や思い入れがあるからこそ、こういうお仕事してるんじゃないの?」
「いやー、仕事は仕事ですけど、趣味と実益を兼ねてという方が正しいですね、私には」
「……」
「とにかく女性の身体を触っているのが好きで、そして喜んでもらえるのが嬉しくて、それで満足しちゃう癖がついちゃって、真剣に恋愛しながらというのは正直未経験に近いですから」
「…そうなんだ」
「仕事から入っているからでしょうね、もっと本能的に求めていくタイプの人なら、それこそ出会い系なんかを使ってガチでたくさんの女性と付き合ってみたりそういう事だけしてみたりっていう人はいます」
「…そっか」
感慨にふけっている事を隠しきったつもりだったが、怜奈は一瞬で見破り言い当ててくる。
「彼女さんは、そっち側なんですね?」
「まあ、そうだね」
「…なるほどね、だんだんわかってきました」
「そりゃ、助かる」
「…行きましょうか」
怜奈は時計をちらりと確認する。
時間が迫っているというのがその仕草でわかった。
今日の私は自分がリードしたり場をコントロールしたりという事から開放されたいというテーマを持っていたので、自ら体内時計のスイッチは切っている。
カフェの会計は私が済ませ、二人でブティックホテル街に向かって歩いた。
こういう時、手は繋ぐべきかどうなのかよくわからなかったけど、なんとなくいきなり交わる時だけ触るのも変な気がして、肌のなじみ度合の確認も兼ねて怜奈と手を繋いで歩いた。
…そう言えば、冴子と街を歩く時にはどうしていたっけ。
いちいち意識していないから、手を繋いでいたかどうか、思い出せない。
多分繋いでいたはずだけど、それをしようとすると冴子がえらく恐縮したり、「知り合いに見られたら」なんて事を気にして遠慮したりしていた事はあったなと思い出す。
私は、冴子のそんな言動の影に隠れている本音をしっかり考えていなかったように思われた。
…本当は、始終ベタベタしていたいと思っていたんだろうか。
いたんだろうな、と思う。そこははっきりしている。
問題は、私がその気持ちをちゃんと汲んで多少遠慮されても押し切って行動していたかどうかだ。
そこが定かではない。
「のら猫なんだから繋いでおくのは無理」と先回りしているから、そもそも私は一度でも冴子を繋ごうと試みた事さえない。
必死になってやろうとしないで、先に「無理だから」と考えている。
そこが私の問題点だと思った。
繋いでおきたいと真剣に考えて行動し、それでもだめだという事実を突きつけられて初めて、冴子の所為にする事ができるのではないか。
先に決めつけておいて冴子を責めるのは筋が通らないと思う。
私は思わず、怜奈の手を握る力を強くしていた。
握り返してくる怜奈からは、何か強い意志のようなものを感じた。
それと同時に怜奈がイメージしているであろう、これからの甘美な時間の前触れも伝わってくるようだった。
…私に期待させるだけの自信がある、という事なのだろう。
ビジネスとしてやっているのだから当たり前ではあるけれど、私はそんな怜奈が急に挑戦的な娘に思えてきて困惑すると同時に、どんなお手並みかしっかり確認させてもらおうじゃないか、という気持ちになった。
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