お姉様は一途でいたいのに妖艶美魔女に狙われています

那須野 紺

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剥がれたファンデーション(美咲SIDE)

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私と佐藤友紀、そして山元愛美の三人は件のスイートルームとは完全に別室となるツインルームに入り、そこで佐藤友紀を宿泊させる事になった。

このフロアには、スイートと一続きになっている--と言っても一応扉で仕切る事はできるのだが--コネクティングルームがあり、スイートとそこを一つの部屋として数えると、この部屋の正規のベッド数はつごう4台という事になる。

佐藤友紀を宿泊させているのはそれとは別に、独立した広めのツインルームだ。
この、マンションの1フロアを借りて設えられた当社のホテルとしての部屋はスイートとこのツインの二部屋という扱いとなる。因みにツインのみの宿泊予約は受け付けていない。予約するならスイートのみ、またはスイートとツインの両方利用のいずれかでなければ不可という設定だ。

ツインルームに入った直後の佐藤友紀は、それなりにと言うか、あからさまに落ち込んだ表情を見せていた。
…無理もない。全力フェロモンモードの容子に誘われて抗えないという状況を差し引いても、ステディと思っている相手が目の前で当たり前のようにそれに応じて見せたのだから、真面目な性格の人間であればショックもひとしおだろう。

私と真下みすずの間にあった過去の経緯を思えば、その状況には溜飲が下がる思いでもあるが、それはあくまでも私個人としての所感であって。
容子の誘惑で落ちるという事は、概ね冴子が同様に誘惑した場合も結論はそう変わらないだろう。冴子の親友である友紀からすればそちらの方がよほどショックだろうけれど。

個人的には、なんとなくの期待程度で容子と交わるのは全く推奨しない。
容子の猛者ぶりに充てられて、かえって後悔する事になるからだ。
あるいは容子を例え性的にでも独占できない事に苛立つ結果というのも想定できる。

「……」

私はツイーンルームの外に出て、当初レセプションが開かれていたスイートの広間に戻っていた。ここには勿論、今は誰も居ない。

そうしている理由というのは、主に愛美が佐藤友紀を励ます?流れでなのか何なのか、そして友紀本人も半ばヤケになってなのか、二人の間で「そういう」雰囲気が出来上がってしまったからなのだけど。

…まあ、どうせ一人寝した所で精神的にもやもやするばかりでいっそ、その方が気が紛れるというのもあっただろう。
あるいは自分自身もまた、セクシャルな誘惑に流されるという罪悪感が軽減される状況であるというのも大きいだろうか。

…だとしたら、私は冴子に関して割と本気であるのに、冴子が木下光江と肌を重ねる件について私はさほど動揺していない。
自分の感性がおかしな方向に歪んだのは、冴子との付き合いを継続する中で習得した処世術なのかもしれない。
そんなものは積極的に身に付けたい訳ではなかったのだけれど。

立食用に設置されている丸テーブルの上には、まだ中身の残っているワインボトルがあった。
私はそれを取り上げグラスに注いで窓際に立ち、高層階からの夜景を堪能しつつグラスを傾ける。

「……?」

ふと物音が聞こえてそちらに顔を向けると、驚いた事にそこには冴子の姿があった。
冴子の方もここには誰も居ないものと思い込んでいたからか、私の存在に気付くと、しまったというような表情に変わる。
それもそのはず、ぱっと見て気が付いた。冴子の頬の下の辺りのファンデーションが剥がれたままだったから。

冴子と私は一緒に暮らしているのだから、勿論素顔だってよく知っているけれど、冴子はメイクが崩れたままの状態でいる事を極端に嫌う。
中途半端に剥がれたメイクでいるならいっそ、全てオフしてしまう方がましだと思っているのだと言っていた。

今正にその、「メイクが剥がれた状態」を私に目撃され、冴子の方は相当動揺しているのだろう。
誰も居ないと思ったからこそ、そんな顔でこちらに来たのだろうから。

服はほとんど元の通りに見える。遠目にはついさっきまで木下光江と交わっていた、という余韻は感じられない。

「冴子…どうした?」

冴子は私を避けるでもなくこちらに近付いて来る。
寝室の方は大丈夫なのか、とその部屋の方向に視線を向けて伺うと、冴子は「大丈夫です」と応じる。

「容子社長達はまだ……してますけど、木下社長は気絶したまま眠ってしまったようなので」
「……で?」
「こちらは…そのままでも良かったんでしょうけど、少し片付けておこうと思いまして」

なるほど、と私は頷いた。

「誰も居ないと思った?」
「……はい」
「…だよねぇ」

ばつの悪そうな様子の冴子が可笑しくて、私は笑いながらワインを飲んだ。
不思議なのは……近くに居ても、そして現にメイクが剥がれているのに、冴子の身体からはいかにもそれまでセックスしてました、という爛れた空気が漂って居ない事である。

…と言うか、その理由はおそらく単純で。
冴子にはまだ余力が残っている、というそれだけの事だろうと私は思い至った。

木下光江が眠っていたとしても、起こして行為を続行する事自体は可能なはずなのだが。
だけど今回のそれはあくまでも「接待」的なものだから、冴子はそうしなかったという事なのかもしれない。

「……」

冴子の下半身に違和感を覚え、よく見ればストッキングを着けていない事に気付く。
破れた?…いや、単に履くのが面倒だったから、という程度の事だろう。

「言うほど散らかってなかったですね」
「うん」

そうは言っても気になったのか、冴子は私の傍から離れてコネクティングルームの近くへと歩を進めていく。
私は当初見送るようにその様子を眺めていたが、冴子がコネクティングルームの前で立ち止まったままでいるので、ワイングラスをテーブルに置き私も後を負った。

冴子の隣に立ってみると、微かにではあるが中の声が聞こえてくる。
…それでも、遮音性の高い扉と壁の向こう側なので、よほど大きな声だけがほんの少し漏れて聞こえる程度だった。

この部屋にはおそらく四人入っているが、声が漏れているのはそのうちの一人か二人分。
まだ25時を回ったばかりだし、しつこく交わるのが好みのタイプならまだ眠るには早い時間だろう。

…それでも冴子は、木下光江を少なくとも一度は失神させているのだから、何をどうしてそうなったのかは謎なのだが。

立ち聞きは良くないのでは、と思い肘で冴子の身体をつつくけれども、冴子の反応は鈍い。
私だけでも、と思い扉の前から立ち去ろうとするかどうかのタイミングで、微かにだがはっきりと、梨々香のものと思われる声が漏れ聞こえて来た。

…どうしてそれが梨々香のものだとわかったのか、と言えば理由は簡単で。
その内容がズバリ『もっとリリのおまんこ虐めてください』というものだったから。

私は、山元梨々香の乱れる場面というものを直接見た事はない。冴子は勿論多数ある訳だが。
…そういう娘なのだろうと想像はしていたが、ここまでわかりやすくそっちの気質なのだとわかり私はまた可笑しくなる。

声を殺してクスリと笑うが、そこで冴子の気まずそうな視線と目が合った。

うっすらとは言えこれだけはっきり言葉として聞き取れるという事は、梨々香はその台詞をほとんど絶叫しているという事に他ならない。

私は「なるほどね」と呟きながら冴子の手を握り、二人して扉の前から離れた。
いくら分厚い壁と扉をはさんでいるとは言え、やはり立ち聞きというのは宜しくない。

再び広間の窓際へと戻り、私はさりげなく冴子のタイトスカート越しにそれとなく腰からヒップにかけてのラインに触れてみる。

…もしやと思ったが、やはりショーツは履いていないようだ。ストッキング同様、どうせ誰も居ない所に一瞬出るだけの事と思い面倒に思って省略したのだろう。

冴子はわずかに身じろぎしたものの、それ以上抵抗はしなかった。

「こっちは恥ずかしくないんだね」

冴子の顔を覗き込むようにして言うと、冴子は苦笑いして見せる。

「一応流して来ましたから」
「そういう問題?」
「…違いました?」
「んー……」

何だろう。
さっきの、コネクティングルームの周囲に漂う濃密な空気に影響されたのだろうか。
今この場で、冴子に触れたいという気持ちが抑えられない。

考えてみれば、いや考えずとも今この空間は異常そのもので。
先ほどのコネクティングルームでは四人の娘が、そしてこのスイートの寝室でも容子、真下みすず、木下光江と冴子の四人が交わっていた。
更には別のツインルームではおそらくもう、友紀と愛美が…程度はともかく触れ合っている可能性が高い。

広大なフロアを貸し切りで使用しているとは言え、今夜はそのあらゆるベッドルームで女達が互いの欲望をぶつけ合うように濃密な交わりを繰り広げている。

今夜はまだ、私だけがそのどの交わりにも加わっていない。
冴子は既に一戦交えた後ではあるが、先ほどの様子からしてもまだ余裕があるか、あるいは物足りないのかもしれないと思った。

冴子が梨々香に施したのと同程度とはいかないまでも、ふと私の中に湧き上がった衝動は、冴子を彼女と同じように辱めてみたいというものだった。

「ここで、しちゃおっか♪」

冴子の手を握ったまま耳元で囁いてみる。
冴子は「…え」と困惑の素振りこそ見せたが嫌だとは言わない。

「うん…急にしたくなって来たし」

黙ったままの冴子を促し、立食用の丸テーブルに両手をつかせその背後に回る。
私は膝を床につき、冴子の履くサーモンピンクのタイトスカートをめくり上げてヒップを剥き出しの状態にした。

冴子はお尻をほんのわずかに突き出す程度の姿勢だが、それで構わない。
スカートの下には、やはり何も身に着けていなかった。
その恰好が何とも言えずいやらしい。

「…流して来たのにもう、軽く濡らしてる?」
「……」

指を揃えるようにして両ひざの裏から太腿をゆっくり、触れるかどうかのタッチで撫で上げていく。
それから柔らかなお尻の両側をそっと割るように開いて覗き込んだ。

「あの娘とのセックスを、思い出してたの?…それとも」
「それは…言わないで……ください…っ」
「…木下社長とのセックスの名残?なのかな…」
「あ、の……恥ずかしい、です」

自分らしからぬ陰湿な言葉が口をついて出た事に自分自身で驚いてしまう。

「だよね…全部、見えてるよ?冴子…本当に全部見えちゃってるから」
「あ……はぁ」
「もっとエッチな恰好できるでしょ?…したのかな?今日も」

止めようと思うのだが、一度妬みの言葉が出て来始めると止まらなくなる。
言われるがまま、冴子は肩幅程度に開いていた脚を更に少し大きく開き、お尻をしっかりと突き出すような姿勢を取った。

突き出たお尻そのものも勿論卑猥なのだが、それ以上に背中が反ってブラウスにいくつものしわが寄って波のような陰影を作っている様にも強烈にそそられる。

私は改めて冴子のお尻に両手を這わせ、今度は割としっかりと左右に割り開いてその場所に顔を近付けた。
アヌスの周りをわずかに鼻先で刺激した後、そこに軽く舌を這わせる。
冴子の身体がビクリと痙攣し、反応の良さに思わず嬉しくなってしまった。

「…おかしいよね、自分が本気で愛している娘が、ついさっきまで他の女とやってたのに…そんな事も気にしないでこうして触ってるの」
「……おかしくは、ないです…」

「…本気で言ってるの?それ」
「はい…」
「そう、冴子は一晩に何人とでもやれる娘だもんね」
「や、そんな……違…」

言いかけたが冴子の言葉はそこで留まってしまう。
冴子が反論できないのをいいことに、私は舌を滑らせ淫蜜で濡れた冴子の花弁に、音を立てて吸い付いた。

ジュッ…ジュッと断続的に蜜を吸い、その合間には唇で花弁を柔らかく包み込むように愛撫しながら、舌先を軽く躍らせる。
蜜口のごく浅い部分や、萌芽の付け根付近をランダムに舌先で愛撫すると、冴子の身体が一気に弛緩し、派手な喘ぎ声をあげるようになった。

「あ、あ…っ、お姉さまぁ、あはぁ」
「声…大きいよ?冴子……んん」
「だって、それ、あっ…んい、い…あぁぁ!」

広大な、そしてあまりにも豪華過ぎる広間で、都心の夜景を眺めながら口淫を受けるという状況が、冴子にとっても私にとっても非日常的過ぎて、今のこの行為が現実のものなのかどうか怪しい気さえするのだが。

…でも、実際私は今冴子の秘部を口に含んで、絶え間なく溢れ出る淫蜜を吸っているし、冴子もそれを受け普段以上に感じて、乱れている。

また、今夜集う女達は全て、それぞれのベッドルームで交わりに興じているのが明らかだから、この場所には誰もやって来ないであろう事もあって、ますます気が大きくなっているのも確かだ。

「ねぇ、どうしたの?冴子…いつもより凄く、ビショビショなんだけど」
「だって、お姉さまの……凄く、良くて、感じちゃう…から…っあぁん」

甘えた声色でそういう、相手を煽る台詞を平気で吐くあたりが憎らしいが、こちらもそれに逆らえないのだから仕方ない。

「…じゃあ、もっと…してあげる」
「はい、お願い…します、お姉さまに、舐めて欲しい…あんっ」

「冴子も、いっぱい良い声聞かせてね♪」
「はい……」

私はしゃがんだ姿勢のまま、冴子の身体の下に潜り込む。ちょうどテーブルの下に半分隠れるような恰好で、冴子の前側に陣取り、既にずり上がっているタイトスカートの前裾を摘まむようにして持ち上げた。
その動きに気付いた冴子が、自ら片手でそれを持ち自身のお腹に押さえつけるようにして固定する。

「珍しいね…冴子のクリトリスが剥けて、頭が見えてるよ」
「……いいんです、それでも…いやらしいから、いいんです」
「……」

花弁の隙間に指先を滑らせ、淫蜜を掻き出して萌芽の先端に塗り付ける。
くるくると回すようにぬめりを塗り込めていると、冴子の身体が再び痙攣し、堪らないと言わんばかりに熱い吐息が漏れた。

「ずっとこうしててあげようか…?」
「嫌です…」

そこは即答なのか。

「じゃ、どうするの?」

相変わらず指先で萌芽の先端だけをくるくると愛撫したまま尋ねる。
指一本だけで、冴子の全身を小刻みに痙攣させるぐらい感じさせているのが堪らない優越感を誘った。

「舐めて欲しい…いっぱい、お姉さまに…ペロペロって、して欲しいです…」
「どこを?」

いくら何でもやり過ぎだろうか、と一瞬後悔する。
…そう、先ほどの梨々香と同じ台詞を言わせようとしているのが丸わかりで、私の要求はあさましいと思うから。

冴子はおそらくその意図に気付いたのだろうけれど、梨々香の台詞をトレースする事はしなかった。

「おまんこの、ビラビラを…あと、クリトリスも、中も…全部、あと…お姉さまの、したい所全部…舐めて欲しい…」
「…うん」

ゴメン、という気持ちと、それでも嬉しい気持ちがないまぜになり私は冴子の勃起した萌芽の先端に何度もキスを施した。
そして勢い良く冴子の秘部に指を突き入れる。
萌芽には優しいキスを繰り返しながら、膣内には二本の指を突き入れ内壁を激しく掻き混ぜていく。

冴子が前傾姿勢なので、私はほとんど顔を真上に向けた状態だ。
それはまるで、私が冴子に支配され、命じられるがままに彼女の性欲を満たすためだけの道具にでもなったかのような心境だった。
それを悪くないと思っているのだから私も相当おかしいのだと思う。

「あぁ…っ、お姉さま…っ、苦しくないですか」
「…ダメ、お尻は突き出したままでいて」
「……はい、っ…あ、はぁんっ…ん」

リズミカルでいて、甘い喘ぎ声が漏れるのと同時に冴子の腰がピクン、ピクンと小さく跳ねるように揺れる。
それがもう、堪らなく卑猥で私は呼吸するのも忘れそうになった。

顔の位置を低くする為に私は床に尻もちをつくような恰好でいる。
誰に見られているという訳でもないが、意味もなく私も冴子と同じように、立てた両膝を大きく開いてしまっていた。

第三者の目があったなら、私はわざとはしたなく両膝を開いてスカートの中を見せつけるような恰好で、冴子の秘部にしゃぶりついている状態だ。
自分でわざとそんな卑猥な態勢を取りつつ冴子に口淫している事で更に興奮していく。

「冴子、こっちも?…欲しい?」

膣内に納めていた二本の指のうち一本だけを抜いて、それをアヌスの方へと滑らせる。
そちらの穴には指先を収納せず、上下に滑らせて入り口を刺激するのみにした。
合わせて指の付け根の隙間からこぼれた花弁を唇で食み、舌の動きも使って秘部全体を愛撫していく。

「何、それ…あ、お姉さまぁ、あ、あ……っん!」

冴子が軽く絶頂して見せた所でほんの少し顔を離し、尋ねてみる。

「さっきまでセックスしまくってたのに…まだまだいけそうね?冴子」
「……」
「わからないと思ってるの?…中にどれくらいのモノを突っ込んでたのかわかるぐらい、ほぐれて柔らかくなってるのよ」

膣内に納めた指はまだ抜いていない。
実際問題冴子の膣内は、その日初めて入れる時とは明らかに異なるスムーズさがあるし、入れていた偽竿がそれなりの大きさだった事がわかるような、形の残り方をしているのだ。

「…どれ使ったの?…おっきいの入れてもらったんだ」
「…双頭ディルドです」

『双頭ディルド』という、ある意味硬質な単語が冴子の口から出てくるのが新鮮に感じられた。

「なるほど、二人で気持ち良くなった訳ね」
「…ごめんなさい……あ、や…ん、また…」

「どうして…謝るの?」
「だって、あ、んふ…んん…あぁ、ん」

今度は指一本だけで冴子の膣内、Gスポットにあたる場所だけを執拗に引っ掻き続ける。
私自身は身体を冴子のサイドに位置する場所にずらし、再度跪くような恰好で冴子の全身を眺められる位置に陣取った。

「冴子、こっち見て」
「……ん、は、はぁ…っ」
「そう、そのまま…誰か来ても止めないわよ?」
「え、あ……っ、そこ、ばっかりは…だ、あぁぁっ」

堪えられなくなったのか、冴子は一度大きく仰け反り視線を宙に向けてから、再び視線を戻し私を見つめながら絶頂を極めて見せた。

…そのイキっぷりとでも言うのか、冴子が何度も絶頂するその度に妖艶さが増すのが、不思議なような当然なような、よくわからないぐちゃぐちゃとした感情にとらわれ、私はわけがわからなくなる。

…そう、この感覚の所為で冴子とのセックスが辞められなくなるのだ。
私はもう随分前から、その深みにはまっていると言えるだろう。

「私ばっかり…イっちゃって、本当は…、お姉さまにも、気持ち良くなって欲しいのに」

私の、まだ止めていないGスポットへの執拗な愛撫を受け止めながらもなお、冴子はそんな事を言う。

私も今すぐこの場で互いの秘部に指を挿入し合いたい、という気分になりかけたが、今はそれよりももっと冴子を攻めていたいという気持ちが勝った。
だから私は左右に首を振り、気を使うなと無言で伝える。

今はただ、今夜冴子が過ごした相手の誰よりも、冴子の絶頂する姿をたくさん見ていたいと思ったから。

冴子の操る偽竿の力強さと拍動を、今夜は想像するのみに留め、私は冴子に更なる愛撫を施した。
冴子は自らブラウスの前ボタンを開き、やはりブラを着けていない裸の胸を曝け出して再び丸テーブルに両手をつく。

そんな、乱れた服装の冴子に再び指でのGスポット攻撃を施し、もう一度冴子が絶頂した後に、冴子の身体を起こして二人窓際に移動し濃厚なキスを交わした。
…これでもかというほど長い時間、そして目いっぱい深くまで舌を絡め合わせて、文字通り息もできないぐらいに身体を密着させねっとりと唇を合わせる。

がらんとした広間には、クチュ…クチュというキスの水音と、時折互いの鼻から漏れる甘ったるい吐息の音だけが響き、空間を支配していた。
目を閉じていればそれはまるでオフィスで交わすキスと変わりないのだけれど、そんな錯覚に陥りかけた時にほんの一瞬でも目を開けば、そこには窓ガラス一面に夜景が広がっている。
そうやって、キスにふけりながらもここがオフィスではない非日常的な場所なのだと、意識を引き戻すかのようにその景色を時々視線の端で捉えながら、私達は明け方までそこで身体を重ねた。

夜景をバックに明るい広間で交わす逢瀬も幻想的だったけれど、明るくなりかけた都心の風景を眺めながら卑猥な愛撫に興じるのもまた、動き始めた都会の喧噪を無視して行為にふけっているという背徳感が堪らなかった。

景色を眺めながらの交わりが辞められなくて、結局私と冴子は中途半端に服を乱した恰好のまま、首を曲げられるタイプの双頭ディルドを立ったまま二人で使い、窓の向こうにその姿を見せつけるようにしながら何度も一緒に達しても飽きる事はなかった。

二人とも変なテンションのまま収まらず、狂ったように互いの身体を求め、貪るように攻め合うのを止められなくて。
大事な客室の床を汚す事だけはすまいとその場所に脱いだ衣服を敷いたりしていたのに、何故か床に寝そべる事はせず、互いに立ったままか、もしくは壁やテーブルに両手をついた態勢を貫き、愛撫と挿入を繰り返したのだった。

冴子が他の女と交わったという事実が悔しかったのだろうか。
多分そうなのだろう。
…でも、それを露骨に冴子にぶつけるのは自分で自分を許せなくて、して来なかった気がする。

今夜私は、光江に対する嫉妬も、梨々香に対する嫉妬も、まとめて冴子にぶつけてしまったように思い反省しているが、冴子は何も言わなかったし、露骨にぶつけられたその感情に大してむしろ冴子自身が昂っているようにも見えたのは、私の思い込みだろうか。

…そこでぼんやりと気付く。
冴子に大して『上書きセックス』する権利を有志ているのは、おそらく私だけなのだという事に。

…これもまた、別に私自身が望んだ権利ではないのだけれど。
でもきっと…今夜のそれが、私が自覚的に行うものとしては初めての、冴子に対する上書きセックスだったのだと思う。
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