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第一章:七瀬家と世界の状況

俺と彼女たちの決断

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 *********

「どうぞ」

「ああああありがとうございます」 「どどどうも」

 自分を含めた全員分のカレーを運ぶ
 割と距離を近づけて料理を運んだけど今回は気絶しなかった ここで気絶してしまったら話も始まらないしな

 対面に恐らくお母さんと妹さん 俺の隣には椿さんがいた

「んんっ お母さん、竜胆 改めて紹介するねこちら『優心さん』
 もちろん、女性じゃなくて男性よ」

「どうも『優心』といいます 苗字は思い出せないため、名前だけですが 気にしないでください」

 ぺこりと頭を下げる

 その後、椿さんは彼女たちに手を伸ばして説明を話した

「優心さん、この二人が私の家族です
 こちらが私の母の『七瀬 紅葉』女性専用の美容商品を扱っている会社の本部長を勤めているの
 そして、こちらが私の妹の『七瀬 竜胆』私と同じ学校に通っている中学一年生よ」

「改めまして、七瀬 紅葉です」「七瀬 竜胆っていいます」

 そこから、椿さんが主体で二人に俺の状況を全て話してくれた
 その後、俺はこの世界のことを知った

 なるほど 全て合点がいった
 三人がいきなり俺の顔見て気絶したのもリアルに男と会ったことが無かったし、関わりもなかったのか



 そんな話をひとしきりし終わり、カレーを食べている途中に紅葉さんから話を切り出した

「優心くん、で良いかしら.. 君はこれからどうするの?」

「これから..ですか....」

 やっべ 何にも考えてなかった
 今の俺の所持金は2000円弱 ネカフェ難民になったとしても金は速攻で尽きる
 その前に、俺の年齢が15歳だから諸々OUT判定喰らうわ

 警察に世話になった方がいいか?ただ、身元も分かんないし戸籍もどこにあるのか全然分からん
 苗字も分からないから余計に不利だし

 うーん…うーん…

「何もアテがないのね?」

「えぇ、お恥ずかしながら
 先程話したように今の自分には記憶が無いので頼れる箇所がないんですよね」

ハハハと乾いた笑いをした
七瀬さんの家にいつまでも、お世話になるにはいかない
今晩はお世話になるけど、そこからは自分で考えないと...


「ねぇ、お母さん 竜胆
優心さんをうちの家族に出来ないかなぁ このままだとずっと一人ぼっちだし....
何より、私が一緒にいたいの...」


『....えっ?』

三人一緒に声を上げてしまった
いやいやいやいやいや

「椿さん 俺、知り合ってまだ1時間と少ししか経ってませんよ?
しかも記憶もありませんし、信用度はかなり低いと思うんですけど」

「信用はありますよ 優心さん、介抱してくれたし料理もしてくださったじゃないですか
それが信用している根拠です」

ただの一宿一飯の恩を返しただけなんだが....

「竜胆 あなたは?」

「私は賛成 料理美味しかったし それに、欲しかったのよ『お兄ちゃん』が♪」

「そ....そう で、お母さんは?」

見てみると、紅葉さんはスマホで何かを調べている様子だった

「あなたたちはカレー食べてなさい 私はちょっと電話してくるわ」

そう言って、食卓から去ってしまった
一体何をしていたのだろう

~10分後~

「諸々の連絡が済んだわ これで優心くんは私たちの家族ね」

「い、良いんですか? 家族にしてもらって...」

「ええ 身寄りのない子を外に出せないもの
それに、椿と竜胆があんたを信用しているのも根拠ね だから」

「「「よろしく((お願いします))(ね)優心(くん)((さん))」」」

そう言って、彼女たちは俺のことを家族として向かい入れてくれた

そんな光景を見て、俺はついつい涙を流してしまったのだ
記憶もなく、一人だった俺にこの『温かみ』は
ものすごく喜ばしいことだったのだ、と



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