凛子の婚活

東雲さき

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9 凛子、暴露する

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時間をかけて帰宅し、自宅に到着したのはお茶が終了してから二時間後のことだった。
ちなみに終了三十分後には小森さんからの「今日は楽しかったです。ありがとうございました」というメッセージが届いていた。

小森さん…きっとお見合いなんかじゃなく普通に知り合うことができていたら、何の不満も感じない単なるマメな人で済んだんだろうな。
だけどだからと言って私の意志が変わることはないわけで。

とにかく相談所に電話をしなければ。
お見合い相手とのお茶終了の報告とお断りの依頼をするため、今日こそは繋がりますようにと相談所の履歴をタップした。

コール二回目で佐藤さんが電話口に出てくれた。
本日お見合い相手とのお茶があり、先ほど終了したと報告したところまではよかった。佐藤さんも「お疲れさまでした!」と労ってくれた。

しかし。

「実は、一週間連絡をやりとりしている間にこのお見合いに消極的になってしまっていて、今日のお茶もあまり気が進まなかったんです」

「何かありましたか?」

不安気に聞いてくれることに申し訳なく思うが躊躇いはない。

「あの人、夜遅い時間であるにも関わらずメッセージを送ってきて配慮ができないのかなって。私なんか家族相手にでも遅い時間には送らないように気を付けているのに。他人相手に信じられない」

「そういうことに気をつかうのは相手が誰であっても当然ですよ。私だって気をつかいます」

「それにお見合いで会った次の日だっていうのに『何時に寝るんですか?』って。普通聞きます?」

「え、ヤバいね」

ほら。
佐藤さんもドン引きだよ。

「料理の話をした流れで『手料理食べてみたいです』なんて言われてもう気持ち悪くて」

「あーーーーー」

「だから今日お茶するのに気が進まなくて…『手料理食べてみたい』のメッセージをもらったのが週の中頃だったんですけど、その時点でもう行きたくなくて、どうしようか相談したくてセンターに電話したんです」

「え、電話出ました?」

「それが何回か掛け直したんですけど、通話中だったので諦めました」

「ゴメンね、日中掛けた人が折り返してくれたりしてるからその時だったのかも。そうか~むこう勘違いしてるね。グイグイきたんでしょ?そういうのダメって言ってるのにな。出会い系とかじゃなくお見合いだから気をつけないと上手くいかないって説明はしんだけどな」

「説明したんですか?」

「したよ~!入会する時に説明するんだよ!」

「いつ結婚相談所に入ったんですかとかも聞かれて」

「聞かれたの?ルール違反だよ!」

私が不快に感じていたことは全て佐藤さんの逆鱗に触れた。

 ◆ ◆ ◆

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