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一話 家庭の別れ過程
一
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『いってくるよ』
『……いってらっしゃい』
『いってくるわね』
『……いってらっしゃい』
毎日毎日必ずやってくる朝。快晴の空から目映い太陽の光が地上を照らす。そんな外の明るさとは相違する少女の表情。俯き陰る目元には光が差さない。
朝になると『おはよう』じゃなくて『いってらっしゃい』を言わないといけない。朝はイヤ。わたしのママとパパをつれていくから……
『……いってーー』
わたしの言葉をさいごまできかないでいっちゃう日もあった。『いかないで』という言葉を言った日はなんどもあったけど、その時はきまってパパもママもこまったかおをしてわたしのあたまをなでてくれた。でもその後はぜったいにいっちゃう。おしごとだからしかたないんだけど……
少女が『いってらっしゃい』と言うのを慣れた頃。父親は立ったまま見下げ、母親は目線の高さにしゃがみ少女の肩を掴む。
『海外出張になった』
『伯父さんの所でお世話になるから、いい子にしてるのよ』
娘を連れていくことも出来た。しかし現在の状況から鑑みて仕事で家を空けることの多い二人は、幼い子供を慣れない土地に一人で留守番をさせるのはどうなのか、不慣れな環境に置くことはいかがなものかと思案した。そして伯父夫婦に預けることを決意した。
今まで慣れた地であれば、幼い子供一人に留守番をさせることについてはなんら疑問は湧かなかったようだ。
幼い我が子を伯父夫婦に預け、少女の両親は海外へと飛んでいく。見送る少女の小さな胸には、元々心の底にあって燻っていた暗い感情がジワジワと滲み蝕んでいった。小さな胸の中には小さなケージがあり、バタバタと羽ばたく音が鳴るが、空港内ではそれは響かない。少女の耳にも……。
『……いってらっしゃい』
『いってくるわね』
『……いってらっしゃい』
毎日毎日必ずやってくる朝。快晴の空から目映い太陽の光が地上を照らす。そんな外の明るさとは相違する少女の表情。俯き陰る目元には光が差さない。
朝になると『おはよう』じゃなくて『いってらっしゃい』を言わないといけない。朝はイヤ。わたしのママとパパをつれていくから……
『……いってーー』
わたしの言葉をさいごまできかないでいっちゃう日もあった。『いかないで』という言葉を言った日はなんどもあったけど、その時はきまってパパもママもこまったかおをしてわたしのあたまをなでてくれた。でもその後はぜったいにいっちゃう。おしごとだからしかたないんだけど……
少女が『いってらっしゃい』と言うのを慣れた頃。父親は立ったまま見下げ、母親は目線の高さにしゃがみ少女の肩を掴む。
『海外出張になった』
『伯父さんの所でお世話になるから、いい子にしてるのよ』
娘を連れていくことも出来た。しかし現在の状況から鑑みて仕事で家を空けることの多い二人は、幼い子供を慣れない土地に一人で留守番をさせるのはどうなのか、不慣れな環境に置くことはいかがなものかと思案した。そして伯父夫婦に預けることを決意した。
今まで慣れた地であれば、幼い子供一人に留守番をさせることについてはなんら疑問は湧かなかったようだ。
幼い我が子を伯父夫婦に預け、少女の両親は海外へと飛んでいく。見送る少女の小さな胸には、元々心の底にあって燻っていた暗い感情がジワジワと滲み蝕んでいった。小さな胸の中には小さなケージがあり、バタバタと羽ばたく音が鳴るが、空港内ではそれは響かない。少女の耳にも……。
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