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十四話 わかり合いたい気持ちと想い

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 放課後となり、まずは互いに一度帰宅して家族に事情を話してから校門で待ち合わせをするということになった。先に校門へ着いたのはココロで、今の時間は下校している生徒はほとんどおらず、ただぼんやりと空を見上げながら待っていた。 

「先に来てたんだ」 

 愛美の声が聞こえてハッとする。愛美へ向き直ると横には今までに見たことのないピヨらしきトリがいた。
 体長は一・三メートル程。頭部からは長くしなやかな飾り羽が生えており、目の周囲は化粧を施しているかのような色合いである。長い首周りにはまるで花弁のような大ぶりな羽毛に包まれている。
 オシャレの為か飾り羽にはリボンが結ばれている。 

「……きれい……」 

 思わず口から溢れた言葉は素直な賛辞で、愛美は得意げな顔をする。 

「当たり前だよ。あたしのピヨだもん」
「はじめて見たピヨさんだ。なんていうしんかけいたいなの?」
「花がたっていうの。せかいでもほとんどいなくて、とってもきちょうなんだってパパが言ってた」
「へえ、すごい」
「ふふん、そうでしょ。つぎはココロちゃんのピヨね。早くお家行こう」
「キィッ」 

 先に進む愛美と、その横を花型ピヨが歩いていく。
 ココロも早足で追いかけていき自宅へ誘導していく。 

「名前はなんていうの?」
「フランソワっていうの」
「え……そわ? ……な、なに?」 

 あまりにも聞き馴染みが無い名前で聞き返す。 

「フ、ラ、ン、ソ、ワ!」 

 一音一音はっきりと発音されれば名前はわかる。しかしなんでそんな名前を付けたんだろうと密かに思った。 

「ココロちゃんのピヨは?」
「クックさんっていうんだよ」
「クック? ふーん、へんな名前」
「そうかなあ? ニワトリさんみたいにりっぱにそだってほしくて付けたんだけど」
「ココロちゃんが名前付けたの?」
「そうだよ」
「じゃあココロちゃんがかわってるんだね」 

 笑顔でそんなことを言ってくる愛美は悪気があるのか無いのか。きっと後者なのだと信じたい。 

「そのクックさんはどんなしんかけいたいなの? やっぱりつうじょうがた?」
「それがよくわかんない」
「わかんない?」
「おいしゃさんに聞いてもわかんないって言われたから」 

 定期検診の時期に進化後のクックを病院へ連れて行ったことがある。その際、獣医は驚くとともに色々調べたいとも言われたがあまり騒ぎにしたくないからと断っている。 

「へえ~。めずらしいんだ?」
「多分……今までに見たことなかったし」
「あたしは色んなピヨしってるから、どっちがめずらしいかわかっちゃうよ」
「どっちもめずらしいじゃダメなの?」
「ダメ! どっちがめずらしいかが大事なの!」 

 その愛美のこだわりは理解出来ないが、別段気にすることでもないなと何も言わないでおいた。 

「あたしはフランソワがヒナの時からいっしょにいるの。だからとってもあたしになついててイイコなんだよ。ねー? フランソワ」
「キィッキィッ」 

 バサッと翼を広げて鳴き、愛美の問いかけに呼応してるように見える。自分と同じように雛から育てている女の子がいたとは驚きだ。 

「マミちゃんもなんだ」
「どういういみ?」
「わたしもクックさんをたまごからふかさせてヒナからそだててるんだよ」
「っ!」 

 その時、愛美の表情が悔しそうにやや歪んだように見える。しかしすぐに自信満々な顔に戻った。 

「あっそう! そうなんだ? でもあたしのフランソワはかわいくてきれいだし、フランソワにはぜったいかてないもん!」
「うん、フランソワちゃんかわいくてきれいだね」 

 クックと比べたら明らかに見た目はフランソワの方が綺麗で可愛いと十人中十人が答えるだろう。それはココロも贔屓目で見たとしても同じことだ。クックのマスクや性格は可愛いと思えるが、ぱっと見だけではフランソワに軍配が上がるのは仕方ない。
 それから愛美のフランソワについてや、愛美自身の自慢話を聞きながら相槌を打ちつつ帰宅していった。
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