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第21章
危険予測教習、そしてラストスパート
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担任制のデメリットの話をしたが、第二段階は複数の生徒と同時に乗車して教習を受ける時間がある。高速教習もそのうちの一つであり、「危険予測教習」もそのうちの一つだ。
別の生徒さんと受ける教習はつくづく、自分の運転の下手さを思い知らされて、凹む。
凹んだってやらなきゃ、卒業させてくれないのだから、やるけど。
担任でない先生が助手席に乗り、他の生徒も乗っている状態での教習は、いつもと違う雰囲気の緊張感がある。
担任の先生と基本、同じことを指摘されるが、違う先生の違う言葉は、響くものがあった。
いわく
「とにかく、動作が遅い」
ごもっともです。
いわく
「道路が求めるスピードを出すこと、道路の求めるスピードに即したハンドルさばきを練習しなきゃいけないのだから」
「路上で練習できる今、練習しないでどうするの?」
何も言えない。
「結果、後方の車への配慮が欠けている運転になる、それは危険な運転である」
道路の流れを無視した遅い運転は、全く後方を運転する車に対する配慮がないという指摘だ。危険予測以前に私の運転が「危険要素」になっているということだ。そして
「乗らなきゃならない理由があって、こんな高い金払って来てるんでしょ」
その言葉は、あまりに図星でストレートで心に響いた。そうだ、私は運転する理由があるからここで七転八倒を繰り返しながらも学んでいるのだ。
改めて他の先生に指摘されるのもいいものだなと思った。
学科の方はというと、「応急救護処置」の山場を越えて、学科の仕上げの効果測定を受けるところまで来ていた。
第一段階で2回効果測定で失敗していたので、それなりに覚悟はしていた。最初の効果測定は、自分の不得意分野の洗い出しだと思って受けた。
「はい、合格です」
試験官の先生に言われた時は耳を疑った。いやいや、それまで順調だったことがない中で、いきなり言われてとまどった。
ええ~、どこを補強すべきかわからないじゃん…、第二段階の効果測定合格したら、次の試験は運転免許試験場での本番じゃないかよ…。
いつもの路上教習の日々が始まってしばらくすると先生が言った。
「学科、効果測定受かってますね」
「なんだかよくわからないけど、合格しました…」
「では、卒業検定、受けさせます」
「……」
先生はいつも突然だ。勝手に検定日を決める。こちらは運転することに不安しかないというのに。でも、それは言えなかった。無料の補習時間を使いきった私は、教習を重ねるごとに千円札バラマキ機と化していた。
練習はしたいけど、金が追いつかないーそれが本音だったから。
先生が卒業検定受けさせると決めたなら、卒業するしかないじゃん。
先生の注意が次々とんでくる。停車してる車の発見が遅れる、信号青になったのに気付かなくて注意される、スピード出せばスピード超過、三点確認後の動作が遅い、巻き込み確認が停止線の前には終わってないと確認の意味がない、動作と確認いっしょにやっても間に合わないでしょう。
路上教習で一通りの注意が終わると教習コースに戻って、縦列駐車と方向転換の練習。
不安は払しょくされないが、先生はみきわめにGOサインを出した。みきわめの翌日、私は卒業検定を受けることになったのだ。
別の生徒さんと受ける教習はつくづく、自分の運転の下手さを思い知らされて、凹む。
凹んだってやらなきゃ、卒業させてくれないのだから、やるけど。
担任でない先生が助手席に乗り、他の生徒も乗っている状態での教習は、いつもと違う雰囲気の緊張感がある。
担任の先生と基本、同じことを指摘されるが、違う先生の違う言葉は、響くものがあった。
いわく
「とにかく、動作が遅い」
ごもっともです。
いわく
「道路が求めるスピードを出すこと、道路の求めるスピードに即したハンドルさばきを練習しなきゃいけないのだから」
「路上で練習できる今、練習しないでどうするの?」
何も言えない。
「結果、後方の車への配慮が欠けている運転になる、それは危険な運転である」
道路の流れを無視した遅い運転は、全く後方を運転する車に対する配慮がないという指摘だ。危険予測以前に私の運転が「危険要素」になっているということだ。そして
「乗らなきゃならない理由があって、こんな高い金払って来てるんでしょ」
その言葉は、あまりに図星でストレートで心に響いた。そうだ、私は運転する理由があるからここで七転八倒を繰り返しながらも学んでいるのだ。
改めて他の先生に指摘されるのもいいものだなと思った。
学科の方はというと、「応急救護処置」の山場を越えて、学科の仕上げの効果測定を受けるところまで来ていた。
第一段階で2回効果測定で失敗していたので、それなりに覚悟はしていた。最初の効果測定は、自分の不得意分野の洗い出しだと思って受けた。
「はい、合格です」
試験官の先生に言われた時は耳を疑った。いやいや、それまで順調だったことがない中で、いきなり言われてとまどった。
ええ~、どこを補強すべきかわからないじゃん…、第二段階の効果測定合格したら、次の試験は運転免許試験場での本番じゃないかよ…。
いつもの路上教習の日々が始まってしばらくすると先生が言った。
「学科、効果測定受かってますね」
「なんだかよくわからないけど、合格しました…」
「では、卒業検定、受けさせます」
「……」
先生はいつも突然だ。勝手に検定日を決める。こちらは運転することに不安しかないというのに。でも、それは言えなかった。無料の補習時間を使いきった私は、教習を重ねるごとに千円札バラマキ機と化していた。
練習はしたいけど、金が追いつかないーそれが本音だったから。
先生が卒業検定受けさせると決めたなら、卒業するしかないじゃん。
先生の注意が次々とんでくる。停車してる車の発見が遅れる、信号青になったのに気付かなくて注意される、スピード出せばスピード超過、三点確認後の動作が遅い、巻き込み確認が停止線の前には終わってないと確認の意味がない、動作と確認いっしょにやっても間に合わないでしょう。
路上教習で一通りの注意が終わると教習コースに戻って、縦列駐車と方向転換の練習。
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