81 / 85
十四話 わかり合いたい気持ちと想い
一
しおりを挟む
バンッ!!
「まだしんかしないの!?」
それが学校に着いた途端に愛美から言われた言葉だった。ココロの席の前に立って机を叩き大きな音が鳴った。
クラス中が注目してくるのは困ってしまう。大きな音に驚いただけで愛美の凄みには怯まず冷静になって答える。
「しんかしたよ」
クラス内では女子グループが大まかに分かれており、愛美とココロは別グループだ。そしてココロから愛美に話しかけることは少なく、愛美からは自慢ばかり聞かされていた。ピヨの話題が上がることはほとんど無く、もうピヨの進化には興味が無さそうだと思い、クックが進化したら見せ合いをするということをココロはすっかり忘れていた。
こうして痺れを切らして聞いてきたのだからココロからの言葉を実は待っていたのかもしれない。
「あっそう。じゃあ今日学校が終わったら見せ合いするんだよ」
「いいけど……あ、でもまって」
クックについて近所の人たちには説明済だが、他の町の人はクックのことを知らない。クックも前の家から戻ってきて以降、東町内以外は出かけていないはずだ。クックを見て騒がれてしまっては大変なことになるかもしれない。そこでココロは提案する。
「マミちゃんが家に来てくれるならいいよ」
「はあっ? どうしてあたしが行かなきゃいけないの!? おもてなししてくれるわけ?」
「おもてなし出来るかはわからないけど……」
「あたしの家ならいつでもおもてなしちゃーんとしてあげるのに」
「来てくれないなら見せ合いっこはしない」
「なにそれ!」
また机を叩きながら機嫌を悪くする愛美だがココロは動じない。
そんな二人のもとに大介が仲裁にやって来た。
「まあまあ、ケンカはよくないよ」
「ダイスケくん! あたしはココロちゃんがやくそく守ってくれないからおこってるんだよ?」
「見せ合いっこしないなんて言ってないよ。見せ合う場所をわたしの家にしてほしいっておねがいしてるだけ」
「それってどうしても?」
「どうしても」
ココロが真っ直ぐに愛美の目を見てがんとして意見を曲げようとはしない。
さすがの愛美もココロのはっきりとした主張にたじろいでいる。そして諦めたのか幾らか冷静になる。
「……ふんっ。わかった。しょうがないから行ってあげる」
「……ありがと」
「天海さんよかったね」
「うん。ダイスケくんもありがとう」
「おはよー! ……ってなんだ?」
弐士騎が何も知らない顔で教室に入ってきた。静まり返る教室で弐士騎のあいさつへ返す人はいない。
神妙な顔をして教室内を見渡し、何かあったと察した弐士騎は雰囲気でココロ、愛美、大介へ近づいていく。そして大介を指差した。
「お前女子とケンカしてたのか!? めんどくさくなる前にあやまっちまえよ」
「え、ち、ちがうよ。ぼくは止めてただけだって」
「この……えーっと…………いち、……だれだっけ?」
「はあ? あたしの名前おぼえてないの!? マミちゃんよ!」
「えー……マミとケンカしてたんじゃねえの?」
「ぼくじゃなくて天海さんかな」
「えっ。ココロが? マジ?」
意外とでも言いそうな顔をしている。
そんな弐士騎を無視してココロは愛美に顔を向けた。
「じゃあマミちゃん、ほうかごね」
「やくそくだからね」
二人のケンカが落ち着いたのだとクラス中が一安心し、ちらほらと話し出す生徒たち。
島も教室にやって来て予鈴が鳴ると一斉に皆着席した。
「まだしんかしないの!?」
それが学校に着いた途端に愛美から言われた言葉だった。ココロの席の前に立って机を叩き大きな音が鳴った。
クラス中が注目してくるのは困ってしまう。大きな音に驚いただけで愛美の凄みには怯まず冷静になって答える。
「しんかしたよ」
クラス内では女子グループが大まかに分かれており、愛美とココロは別グループだ。そしてココロから愛美に話しかけることは少なく、愛美からは自慢ばかり聞かされていた。ピヨの話題が上がることはほとんど無く、もうピヨの進化には興味が無さそうだと思い、クックが進化したら見せ合いをするということをココロはすっかり忘れていた。
こうして痺れを切らして聞いてきたのだからココロからの言葉を実は待っていたのかもしれない。
「あっそう。じゃあ今日学校が終わったら見せ合いするんだよ」
「いいけど……あ、でもまって」
クックについて近所の人たちには説明済だが、他の町の人はクックのことを知らない。クックも前の家から戻ってきて以降、東町内以外は出かけていないはずだ。クックを見て騒がれてしまっては大変なことになるかもしれない。そこでココロは提案する。
「マミちゃんが家に来てくれるならいいよ」
「はあっ? どうしてあたしが行かなきゃいけないの!? おもてなししてくれるわけ?」
「おもてなし出来るかはわからないけど……」
「あたしの家ならいつでもおもてなしちゃーんとしてあげるのに」
「来てくれないなら見せ合いっこはしない」
「なにそれ!」
また机を叩きながら機嫌を悪くする愛美だがココロは動じない。
そんな二人のもとに大介が仲裁にやって来た。
「まあまあ、ケンカはよくないよ」
「ダイスケくん! あたしはココロちゃんがやくそく守ってくれないからおこってるんだよ?」
「見せ合いっこしないなんて言ってないよ。見せ合う場所をわたしの家にしてほしいっておねがいしてるだけ」
「それってどうしても?」
「どうしても」
ココロが真っ直ぐに愛美の目を見てがんとして意見を曲げようとはしない。
さすがの愛美もココロのはっきりとした主張にたじろいでいる。そして諦めたのか幾らか冷静になる。
「……ふんっ。わかった。しょうがないから行ってあげる」
「……ありがと」
「天海さんよかったね」
「うん。ダイスケくんもありがとう」
「おはよー! ……ってなんだ?」
弐士騎が何も知らない顔で教室に入ってきた。静まり返る教室で弐士騎のあいさつへ返す人はいない。
神妙な顔をして教室内を見渡し、何かあったと察した弐士騎は雰囲気でココロ、愛美、大介へ近づいていく。そして大介を指差した。
「お前女子とケンカしてたのか!? めんどくさくなる前にあやまっちまえよ」
「え、ち、ちがうよ。ぼくは止めてただけだって」
「この……えーっと…………いち、……だれだっけ?」
「はあ? あたしの名前おぼえてないの!? マミちゃんよ!」
「えー……マミとケンカしてたんじゃねえの?」
「ぼくじゃなくて天海さんかな」
「えっ。ココロが? マジ?」
意外とでも言いそうな顔をしている。
そんな弐士騎を無視してココロは愛美に顔を向けた。
「じゃあマミちゃん、ほうかごね」
「やくそくだからね」
二人のケンカが落ち着いたのだとクラス中が一安心し、ちらほらと話し出す生徒たち。
島も教室にやって来て予鈴が鳴ると一斉に皆着席した。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
はぐれ者ラプソディー
はじめアキラ@テンセイゲーム発売中
ファンタジー
「普通、こんなレアな生き物簡単に捨てたりしないよね?俺が言うのもなんだけど、変身できる能力を持ったモンスターってそう多くはないんだし」
人間やモンスターのコミュニティから弾きだされた者達が集う、捨てられの森。その中心に位置するインサイドの町に住むジム・ストライクは、ある日見回りの最中にスライムが捨てられていることに気づく。
本来ならば高価なモンスターのはずのスライムが、何故捨てられていたのか?
ジムはそのスライムに“チェルク”と名前をつけ、仲間達と共に育てることにしたのだが……実はチェルクにはとんでもない秘密があって。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる