初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

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第2章 荒れ狂う極寒の都市『スノーガーデン』編

第67話 VSスカラ女王 傷つけるの者の戦い【中中】の話

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黒杉は、突然の余命宣告を受ける。
しかし、そんな実感がなく、死んでいるなら、夢とか見ずに消滅するとは思っていたけど。
そんな、胡散臭い為、つい攻撃的な返事をしてしまう。

「は?どういうことだ?意識はハッキリしてるし、生きてると思ったんだけど・・・」
「君は、アホだなー!本当に!わははは!」

その安い挑発に、思わず軽く殴りかかるが、普通に避けられる。
くっそ!何だか、コイツを見ていると、無性に腹が立つな。

「おー、こわいこわい。その急に、殴りかからなくても・・・」
「すまんすまん、なぜか、無性に腹が立ってだな」
「あ、スキルを解くの忘れた・・・ごっめーん!」

またかよと思い、赤髪の男は指を鳴らすと、先程の怒りが収まってくるのが分かる。
相変わらず、意味不明なスキルだ。
男は、胡坐を掻き、そのまま宙に浮かぶ。

「んで、俺はどういう状況なんだ?」
「おっけー、じゃあーまずは、簡潔に言うね」
「おう」

もう一回、指を鳴らすと、椅子が出てくる。
男は、どうぞと合図をし、座るように促す。そのまま、素直に椅子に座り、目の前に何処からともなく、テーブルが出てくる。

「さて、ヨウイチくんは、どういう状況だとおもう?」
「分からんけど、お前が言うには、俺は死にかけといっているんだろ?」
「いや、ぶっちゃけいうと、ヨウイチくんは死んでるよ?」

ん?今、俺が死んでるって、言ったか?
何かの間違えだと思って、もう一度聞く。

「え?俺が死んでる・・・?」
「ああ、もうね!スカラだっけ?アイツを見ると嫌な事を思い出すんだよなあ」
「いや、今はそういうのは、良いからさ」
「ノリ悪いぞー、ヨウイチくーん」

ブーブーと言いながら、駄々をこねる。
そんな様子を見て、ため息をしたところで、話はじめる。

「まあ、そのスカラに心臓を突かれて、死んでるんだよねぇー」
「え・・・ちょ、はあああああああああああああああああ!?」

そんな、衝撃的な一言で、朧気の記憶が、少しずつハッキリしてくる。
あの時、スカラ女王の攻撃を受けて、そのまま・・・。

「うんうん、思いだしてきたようだね」
「あ、ああ・・・でも、死んだらどうすることも・・・」
「あー、だから、オレがいるんだけどね」
「お前と俺の命はどんな関係なんだよ」

そう言うと、男は無邪気にニヤリと笑う。
今度は、何処からともなく、クッキーを取り出して、ボリボリと音を鳴らす。
そのまま、立ち上がって、こちらに近づいて、肩に手を乗せる。

「いま、君の魂は、オレの力で現世に引き留めていると所だ。普通なら、そのまま放置していれば、消滅しちゃうんだけどね!だけど、君を死なせるわけにはいかないからさ、ちょっと小細工して、この世にとどめているのさ」

そう言って、男の手を広げると、黄色く光り輝く玉があった。よく見ると、その周りに、黒く渦巻く何かがあった。
それを見ていると、何処となく不安になってくる。

「これは、君の魂。消滅する前に拾ってあげたんだよー?感謝してほしいものだね!」

自分の魂。その言葉に、恐怖を覚える。
なんせ、知らない奴に、自分の命を握られていう状況が恐ろしいのだ。
もし、これが本当の話なら、いつでも自分は消滅させられることができることになる。

そんな、不安な顔をしている黒杉に、男は安心させるように話す。

「おいおい、そんな、ビビらなくても良いだろう?殺すつもりはないから、いい加減安心してほしい、信用してほしいんだが・・・」
「だけどな、素性も、名前も分からないし、そんな奴に、自分の心臓がいつ、握りつぶされてもおかしくないんだぞ?それで安心しろって言われても、無理がある」
「あー・・・じゃあ、俺のことは"キシモ"って呼んでくれ、本名は言えないけど、これで我慢してくれ」

男のため息しながら、自分の名前を言う。
キシモ、本名は違うらしいが、彼なりの気遣いなんだろう。
しかし、未だに緊張しつつも、どうにか落ち着かせる。

「さて、この魂は、オレ以外の奴が触る、消滅しちゃうからね。申し訳ないが、触れさせることは出来ない」
「そ、そうか・・・」
「それと、今の状況じゃ、君に魂をもどせないんだ!何故かって?そりゃあ、器となる心臓が、完全に機能が停止しているのと、スカラの呪いのせいで、この魂が汚れているのがわかるだろう?」

そういって、キシモから近づいて、指を差す。
先程よりも、黒く渦巻いているものが、広がっていくのが分かる。
そして、言わなくても、渦巻いているのが完全に広がれば、自分の魂が完全に消滅してしまうことが、直感した。

「まあ、君の予想通り、このままだと何もしなくても、消滅する」
「じゃあ、どうしたらいいんだ・・・器も心臓もなければ」
「方法はあるさ、君にこの前、力をあげただろう?」

そう言われて、自分の手の甲をみると・・・何も書かれていなかった。
あれー?おかしいなあ?と思うと、キシモは笑う

「おいおい!まだ、説明終わってないんだぞ!そう急ぐな!」
「むしろ、急ぐなって言うほうが、無茶なんだけど!?」

こうしているあいだに、アイリスとクレナが危険な状況なのに、ノコノコと死んでいる場合ではない。
生き返るのチャンスがあれば、直ぐにもしたい。早く、あいつらに会いたいのだから。

「さて、君には二つの選択肢がある、一つはこのまま、消滅するか」
「・・・もう一つは?」
「オレの眷属と契約してもらう」
「・・・詳しく聞かせてくれ」

そういうと、にっこりと笑い、再び椅子に座る。
今度は、ホワイトボードらしきものを取り出してきて、そこに絵を描きながら、説明する。
というか、この世界は、ホワイトボードという存在をしっているのか。

「さてさて、黒杉くん器も無ければ、心臓は呪いで汚染されている、最悪な状況だ」
「ああ、そうだな・・・自覚はないけど」
「そう、だけど、僕の眷属と誓約する事によって、呪いを打ち消してもらい、心臓を傷を再生してもらう。そして、魂を内包するための器を眷属に移すんだ」
「・・・?でも、眷属と俺の心臓ってべつだから、無理なんじゃないのか?」
「だから、誓約して、【魂魄共鳴(アニメア・レゾナンス)】して、死んだ器を新しい器を融合させ、復活させるんだ」

そう言って、キシモは呪文を唱えると、彼の後ろから、物凄く大きな漆黒の鉄の扉が現れる。
その扉には、頑丈そうな鎖が、何重にも巻きつかれている。
そして、その奥に、狼の遠吠えが聞こえる。

「こ、これは・・・」
「ああ、眷属はここに封印されている、コイツは獰猛なんだよなあー、昔、餌係いたんだけど、そいつの右腕を食いちぎったんだよね、アハハハ」

さらっと、なんかとんでもないこと言っているような気がする。
それに、あからさまに、開くなって感じの扉の形と雰囲気を醸し出しているんだけど!?笑い事じゃないんだけど!!

「さて、この中に入って、あいつと誓約するか、それとも、君の仲間を、ほっといてノコノコと死んでいくとどっちが良い?」

そんなの、選択は一つしかないだろう。

黒杉は、目を閉じ、親友、フヴェズルングの人達、ファフニーにクレナ、そしてアイリスを思い浮かべる。
自分の心臓を辺りを手で握り、決意する。

「そんなの、一つしかないにきまってるだろ!ほら、開けろよ!!」
「おーけー!じゃあ、決まりだね!」

そう言って、キシモは腕を上げて、そのまま振り落とす。
鎖は、真っ二つに切断され、ジャラジャラと音を鳴らし、落ちる。

「さあ、ここから先を進めれば、君は一時的に現実世界で、復活する。だけど、暴走状態になるから、なるべく早く済ませるんだいいね?」
「ああ、分かった、ありがとな・・・キシモ」

黒杉にありがとうと言われて、眼を大きくさせる。
そして、扉が開かれる。
その奥は、闇が広がっており、狼の遠吠えが遠くに響く。
聞くだけで分かる、その遠吠えは黒杉に向けての、"敵意"だった。
しかし、黒杉は、その奥を見つめて言う。

「生憎、俺は諦めが悪いんだ」

黒杉は扉の中に、静かに足を踏み入れた。


─────【雹狼山】


「よう・・・い・・・ち」
「アイリス逃げて・・・!早く!」

アイリスは、壊れた録音テープのように、ただ、最愛の相手の冷たくなった顔を見つめながら、名前を繰り返し呟いていた。
クレナがどんなに叫んでも、見向きもしなかった。
そして、目の前には、スカラ女王が槍を振り上げた。

「では・・・死ぬが良い」

そのまま、アイリスに目掛けて、槍を突く。

「いやああああああ!!!」

クレナが叫ぶと同時に、スカラの動きが止まる。
いや、止まったんじゃない、”止められた”んだ。

アイリスの顔面に目掛けて貫こうとした、僅かあと3cmで止まる。
何故、止まったのか、次の一声で分かった。

「あー・・・だりぃ・・・てか、起きて、槍が飛んでくるとか、テメェ・・・殺されたいのか?」

聞き覚えのある声、だけど、雰囲気が違う。
思わず、アイリスは思わず顔を上げてしまう。
そこには、”片手”でスカラの槍を掴んでいた。

「・・・よ・・・ういち?」
「な・・・なんだと!?貴様の心臓を突きさした筈!!なぜ生きてるんだ!!!」
「あぁん?なんだてめぇ?この"オレ様"に、だれに口を聞いていやがるんだ?アアンッ!?」

その瞬間、凄まじい威圧が、辺り一帯を飲み込む。
そのまま、赤槍は、力に耐えきれずに折られてしまう。
この戦いで、初めて身の危険を感じ、スカラは後退してしまう。

「ば、ばかな・・・!こいつは誰だ!?誰なんだ!!」
「うるせえな・・・それ以上、喚くと食い殺すぞ?いや、食い殺してもいいのか?まあ、どっちでもいいや」

そう言って、黒杉の皮を被った何かが、立ち上がる。
黒い髪の毛が、色が抜け落ちるように、白くなる。
そして、左目に、おでこから頬に複数の碧い線が複雑に浮かび上がる。
そのあまりの、変貌にアイリスはつぶやく

「・・・ヨウイチ・・・?いや、違う・・・だれ?」
「うっせーな・・・どいつもこいつも・・・そんなに、聞きたいなら聞かせてやるよ」

そして、黒い眼が鮮血のように紅い眼に変わる。
身体中についていた、呪いはまるで、貪りつくされるように、瞬く間に消える。
そして、手に蒼いオーラを纏い、鋭い爪のように伸びていた。

「オレ様の名前は、フェンリルッ!!!フェンリル=フローズヴィトニル!!!大地を揺らし、全てを破壊しつくす!!!」


─────【???】

「さあ、早くしないと、君の仲間も殺されちゃうよ、アイツはとっても獰猛だから」

そう言って、キシモは何処までも暗黒が続く、大扉を見つめた。


一方、黒杉はというと。


「うおおおおお!?やめろおおお!」
「うるせええ!!オレ様の眠りを妨げやがって!!死にやがれ!!!」

黒杉の10倍ある大きさの狼と戯れていた。
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