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第4章
香奈の遊び場
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香奈のアバターのニックネーム:きなこ@
美優のアバターのニックネーム:もじゃ@
謎のアバター:u
「星の遊び場」に登録した翌日、香奈はワクワクしながら「星の遊び場」にログインした。
香奈が遊び始めると、セキセイインコの羽太郎とオカメインコのきなこが、香奈のところに飛んできた。羽太郎は香奈の肩から、きなこは香奈の手元にまとわりついてくる。
香奈は慣れた手つきで2羽をかわしながら、スマホを操作する。
きなこ@の遊び場が表示されると赤く光っていメッセージがめに飛び込んできた。
『もじゃ@さんからメールが届いています』
『もじゃ@さんからプレゼントが届いています』
もじゃ@? 誰だ? 運営さんかな? メールを開く。
『登録ありがとうっ! 魔法のマントと杖ゲット!! お礼のプレ送っておくね。今度時間決めて会おうねっ』
なんだ、美優か。もじゃ@って、魔法アニメの呪文「モジャラク」からとったのか。センス悪っ――スマホ画面に向かってクスクス笑いながら香奈は、プレゼントをチェックした。
「あ! オウムだ!」
肩の上のセキセイの羽太郎と香奈の手のスマホをつつきたいオカメのきなこが、画面のオウムを覗き込んできた。プレゼントにはメッセージが付いていた。
『鳥オタクには遊び場にも鳥が必要なんでしょ? きなこ@さんw』
もうダメ、我慢できない。香奈は画面に向かって大笑いした。
「やばい、はまりそうだ」
香奈は笑いながらつぶやくと、もじゃ@の美優に返信した。
『魔法使いのもじゃ@さん、プレゼントありがとう』
画面上のからっぽの部屋にきなこ@とオウムが一つ。そこで香奈はひらめく。
「この部屋全部、オウム用の部屋にしちゃおうか」
クスクスクス。楽しい。画面に向かってニヤニヤがとまらない。
「オウムの名前は、うたろう@にしよう」
香奈が言うと、肩で羽太郎がピッと同意した。
部屋のドアが開いたのも気付かずに、香奈は夢中になって「星の遊び場」に没頭していた。
「香奈! スマホに向かって何ニヤニヤしているの? 羽太郎達をかごに入れて寝せてやりなさい。香奈、寝る時間!」
母に怒鳴られて、香奈はやっと現実に戻った。あわてて、ログアウト。
翌日から勉強を終えて就寝までの時間、香奈は羽太郎ときなこを放鳥しながら「星の遊び場」で楽しんだ。
美優にさそわれて、入会した「星の遊び場」は、香奈の予想以上に楽しかった。
きなこ@の遊び場をオウム部屋作りをちょっとづつ進めながら、たまに美優のアバターのもじゃ@とタウンでチャットする。
それは香奈には受験勉強のいい息抜きになった。
何よりアバターのきなこ@の遊び場を、うたろう@の鳥部屋にするのが最高にワクワクして楽しかった。香奈は肩にのった羽太郎と相談しながら、理想のうたろう@部屋を作りあげていった。
勿論、受験勉強から逸脱しすぎないように香奈は注意した。この素敵な秘密基地製作を両親に禁止されたら困るから。
香奈は鳥かごアイテムを調達した。
「でもね、わざわざ用意したこの鳥かごは隠すの。いいでしょ」
「ぴょぴょっ」
羽太郎と相談した結果、鳥かごは棚の後ろに隠した。遊び場を一見しただけでは気が付かないように隠した。リアルでは、鳥かごのない状態でインコを飼うのは難しい。
リアルに対するちょっとした反抗だった。
(つづく)
美優のアバターのニックネーム:もじゃ@
謎のアバター:u
「星の遊び場」に登録した翌日、香奈はワクワクしながら「星の遊び場」にログインした。
香奈が遊び始めると、セキセイインコの羽太郎とオカメインコのきなこが、香奈のところに飛んできた。羽太郎は香奈の肩から、きなこは香奈の手元にまとわりついてくる。
香奈は慣れた手つきで2羽をかわしながら、スマホを操作する。
きなこ@の遊び場が表示されると赤く光っていメッセージがめに飛び込んできた。
『もじゃ@さんからメールが届いています』
『もじゃ@さんからプレゼントが届いています』
もじゃ@? 誰だ? 運営さんかな? メールを開く。
『登録ありがとうっ! 魔法のマントと杖ゲット!! お礼のプレ送っておくね。今度時間決めて会おうねっ』
なんだ、美優か。もじゃ@って、魔法アニメの呪文「モジャラク」からとったのか。センス悪っ――スマホ画面に向かってクスクス笑いながら香奈は、プレゼントをチェックした。
「あ! オウムだ!」
肩の上のセキセイの羽太郎と香奈の手のスマホをつつきたいオカメのきなこが、画面のオウムを覗き込んできた。プレゼントにはメッセージが付いていた。
『鳥オタクには遊び場にも鳥が必要なんでしょ? きなこ@さんw』
もうダメ、我慢できない。香奈は画面に向かって大笑いした。
「やばい、はまりそうだ」
香奈は笑いながらつぶやくと、もじゃ@の美優に返信した。
『魔法使いのもじゃ@さん、プレゼントありがとう』
画面上のからっぽの部屋にきなこ@とオウムが一つ。そこで香奈はひらめく。
「この部屋全部、オウム用の部屋にしちゃおうか」
クスクスクス。楽しい。画面に向かってニヤニヤがとまらない。
「オウムの名前は、うたろう@にしよう」
香奈が言うと、肩で羽太郎がピッと同意した。
部屋のドアが開いたのも気付かずに、香奈は夢中になって「星の遊び場」に没頭していた。
「香奈! スマホに向かって何ニヤニヤしているの? 羽太郎達をかごに入れて寝せてやりなさい。香奈、寝る時間!」
母に怒鳴られて、香奈はやっと現実に戻った。あわてて、ログアウト。
翌日から勉強を終えて就寝までの時間、香奈は羽太郎ときなこを放鳥しながら「星の遊び場」で楽しんだ。
美優にさそわれて、入会した「星の遊び場」は、香奈の予想以上に楽しかった。
きなこ@の遊び場をオウム部屋作りをちょっとづつ進めながら、たまに美優のアバターのもじゃ@とタウンでチャットする。
それは香奈には受験勉強のいい息抜きになった。
何よりアバターのきなこ@の遊び場を、うたろう@の鳥部屋にするのが最高にワクワクして楽しかった。香奈は肩にのった羽太郎と相談しながら、理想のうたろう@部屋を作りあげていった。
勿論、受験勉強から逸脱しすぎないように香奈は注意した。この素敵な秘密基地製作を両親に禁止されたら困るから。
香奈は鳥かごアイテムを調達した。
「でもね、わざわざ用意したこの鳥かごは隠すの。いいでしょ」
「ぴょぴょっ」
羽太郎と相談した結果、鳥かごは棚の後ろに隠した。遊び場を一見しただけでは気が付かないように隠した。リアルでは、鳥かごのない状態でインコを飼うのは難しい。
リアルに対するちょっとした反抗だった。
(つづく)
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