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一章〈sports〉~仲直りのお手伝い~
一 拓視点
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屋上で俺たちは喧嘩した。あれは多分、世の中で言うところの喧嘩なんだと思う。今まで生きてきた中で片手で数えられるくらいしか喧嘩をしたことがなかった。経験が少なくてこれからどうしたらいいかと悩んでいるところだ。
そもそも何でああなった?
順を追って屋上でのことを思い返してみる。
触れられる練習をしてて、有馬が直に触ってきて、その後すぐにやめるとか言い出して、それから俺が引き留めて。……キス、して。その後はゴチャゴチャ喋ってたらなんでか喧嘩になってた。ああそうだ、恋人じゃねぇのに恋人になってることにされてたんだった。キスしたら恋人になるのが普通なことなのか? 誰とでもキスするのかって、そんなわけねぇだろうがよ。ーーじゃあ有馬とは?
「有馬と……」
唇を触ってみたら、キスした時のことが頭の中で甦ってきて急に恥ずかしくなる。顔が集中的に暑い。
有馬とキスしたのは、鎌倉の帰りと、有馬がクラスメートのヤツらに悪口言われてその後屋上で何回か。それでこの前の……。
考えてみりゃ有馬は俺と付き合ってると思っててキスしてたんだよな。俺はしたくてしたわけじゃ……でも初めて生の有馬とした時は出来心でしたくなっちまったし……結局俺は有馬とどうなりたいんだ? 有馬とはキスしたいのか? ただ出来心でキスしてみたかったのか?
こうやって考える時間が欲しかった。恋愛なんてしたことが無くて、そんな余裕も無かった俺に付き合って欲しいと言われて、それも男に。俺が誰かと付き合えるわけがない。付き合ったら絶対に相手を傷つけるのだから。
じゃあ何で迷ってる?
こうして考えているのは有馬と仲直りしたいと少なからず思ってるからだ。
つか有馬は結果を急ぎ過ぎなんだよ。俺と付き合いたいって最初に言われた時も急だったし、鎌倉の後もキスしたのをこじつけて言ってきたし強引なんだよ。そんなに早く付き合いたいってか。アイツホモだし、この学校そういうヤツが多いとか言ってたし他に付き合えそうなヤツいたんじゃねえの。アイツ人気者だし、何で俺だよ……。俺がもしもこんな体質じゃなかったら付き合ったのか。でも男同士だぞ……俺の体質を抜きにしても他に色々と問題ある気がするし
「んあ~~~~っ」
席の机に肘を着いて頭をバリバリとかく。すると机に置いてあったプリントがクシャッとよれてしまった。それを見てなんとなく残念になり、席から立ち上がって窓から外を眺めることにした。
今は本来体育の時間だが、俺は体質の関係で学校に許可を得て体育を免除されている。体育の時間は補習用のプリントや別のことやって時間を潰している。ある意味教室には誰もいないから安息の一時でもある。
「…………いねぇな」
外で動き回る生徒を目で追っていたが、有馬の姿が見当たらなかった。
そもそも何でああなった?
順を追って屋上でのことを思い返してみる。
触れられる練習をしてて、有馬が直に触ってきて、その後すぐにやめるとか言い出して、それから俺が引き留めて。……キス、して。その後はゴチャゴチャ喋ってたらなんでか喧嘩になってた。ああそうだ、恋人じゃねぇのに恋人になってることにされてたんだった。キスしたら恋人になるのが普通なことなのか? 誰とでもキスするのかって、そんなわけねぇだろうがよ。ーーじゃあ有馬とは?
「有馬と……」
唇を触ってみたら、キスした時のことが頭の中で甦ってきて急に恥ずかしくなる。顔が集中的に暑い。
有馬とキスしたのは、鎌倉の帰りと、有馬がクラスメートのヤツらに悪口言われてその後屋上で何回か。それでこの前の……。
考えてみりゃ有馬は俺と付き合ってると思っててキスしてたんだよな。俺はしたくてしたわけじゃ……でも初めて生の有馬とした時は出来心でしたくなっちまったし……結局俺は有馬とどうなりたいんだ? 有馬とはキスしたいのか? ただ出来心でキスしてみたかったのか?
こうやって考える時間が欲しかった。恋愛なんてしたことが無くて、そんな余裕も無かった俺に付き合って欲しいと言われて、それも男に。俺が誰かと付き合えるわけがない。付き合ったら絶対に相手を傷つけるのだから。
じゃあ何で迷ってる?
こうして考えているのは有馬と仲直りしたいと少なからず思ってるからだ。
つか有馬は結果を急ぎ過ぎなんだよ。俺と付き合いたいって最初に言われた時も急だったし、鎌倉の後もキスしたのをこじつけて言ってきたし強引なんだよ。そんなに早く付き合いたいってか。アイツホモだし、この学校そういうヤツが多いとか言ってたし他に付き合えそうなヤツいたんじゃねえの。アイツ人気者だし、何で俺だよ……。俺がもしもこんな体質じゃなかったら付き合ったのか。でも男同士だぞ……俺の体質を抜きにしても他に色々と問題ある気がするし
「んあ~~~~っ」
席の机に肘を着いて頭をバリバリとかく。すると机に置いてあったプリントがクシャッとよれてしまった。それを見てなんとなく残念になり、席から立ち上がって窓から外を眺めることにした。
今は本来体育の時間だが、俺は体質の関係で学校に許可を得て体育を免除されている。体育の時間は補習用のプリントや別のことやって時間を潰している。ある意味教室には誰もいないから安息の一時でもある。
「…………いねぇな」
外で動き回る生徒を目で追っていたが、有馬の姿が見当たらなかった。
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