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五話 学校へ行こう
二
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伯父に送ってもらい、学校の職員室へ向かって担任の教師に挨拶を済ませる。
ココロは引っ越す前に挨拶済みで、担任教師は家庭の事情も把握している。
それから伯父は仕事があるからと言って学校から職場へ向かっていった。
担任の教師は女性で、まだ二十代後半の若い教師だ。名前は島蘭子という。
島の後をついていき《2ー1》というプレートが掛かっている教室の前までやってきた。廊下からでも中の騒いでいる声が聞こえてくる。
ーードキドキする……はじめてのところ……こわいな……
両手でスカートを握りしめて肩から深呼吸する。
島が教室の扉を開けて入って行き、後をゆっくりと追いかけて行けばそこで予鈴が鳴った。教室にいる生徒が慌ただしく席についていく。ガヤガヤと話す声、大勢の視線が突き刺さるようで痛いと錯覚するほど。ざっと見て三十人はいるだろうか。
「おはようございます」
「「おはようございまーす」」
島の挨拶に生徒たちは一斉に挨拶を返す。その声量にびくりと肩を震わせた。
「今日は新しいお友達を紹介しますね」
黒板の中央に白いチョークで大きく《天海ココロ》と書かれる。
「天海ココロちゃんよ。まだ引っ越してきたばかりでこの辺りのことなど、わからないことがたくさんあるので、みんな優しく教えてあげてね。ココロちゃん、一言、自己紹介をどうぞ」
「えっ。あの…………えっと」
俯いたまま、緊張して顔を上げられない。多くの視線が怖いと感じる。足から徐々に全身まで震えてきてしまう。何かを言わないといけない義務感もあり、俯きながらではあるが震える口を開いていく。
「……あ、まみ、ココロ、です……よろしく」
小さくお辞儀をすると、少し間を空けて島が拍手する。つられて生徒も拍手をした。緊張していて拍手されることも恥ずかしい。
「はい、ありがとうございます。みんな仲良くしましょうね。えーっと席は……凛々華ちゃんの隣に行きましょうか」
案内された席は一番後ろの窓際の席。隣は女の子だ。髪型はボブでそばかすが特徴的な大人しそうな子である。
ココロは凛々華と呼ばれた女の子に向かって会釈をして座った。
凛々華も視線が合って会釈を返したが何か話すことはなく、すぐにホームルームが始まった。
ホームルームでは歌を歌ったり、読書などをする時間として設けられている。今日はココロが転校初日の為、紹介という形で校歌を歌われた。
「「ーーと~きわ~しょーがっこう~」」
ここは【常磐小学校】という公立小学校。
校歌を歌い終えたあとは連絡事項を聞き、提出するプリントを集め、ホームルームが終わる。すぐに一時間目の授業が始まる。この流れは前の学校と変わらないが、慣れない環境で落ち着かず俯くばかりだった。
ココロは引っ越す前に挨拶済みで、担任教師は家庭の事情も把握している。
それから伯父は仕事があるからと言って学校から職場へ向かっていった。
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島の後をついていき《2ー1》というプレートが掛かっている教室の前までやってきた。廊下からでも中の騒いでいる声が聞こえてくる。
ーードキドキする……はじめてのところ……こわいな……
両手でスカートを握りしめて肩から深呼吸する。
島が教室の扉を開けて入って行き、後をゆっくりと追いかけて行けばそこで予鈴が鳴った。教室にいる生徒が慌ただしく席についていく。ガヤガヤと話す声、大勢の視線が突き刺さるようで痛いと錯覚するほど。ざっと見て三十人はいるだろうか。
「おはようございます」
「「おはようございまーす」」
島の挨拶に生徒たちは一斉に挨拶を返す。その声量にびくりと肩を震わせた。
「今日は新しいお友達を紹介しますね」
黒板の中央に白いチョークで大きく《天海ココロ》と書かれる。
「天海ココロちゃんよ。まだ引っ越してきたばかりでこの辺りのことなど、わからないことがたくさんあるので、みんな優しく教えてあげてね。ココロちゃん、一言、自己紹介をどうぞ」
「えっ。あの…………えっと」
俯いたまま、緊張して顔を上げられない。多くの視線が怖いと感じる。足から徐々に全身まで震えてきてしまう。何かを言わないといけない義務感もあり、俯きながらではあるが震える口を開いていく。
「……あ、まみ、ココロ、です……よろしく」
小さくお辞儀をすると、少し間を空けて島が拍手する。つられて生徒も拍手をした。緊張していて拍手されることも恥ずかしい。
「はい、ありがとうございます。みんな仲良くしましょうね。えーっと席は……凛々華ちゃんの隣に行きましょうか」
案内された席は一番後ろの窓際の席。隣は女の子だ。髪型はボブでそばかすが特徴的な大人しそうな子である。
ココロは凛々華と呼ばれた女の子に向かって会釈をして座った。
凛々華も視線が合って会釈を返したが何か話すことはなく、すぐにホームルームが始まった。
ホームルームでは歌を歌ったり、読書などをする時間として設けられている。今日はココロが転校初日の為、紹介という形で校歌を歌われた。
「「ーーと~きわ~しょーがっこう~」」
ここは【常磐小学校】という公立小学校。
校歌を歌い終えたあとは連絡事項を聞き、提出するプリントを集め、ホームルームが終わる。すぐに一時間目の授業が始まる。この流れは前の学校と変わらないが、慣れない環境で落ち着かず俯くばかりだった。
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