99%興味【打ち切り】

朝陽ヨル

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一章〈reason〉~本気の告白~

ニ 拓視点

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「誰でも良かったわけじゃないんだ。だって、チョコと付き合って、恋人になって、こんなにドキドキするんだ。今だから言える。興味だけじゃなかった」
「……っ」

 切れ長の目の中に俺を映して、俺の鼓動も有馬の鼓動と混ざってしまったみたいに、おかしく、速く、うるさくざわつく。

「99%は興味でも、1%はお前に恋してたんだよ。だから告白したんだ」

 胸に重なる手を強く握られて、そこからじわじわと更に熱が高まっている気がする。そしてズキン、と。射抜かれみたいに胸が痛くなる。動悸が止まらない。目頭が熱くて視界が霞む。これは病気かもしれない。

「チョコ、泣かないで」
「なっ……、泣いてねぇっ!」

 ゴシゴシと目をこすったら、強く、強く、抱きしめられる。全身を包まれて、触れられた所が今まで以上に熱く感じる。

「興味どころか今は100%恋してるさ」
「ぅ、るせっ……なんだよ、この……ホモやろぉっ……」
「うん。当たり。あ、でもちょっと外れ。俺はバイだよ」
「…………お前の情報の中で一番どうでもいいな」
「どうでもよくないよ。それに男性同性愛者はゲイだよ」
「それこそどうでもいい……」

 怒鳴って、喚いて、それだけで暑いのに、抱きしめられて今はどうしようもなくいたたまれない程暑くて熱く興奮している。

 恋してるとか……。そう言われてみれば、一目惚れがどうのとか言ってたような……。……なんか思い出してきたぞ。鎌倉の時もチラッと言ってたような……うわぁ、思い当たる節がある……

「チョコ」
「……なんだよ」
「好き」
「…………あっそ」

 もうわけが分からなくなってくる。たったの一言でこんなにも頭の中が支配されていくなんて。心臓がもたないんじゃないか、こんなに痛くなるなんて知らなかった。

「チョコは?」
「し、知るかっ!」
「チョコは無自覚さんだからなあ」
「はあ!?」
「言ったじゃないか。キスしたり、俺のを慰めるのに抵抗が無いってことは恋人になる条件クリアしてるよって。それはつまり好きってことだろう?」
「っっ~~~!」

 開いた口がわなわなと震える。

 お、俺も……好き? 有馬を……

 意識しだしたら凄く恥ずかしくなってきた。更に鼓動が速くうるさくなって、有馬に聞こえているのではと焦る。有馬からすれば、俺がやっと自覚したって今更なのかもしれない。

「チョコが認めたくないっていうのは悲しいけど、嫌いではないよね?」
「それは……まあ」
「うん、今はそれだけでいいよ。いつかちゃんとチョコの口から聞けたら嬉しいけどね」

 声音があまりにも嬉しそうで、喋る度に首筋にかかる息がくすぐったい。そして、身じろぐと互いの主張してるモノが布越しに擦られていくのがあまりに切ない。

「俺がこんな風になるの、もう理由がわかるだろ?」
「ッ……!」

 不意に耳元で囁かれると、まるで耳から犯されてるような気になってくる。くすぐったさの中に甘い痺れが全身へと伝播していく。

「もっと早くに言っておけば良かった。言葉足らずは俺も一緒かもな」
「悪かったな……言葉足らずで」
「そこもチョコの魅力だと思うよ」
「ひゃっ!?」

 耳朶を舐められた。反射的に逃げようと動いたのに、腰に手を回されていて、余計に引き寄せられる。

「とても焦らされてる」

 耳朶から縁をなぞるように熱く濡れた舌が這っていき、中に侵入されるとクチュと濡れた音が嫌にも響いてくる。そんなところを舐められて嫌なはずなのに、頭の芯までもが甘く痺れてきて、身体の中心がずくんと重くなってくる。もう弱々しい抵抗しか出来なくなっていた。

「やめ、ろよ……っ」
「参ったな……」

 苦笑混じりの声。それと同時に有馬の腰から下をぐいぐい押し当てられると、さっきよりも嵩が増していることが分かる。

「練習の時もそうだけど、感じてる時のチョコの顔や声が凄くエッチでたまらないよ」
「もっ、黙れよお前っ……はぁっ、早く、離せっての……!」
「せっかく和解したことだし、このまま一緒にヌかない?」
「は……」

 一瞬血の気が引き、ばっと顔を上げて有馬を見る。あまりの緊張に何度も目を瞬かせて、それ以上の言葉が出てこない。勿論、下半身は辛い。下半身どころが全身がもう言うことを聞いてくれそうにない。
 嫌とも言い切れない状況で、有馬も男だからこそこの辛さが分かるだろう。だからそんなことを言ってくるのだと思う。しかし。

「き、急にそんなこと出来るかっ!」
「急かな? 結構もう雰囲気があったと思うんだけど。ダメ?」
「うっ……」

 ここにきてこのキラキラした顔面で『ダメ?』って。こてんと首を傾げる仕草を間近で見て、不覚にもトキメイてしまった。ゴクリと喉を上下させて沈黙しているも、有馬が返事を待ってるか促すようにずっと見つめてくる。

「……………………い、一回だけだぞ」

 沈黙にも視線にも耐えきれず、あまりにも恥ずかしくて、顔を合わせて言うなんて絶対に無理だった。顔を逸らして、今の精一杯の力で有馬の身体を押しながら、蚊の鳴くようなか細い声で了承してしまう。

「ほ、本当!? 本当に本当だね!?」
「だぁーーーーっ! 男に二言はねぇっ!」

 もうこんな状態になってしまった以上ヤケクソである。
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