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付き合ってから
謝恩メロディ 二
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バレンタインデーフェアが終わり客足が落ち着く二月終わりに旅行することに決まった。学生の卒業旅行や春休みと被らないように早めに設定したが、それでも遊園地には大勢いることだろう。遊園地には仁の運転で向かう。そして案の定、客層は学生や子供連れが多い。
「結構人いますね」
「そうだね。男友達だけで来てる学生さんも多いから僕たちも浮かなそうだよ」
「ですね。よーし、楽しみましょう!」
入場ゲートで持ってきたパンフレットを広げる。横から仁が顔を覗かせると顔が近くなりやたらとドキドキしてしまう。
「どれ乗る?」
「ぜ、絶叫系は大丈夫スか……?」
「うーんどうかな? 遊園地自体来るの久々だから乗れるかわからないけど、試しに乗ってみたいなあ」
「じゃあこれ乗りましょ。おすすめって書いてあるし」
パンフレットにも大きく載っているジェットコースター。きっとこの遊園地で一番推されている乗り物と思われる。
「うん、行こう」
仁が手を差し伸べている。これは素直に掴んでいいのか。手を繋ぎたい気持ちは物凄くある。しかしこんな人が多い場所で繋いで視線が気になりそうで、手が止まり目を泳がせている。
「みんな乗り物に夢中だし、知らない人しかいないからいいかなと思ったんだけど気になっちゃう?」
「……き……気にしませんっ!」
意を決して仁の手に自分の手を重ねた。
――仁さんの手大きい……! 身長高いし肩幅あるし、こういうところも男らしくて好き……!
「ローランくんの手、あったかくてしっかりしてて男の子の手って感じするね」
「そうスか?」
「うん。この前漢字で教えた『凛』って感じ」
「仁さんの手もしっかりしてて男らしいっスよ」
「ふふ、ありがとう、リンくん」
「っ……!? ……き、急に……な、なんで……!?」
「なんとなく」
仁は普段通りに笑い、手を繋いだままジェットコースターを目指して歩く。
そしてローランは手を引かれるまま仁の顔を見れないでいた。
客の叫び声や乗り物の規模が他よりも広く場所はすぐにわかった。
「うわぁ……一回転してるこわっ」
「絶叫系得意じゃないの?」
「実はジェットコースター乗るの初めてなんスよ。小さい時に遊園地連れてきてもらった時は年齢制限で乗れなかったし、大人になってからは遊園地行ってなくて」
「そうなんだ。じゃあ乗れそうだったらたくさん乗ろう」
「はいっ!」
待つこと三十分程で順番が回ってきた。席は一番後ろで、係員がシートベルトやバーの確認をする。説明は日本語でほとんどわからなかったが最後に『いってらっしゃーい』と手を振ってくれて気分よく振り返した。
「うわっ結構揺れる! ガタガタ鳴ってる! だだ、大丈夫これ!?」
「大丈夫、大丈夫。ほら周りの景色よく見えるよ」
「どんどん高くなってく……わ……景色が全部小さい……」
初めての体験に不安や恐怖で声が小さくなってくる。すると仁の手がローランの手を握った。
「そろそろ一番上みたい。手挙げてみる?」
「えっ?」
「いくよ」
「まっ、て、手を、ひっ……!」
手を握られ一瞬の安堵の後、片手は手を繋いだまま上げ、もう片方の手はがっちりバーを握って急速落下していった。猛スピードで駆け抜け上下左右に揺られて一回転。乗っている時間は二分も無かったが、それより長く感じられた。
「……はぁ、はぁ……、す……スゴカッタ……」
「すごく楽しかったね~!」
フェンスに掴まりながら背中を丸めてぐったりしながら出ていくローランと、いつも以上の笑顔で溌剌としている仁。
「スリルが倍増した……」
「ジェットコースターといったら手を挙げるの定番じゃないの?」
「知らないスよ……」
近くのベンチに腰掛けたローランは顔を背けて珍しく拗ねている。されたことのない反応に仁はただ優しく微笑んだ。
「飲み物買ってくるから休んでて」
そう言ってペットボトルの飲み物を二本買ってきて両方を差し出す。
「炭酸とお水どっちがいい?」
「今は水で」
「だと思った」
水を渡して仁も隣に座る。プシュッと炭酸の抜ける爽やかな音が聞こえてきた。ちびちびと水を飲み、隣ではごくごくと炭酸を飲んでいる。
ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ気分と機嫌が悪くなった。だからなのか今流れている時間がゆっくりに感じる。
――大人な対応……兄貴だったらこういう時、子供扱いして頭撫でてきたりいちいち何か言ってくるんだろうけど、仁さんは対等に扱ってくれる。友人としてじゃなくて、ちゃんと……
「気分少し良くなったかな」
「水飲んだら落ち着いてきました」
「ごめん、無理矢理挙げちゃって。早めに手を挙げるか聞いとけば良かったね」
「いや……盛り上げようとしてくれたんスよね。そういうのいちいち聞くのも変っていうか……俺こそ態度悪くしてごめんなさい」
「せっかく楽しい場所に来たから楽しまないともったいないよね」
「あっ……もったいない。その日本語好きっス。物以外にも使うんスね」
「そうだね、損する……よりかは優しい言い方になるのかな」
「よーし、時間がもったいない、楽しみましょう!」
「おー!」
元気を取り戻し、入場時よりも良い調子で遊園地を回っていく。高いレールの上を自転車で漕いでいくアトラクションやコーヒーカップ、高所で回転するブランコなどに乗っていった。
「結構スリルあったね!」
「90°くらい傾きましたよね!? 落ちるかと思った」
「サンダルだったら飛んでいっちゃいそうだったよ」
体験した感想を言い合いながら歩いていると、キッチンカーを発見し軽食を取ることにする。ローランは焼きそば、仁はフランクフルトとポテト、飲み物はコーラを二つ注文した。
「焼きそば好きなんスよ。このソースがウマくて」
「ソース美味しいよね。トンカツにかかってるのも相性良くて好きだなあ」
「そうそう! 不思議だったのが、同じ揚げ物なのに鶏の唐揚げには合わなくて、かけてみたらくどかったんスよ」
「唐揚げは揚げる前に肉に味を染み込ませているからね。トンカツと同じようにチキンカツにしたらソースも合うよ」
「鶏肉のカツもあるんスか!? 食べてみたい!」
「じゃあ帰ったらチキンカツパーティーだね」
「やった、すごく楽しみ!」
今現在も楽しいのに既に帰った後にも楽しみがある。そんな多幸感に包まれながら焼きそばを口に運んだ。軽食が終わると丁度よく始まりそうなダンスショーを観に行って、それから動き回る乗り物に乗りながらシューティングゲームをしたり、メリーゴーランドの近くを通ると『本物の馬に乗りたい』『ローランくんに乗馬習おうかな』などと話している。時計を見てそろそろアトラクションに乗るのは最後になりそうだ。ジェットコースターに再チャレンジしようかと考えたが、ローランは遊園地に来たなら絶対これは乗っておきたいというものがあった。
「アレ乗りましょう!」
「あ~アレかあ」
デートの定番、観覧車。並ばずすんなり乗ることができた。向かい合わせになって座る。
「結構歩いたし座れて良かった」
「そうっスね。足が筋肉痛になりそう」
「ローランくんでも筋肉痛になるんだ」
「なりますよ。馬の世話してた時はそんなこと無かったんスけど、ボディーガードの時は車の移動が多かったし、今もそんなに足を動かさないので」
「元々筋肉があるから軽く済みそう。僕なんかは二、三日後にガクガクしてそうだよ」
全く色気とは無縁な会話の中、ゴンドラはゆっくりと頂上を目指している。ローランはこの時の為にジンクスを調べていた。
――場所によるみたいだけど、観覧車の頂上でキスしたら一生別れないとか、上手くいくとか、結婚するとか……! やってみたいけどどうやって誘おう……
「うわ、下見て! 透けてよく見える」
「ほ、ホントスね……」
「周りの景色もよく見えるよ」
――こんなにはしゃいでる仁さん初めて見れて今日はドキドキしっぱなしだ。景色見てる余裕なんて無いかも
「あ、あの…………そっち、座ってもいいスか?」
「ん? うん、いいよ」
揺れるゴンドラ。男二人が片側に座るのはバランスが良くない気がして悪いことをしてる気分になる。そしてこれからキスしようと考えているのだからそれ以上に緊張する。隣に座った頃にはもう頂上が近い。雰囲気を作って察してもらうなんて無理、直球で行くしかないと考え、ぴったりとくっついて仁の腕を掴む。
「仁さん。……キス、してください」
か細い声で伝えて目を閉じ、少し顔を上げて待つ。目を閉じていても気配でわかる。数拍置いて顔が近づくのを。頬が両手で包まれて唇が触れる。目を開けると仁と目が合った。
「……頂上でする、で合ってた?」
照れくさそうに笑う仁につられてローランも照れ、こくこくと赤べこのように頭を振った。それから自分で紅潮した頬を両手で覆いながら向かいの席に戻り、俯き加減でキスの余韻を感じている。
「そっちに戻っちゃうの?」
「だ、だって、片側に二人いたらバランス悪くて落ちたら困るし……」
「ふふっ」
「笑わないでくださいよっ」
「はは、ごめん。可愛いこと言うからつい」
「……。……あと降りるまでは景色見てます」
「いい眺めだね」
「はい」
日没まであと数分だろうか。遠くを見れば建物や自然を染める夕焼けと辺りの薄暗さのコントラスト。下を見れば点々とつき始める灯り、移ろいゆく人の影、アトラクションの様々な音。観覧車だから見える景色。
「一日があっという間だったね」
「俺もそう感じました。あっという間で、スゴく楽しかったっス」
「楽しませてあげられるかなって不安だったけど、僕の方が楽しんでたかも」
「楽しそうにしてる仁さんを見てるのも楽しかったっスよ。また来たいっスね」
「そうだね。他にももっと色んな所に行って思い出作りたいな」
景色を眺めながらまったりと談笑し観覧車から降りた。それから何枚かツーショットを撮り、遊園地を後にした。
「結構人いますね」
「そうだね。男友達だけで来てる学生さんも多いから僕たちも浮かなそうだよ」
「ですね。よーし、楽しみましょう!」
入場ゲートで持ってきたパンフレットを広げる。横から仁が顔を覗かせると顔が近くなりやたらとドキドキしてしまう。
「どれ乗る?」
「ぜ、絶叫系は大丈夫スか……?」
「うーんどうかな? 遊園地自体来るの久々だから乗れるかわからないけど、試しに乗ってみたいなあ」
「じゃあこれ乗りましょ。おすすめって書いてあるし」
パンフレットにも大きく載っているジェットコースター。きっとこの遊園地で一番推されている乗り物と思われる。
「うん、行こう」
仁が手を差し伸べている。これは素直に掴んでいいのか。手を繋ぎたい気持ちは物凄くある。しかしこんな人が多い場所で繋いで視線が気になりそうで、手が止まり目を泳がせている。
「みんな乗り物に夢中だし、知らない人しかいないからいいかなと思ったんだけど気になっちゃう?」
「……き……気にしませんっ!」
意を決して仁の手に自分の手を重ねた。
――仁さんの手大きい……! 身長高いし肩幅あるし、こういうところも男らしくて好き……!
「ローランくんの手、あったかくてしっかりしてて男の子の手って感じするね」
「そうスか?」
「うん。この前漢字で教えた『凛』って感じ」
「仁さんの手もしっかりしてて男らしいっスよ」
「ふふ、ありがとう、リンくん」
「っ……!? ……き、急に……な、なんで……!?」
「なんとなく」
仁は普段通りに笑い、手を繋いだままジェットコースターを目指して歩く。
そしてローランは手を引かれるまま仁の顔を見れないでいた。
客の叫び声や乗り物の規模が他よりも広く場所はすぐにわかった。
「うわぁ……一回転してるこわっ」
「絶叫系得意じゃないの?」
「実はジェットコースター乗るの初めてなんスよ。小さい時に遊園地連れてきてもらった時は年齢制限で乗れなかったし、大人になってからは遊園地行ってなくて」
「そうなんだ。じゃあ乗れそうだったらたくさん乗ろう」
「はいっ!」
待つこと三十分程で順番が回ってきた。席は一番後ろで、係員がシートベルトやバーの確認をする。説明は日本語でほとんどわからなかったが最後に『いってらっしゃーい』と手を振ってくれて気分よく振り返した。
「うわっ結構揺れる! ガタガタ鳴ってる! だだ、大丈夫これ!?」
「大丈夫、大丈夫。ほら周りの景色よく見えるよ」
「どんどん高くなってく……わ……景色が全部小さい……」
初めての体験に不安や恐怖で声が小さくなってくる。すると仁の手がローランの手を握った。
「そろそろ一番上みたい。手挙げてみる?」
「えっ?」
「いくよ」
「まっ、て、手を、ひっ……!」
手を握られ一瞬の安堵の後、片手は手を繋いだまま上げ、もう片方の手はがっちりバーを握って急速落下していった。猛スピードで駆け抜け上下左右に揺られて一回転。乗っている時間は二分も無かったが、それより長く感じられた。
「……はぁ、はぁ……、す……スゴカッタ……」
「すごく楽しかったね~!」
フェンスに掴まりながら背中を丸めてぐったりしながら出ていくローランと、いつも以上の笑顔で溌剌としている仁。
「スリルが倍増した……」
「ジェットコースターといったら手を挙げるの定番じゃないの?」
「知らないスよ……」
近くのベンチに腰掛けたローランは顔を背けて珍しく拗ねている。されたことのない反応に仁はただ優しく微笑んだ。
「飲み物買ってくるから休んでて」
そう言ってペットボトルの飲み物を二本買ってきて両方を差し出す。
「炭酸とお水どっちがいい?」
「今は水で」
「だと思った」
水を渡して仁も隣に座る。プシュッと炭酸の抜ける爽やかな音が聞こえてきた。ちびちびと水を飲み、隣ではごくごくと炭酸を飲んでいる。
ちょっとだけ。ほんのちょっとだけ気分と機嫌が悪くなった。だからなのか今流れている時間がゆっくりに感じる。
――大人な対応……兄貴だったらこういう時、子供扱いして頭撫でてきたりいちいち何か言ってくるんだろうけど、仁さんは対等に扱ってくれる。友人としてじゃなくて、ちゃんと……
「気分少し良くなったかな」
「水飲んだら落ち着いてきました」
「ごめん、無理矢理挙げちゃって。早めに手を挙げるか聞いとけば良かったね」
「いや……盛り上げようとしてくれたんスよね。そういうのいちいち聞くのも変っていうか……俺こそ態度悪くしてごめんなさい」
「せっかく楽しい場所に来たから楽しまないともったいないよね」
「あっ……もったいない。その日本語好きっス。物以外にも使うんスね」
「そうだね、損する……よりかは優しい言い方になるのかな」
「よーし、時間がもったいない、楽しみましょう!」
「おー!」
元気を取り戻し、入場時よりも良い調子で遊園地を回っていく。高いレールの上を自転車で漕いでいくアトラクションやコーヒーカップ、高所で回転するブランコなどに乗っていった。
「結構スリルあったね!」
「90°くらい傾きましたよね!? 落ちるかと思った」
「サンダルだったら飛んでいっちゃいそうだったよ」
体験した感想を言い合いながら歩いていると、キッチンカーを発見し軽食を取ることにする。ローランは焼きそば、仁はフランクフルトとポテト、飲み物はコーラを二つ注文した。
「焼きそば好きなんスよ。このソースがウマくて」
「ソース美味しいよね。トンカツにかかってるのも相性良くて好きだなあ」
「そうそう! 不思議だったのが、同じ揚げ物なのに鶏の唐揚げには合わなくて、かけてみたらくどかったんスよ」
「唐揚げは揚げる前に肉に味を染み込ませているからね。トンカツと同じようにチキンカツにしたらソースも合うよ」
「鶏肉のカツもあるんスか!? 食べてみたい!」
「じゃあ帰ったらチキンカツパーティーだね」
「やった、すごく楽しみ!」
今現在も楽しいのに既に帰った後にも楽しみがある。そんな多幸感に包まれながら焼きそばを口に運んだ。軽食が終わると丁度よく始まりそうなダンスショーを観に行って、それから動き回る乗り物に乗りながらシューティングゲームをしたり、メリーゴーランドの近くを通ると『本物の馬に乗りたい』『ローランくんに乗馬習おうかな』などと話している。時計を見てそろそろアトラクションに乗るのは最後になりそうだ。ジェットコースターに再チャレンジしようかと考えたが、ローランは遊園地に来たなら絶対これは乗っておきたいというものがあった。
「アレ乗りましょう!」
「あ~アレかあ」
デートの定番、観覧車。並ばずすんなり乗ることができた。向かい合わせになって座る。
「結構歩いたし座れて良かった」
「そうっスね。足が筋肉痛になりそう」
「ローランくんでも筋肉痛になるんだ」
「なりますよ。馬の世話してた時はそんなこと無かったんスけど、ボディーガードの時は車の移動が多かったし、今もそんなに足を動かさないので」
「元々筋肉があるから軽く済みそう。僕なんかは二、三日後にガクガクしてそうだよ」
全く色気とは無縁な会話の中、ゴンドラはゆっくりと頂上を目指している。ローランはこの時の為にジンクスを調べていた。
――場所によるみたいだけど、観覧車の頂上でキスしたら一生別れないとか、上手くいくとか、結婚するとか……! やってみたいけどどうやって誘おう……
「うわ、下見て! 透けてよく見える」
「ほ、ホントスね……」
「周りの景色もよく見えるよ」
――こんなにはしゃいでる仁さん初めて見れて今日はドキドキしっぱなしだ。景色見てる余裕なんて無いかも
「あ、あの…………そっち、座ってもいいスか?」
「ん? うん、いいよ」
揺れるゴンドラ。男二人が片側に座るのはバランスが良くない気がして悪いことをしてる気分になる。そしてこれからキスしようと考えているのだからそれ以上に緊張する。隣に座った頃にはもう頂上が近い。雰囲気を作って察してもらうなんて無理、直球で行くしかないと考え、ぴったりとくっついて仁の腕を掴む。
「仁さん。……キス、してください」
か細い声で伝えて目を閉じ、少し顔を上げて待つ。目を閉じていても気配でわかる。数拍置いて顔が近づくのを。頬が両手で包まれて唇が触れる。目を開けると仁と目が合った。
「……頂上でする、で合ってた?」
照れくさそうに笑う仁につられてローランも照れ、こくこくと赤べこのように頭を振った。それから自分で紅潮した頬を両手で覆いながら向かいの席に戻り、俯き加減でキスの余韻を感じている。
「そっちに戻っちゃうの?」
「だ、だって、片側に二人いたらバランス悪くて落ちたら困るし……」
「ふふっ」
「笑わないでくださいよっ」
「はは、ごめん。可愛いこと言うからつい」
「……。……あと降りるまでは景色見てます」
「いい眺めだね」
「はい」
日没まであと数分だろうか。遠くを見れば建物や自然を染める夕焼けと辺りの薄暗さのコントラスト。下を見れば点々とつき始める灯り、移ろいゆく人の影、アトラクションの様々な音。観覧車だから見える景色。
「一日があっという間だったね」
「俺もそう感じました。あっという間で、スゴく楽しかったっス」
「楽しませてあげられるかなって不安だったけど、僕の方が楽しんでたかも」
「楽しそうにしてる仁さんを見てるのも楽しかったっスよ。また来たいっスね」
「そうだね。他にももっと色んな所に行って思い出作りたいな」
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