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花に囲まれて
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活美の臨終から二日後、星河達は夜見市葬祭センターにいた、活美の火葬の為に。
天気は良くも悪くもなく、所々薄い雲が出ていて、夏の盛りにしては柔らかい陽光が辺りを包んでいた。身体の弱い活美なら好きな陽気と言ったかもしれない。
待合室は畳の大広間になっていて、ちょっとした宴会場程度の広さがあった。
そこにいる間、優心は心ここにあらずと言った感じで、ぼんやりしていた。星河はそんな優心をそっとしておいた。
この二日間も二人はキャンプ場で寝起きしていた。その間も優心はろくに口をきかなかった。
料理もいつもの様な美味しい食事ではなく、最低限の栄養を賄う、そんな簡素なものを口にしただけだった。温泉にも入ってみたのだが、心は少しも踊らなかった。
「優心ちゃん……少しは食べた方がいいわ、弱ってしまうわよ」
たった二日間で少し瘦せてしまった優心におにぎりを勧める母。葬祭センターの待合室には軽食が用意されていた。おにぎりや漬物に天ぷらなんかの簡素な料理だ。
優心は拒否するでもなく、おにぎりを受け取って珍しい物を見るような目でしばしそれを眺めた後、口に運んだ。
「どう? 美味しい?」
優心は小さく頷く。
「ありがとう……おばさま……気を使っていただいて」
「良いのよ、優心ちゃんも私の娘みたいなものですもの」
そういって母は優心の頭を撫ぜた。
「本当に……綺麗になったわね、活美も綺麗になったけど、貴方は咲きほこる桜の花の様、綺麗で力強いわ」
「そんなのただの見かけだけです、心は活美の方がずっと綺麗で強かったです」
「貴方も綺麗でとても強い心を持っているわ、気が付かない?」
優心は少し目を伏せてから、じっと母を見つめた。
「星河君も自慢の彼女よね? 二人は本当にお似合い、活美も羨んでいたわ」
「僕は優心のことが好きですが……優心はどう思っているのやら」
星河は恥ずかし気な表情を浮かべ、頭を掻いた。優心の方はツンとそっぽを向いている。
「あらあら……まだ素直になれないのかしら」
星河は明らかに恥ずかしがり、優心も少しだけ顔を赤らめた。
「二人には幸せになって欲しいって、活美が最後に言っていたことだから」
その言葉を聞いて、ふと二人は真剣な表情になった。
「活美の分も楽しいことをいっぱいして、幸せを沢山感じてみて、辛いことがあっても二人で力を合わせればなんだって超えていける」
母の目に光る雫が浮かぶ、星河と優心の目も微かに潤んだ。
「ありがとうございます……活美ちゃんが見てると思って、一生懸命生きます」
「うん……そうして」
母はうんうんと何度も頷いた。
「二人は、まずは受験ね、勉強出来るんだから進学すると良いわ」
いつもはユーモラスにおふざけをする二人だが、成績は実はそんなに悪くない。
「でも、僕達二人合わせても、勉強では活美ちゃんには全然敵わなかったですけどね」
「あの娘、勉強だけは妙に出来たから」
母の中で活美はもう過去の人になっているのかもしれない、懐かしみその姿を思い出し微笑を浮かべる。しかし優心にとって活美の死はまだ眼前に立ちふさがる試練だった。
「以前、星河が言っていました。活美の頭脳をスーパーコンピューターだとしたら、あたしの頭脳は百均の電卓だって」
「まあ、面白い、でもそんなことは無いと思うけど」
「実際、そんなものです。でも電卓だってスーパーコンピューターみたいに頑張ることだってあるんです。あたしは活美に物語を託されました、あたしが冒険して活美が書いた冒険小説です。その物語の最後を書くんです。電卓だからって負けて居られない」
「そう……あの娘の小説を、優心ちゃんが引き継ぐのね、あの娘のノートパソコンまだまだ頑張れるようね。あのキーを打鍵する音が懐かしい、いつも真剣に何かを書いていたから」
母は晴れ晴れとした表情で、目じりを少しだけ指で拭った。
「あの娘の想いはまだまだ続いていくのね」
待合室の入り口のドアが開いた。葬祭センターの職員の女性がうやうやしく頭を下げ、言った。
「お別れの準備が整いました。ご案内いたします。皆さまこちらへ……」
職員の女性に案内され、葬祭センターのホールを抜けて火葬炉のある所まで着く、活美の入った棺桶が置かれている。花で囲われた遺影が目に付く、遺影の中で活美は笑っていてとても綺麗だった。
「皆様、これから活美様との最後のお別れの時間となります、花を一輪ずつ棺の中の活美様に添えてあげてください、そしてよろしかったら最後のお別れの言葉を掛けてあげてください」
まずは知人たちが、次いで遺族が花を添えていった。優心はその様子を茫然と眺めていた。星河が優心に寄り添いその手を握った。
優心が星河を見た。光の無い瞳だった。遺族の最後に花を添えた母が優心の元へやってくる。
「優心ちゃん、お別れしてあげて」
二人が頷いて、まず星河が花を手に取り活美の棺に向かう。活美の顔の周りは花でいっぱいだった。
死に化粧を施された活美は美しかった。まだ生きているんじゃないかと思うほどに。
「活美ちゃん……ありがとう……向こうでは元気で」
活美の顔の脇にそっと花を添える、活美が何か呟いた様な気がしたが、よく見ても何の動きもなかった。
「活美……これでお別れだね……ありがとう」
優心が花を添え参列した遺族の列に並ぶと、職員の女性が活美に手を合わせ、棺の窓を閉じた。
「これでお別れの儀を終了させていただきます。活美様が荼毘に付されるまで少々お時間を頂きますので、今一度待合室にてお待ちいただきます」
再び待合室にいる間、優心は口をきかなかった。相変わらずとろんと虚ろな表情のままぼんやりと窓の外を見ていた。
「優心ちゃん大丈夫かしらね、よほど辛かったのね」
確かにいつもの元気な優心を知っていると、今の優心の様子は痛々しいほどだった。
「おばさんも悲しいのに、僕らの心配ばっかりで申し訳ないです」
「私は大丈夫よ。もうずいぶん前から覚悟は出来ていたからね、もうあの娘の心配をする日々も終わりなのね」
母の顔を見るとやっぱり悲しい顔をしていた、でもどこか吹っ切れた様な清々しさもあった。そんな表情をしているように見えた。
「星河君、優心ちゃんを元気づけてあげてね」
母の言葉に小さく頷く星河、今の自分に出来ることは少ないが、せめて傍にいてやろうと思った。
「優心……隣良いかな?」
星河がそう言うと優心は投げ出していた足を抱えて、体育座りになり脚の間に顔を埋めた。
「活美ちゃん……綺麗だったね。でも綺麗なまま逝っちゃうって悲しいね」
「…………」
「優心はまだ…………いや、いいや」
星河はじっと優心の隣にいた。声をかけるでもなく、触れるでもなく、ただ二人でじっと悲しい時間を噛みしめた。
また待合室のドアが開く。
「活美様の火葬が終わりました。これから皆様にはお骨を拾って骨壺に収めていただきます。どうぞこちらへ」
職員の女性に連れられ、知人遺族たちがお骨を安置してある部屋に案内される。部屋に入った時わずかに熱気を感じた。活美の白い骨がそこにある。
それを見た時だった。
「活美! 活美!」
突然優心が泣き出した。恥も外聞もなく大きな声で、涙を流して泣いた。周りの皆は一瞬驚いたが、優心をそっと見守った。
それが活美の死からついに、優心が流した初めての涙だった。
優心の中にわだかまっていたエネルギーが凄い勢いで発散される。
それは大きな泣き声、魂の叫びだった。
天気は良くも悪くもなく、所々薄い雲が出ていて、夏の盛りにしては柔らかい陽光が辺りを包んでいた。身体の弱い活美なら好きな陽気と言ったかもしれない。
待合室は畳の大広間になっていて、ちょっとした宴会場程度の広さがあった。
そこにいる間、優心は心ここにあらずと言った感じで、ぼんやりしていた。星河はそんな優心をそっとしておいた。
この二日間も二人はキャンプ場で寝起きしていた。その間も優心はろくに口をきかなかった。
料理もいつもの様な美味しい食事ではなく、最低限の栄養を賄う、そんな簡素なものを口にしただけだった。温泉にも入ってみたのだが、心は少しも踊らなかった。
「優心ちゃん……少しは食べた方がいいわ、弱ってしまうわよ」
たった二日間で少し瘦せてしまった優心におにぎりを勧める母。葬祭センターの待合室には軽食が用意されていた。おにぎりや漬物に天ぷらなんかの簡素な料理だ。
優心は拒否するでもなく、おにぎりを受け取って珍しい物を見るような目でしばしそれを眺めた後、口に運んだ。
「どう? 美味しい?」
優心は小さく頷く。
「ありがとう……おばさま……気を使っていただいて」
「良いのよ、優心ちゃんも私の娘みたいなものですもの」
そういって母は優心の頭を撫ぜた。
「本当に……綺麗になったわね、活美も綺麗になったけど、貴方は咲きほこる桜の花の様、綺麗で力強いわ」
「そんなのただの見かけだけです、心は活美の方がずっと綺麗で強かったです」
「貴方も綺麗でとても強い心を持っているわ、気が付かない?」
優心は少し目を伏せてから、じっと母を見つめた。
「星河君も自慢の彼女よね? 二人は本当にお似合い、活美も羨んでいたわ」
「僕は優心のことが好きですが……優心はどう思っているのやら」
星河は恥ずかし気な表情を浮かべ、頭を掻いた。優心の方はツンとそっぽを向いている。
「あらあら……まだ素直になれないのかしら」
星河は明らかに恥ずかしがり、優心も少しだけ顔を赤らめた。
「二人には幸せになって欲しいって、活美が最後に言っていたことだから」
その言葉を聞いて、ふと二人は真剣な表情になった。
「活美の分も楽しいことをいっぱいして、幸せを沢山感じてみて、辛いことがあっても二人で力を合わせればなんだって超えていける」
母の目に光る雫が浮かぶ、星河と優心の目も微かに潤んだ。
「ありがとうございます……活美ちゃんが見てると思って、一生懸命生きます」
「うん……そうして」
母はうんうんと何度も頷いた。
「二人は、まずは受験ね、勉強出来るんだから進学すると良いわ」
いつもはユーモラスにおふざけをする二人だが、成績は実はそんなに悪くない。
「でも、僕達二人合わせても、勉強では活美ちゃんには全然敵わなかったですけどね」
「あの娘、勉強だけは妙に出来たから」
母の中で活美はもう過去の人になっているのかもしれない、懐かしみその姿を思い出し微笑を浮かべる。しかし優心にとって活美の死はまだ眼前に立ちふさがる試練だった。
「以前、星河が言っていました。活美の頭脳をスーパーコンピューターだとしたら、あたしの頭脳は百均の電卓だって」
「まあ、面白い、でもそんなことは無いと思うけど」
「実際、そんなものです。でも電卓だってスーパーコンピューターみたいに頑張ることだってあるんです。あたしは活美に物語を託されました、あたしが冒険して活美が書いた冒険小説です。その物語の最後を書くんです。電卓だからって負けて居られない」
「そう……あの娘の小説を、優心ちゃんが引き継ぐのね、あの娘のノートパソコンまだまだ頑張れるようね。あのキーを打鍵する音が懐かしい、いつも真剣に何かを書いていたから」
母は晴れ晴れとした表情で、目じりを少しだけ指で拭った。
「あの娘の想いはまだまだ続いていくのね」
待合室の入り口のドアが開いた。葬祭センターの職員の女性がうやうやしく頭を下げ、言った。
「お別れの準備が整いました。ご案内いたします。皆さまこちらへ……」
職員の女性に案内され、葬祭センターのホールを抜けて火葬炉のある所まで着く、活美の入った棺桶が置かれている。花で囲われた遺影が目に付く、遺影の中で活美は笑っていてとても綺麗だった。
「皆様、これから活美様との最後のお別れの時間となります、花を一輪ずつ棺の中の活美様に添えてあげてください、そしてよろしかったら最後のお別れの言葉を掛けてあげてください」
まずは知人たちが、次いで遺族が花を添えていった。優心はその様子を茫然と眺めていた。星河が優心に寄り添いその手を握った。
優心が星河を見た。光の無い瞳だった。遺族の最後に花を添えた母が優心の元へやってくる。
「優心ちゃん、お別れしてあげて」
二人が頷いて、まず星河が花を手に取り活美の棺に向かう。活美の顔の周りは花でいっぱいだった。
死に化粧を施された活美は美しかった。まだ生きているんじゃないかと思うほどに。
「活美ちゃん……ありがとう……向こうでは元気で」
活美の顔の脇にそっと花を添える、活美が何か呟いた様な気がしたが、よく見ても何の動きもなかった。
「活美……これでお別れだね……ありがとう」
優心が花を添え参列した遺族の列に並ぶと、職員の女性が活美に手を合わせ、棺の窓を閉じた。
「これでお別れの儀を終了させていただきます。活美様が荼毘に付されるまで少々お時間を頂きますので、今一度待合室にてお待ちいただきます」
再び待合室にいる間、優心は口をきかなかった。相変わらずとろんと虚ろな表情のままぼんやりと窓の外を見ていた。
「優心ちゃん大丈夫かしらね、よほど辛かったのね」
確かにいつもの元気な優心を知っていると、今の優心の様子は痛々しいほどだった。
「おばさんも悲しいのに、僕らの心配ばっかりで申し訳ないです」
「私は大丈夫よ。もうずいぶん前から覚悟は出来ていたからね、もうあの娘の心配をする日々も終わりなのね」
母の顔を見るとやっぱり悲しい顔をしていた、でもどこか吹っ切れた様な清々しさもあった。そんな表情をしているように見えた。
「星河君、優心ちゃんを元気づけてあげてね」
母の言葉に小さく頷く星河、今の自分に出来ることは少ないが、せめて傍にいてやろうと思った。
「優心……隣良いかな?」
星河がそう言うと優心は投げ出していた足を抱えて、体育座りになり脚の間に顔を埋めた。
「活美ちゃん……綺麗だったね。でも綺麗なまま逝っちゃうって悲しいね」
「…………」
「優心はまだ…………いや、いいや」
星河はじっと優心の隣にいた。声をかけるでもなく、触れるでもなく、ただ二人でじっと悲しい時間を噛みしめた。
また待合室のドアが開く。
「活美様の火葬が終わりました。これから皆様にはお骨を拾って骨壺に収めていただきます。どうぞこちらへ」
職員の女性に連れられ、知人遺族たちがお骨を安置してある部屋に案内される。部屋に入った時わずかに熱気を感じた。活美の白い骨がそこにある。
それを見た時だった。
「活美! 活美!」
突然優心が泣き出した。恥も外聞もなく大きな声で、涙を流して泣いた。周りの皆は一瞬驚いたが、優心をそっと見守った。
それが活美の死からついに、優心が流した初めての涙だった。
優心の中にわだかまっていたエネルギーが凄い勢いで発散される。
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