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第二章 学園の章

5ページ目 担任の教師

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5ページ 勇者ニルヴァフ

入学式が終わって、自分たちの机に座った。
ちなみに俺の席は一番の後ろの席で、窓側になった。
外の景色は、案山子に向かって木刀に叩きつけたり、魔法の修練してる者もいる。
だけど、そこから先から見える、町の景色はとても綺麗だった。

「熱心だなあ」

そう呟くと、熱い視線を感じる。
それは言うまでもなく、彼女だろう。

シャルは視線の先を見ると、やはりかと言わんばかりにスピカが見つめていた。
気づいてくれたのが嬉しいのか、スピカが投げキッスをしてくる。
そして、その行動を見た人達は一斉にシャル見つめる。

「羨ましい・・・よし殺そう」
「あいつ、大賢者様に投げキッスされてるぞ、殺そう」
「呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪」

そんな楽しげな≪殺意が籠った≫声が聞こえる。
うん、皆、入学早々元気でよろしい。

シャルは自分の学園生活が荒れそうになることに肩を竦≪すく≫める
そう言って、手でお払うように「前を向いておけ」と伝えようとしたら。

「あいつ!大賢者様を追い払ったぞ!よし殺そう!」
「よし、あいつは活かせておかないな、殺≪や≫るか」
「呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪」

ここまできたら、どうしたらいいのか分からなくなり、苦笑いをする。

「あはは、シャルくんも大変だね」
「ん・・・あ、あぁ、そうだな」

隣の席には、苦笑いをするニーアがいる。
ニーアのその言葉が何故か懐かしく感じた。
その懐かしさの正体を確かめようと、ニーアの事を全体を見つめた。

ニーアは見つめられるのに苦手なのか、それとも恥ずかしいのか顔を赤くさせた。

「え、あの、シャルくん?どうしたのかな?」
「あ、あぁ・・・すまない、気にしないでくれ」
「う、うん?わかった!」

ニーアは無邪気な笑顔で返事を返す。
そこでシャルは懐かしさの正体に気づく。

「そうか、そうだったんだな・・・」
「シャルくんどうしたの?さっきから独り言多いよ?」
「っう・・・すまない」

そのニーアの一言で思わず、謝ってしまった。

「あはは、謝らなくてもいいのに!悪いことしてないのに!」
「・・・そうだな」

その困った顔や無邪気な笑顔。
シャルは死んだ最愛の"友"のエルの影を重ね合わせていた。
顔は似てはいないが雰囲気は似ていた。何処か苦しいが、同時に居心地は良かった。

しばらくして、隣にいるニーアと世間話をしながら過ごしていると、学校のチャイムがなると同時に少し時間が経った後にガララッと扉が開く音が聞こえた。

「あー、遅れてすまんな」

扉に入ってきたのは、自分たちの担任の先生になるだろうと人だった。
この気だるそうで、高身長、寝ぐせが目立つ黒髪、何処か見たことある人だ。

「あー、んじゃ、自己紹介するわ」

そう言って、気だるげな男の名前はチョークを手に取り、黒板に書き始める。
『サカイ=マサヨシ』
それが担任の先生の名前だった。

「(めずらしい名前だな)」

前世で似たよう名前の奴がいた、トウホウの国?とかヒノクニから来たとかなんとか。
そのような名前を持つ人に会えるのは基本的に珍しく、決まって強かった記憶がある。
他では見たことない技術や武器を持っていたりとかで、殺すのに手こずった。

「(たしか、サムライって言う職業は凄く強かったな。俺の眼ですら、捉えるのにギリギリだった)」

他にもクノイチとかニンポウスレイヤー?などの規格外な力を持った奴と戦ってきたが、全て俺が葬った。
もし、担任の先生も同じような人なら、一度手合わせして見たい。

そう考えていると、先生が話はじめる。

「俺の名前は境 正義、名前がマサヨシの方だ。これから4年間はお前たちの先生だ、よろしくな」

すると、一人の剣士だろうと思われる、男子生徒が何か納得がいかないような声でサカイ先生の事を見下すように言う。

「へー、こんなナヨナヨしてて、弱そうなやつが担任かよ」
「・・・」

教師のサカイはそのまま何も言わずに、黙り込む。
そして厄介事が嫌なのか、男子生徒を無視して、そのまま続けようとしたら。男子生徒が机を蹴る。

「おい!無視すんな!」
「・・・なんでしょうか?」

そこでやっと、サカイは口を開く。
まるで、興味がなさそうな冷たい声が男子生徒は余計に苛立たせる。

「だから、俺は納得いかねえんだよ!なんでこんな弱そうで、名もない、有名でもない奴に教わらなければならないんだって、言ってんだ!せめて、剣聖バロウズ様ぐらい連れてこいや!」

剣聖バロウズ?だれだろう?
そこで疑問に思っていると、隣のいるニーアが教えてくれた。

「剣聖バロウズ様はこの学園の先生で、剣に扱う人に右にでるものはいないって言われているんですよ」
「へー」
「バロウズ様は生ける英雄として、語りづかれているんですよ!一人でドラゴンや大型魔獣を討伐したりなど有名なんです!私もバロウズ様に憧れて、この学園に入学したの!」

どうやら、何も功績もない、名もない奴に教えられても、強くなる為に来た人にとっては良い印象ではないだろう。
この世界は単純で名のある人は有名、だから強いと『勘違い』する人が多い。

たしかに、強そうと思った。
興味はあった、しかし、ただそれだけだった。
それよりも、興味があったのは、サカイ・・・担任の教師だ。
それは何故かというと・・・。

「まったく、ここの生徒は落ち着きがないですね・・・めんどくさいなー」
「なんだと・・・!!」

サカイは思わず、頭を掻いた。
その言葉を聞いた男子生徒はそのまま立ち上がり顔を真っ赤にさせる。正直、軽い挑発で剣士が務まるかどうか心配になってくる。

「その程度で、バロウズを連れてい来いと?」
「なに!?バカにしてんのか!バロウズ様を呼び捨てんじゃねぇよ!」
「はー・・・」

そんな、サカイはため息をする。
実際にめんどくさいだろうなって思う。
入学初日で、教師を変えろと言わんばかりにブーイングをする生徒が現れているんだ。
同じ立場なら、サカイ先生と同じ気持ちになっていただろう。

「正直、本当にそんな調子で剣士が務まるのか?まずはもう少し、相手との力量の差を見極める練習しとけ、それができないなら剣士はやめとけ」
「こ、この野郎・・・!」

実際、サカイ先生が言ってる事は正しい。
自分と相手の力の差を見極めなければ、いつ命を落としてもおかしくない、俺の友のレイルは単純バカだが、相手と自分の力の差は必ず見極めていた、それは仲間を最後に守り抜く為の判断が必要だったからだ。
ましては、剣士は前線に立つ職業で、前線を維持できなければ、後衛にも被害でて、パーティーの全滅は免れないからだ。

「しかし、剣士の人に剣士をやめろって言うのは存在否定されてるのと同じだよなあ」
「そうだね・・・」

そんな浮かない顔する、ニーア。
同じ、剣士だからだろうか、言われていい気分ではないのは間違いはないだろう。

我慢が出来なかった、男子生徒は剣を取り出す。

「こ、このやろう!」
「だから、力量を見極めろと・・・」
「うるせ!俺はみとめねえぞ!」

そう言って、飛び込むように剣をサカイに向けて振った。
それは一瞬の出来事だった。
男子生徒の剣を持った片手で掴み、そのまま腕を中に回り込むように持っていく。
そのまま、男子生徒をうつ伏せに倒し、もう一つの片手で首の大動脈を指を食い込ませる。

「あ、がっ・・・!?」
「知ってるかい?ここを少し切るだけで人は死ぬんだ」

生徒の皆はスピカと俺以外は唖然する。
そう、俺は興味があったのは、この人は実力をもって尚、無名のサカイ先生。何となくだが、俺と同じ"匂い"がした。
だが、殺人鬼の技ではない、アサシンでもなければシーフでもなかった。
ただ分かるのは、美学を追及した動きだった。

「ふむ・・・」
「あの先生の動き・・・無駄がなくてすごく綺麗・・・」
「ああ、やってる事はえげつないけどね」

そのままの意味で恐怖よりも、その動きが綺麗で皆が見惚れていた。もともと気だるさと一変してのギャップかもしれない。

男子生徒とは、もがいているが動けずにいた。
苦しそうにしているいる為、拘束をやめた。

「ケホッ・・・クソッ・・・!」
「というわけだ、席に戻ってくれ」

男子生徒は不満になりながらでも、自分の机に戻る。
ここで、シャルは思い出す。

「(そうだ、この人は入学試験の時に審判してくれた人だ)」

シャルはあの時のことを思い出す。
すると、サカイ先生は手を叩く、皆を覚醒させる。

「はい、まあ、挨拶はここまでしましょうかね。では明日からはよろしくな、では解散」

そう言って、先生は本当に挨拶だけして、トボトボ歩きながら出口の方へと行く。
出ていく時、一瞬だけ、サカイ先生と目が合う。
先生はッフと笑いながら、これから面白くなりそうだと感じで教室からいなくなる。

「(俺の方を見た?まさか俺のこと気づいたわけじゃないよな?)」
「シャルくん、どうしたの?」
「ああ、いや、なんでもないよ」

そう言って、会話してると。
机の下から覗き込むかのように、いつのまにかスピカが目の前にいた。

「ジッー・・・」
「はいはい、んじゃ寮に戻るぞ」
「うむ!ニーアも一緒に帰ろうぞ」
「え、いいのですか?」

そういって、少し嬉しそうにニーアは帰る準備を始める。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


学園の屋上で黒髪の男が、タバコ吸いながら、外を眺めていた。

「ふむ、めんどくさいけど、楽しくはなりそうだ」

そう言って、眺める先には自分たちの生徒が下校しているのが見える。
その中に、注目していた生徒がいた。

「スピカ=レイジェルト、ニーア=アヴェルモンド、そして・・・」

男は銀髪の少年を見つめる。

「シャル=クロエか・・・あいつは巻き込まれ体質だな」

ポッケから自作の黒い携帯灰皿を取り出して、たばこの火を消す

「しかし、”殺人鬼”が入学するなんて、珍しい事もんだな。まあ、それでも俺の生徒なら、教師をやるだけさ」

男は黒いスーツを着る

この男の名前は境 正義。

「さて、仕事が残ってんだよなぁ」

彼の職業は美学を追求した。

「いやー、めんどくさいなー」

殺し屋だ。

「まあ、やりますかね」

男は世直しの為に、闇の中なかに消えていくのであった。






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