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アホな飼い主とアホなインコのエピソード
煩悩の塩味
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生きていると泣きたい時がある。つらい気持ちで、一人部屋の中で声をころして泣くしかなくて。世の中で たった一人になったような孤独感に苛まれている時……。
肩にのせていたインコが、心配そうに頬に顔をよせてきて、飼い主を慰めてくれるのだ。
「大丈夫? 大丈夫?」
ああ、どんなにつらくても、こいつだけはわかってくれるのだ。いっぱい泣いたら、元気ださなきゃ!
「インコ飼っていてよかった!」
飼い主が陶酔する瞬間である。
しかしだ。話がここで終わるわけがない、なんてたって相手は「インコ」なのだから。
おいおいと泣いておる飼い主の肩の上で、頬ずりするいんこの「パクパク」という嘴の音が、飼い主の耳にはいってきて
「ん?」
となるわけだ。
何か違和感のあるインコに、自分のための涙をちょっと止めて(というか止まるw)、インコを観察すると、かわいそうな飼い主は愕然として、残っていた涙がザァァァとひいていく。
飼い主の涙すじをあ~んと開けた嘴から、かわいらしい舌をのばして、ペロペロなめてるインコの姿が視覚に飛び込んでくるはずだ。
その表情たるや、大きく見開いた瞳がキラキラと輝き、どこをどう解釈しようにも「慰めている態度は微塵も感じることができなく」て、「とっても嬉しそう」に見えるのだ。
喜々として飼い主の涙をぬぐう姿に、飼い主は己の悲しみを脇に置いて、飼われインコの行動を考察するハメになる。これは一体どういうことだろう?
いや、答えは簡単だ。インコは飼い主の涙の塩を求めて寄ってきているだけなのだ。
信じたくない気持ちは、充分わかる、私だってインコの飼い主だからな。
しかし夏の暑い日、フワフワの毛並みをまとった小さな熱源が、やたら飼い主にからんできて、露出した飼い主の肌にへばりつき、汗をなめているのを目撃するに至って、残念だが確信するわけである。
汗をなめているのを慰めてもらっているのだとは、逆立ちしたって勘違いできないからな~。
そうなのだ、飼い主が涙にくれているのを、インコは慰める気なんて1ミリもないのだ。それどころか、嬉々として塩補給に夢中になっているのだ。
はっきり指摘しよう。飼い主の幻想をぶちこわして申し訳ないが、「インコが飼い主の悲しみを慰める」のは飼い主の勘違いで、「飼い主の涙から塩味を堪能している」というのが真実なのである。
涙も汗も、インコの食い物ではないので、おめおめとインコに汗や涙(きいた話で申し訳ないが、飼い主のかさぶた引っぺがして血をなめるインコもいるらしいw)を味わわせるのは阻止するしかない。
塩分の過剰な接種を阻止するためにも、飼われインコが塩味を求めてにじり寄ってくるのを追い払いながら、飼い主は哀しみの涙にくれる状況を強いられるのだ……。
煩悩の塩味を知ったインコのしつこいアタックを防御しつつ、悲しみにくれるのも一苦労な飼い主なのである。
肩にのせていたインコが、心配そうに頬に顔をよせてきて、飼い主を慰めてくれるのだ。
「大丈夫? 大丈夫?」
ああ、どんなにつらくても、こいつだけはわかってくれるのだ。いっぱい泣いたら、元気ださなきゃ!
「インコ飼っていてよかった!」
飼い主が陶酔する瞬間である。
しかしだ。話がここで終わるわけがない、なんてたって相手は「インコ」なのだから。
おいおいと泣いておる飼い主の肩の上で、頬ずりするいんこの「パクパク」という嘴の音が、飼い主の耳にはいってきて
「ん?」
となるわけだ。
何か違和感のあるインコに、自分のための涙をちょっと止めて(というか止まるw)、インコを観察すると、かわいそうな飼い主は愕然として、残っていた涙がザァァァとひいていく。
飼い主の涙すじをあ~んと開けた嘴から、かわいらしい舌をのばして、ペロペロなめてるインコの姿が視覚に飛び込んでくるはずだ。
その表情たるや、大きく見開いた瞳がキラキラと輝き、どこをどう解釈しようにも「慰めている態度は微塵も感じることができなく」て、「とっても嬉しそう」に見えるのだ。
喜々として飼い主の涙をぬぐう姿に、飼い主は己の悲しみを脇に置いて、飼われインコの行動を考察するハメになる。これは一体どういうことだろう?
いや、答えは簡単だ。インコは飼い主の涙の塩を求めて寄ってきているだけなのだ。
信じたくない気持ちは、充分わかる、私だってインコの飼い主だからな。
しかし夏の暑い日、フワフワの毛並みをまとった小さな熱源が、やたら飼い主にからんできて、露出した飼い主の肌にへばりつき、汗をなめているのを目撃するに至って、残念だが確信するわけである。
汗をなめているのを慰めてもらっているのだとは、逆立ちしたって勘違いできないからな~。
そうなのだ、飼い主が涙にくれているのを、インコは慰める気なんて1ミリもないのだ。それどころか、嬉々として塩補給に夢中になっているのだ。
はっきり指摘しよう。飼い主の幻想をぶちこわして申し訳ないが、「インコが飼い主の悲しみを慰める」のは飼い主の勘違いで、「飼い主の涙から塩味を堪能している」というのが真実なのである。
涙も汗も、インコの食い物ではないので、おめおめとインコに汗や涙(きいた話で申し訳ないが、飼い主のかさぶた引っぺがして血をなめるインコもいるらしいw)を味わわせるのは阻止するしかない。
塩分の過剰な接種を阻止するためにも、飼われインコが塩味を求めてにじり寄ってくるのを追い払いながら、飼い主は哀しみの涙にくれる状況を強いられるのだ……。
煩悩の塩味を知ったインコのしつこいアタックを防御しつつ、悲しみにくれるのも一苦労な飼い主なのである。
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