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ミニエピソード(本編番外編)

カイトとニーナのクリスマス

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 「あ! また私を通さないで注文している!」
 ニーナは、またかという声でカイトに文句を言った。言いながら、ニーナはキラキラ光る飾りに笑みをこぼす。
「クリスマスの飾り、綺麗!」
 カイトはニーナがウキウキしているのを見て笑った。
「うん、クリスマスの飾り注文できるようになってきたんだね。というわけでクリスマスの準備をしよう」
 世界大戦前、クリスマスは世界各地で大きなイベントが行われていた日だ。今は、仮想空間で楽しむイベントの一つになっている。
 そのクリスマスをカイトは、ニーナと楽しもうとしていた。
「小さなトドマツの木を一本切っておいたんだ」
「クリスマスツリーの木ってトドマツでいいの?」
「同じモミの仲間の木だし、いいじゃん」
 北海道ならどこにでも生えているトドマツを利用して飾ろうというわけだ。ニーナはこっそり笑った。神経質なところもある一方で、思いがけないところでカイトは大雑把だったりするからだ。

 カイトは伐採して用意してあった小ぶりのトドマツを部屋の中に運び入れた。ニーナとカイトは届いた飾りを松の木に吊していく。
 作業を続けながら、ふとニーナはカイトに尋ねた。
「仮想空間のイベントはどうするの?」
 カイトは飾り付けの手を止めず言った。
「参加しないよ」
「でも……」
 ニーナをさえぎってカイトが言う。
「ニーナといっしょに過ごすのがいい。ニーナは嫌なのか?」
 カイトがニーナの目をのぞき込んだ。
「嫌なわけな……んっ」
 カイトがすかさず、ニーナの唇をふさいだ。

 クリスマス・イブ。
 窓の側に飾ったクリスマスツリーがキラキラ点滅していた。
カイトはラフな黒のパーカーを、ニーナはシンプルな赤いニットワンピースを着用した。
「そのワンピース、ちょっとエロい」
「そ、そんなつもりじゃ……」
 カイトがいたずらっぽく笑うと、ニーナはもじもじと膝上のワンピースの裾を引っ張った。
「ニットが伸びるってば。座ろうよ」
 二人は見つめあうように向き合ってテーブル超しに座った。
「いっしょに食事できないのが、ちょっと寂しい」
 カイトは一人前の食事を前に不満を漏らした。ニーナはいたずらっぽい声で答えた。
「寂しいなら、今からでも仮想空間のパーティに参加するとか?」
「意地悪だなぁ、行かないとわかってて言うのだもんなぁ」
 カイトは苦笑しながら、食事を始めた。
「うん、いつも通り美味しい」
 カイトとニーナはお互いを見つめて笑った。窓の外に漏れだした光で、粉雪がキラキラと光った。
 
 食事を終え、食器の片づけを終えると、二人はソファーに移動した。
クッションを背に寝そべったカイトがニーナを引き寄せた。ニーナがカイトの胸に縋り付いてピッタリと抱き合う。カイトの心臓の音を聞きながら、ニーナは窓の外の粉雪のキラキラを眺めた。
「今日の雪は、とても綺麗……」
 ニーナがつぶやくと、カイトは優しくニーナの頭をなでながら言った。
「綺麗でも、明日除雪作業待っていることに変わりないけどね」
 ニーナは頬を膨らます。
「ムード壊さないで!」
 拗ねたニーナの顔がカイトには愛おしい。
「その顔、いいな。でもゆっくりできなくなりそうなんだけど」
「もう!」
 ニーナは拗ねた顔をカイトにうずめて隠した。
「これじゃ、雪が舞うの見る事できない」
 ニーナはカイトの胸に顔をうずめたままモゴモゴと反論した。
カイトは、片手でニーナの顎を上に向けさせた。
「ここでしようか?」
 ニーナはカイトの視線に耐えきれず、顔を窓に向け、小さく頷いた。

 カイトがニーナの腰をぐっと動かした。カイトとニーナの顔が重なった。二人はそのまま唇を合わせる。
カイトは口づけをしたまま、ニーナの肩からニットワンピースを引きずり下ろした。ニーナの膨らみが露わになるとカイトはその膨らみを揉みしだき始めた。
「んっ……」
 カイトがニーナの唇を解放しないので、ニーナは声をあげることができない。
 カイトはニーナのワンピースを更に下げてニーナの下腹部に手を這わせ始めた。そしてようやくニーナの唇を解放した。
「んあっ!」
 ニーナの喘ぎ声が放たれた。
「いい眺め」
 ちょっと意地悪くカイトは笑いながら、ニーナを攻める手を緩めない。
「んんっ、待って……」
「嫌だ」
 カイトはいつもセリフでニーナの願いを却下した。
 ニーナの肢体がうねり、カイトの興奮が高まっていく。

 ニーナのワンピースを全て取り去り、自分の服をはぎとると、カイトはニーナとの上下を逆転させる。
ニーナの目に、ニーナを組み伏せるカイトと、その横にクリスマスツリーの光、そしてその外側に粉雪の反射光が見えた。ニーナは幸せだと思う。
 二人だけの夜がずっと続けばいいのに……ニーナはカイトを受け容れ、カイトにしがみついた。カイトの肩越しにクリスマスの光がまばゆい。光の中で二人は一つになって大きくうねった。

 粉雪がキラキラと静かに舞う。二人だけの夜が過ぎていった。




(「カイトとニーナのクリスマス」おわり)

 

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