秘蜜

誘蜜

甘い蜜に誘われて

一面に広がる色とりどりの花畑。その中で熱心そうに1人の少女が花を摘んでいた。

「う～ん、なかなか良いのがないな...」

少女の名はヴィオラ。この近くの村に住む唯一の女の子だ。今日は母の誕生日にプレゼントする花を摘みに来たが、なかなか納得のいくものが見つからない。

「はぁ...どうしよう...明日ママの誕生日なのに...」

ヴィオラは深いため息をついた。
その時、何かがふわっと頬を撫でる様な感覚
その正体は1匹の蝶。
蝶は優雅に羽を広げながら花にとまった。

淡い青と対照的な茜色が混じった羽...
まるで夕焼けの海を眺めているような...
...そんな一瞬で魅入ってしまう程の魅力

ふわっ

ずっと眺めていたい...そんな願いも虚しく、蝶はすぐに飛び去ってしまう。私は蝶に誘われるがまま...深い森へと姿を消した。

...今思えば、あそこには立ち入り禁止の看板が立っていたのかもしれない。それさえ目に入らないほど私は魅了されていたのだ...


そう、まるで甘い蜜に誘われる蝶のように

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