Ｆａｍｉｌｙ 〜愛の歌〜

DAYS

いつもの朝は

　朝からため息が出てしまう。空がスカッと雲ひとつない青空でも、どんより曇り空、ジメジメと蒸した風呂にしてしまう雨の日でも、たぶんそれは変わらない。自分の要領が悪いのもあるかもしれません。家を出る３時間半前くらいには起きているのに、いつも家を出るのはギリギリになっています。
　自分ひとりならこんなにも早く起きたりはしない。むしろ悠々と二度寝しているだろう。と言っても、家を出るまでひたすら何かをしているわけではありません。……いや、しているようでしていないような……無きにしも非ずというところかと思います。それに、支度が終わってから大体15分から30分はソファーに座ってまったりするようにしています。
　それもこれもすべて愛するわんこのためなのです。家を出てから帰ってくるまでの約11時間もの間、ハウスでずっとお留守番をしてもらはなくてはならないから、朝の少しの時間でも一緒に過ごしてあげたいし、触れ合いたい。
　今、家には自分と４匹の可愛いわんこが住んでいます。
　マハロ、初めて迎えた１匹目の雄のわんこ。
　アネラ、初めて見たときは、片手に乗るくらい小さかった、２匹目の雌のわんこ。
　オハナ、アネラとマハロの娘、１番目に生まれてきた雌のわんこ。
　ロカヒ、アネラとマハロの息子、２番目に生まれてきた雄のわんこ。
　みんな性格もバラバラで毎日が戦いでもあり、癒しでもある。

「コラッ！　うんちソファーに持ってきたらダメでしょ！」
　わんこと暮らすようになって初めて知ったことの一つでもあるのが、うんちを食べてしまうことです。人間がしていたら、単なる頭のおかしい変人になってしまう。でも、わんこは食べてしまうものらしい。すべてのわんこがやるわけではないようですが、やる仔は少なくないみたいです。
　ペットショップに行って見てほしい。仔犬同士が戯れあっている中、うんちをすると他の仔犬がペロペロと食べてしまうことがあります。仔犬の場合、未消化でごはんの匂いがするらしく、ごはんだと思ってしまうみたいです。
　アネラはペットショップで見つけました。それが理由かわかりませんが、うんちを食べてしまいます。仔犬のときからです。ダメと言ってもなかなか理解できないみたいで、未だにやります。見つけたらすぐさま片すしかないようです。いろいろ対策を調べてやってみましたがあまり効果もなく、ごはん前、後は目が離せません。
　そして、仔犬は親を真似るようで２匹の子供たちは、アネラを真似て食べるようになってしまいました。唯一、しないのはマハロです。臭いを嗅ぐことはするんですが、食べようとはしません。みんなそうなることを願うばかりです。
　そんなこんなで、朝から自分の思い通りにやることができるわけもなく、片付けに追われています。１匹、２匹ならまだうまくやれそうですが、さすがに４匹となると、常に目を向けるには限界があります。結局、いつも、起きてから家を出る前の15分くらいまで、ずっと立ちっぱなし、動きっぱなしです。仕事に行く前から少し疲れてしまいます。勘弁してよと言いたくもなります。
　でも、やっぱり、この仔たちを見ていると苛立ちよりも愛おしさが大きくなって、ため息も苛立ちもすべてチャラになってしまいます。嫌な仕事も頑張ろっと思えてきます。
　みんなをハウスに入れて、ねんねしててよ～と家を出ます。今はクンクン鳴かなくなりましたが、それでも、愛おしい姿を見ると、行きたくない、このままここにいてこの仔たちと遊びたい、そう思うのはいつものことで、少し寂しくなります。
　フッと軽くため息を吐き、玄関を出ます。早く帰ってくるからねと心の中で呟き、家を振り返り歩き出す。