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番外編 ~香菜~

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私は香菜。
婚活を始めて半年ほどが経ったけれど、未だに良いと思える人に出会えていません。
地元だけではなく少し遠くの地域にも目を向けた結果、一人の男性と知り合いました。
正直に言ってしまうと、なぜ彼から返事をいただけたのかが分からない……
私としては断られることを前提とした申し込みでした。
なんといってもその人は都会に住む年収の良い会社を経営する側の人間です。
顔もそれなりに整っている方でしょうか。
言い方が悪くなってしまうけれど、そんな人ならば都会の美女たちがより取り見取りのはず。
わざわざ連絡をとってくるだなんて想像もしていなかった。
それでもこうして返事を貰えたのだから少しは期待してもいいのかな?とそれまでの施行を振り払うことにしたのです。
プロフィールを見て素敵な人だと想ったことは本当です。
前向きにとらえよう、と心に決めました。
そうして私とケンジロウさんとの連絡のやりとりが始まりました。



結論から言うと、私は振られました。
まだ付き合ってはいなかったけれど、結婚を前提に付き合うことを視野に入れて会っていたから「振られた」で合っているでしょう?
たしかにデートは楽しかったです。
やたら見つめてくるし、外では人目も憚らずハグしてくるから恥ずかしかったけれど。
お兄さんが「母として専念したいからそういうことは控えてほしい」と嫁に告げられたらしい、なんてデリケートな話題を振られた際には内心戸惑いました。
それを私に言っていいの?お兄さんショックだろうな。実質シないってことでしょ?できないならいずれ浮気しそう……なんてことも思った。言わなかったけれど。

でもね、振られたことはショックだったけれどさほど悲しくはなかった。
ただ、やっぱりこうなったなぁ…と思っただけ。
だってね、大抵の会社はクリスマスに忘年会なんてしないよ。
ましてや子持ちのお兄さんが社長でしょ。
パレないと思っているのか察してほしいのか、それともどちらでもいいと思っていたのか。はたまたただの間抜けかおバカなのか。
あなたは「誠実でいたい」と言っていたけれど、はたして本当に誠実だったのか私にはわからないわ。

それでも今回のことで私も学んだことがあります。
婚活中のお金持ちのイケメン、ましてや遠距離恋愛になりそうな相手は、相当な好意を持たれていなければすぐによそ見をされるということを。



今、私は地元で知り合った方との交流を大切にしています。
遠くの人にヤキモキするより、近くで自分を見てくれる人こそを大切にするべきだと気づくことができたのですから。
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