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夢、小説家と冒険家
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ふと気が付くと本棚に囲まれた部屋の中だ。これは多分そう……中学の時の文芸部の部室だ。
昨日は凄い冒険があって、鬼になった悟志さんと戦って、夜見山の洞窟で不死の水を探して、そしてテントの中で疲れ切って倒れる様に寝て。
「じゃあ、これは夢か」
そう呟くと記憶がよみがえってくる。
隣に優心がいる、何やらスツールに腰掛け冒険小説を読んでいて、そして活美が机に向かってなにやら真剣にノートパソコンをいじっている、どうやら小説を書いている様だ。
たぶん季節は秋くらいでこの時は夕暮れの日差しがとても綺麗だった。植えられた街路樹が紅葉していて窓から見えた、風も心地よく頬を撫ぜる。
「どうしよう、良いアイデアが浮かばないよ」
活美がぼやき、う~んと言いながら伸びをした。
「今はどんな小説を書いているのよ?」
優心が本から顔を上げて訊ねた。
「う~ん、一応なろう系? ファンタジーみたいな?」
「ああ言うのはゲームとかに詳しくないとなかなか書けないわよ。活美ゲームなんてしないじゃない」
活美は確かに日本を代表するあんなRPGやネットゲームなんかも経験がない。
「一応、指輪物語とかは読んでいるよ」
活美がちょっと胸を張る、なんだかその姿は小リスのようで可愛らしい。
「今のゲーム系ファンタジーは元祖の指輪物語とかD&Dとかとは結構離れた所まで来ちゃってるからね」
「そうなの?」
活美のクリクリした瞳が少し潤んでいる。
「ゲーム体験とかが暗黙のお約束を成していて、核になるのは出世とか無双なんか、やれネットゲーじみた最強スキルだとかチート、そう言うものを使ってお手軽に清涼飲料水みたいな爽快感を感じさせる小説なのよ」
「ほえ~優心ちゃん詳しいね」
確かに優心はゲームなんかも好きで、そう言った方面にも詳しい。
「ちょっと読ませてみて」
「うん、良いよ」
活美が机から退き、優心がノートパソコンの前に座る。真剣な顔で活美の小説を読み始めた。
「ウンウン、良く書けていると思うけど、もうひとつ爽快感が出ていないわね。もっとこう……ドカンと派手なバトルとか持ちだしたり、こいつ悪党だよな~ってやつをぶっ潰したり、ざまぁしたり、スカッと爽快ってのを……」
優心の話を聞いて活美は凄く難しい顔をした。美顔が変な表情になるくらい。
「なんかそれって安易で子供っぽいよ」
「まあ……活美ならそう思うよね」
「私、変に流行を追うのは止めにするわ」
「そうね……それが良いわね」
そう言って優心はクスリと笑った。
「ねえ活美ちゃん」
二人のやり取りをじっと見ていたらつい声が出た。声をかけるつもりはなかったが自然と記憶をなぞってしまった。
「うん、何? 星河君」
「活美ちゃんは何で小説を書いているの?」
「う~ん……なんて言うのかな、私時々叫びたくなるの。私はここにいるぞ~って、生きて考えて思ってここにいるの、そう、その証を立てるみたいな? 私の心の叫びなの」
「そうなんだ……誰かに届くといいね、その叫び」
ちょっと儚げに活美は笑った。この時すでに活美の身体を少しずつ病が蝕んでいた。小さなころはちょっと身体が弱いとだけ思われていた。
しかし、その命がそれほど長くはないだろうと宣告され、それから活美と優心は変わった。毎日を本当に一生懸命、生きるようになった。
「でも……私がここにいるって以外何もない私に何が書けるんだろう? 人生経験だってそんなにない、ゲームを話題にみんなを楽しませることだってできない」
「そんなの簡単よ。冒険小説! 愛と冒険のスペクタクル、あたしが活美の目となり耳となる、あたしが冒険してそれを活美が小説にするの」
「うん……それはとても楽しそうだよね」
「活美は小説家にあたしは冒険家になるの」
胸張りの大威張りで優心が宣言する。
「大きく出たな……でもその夢、叶うといいね」
「この優心ちゃんに任せなさい、ど~んと大船に乗ったつもりでいればいいんだから」
そう言えば優心はこの頃からよく冒険と称して、県内のちょっと難しめの登山に挑戦したり、心霊スポットとかに夜な夜な行ってみたりしては、その時のことを活美に話して聞かせていた。星河も何度か付き合ったことがある。
いずれはアマゾンの秘境やギアナ高地なんかに行くんだと息巻いていた。
ちなみに星河はお化けが大の苦手で、優心に心霊スポットで撮影役をやらされては涙目になっていた。
「いいな~優心ちゃんは何でもできて」
「大したことはできないわよ。活美の方がずっと頭も良いじゃない」
「ううん、私はちょっと勉強ができるだけ、優心ちゃんはお料理とかお菓子作りも凄いし、バスケやバレーだって凄い上手で男の子にだって負けてない」
「プロレス技も凄いしな、女子プロの新弟子になればいい」
優心は無言で星河にコブラツイストをかけた。
「あっ! 痛いっ! 痛いマジでっ! 優心許して」
「ギリギリギリギリ」
「あっ! あぁぁぁぁっ!」
「凄いよお、本当のプロレスみたい」
「見てないで……助けて」
「優心ちゃん、どうどう」
活美が仲裁に入ることでやっと許してもらえた星河は涙目で言った。
「優心は全然優しくない、活美ちゃんと名前を交換すべきだ」
キョトンとした顔で優心と活美は顔を見合わせて、そして大声で笑った。それは、それは面白そうに大きく口を開けて爆笑した。
「確かにあたし達、名前と性格が合ってないわね、星河面白いことに気が付いたわね」
「私が優心ちゃんで、優心ちゃんが私なんだね」
「その通り! あたしと活美は一心同体なのよ」
優心は活美に抱き着き、頬と頬をすり合わせ、にしししと笑った。
「活美が元気になったら、二人で外国に行って紀行文でも書こうよ。活美は文章が上手いからそう言うの売れると思うわよ」
「私は星河君も一緒に連れて行きたい」
「ふ~ん、活美は優しいわね」
優心がニヤニヤと意味深な笑みを浮かべた。
「まあ、いいわ荷物持ちとしてなら連れてってあげる。あたし達が美味しい物食べてる間は脇で正座しているのよ」
「くっ……悔しい」
先ほどのコブラツイストですっかり上下関係を教え込まれた星河は言い返せない。
「美味しい物は皆で食べた方が美味しいよ」
「やっぱり! 活美は星河のことが好きなんだからしょうがないわね」
「ええ? うぅぅん……星河君は……大事な友達だし」
僕は優心と活美ちゃんのどっちが好きなんだろう? そう思った時、胸が締め付けられ一瞬、息の仕方を忘れた。
どちらも掛け替えのない友人、でも僕は優心と寝てしまった。それは……優心が好きだから?
とても怖い思いをしたから、吊り橋効果と言うやつなんじゃ? でも優心は本当に一生懸命に初めてを捧げてくれて、僕はその気持ちに応えようとやっぱり一生懸命で……。
今、僕は活美ちゃんに求められたら、やっぱり活美ちゃんを抱くのだろうか? どうだろう、答えはわからない。
「星河は活美が好きで、活美も星河が好き! それで良いの」
本当に良いのかい? そう思ったが言葉がでなかった。
「でも星河君が本当に好きなのは優心ちゃんなんでしょ?」
活美ちゃんそんな顔をしないで。そう思ったがこれも言葉にはならなかった。
「あたしは星河みたいな軟弱なの、タイプじゃないわ」
そう、いつもそんなことを言っていた。だから星河は何時も曖昧な態度を取っていた。やっぱり本当は優心が好きなのか。
「まあ、星河がどうしてもって言うなら、あたしが総理大臣になって日本を一夫多妻制にして二人で嫁にいっても良いわよ」
「わぁ……ステキ、それが良いよね」
ああ……それが良い、胸が締め付けられ、涙がでた。
昨日は凄い冒険があって、鬼になった悟志さんと戦って、夜見山の洞窟で不死の水を探して、そしてテントの中で疲れ切って倒れる様に寝て。
「じゃあ、これは夢か」
そう呟くと記憶がよみがえってくる。
隣に優心がいる、何やらスツールに腰掛け冒険小説を読んでいて、そして活美が机に向かってなにやら真剣にノートパソコンをいじっている、どうやら小説を書いている様だ。
たぶん季節は秋くらいでこの時は夕暮れの日差しがとても綺麗だった。植えられた街路樹が紅葉していて窓から見えた、風も心地よく頬を撫ぜる。
「どうしよう、良いアイデアが浮かばないよ」
活美がぼやき、う~んと言いながら伸びをした。
「今はどんな小説を書いているのよ?」
優心が本から顔を上げて訊ねた。
「う~ん、一応なろう系? ファンタジーみたいな?」
「ああ言うのはゲームとかに詳しくないとなかなか書けないわよ。活美ゲームなんてしないじゃない」
活美は確かに日本を代表するあんなRPGやネットゲームなんかも経験がない。
「一応、指輪物語とかは読んでいるよ」
活美がちょっと胸を張る、なんだかその姿は小リスのようで可愛らしい。
「今のゲーム系ファンタジーは元祖の指輪物語とかD&Dとかとは結構離れた所まで来ちゃってるからね」
「そうなの?」
活美のクリクリした瞳が少し潤んでいる。
「ゲーム体験とかが暗黙のお約束を成していて、核になるのは出世とか無双なんか、やれネットゲーじみた最強スキルだとかチート、そう言うものを使ってお手軽に清涼飲料水みたいな爽快感を感じさせる小説なのよ」
「ほえ~優心ちゃん詳しいね」
確かに優心はゲームなんかも好きで、そう言った方面にも詳しい。
「ちょっと読ませてみて」
「うん、良いよ」
活美が机から退き、優心がノートパソコンの前に座る。真剣な顔で活美の小説を読み始めた。
「ウンウン、良く書けていると思うけど、もうひとつ爽快感が出ていないわね。もっとこう……ドカンと派手なバトルとか持ちだしたり、こいつ悪党だよな~ってやつをぶっ潰したり、ざまぁしたり、スカッと爽快ってのを……」
優心の話を聞いて活美は凄く難しい顔をした。美顔が変な表情になるくらい。
「なんかそれって安易で子供っぽいよ」
「まあ……活美ならそう思うよね」
「私、変に流行を追うのは止めにするわ」
「そうね……それが良いわね」
そう言って優心はクスリと笑った。
「ねえ活美ちゃん」
二人のやり取りをじっと見ていたらつい声が出た。声をかけるつもりはなかったが自然と記憶をなぞってしまった。
「うん、何? 星河君」
「活美ちゃんは何で小説を書いているの?」
「う~ん……なんて言うのかな、私時々叫びたくなるの。私はここにいるぞ~って、生きて考えて思ってここにいるの、そう、その証を立てるみたいな? 私の心の叫びなの」
「そうなんだ……誰かに届くといいね、その叫び」
ちょっと儚げに活美は笑った。この時すでに活美の身体を少しずつ病が蝕んでいた。小さなころはちょっと身体が弱いとだけ思われていた。
しかし、その命がそれほど長くはないだろうと宣告され、それから活美と優心は変わった。毎日を本当に一生懸命、生きるようになった。
「でも……私がここにいるって以外何もない私に何が書けるんだろう? 人生経験だってそんなにない、ゲームを話題にみんなを楽しませることだってできない」
「そんなの簡単よ。冒険小説! 愛と冒険のスペクタクル、あたしが活美の目となり耳となる、あたしが冒険してそれを活美が小説にするの」
「うん……それはとても楽しそうだよね」
「活美は小説家にあたしは冒険家になるの」
胸張りの大威張りで優心が宣言する。
「大きく出たな……でもその夢、叶うといいね」
「この優心ちゃんに任せなさい、ど~んと大船に乗ったつもりでいればいいんだから」
そう言えば優心はこの頃からよく冒険と称して、県内のちょっと難しめの登山に挑戦したり、心霊スポットとかに夜な夜な行ってみたりしては、その時のことを活美に話して聞かせていた。星河も何度か付き合ったことがある。
いずれはアマゾンの秘境やギアナ高地なんかに行くんだと息巻いていた。
ちなみに星河はお化けが大の苦手で、優心に心霊スポットで撮影役をやらされては涙目になっていた。
「いいな~優心ちゃんは何でもできて」
「大したことはできないわよ。活美の方がずっと頭も良いじゃない」
「ううん、私はちょっと勉強ができるだけ、優心ちゃんはお料理とかお菓子作りも凄いし、バスケやバレーだって凄い上手で男の子にだって負けてない」
「プロレス技も凄いしな、女子プロの新弟子になればいい」
優心は無言で星河にコブラツイストをかけた。
「あっ! 痛いっ! 痛いマジでっ! 優心許して」
「ギリギリギリギリ」
「あっ! あぁぁぁぁっ!」
「凄いよお、本当のプロレスみたい」
「見てないで……助けて」
「優心ちゃん、どうどう」
活美が仲裁に入ることでやっと許してもらえた星河は涙目で言った。
「優心は全然優しくない、活美ちゃんと名前を交換すべきだ」
キョトンとした顔で優心と活美は顔を見合わせて、そして大声で笑った。それは、それは面白そうに大きく口を開けて爆笑した。
「確かにあたし達、名前と性格が合ってないわね、星河面白いことに気が付いたわね」
「私が優心ちゃんで、優心ちゃんが私なんだね」
「その通り! あたしと活美は一心同体なのよ」
優心は活美に抱き着き、頬と頬をすり合わせ、にしししと笑った。
「活美が元気になったら、二人で外国に行って紀行文でも書こうよ。活美は文章が上手いからそう言うの売れると思うわよ」
「私は星河君も一緒に連れて行きたい」
「ふ~ん、活美は優しいわね」
優心がニヤニヤと意味深な笑みを浮かべた。
「まあ、いいわ荷物持ちとしてなら連れてってあげる。あたし達が美味しい物食べてる間は脇で正座しているのよ」
「くっ……悔しい」
先ほどのコブラツイストですっかり上下関係を教え込まれた星河は言い返せない。
「美味しい物は皆で食べた方が美味しいよ」
「やっぱり! 活美は星河のことが好きなんだからしょうがないわね」
「ええ? うぅぅん……星河君は……大事な友達だし」
僕は優心と活美ちゃんのどっちが好きなんだろう? そう思った時、胸が締め付けられ一瞬、息の仕方を忘れた。
どちらも掛け替えのない友人、でも僕は優心と寝てしまった。それは……優心が好きだから?
とても怖い思いをしたから、吊り橋効果と言うやつなんじゃ? でも優心は本当に一生懸命に初めてを捧げてくれて、僕はその気持ちに応えようとやっぱり一生懸命で……。
今、僕は活美ちゃんに求められたら、やっぱり活美ちゃんを抱くのだろうか? どうだろう、答えはわからない。
「星河は活美が好きで、活美も星河が好き! それで良いの」
本当に良いのかい? そう思ったが言葉がでなかった。
「でも星河君が本当に好きなのは優心ちゃんなんでしょ?」
活美ちゃんそんな顔をしないで。そう思ったがこれも言葉にはならなかった。
「あたしは星河みたいな軟弱なの、タイプじゃないわ」
そう、いつもそんなことを言っていた。だから星河は何時も曖昧な態度を取っていた。やっぱり本当は優心が好きなのか。
「まあ、星河がどうしてもって言うなら、あたしが総理大臣になって日本を一夫多妻制にして二人で嫁にいっても良いわよ」
「わぁ……ステキ、それが良いよね」
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