夢一会

朝陽ヨル

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 俺は一回だけ不思議な夢を見た。
 付き合っている人がいるわけじゃない。なのに、俺はその人とデートしてるんだ。顔はぼんやりとしてて見えなかった。声は聞こえないけど、優しくて、夢の中の俺はとにかく楽しくて、ドキドキしてた。
 きし亮太りょうた、俺の名前。十六歳でまだデートって実際したことないけど、あんな感じなのかな~とか想像する。俺より背高かったけど、それはそれでモデルみたいに美人だったりして。そんな美人と付き合ってみたい。

「はぁ~……現実はこんなもんだよな」

 周りを見渡しても男、男、男。ここ、男子校だし。あの夢はなんなんだ。俺の願望? ま、夢ってそんなだよな。

「なにぶつぶつ言ってんだ?」

 ガタガタッ………ドテン!

 横から声をかけられて、思わず椅子から退いて、バランスを崩してソイツとは反対の横に倒れた。

「って~~!」
「ばーか」
「なっ……、お前がいきなり声かけるからだろ!先に言え!」

 幼馴染みの小川おがわあおいだ。無駄に身長が高い。高一で百八十越えてるとかないだろ……しかもまだ伸びるとかふざけんな! 俺のコンプレックスなんだよ!

「わざわざ声かける前に声かけるぞって言えばいいのか?」
「あ、アホだろそれ!」
「自分が言ったクセに。お前がアホだろ」
「~~~っ」

 自分で墓穴掘ったのを気づいてからアホ呼ばわりされるとか、もっといたたまれない。

「あーはいはい。どーせ俺はアホですよー」
「開き直ると更にアホっぽい」
「あーもーうるさいな! 早くどっか行けよ!」
「お前に用があるから来たんだぞ?」
「え、あ、そう。何?」
「別に大した用じゃないけどな」
「なら、とっとと言えよ。俺は早く帰りたい」
「一緒に帰ろうぜ?」
「………ははっ。ほんと、大した用じゃないな」

 鼻で笑って、それから立ち上がって鞄を持ち、蒼と一緒に下校した。
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