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アホな飼い主とアホなインコのエピソード
ぴるるとどばちゃん
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私はセキセイインコは複数飼いした後、セキセイインコと比べ物にならないほどおっとりしたオカメインコに興味を持つようになった。
ぴるるは、事情があって手放す方から里親として引き取った。ぴるるは、3年間ほんとに元飼い主さんに可愛がられたグレーのオスのオカメだった。
元の飼い主さんが手放す決意をした時の断腸の別れは、引き受ける側の胸も締め付けられた。私は3年間なじんだ名前で呼んであげたいと強く思った。
ぴるるは箱入りインコだった。とにかく大事に大事にされた結果、運動能力ゼロかつ絶望的なバランス感覚のインコだった。ぴるるが我が家に来た当時は地獄の思いだったに違いない。
なぜなら我が家には当時、セキセイ軍団を飼っていたからだ。セキセイ軍団の中に放りこまれた運動能力ゼロのオカメは放鳥時、セキセイ軍団にいいだけ追い掛け回された。
運動能力が絶望的とはいえ、セキセイの
「邪魔なんだよ! どけよ、このバカインコ!」
と、かなり噛みつかれれば、逃げるしかない。
逃げて逃げて、逃げまくり、強制的に運動するハメになったぴるるは一か月ほど経つとセキセイからの回避能力が驚異的にのびた。さすがに命の恐怖を感じると、運動能力が絶望的でも鍛えられたようだ(←一応、飼い主は見守っていたからね(言い訳))。
ぴるるが来てしばらくした頃、当時交流のあった鳥友達が数人、我が家に遊びに来た。やはり最大のお目当ては新入りのぴるるだった。
ぴるるを紹介すると、鳥友達が全員
「名前が、ぽんたさん(飼い主の私のことだ)の家のインコにしてはおしゃれすぎる」
と指摘した。
反論の余地はなかった。なにせ、我が家のセキセイインコは「ひよこ」だの「たこすけ」だの「なすび」だのだったし、ぴるるの他にいたオカメインコも「かめ」という名前だったしなw
「元の飼い主さんが付けた名前だから大事にしたいしな~」
と私が言うと、皆うなづきながらも
「もし、ぽんたさんだったら、どんな名前つけるの?」
と尋ねてくる。
私は、浮かんできて離れないその名前を言った――
「土鳩みたいだから、ど、どばちゃん……」
答えると、大うけされてしまった。
「どばちゃん! ぽんたさんならそう付けるよね」
爆笑されながら「どば」っていい名前だなと思った。
それから十年ちょっと。
ぴるるが逝き、ぴるるが大好きだったかめちゃんも逝った。ぴるるとかめちゃんは相思相愛だったが、絶望的なぴるるのバランス感覚だけは向上することなく、ついに結婚に至らなかったw
セキセイたちもいなくなり、手元にいるのは、オカメインコのまるちゃんだけになった。
ところが、それまで複数飼いだったので、一羽になったまるちゃんの精神状態がかなり不安定になった。そして飼い主が不在になることを極端に嫌がった。
このままでは、まるちゃんの体調が崩れそうだと感じた私は、オカメインコをもう一羽飼うことを家族に相談した。まるちゃんの呼び鳴きが尋常でなかったので家族も了承してくれた。
このような経緯できたのが、白っぽいオカメインコのヒナだった。白いけれど、私の中で名前はたった一つしか浮かばなかった。ぴるるに付けたかった「どば」という名前。
というわけで、白っぽいオカメのヒナに土鳩成分はほぼなかったが、名前は「どば」になった。家族には不評だったが、私は「どば」で押し通した。
オスだったどばに、私にしてはかなり根気をいれて名前を教えたので「どばっ」と名乗るようになった。通称「どばっち」。パンチがあって覚えやすく言いやすい名前だったのと、どばっちが自ら名乗るようになったので、めでたく「どばっち」は定着した。
どばっちが「どばどばっ」という度に、どばっちと呼びかける度に、私は運動能力ゼロ、絶望的なバランス感覚の穏やかなぴるるを思い出す。
ちなみにどばっちは、ぴるるの穏やかな性格とは似ても似つかないアホオカメに育ち、まるちゃんとは相性最悪である。
それでも、互いが見えないと呼び鳴きをして存在を確認しているので、相性は最悪でも互いに必要悪と認識して、仲悪く、日々暮らしている。
ぴるるは、事情があって手放す方から里親として引き取った。ぴるるは、3年間ほんとに元飼い主さんに可愛がられたグレーのオスのオカメだった。
元の飼い主さんが手放す決意をした時の断腸の別れは、引き受ける側の胸も締め付けられた。私は3年間なじんだ名前で呼んであげたいと強く思った。
ぴるるは箱入りインコだった。とにかく大事に大事にされた結果、運動能力ゼロかつ絶望的なバランス感覚のインコだった。ぴるるが我が家に来た当時は地獄の思いだったに違いない。
なぜなら我が家には当時、セキセイ軍団を飼っていたからだ。セキセイ軍団の中に放りこまれた運動能力ゼロのオカメは放鳥時、セキセイ軍団にいいだけ追い掛け回された。
運動能力が絶望的とはいえ、セキセイの
「邪魔なんだよ! どけよ、このバカインコ!」
と、かなり噛みつかれれば、逃げるしかない。
逃げて逃げて、逃げまくり、強制的に運動するハメになったぴるるは一か月ほど経つとセキセイからの回避能力が驚異的にのびた。さすがに命の恐怖を感じると、運動能力が絶望的でも鍛えられたようだ(←一応、飼い主は見守っていたからね(言い訳))。
ぴるるが来てしばらくした頃、当時交流のあった鳥友達が数人、我が家に遊びに来た。やはり最大のお目当ては新入りのぴるるだった。
ぴるるを紹介すると、鳥友達が全員
「名前が、ぽんたさん(飼い主の私のことだ)の家のインコにしてはおしゃれすぎる」
と指摘した。
反論の余地はなかった。なにせ、我が家のセキセイインコは「ひよこ」だの「たこすけ」だの「なすび」だのだったし、ぴるるの他にいたオカメインコも「かめ」という名前だったしなw
「元の飼い主さんが付けた名前だから大事にしたいしな~」
と私が言うと、皆うなづきながらも
「もし、ぽんたさんだったら、どんな名前つけるの?」
と尋ねてくる。
私は、浮かんできて離れないその名前を言った――
「土鳩みたいだから、ど、どばちゃん……」
答えると、大うけされてしまった。
「どばちゃん! ぽんたさんならそう付けるよね」
爆笑されながら「どば」っていい名前だなと思った。
それから十年ちょっと。
ぴるるが逝き、ぴるるが大好きだったかめちゃんも逝った。ぴるるとかめちゃんは相思相愛だったが、絶望的なぴるるのバランス感覚だけは向上することなく、ついに結婚に至らなかったw
セキセイたちもいなくなり、手元にいるのは、オカメインコのまるちゃんだけになった。
ところが、それまで複数飼いだったので、一羽になったまるちゃんの精神状態がかなり不安定になった。そして飼い主が不在になることを極端に嫌がった。
このままでは、まるちゃんの体調が崩れそうだと感じた私は、オカメインコをもう一羽飼うことを家族に相談した。まるちゃんの呼び鳴きが尋常でなかったので家族も了承してくれた。
このような経緯できたのが、白っぽいオカメインコのヒナだった。白いけれど、私の中で名前はたった一つしか浮かばなかった。ぴるるに付けたかった「どば」という名前。
というわけで、白っぽいオカメのヒナに土鳩成分はほぼなかったが、名前は「どば」になった。家族には不評だったが、私は「どば」で押し通した。
オスだったどばに、私にしてはかなり根気をいれて名前を教えたので「どばっ」と名乗るようになった。通称「どばっち」。パンチがあって覚えやすく言いやすい名前だったのと、どばっちが自ら名乗るようになったので、めでたく「どばっち」は定着した。
どばっちが「どばどばっ」という度に、どばっちと呼びかける度に、私は運動能力ゼロ、絶望的なバランス感覚の穏やかなぴるるを思い出す。
ちなみにどばっちは、ぴるるの穏やかな性格とは似ても似つかないアホオカメに育ち、まるちゃんとは相性最悪である。
それでも、互いが見えないと呼び鳴きをして存在を確認しているので、相性は最悪でも互いに必要悪と認識して、仲悪く、日々暮らしている。
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