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イベントの始まり
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あたしは北条 麻弥。女。人生に疲れた女。
ろくな人生を送ってきてない。若い時は遊んで暮らした。金が欲しくて、援交していた時もあった。金には困らなかった。麻薬にも手を出したことがあった。中毒で死にかけたことがある。だけど、親が必死に止めて、何とか生きてる。親を悲しませることしかしてない。その親はもういない……。
--闇市。
昔、世話になった。今日は一日だけ開く、特別な催しがあると聞いて来た。【欲しいモノが何でも手に入る】そう聞いた。そんな上手い話がある筈ない。そう思った。だけどそのことを教えてくれた男がこう言っていた。
『貴女自身は、自分には欲が無いと思っていますね? しかしそれは思い違い。心の底に閉じ込めているに過ぎません。貴女は自分の欲を知りたいと思いませんか?そう思われるなら、さあ……この場所へ赴くとよろしいですよ』
そう言われて来た。あたしに欲しいモノなんて無い。強いて言うなら【死】。でも自殺はしない。出来る限り生きることが親への償いだと思ってるから。
「よぉ、麻弥か!? 久しぶりだな!」
誰だこのおっさん。
「何だよ忘れたのか? 権太郎だ、富士田 権太郎」
「……ああ、ゴンか」
「もうずっと来てなかっただろ? 今日はどうした?」
「……あんたに話すことはない」
「お、おい!」
ゴンの手を振り払い、闇市の奥、また奥へと進んでいく。
「レディースアーンドジェントルメン!!」
闇市らしからぬ声が響いてきた。何年も来ない内にこうも変わるのものか。
「これから始まるはビッグイベント! あなたの探しものはどこ? あっ見つけた! です!!」
………ふざけた催しだな。司会も、周りにいるヤツ等も活気に溢れてる。あたしは来る所を間違えたのか?
「ルールは簡単! 巨大迷路を一番早く攻略した人が優勝です! 優勝した人には、欲しいモノが何でも手に入る権利が与えられるのです!」
本当に宣言した、あの司会。
長いオープニングセレモニーが終わり、とうとうその訳の分からない催しが始まった。何故そんな催しをするのか。主催者側には何も利益を生まないのに……。
ろくな人生を送ってきてない。若い時は遊んで暮らした。金が欲しくて、援交していた時もあった。金には困らなかった。麻薬にも手を出したことがあった。中毒で死にかけたことがある。だけど、親が必死に止めて、何とか生きてる。親を悲しませることしかしてない。その親はもういない……。
--闇市。
昔、世話になった。今日は一日だけ開く、特別な催しがあると聞いて来た。【欲しいモノが何でも手に入る】そう聞いた。そんな上手い話がある筈ない。そう思った。だけどそのことを教えてくれた男がこう言っていた。
『貴女自身は、自分には欲が無いと思っていますね? しかしそれは思い違い。心の底に閉じ込めているに過ぎません。貴女は自分の欲を知りたいと思いませんか?そう思われるなら、さあ……この場所へ赴くとよろしいですよ』
そう言われて来た。あたしに欲しいモノなんて無い。強いて言うなら【死】。でも自殺はしない。出来る限り生きることが親への償いだと思ってるから。
「よぉ、麻弥か!? 久しぶりだな!」
誰だこのおっさん。
「何だよ忘れたのか? 権太郎だ、富士田 権太郎」
「……ああ、ゴンか」
「もうずっと来てなかっただろ? 今日はどうした?」
「……あんたに話すことはない」
「お、おい!」
ゴンの手を振り払い、闇市の奥、また奥へと進んでいく。
「レディースアーンドジェントルメン!!」
闇市らしからぬ声が響いてきた。何年も来ない内にこうも変わるのものか。
「これから始まるはビッグイベント! あなたの探しものはどこ? あっ見つけた! です!!」
………ふざけた催しだな。司会も、周りにいるヤツ等も活気に溢れてる。あたしは来る所を間違えたのか?
「ルールは簡単! 巨大迷路を一番早く攻略した人が優勝です! 優勝した人には、欲しいモノが何でも手に入る権利が与えられるのです!」
本当に宣言した、あの司会。
長いオープニングセレモニーが終わり、とうとうその訳の分からない催しが始まった。何故そんな催しをするのか。主催者側には何も利益を生まないのに……。
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