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十四話 わかり合いたい気持ちと想い

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 バンッ!! 

「まだしんかしないの!?」 

 それが学校に着いた途端に愛美から言われた言葉だった。ココロの席の前に立って机を叩き大きな音が鳴った。
 クラス中が注目してくるのは困ってしまう。大きな音に驚いただけで愛美の凄みには怯まず冷静になって答える。 

「しんかしたよ」 

 クラス内では女子グループが大まかに分かれており、愛美とココロは別グループだ。そしてココロから愛美に話しかけることは少なく、愛美からは自慢ばかり聞かされていた。ピヨの話題が上がることはほとんど無く、もうピヨの進化には興味が無さそうだと思い、クックが進化したら見せ合いをするということをココロはすっかり忘れていた。
 こうして痺れを切らして聞いてきたのだからココロからの言葉を実は待っていたのかもしれない。 

「あっそう。じゃあ今日学校が終わったら見せ合いするんだよ」
「いいけど……あ、でもまって」 

 クックについて近所の人たちには説明済だが、他の町の人はクックのことを知らない。クックも前の家から戻ってきて以降、東町内以外は出かけていないはずだ。クックを見て騒がれてしまっては大変なことになるかもしれない。そこでココロは提案する。 

「マミちゃんが家に来てくれるならいいよ」
「はあっ? どうしてあたしが行かなきゃいけないの!? おもてなししてくれるわけ?」
「おもてなし出来るかはわからないけど……」
「あたしの家ならいつでもおもてなしちゃーんとしてあげるのに」
「来てくれないなら見せ合いっこはしない」
「なにそれ!」 

 また机を叩きながら機嫌を悪くする愛美だがココロは動じない。
 そんな二人のもとに大介が仲裁にやって来た。 

「まあまあ、ケンカはよくないよ」
「ダイスケくん! あたしはココロちゃんがやくそく守ってくれないからおこってるんだよ?」
「見せ合いっこしないなんて言ってないよ。見せ合う場所をわたしの家にしてほしいっておねがいしてるだけ」
「それってどうしても?」
「どうしても」 

 ココロが真っ直ぐに愛美の目を見てがんとして意見を曲げようとはしない。
 さすがの愛美もココロのはっきりとした主張にたじろいでいる。そして諦めたのか幾らか冷静になる。 

「……ふんっ。わかった。しょうがないから行ってあげる」
「……ありがと」
「天海さんよかったね」
「うん。ダイスケくんもありがとう」
「おはよー! ……ってなんだ?」 

 弐士騎が何も知らない顔で教室に入ってきた。静まり返る教室で弐士騎のあいさつへ返す人はいない。
 神妙な顔をして教室内を見渡し、何かあったと察した弐士騎は雰囲気でココロ、愛美、大介へ近づいていく。そして大介を指差した。 

「お前女子とケンカしてたのか!? めんどくさくなる前にあやまっちまえよ」
「え、ち、ちがうよ。ぼくは止めてただけだって」
「この……えーっと…………いち、……だれだっけ?」
「はあ? あたしの名前おぼえてないの!? マミちゃんよ!」
「えー……マミとケンカしてたんじゃねえの?」
「ぼくじゃなくて天海さんかな」
「えっ。ココロが? マジ?」 

 意外とでも言いそうな顔をしている。
 そんな弐士騎を無視してココロは愛美に顔を向けた。
 
「じゃあマミちゃん、ほうかごね」
「やくそくだからね」 

 二人のケンカが落ち着いたのだとクラス中が一安心し、ちらほらと話し出す生徒たち。
 島も教室にやって来て予鈴が鳴ると一斉に皆着席した。 
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