Family 〜愛の歌〜

帆希和華

文字の大きさ
上 下
7 / 16
ごめんね

半分のミルク

しおりを挟む
 5月4日早朝まで、生まれた仔犬たち、アネラのことが気になり、眠れなかった。
 とくに、生まれたときへその緒が千切れ病院へ連れて行ったアロハと名付けた子が、気がかりじゃなかった。
 なぜなら、真夜中に仮眠をして起きた時、ソファーから降りようと足元を見ました。すると、アロハが他の子たちのいるシーツの上から離れ、フローリングに転げていました。別のときも転げているというか、何度かアネラのそばを離れているときもあったので、この子はちょっとどんくさい子なのかなと思っていました。
 すぐにアネラのところに戻してやり、ホッと一安心。でも、なんだか元気がないようにも感じました。おっぱいも吸っていたはずだし、きっと眠いだけだろう。そのときは、そんな軽い気持ちでした。
 そこから早朝まで子犬の鳴き声、世話をする音に耳を傾けたり、アネラに水や、栄養補給のためにミルクをあげたりしていました。
 そして、5:00amアロハが再びアネラや兄妹犬から離れていました。ちゃんとおっぱいを吸えているのかな? そういえば、あと2匹は食いつくようにおっぱいを吸っていたのに、アロハはそんな勢いがなかった気がすると思い返しました。
 体も少し冷えているし、きっとお腹が空いているはずだと思い、人口哺乳をすることにしました。もしものことがあっても嫌だし、ちゃんとやれることはやらなくちゃいけないよね? そう心に問いかけました。
 ですが、なかなかうまく飲めず、小指の先に少量つけてやり、ゆっくりと飲ませました。ときより指に吸い付いてきたので安堵していました。それでも飲んだ量は規定の量の半分くらいです。
 少ないけど飲めたんだから、もう大丈夫だね! よかった。これで心配はいらないと、アネラのところに返して、眠りにつきました。
 それから、8:00am頃に目が覚めました。子犬たちの様子が気になりソファーの下をチラッと見たら、アロハがアネラと兄妹犬よりも離れた場所にいました。またかと思い持ち上げた瞬間、自分の手に伝わる感覚が信じられませんでした。
 すでに呼吸はなく、冷たくなっていました。
 何度もトントンと叩いたり、背中をさすりました。でも、息を吹き返すことはありませんでした。
 本当に後悔しかありません。もっともっと早く気づいてあげていたら、自分が温めてあげていたら、ミルクをもっと早くからあげていたら……
 早朝のミルクのあげ方が悪かったのかな? 喉に詰まっていたのかな? 余計なことをしなければこんなことにならなかったんじゃないのかな? 自分のせいで、自分の安易な行動のせいで、アロハは死んじゃったのかもしれない。
 アロハを手で優しく持ち上げて、透明なビニール袋の中にそっと入れました。あとでモアニを埋めたところに一緒に入れてあげるために。
 涙が止まらずにボロボロと流れてきました。後悔しても後悔しても仕切れない。
 病院で止血したとき、はじめに使った止血剤では効果がなく、きつめの止血剤を使うことになりました。
 この薬は火傷の痕みたいになるけど、そんなこと言ってられないから使いますと言われて、すいませんとやってもらいました。
 血が止まるまで、気づけば1時間以上かかっていました。その間ずっとア~ア~と大きな声で鳴いていました。傷が痛かったのか、怖かったのか、あんな小さい体で力一杯生きる主張をしていました。
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

挿絵挿入の仕方[アルファポリス]

マッハ柴犬
エッセイ・ノンフィクション
小説の画像の挿入に暫し悩んだので、記録代わりに置いておきます。 ネットで検索しても出てこないし、アルファポリスのヘルプにも乗せておいて欲しいところ。 挿し絵 挿絵 挿入 画像 入れ方 乗せ方 サイズ 仕様

それ間違いです〜誤字脱字誤用です〜

黒にゃんこ
エッセイ・ノンフィクション
気になった誤字誤用について、正しい言い方、なぜその表現なのかなど、自分なりに説明します。 読んだ作品で気になった誤用について、グチグチとそれ違うのにと呟くだけです。(どの作品で見かけたのかは書きません)

平々凡々。2022.2

るい
エッセイ・ノンフィクション
「世の中、いろいろなことがあるよ」をテーマに、 日常にあったことを綴っています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

人工知能でif歴史〜もしもの歴史シミュレーション〜

静風
エッセイ・ノンフィクション
もしもの歴史があった場合、それには独自の魅力があるかもしれません。本書の目的は、そうしたもしもの歴史について、人工知能を使って再現し、その魅力を伝えることです。この文章自体も、人工知能が生成したものです。本書では、手作業を極力避け、人工知能を活用して文章を作成していきます。

【完結】捨ててください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。 でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。 分かっている。 貴方は私の事を愛していない。 私は貴方の側にいるだけで良かったのに。 貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。 もういいの。 ありがとう貴方。 もう私の事は、、、 捨ててください。 続編投稿しました。 初回完結6月25日 第2回目完結7月18日

みるく日記2021

みるく♪
エッセイ・ノンフィクション
普通の日記です

処理中です...