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七話 仲良きことは美しき哉
四
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「クックさん。外の風きもちいい?」
「ピッギョォ~」
外出の時は大体カゴの中で過ごしているクックだが、今はココロの片手と腹で支えられている。新鮮な外気に、外の世界に触れている。そよ風が気持ちよく、少し伸びた羽が靡いている。
「プゥ~……プゥ~……」
「オモチおもくなったね。もう~自分で歩いてっ!」
「クアッ!?」
寝息を立てていたオモチ。凛々華に下ろされてしまうとバサバサと翼を羽ばたかせその場で動こうとしない。凛々華が十メートルは先に進んだあたりで遅れて歩き出す。スローペースで距離もさほど縮まらない。体が大きく埋もれて見えづらいが脚はがっしりとして太い。体重を支える為そのような進化を遂げたのだろう。
「オモチちゃん、広場にいく前につかれちゃうかな?」
「でもちょっとはうんどうしてもらいたいしなぁ」
振り向きまだ随分後ろにいるオモチを見て呟いている。
凛々華は歩みを止め、しゃがんでオモチを待つことにした。
「オモチー、おいでー」
「クアッ…………クゥゥゥ!」
「うわっ!?」
「ピギョ~!?」
ココロとクックが驚くのも無理はない。今までのんびりと歩いていたオモチが突然体を横に倒して転がってきたのだ。歩くよりも断然速い。
凛々華はわかっていたのだろう。両手で転がってきたオモチを見事止めてみせた。
「あともう少しだからね」
「クワァクゥ」
それからまたゆっくりと歩くオモチのペースに根気よく合わせて歩き、やっとのことで広場へ到着する。広場には知らない子供は何人か遊んでいるが、大介たちはいなかった。
「よ~し、みんなでかけっこしよ!」
「かけっこかぁ。できるかな?」
クックは出来そうな気はしているが、問題はオモチである。今までの動きを見ていて走ることなんか出来るのだろうかと疑問に思う。先程のように転がって移動するのであれば速いかもしれないが。
「クックさんもがんばって走ろうね」
「ピッ! ピィ~ギョ~!」
クックが先に広場を駆け回るのをココロが追いかけていく。
それを見て凛々華もオモチに走るように指示するが、またその場で立ち止まってしまっている。
「オモチってば、クックさんいっちゃったよ? ほら、いっしょにがんばろ?」
数メートル先に走り出すがそれでもオモチは動かない。そこで凛々華は奥の手を出すことに決めた。それはオモチの大好物のピヨ用のおやつである。
「オモチ~コレ~」
「ク? クワァーッ!」
手に持ち頭上でチラつかせてみるとオモチは気付いたようで明らかな反応を見せる。立ち上がって走るか先程のように転がるかと思いきや、なんと高く跳躍したのだ。
「とんでる!?」
「ジャンプするのとくいなんだよ」
「クワァーッ!」
「ピィッ!?」
ドスンッ!! と体重の乗る大きな音を立てて凛々華の前にオモチが落ちてきた。食べ物への執念か、さっきまで動かなかったのが嘘のようにバタバタと羽ばたいてその場で跳ねている。
凛々華が一つおやつを与えると、オモチはあっという間に平らげてしまい、もっと欲しいのか鳴いている。その勢いに乗り、おやつを持ちながら走ってオモチに追いかけてもらう。
ココロとクックはその様子を唖然として見ながら走っていた。
「ピッギョォ~」
外出の時は大体カゴの中で過ごしているクックだが、今はココロの片手と腹で支えられている。新鮮な外気に、外の世界に触れている。そよ風が気持ちよく、少し伸びた羽が靡いている。
「プゥ~……プゥ~……」
「オモチおもくなったね。もう~自分で歩いてっ!」
「クアッ!?」
寝息を立てていたオモチ。凛々華に下ろされてしまうとバサバサと翼を羽ばたかせその場で動こうとしない。凛々華が十メートルは先に進んだあたりで遅れて歩き出す。スローペースで距離もさほど縮まらない。体が大きく埋もれて見えづらいが脚はがっしりとして太い。体重を支える為そのような進化を遂げたのだろう。
「オモチちゃん、広場にいく前につかれちゃうかな?」
「でもちょっとはうんどうしてもらいたいしなぁ」
振り向きまだ随分後ろにいるオモチを見て呟いている。
凛々華は歩みを止め、しゃがんでオモチを待つことにした。
「オモチー、おいでー」
「クアッ…………クゥゥゥ!」
「うわっ!?」
「ピギョ~!?」
ココロとクックが驚くのも無理はない。今までのんびりと歩いていたオモチが突然体を横に倒して転がってきたのだ。歩くよりも断然速い。
凛々華はわかっていたのだろう。両手で転がってきたオモチを見事止めてみせた。
「あともう少しだからね」
「クワァクゥ」
それからまたゆっくりと歩くオモチのペースに根気よく合わせて歩き、やっとのことで広場へ到着する。広場には知らない子供は何人か遊んでいるが、大介たちはいなかった。
「よ~し、みんなでかけっこしよ!」
「かけっこかぁ。できるかな?」
クックは出来そうな気はしているが、問題はオモチである。今までの動きを見ていて走ることなんか出来るのだろうかと疑問に思う。先程のように転がって移動するのであれば速いかもしれないが。
「クックさんもがんばって走ろうね」
「ピッ! ピィ~ギョ~!」
クックが先に広場を駆け回るのをココロが追いかけていく。
それを見て凛々華もオモチに走るように指示するが、またその場で立ち止まってしまっている。
「オモチってば、クックさんいっちゃったよ? ほら、いっしょにがんばろ?」
数メートル先に走り出すがそれでもオモチは動かない。そこで凛々華は奥の手を出すことに決めた。それはオモチの大好物のピヨ用のおやつである。
「オモチ~コレ~」
「ク? クワァーッ!」
手に持ち頭上でチラつかせてみるとオモチは気付いたようで明らかな反応を見せる。立ち上がって走るか先程のように転がるかと思いきや、なんと高く跳躍したのだ。
「とんでる!?」
「ジャンプするのとくいなんだよ」
「クワァーッ!」
「ピィッ!?」
ドスンッ!! と体重の乗る大きな音を立てて凛々華の前にオモチが落ちてきた。食べ物への執念か、さっきまで動かなかったのが嘘のようにバタバタと羽ばたいてその場で跳ねている。
凛々華が一つおやつを与えると、オモチはあっという間に平らげてしまい、もっと欲しいのか鳴いている。その勢いに乗り、おやつを持ちながら走ってオモチに追いかけてもらう。
ココロとクックはその様子を唖然として見ながら走っていた。
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