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こんな展開ありですか? 後編(数子)
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画面には『愛しの司君』の文字、しかも写真付き。
もちろん私が登録したんじゃありませんからー!
昨日、中村さんご夫妻と別れたあと、
「俺のこと登録してやるから、スマホ貸してみ。あ、ロックは外せよ」
と暴君ドクター。
くぅぅ、してくれなくて良いですってぇぇ!
と心の中で叫びつつ、おめおめとスマホを差し出す私。
「あ、そぅだ、俺のことなんて呼ぶ? 司君、司さん、呼び捨て、どうする?」
「……えと、じゃ司さん…で」
戸惑いがちに言った声に被せるように鼻先で笑って、
「何言ってんだよ、司君にしろ!」
とさらり。
お前こそ何言ってんだよ!
決まってるなら聞くんじゃないっつーの!
なんて思っているうちに、あっさり登録が完了。
「明日(日曜日)仕事が終わったら連絡するから」
って言ってたけど、ひぃぃ、ホントにかかってきたあぁぁ!!
ピッカピカに磨かれたガラス窓に映る私の顔には、思いっきり黒い縦じまが入ってる。
私の事などお構いなしに行き成り彼氏彼女、しかも小間使いにしたいから結婚前提って、勝手だし極端過ぎる。
彼のぶっ飛んだ思考回路に、心が追いついて行けませぇん!
一応承諾はしたけれど、どう接して良いか分からないし、極力係わりたくはない。
お父さんの事で緊急の用件なら、病院の固定電話を使うはず。
着メロは未だ鳴っているけれど、じぇんじぇん聞こえませ~ん……て事で、メロディーが鳴ったままのスマホを、バッグにグサリと埋めこんだ。
おほほ
三人に視線を送れば、相変わらず優君の方を見ながらピンクの靄に包まれて、色めき立っている。
とその時、バッグの中で着メロが止み、直ぐにリロンッ!
LINEにメッセージが届いたらしく、再度スマホを取り出しカバーを開くと、
『こらっ、電話とれ!!』の文字。
『今忙しくてムリです』
ささっとメッセージを送り、友人達に駆け寄ると、
「「「きゃ、こっちに来る~」」」
と三人は目をハートにし、ラウンジに夢中。
瞳にはキラッキラの星まで飛んでるし。
優君ホントに大人気だね……
と小さく苦笑した時だった。
「かぁず子、お待たされ」
ふいに背の高い細身の男性が目の前に現れ、歌うように声をかけて来る。
え?
外野三人は、彼を見ながらキャーキャー黄色い声を出しているけれど、
ん、んんん?
私こんな人会った事ない……って、しぇぇーっ、この人鈴田先生じゃないのぉーーーっ!!
見開き過ぎて、眼孔から目の玉ポロっと落っこちそう。
「ホ~ント忙しそうだねぇ、数子」
もちろん皮肉。
それにしてもこの人には、グリーンのユニホームに白衣を羽織ってサンダル履きのイメージしかなかったけれど、今日はネイビーのシャツにベージュの細いパンツ、お洒落なスニーカーとネックレス、いつもはかけてない眼鏡もかけちゃってるし、髪もワックスつけて寝癖風にアレンジしてるから、ぱっと見全然分からなかった。
この人ホントに心臓に悪い!
「電話に出なかったお仕置きは、後でたっぷりしてやるからな!」にっこり
た、助けて~!
「なんでこんな所にいるの!?」
「サプライズで迎えに来た。誕生日の埋め合わせしてやるって言っただろう?」
それいつ言ったの?
初耳ですけどォー!?
あんぐり開いた口から、白ぉい魂抜け出しそう。
この人の変わり者っぷりには、ホントついて行けませぇん!!
「でどうする、ドライブ? ネズミの大将しばきに行くか? それとも家でまったり? 映画でも良いけど、オレ昨日あんま寝れなかったから、横で爆睡するかも……」
展開について行けず呆けた顔の私の横で、彩佳と理恵子と薫子は、わっとかキャッとか桃色な声で騒めいている。
いつの間にか花音と優君も傍に来ていたようで、
「ねえ数子ぉ、レンタル彼氏……、それかホストとか?」
花音は瞳を意地悪く光らせながら、口調だけは遠慮がちに聞いてきた。
首根っこを掴まれ、行き成り現実に引き戻されるような冷たい言葉。
確かに優君と別れて日が浅いし、私に華がないからからそんな風に考えても仕方無いのかも知れないけど、みんなの前で辱めるような事言うのって、人としておかしい……。
「花音っ!」
優君が小さく声を荒らげた時、
「君さぁ、顔と同じで面白い事言うねぇ」
鈴田先生が花音にケラケラと笑いかける。
でも目は氷のように冷たくて、笑っていないような。
「誤解のないように言っとくけど、数子が彼氏と別れたって聞いて、即行口説いたの俺の方だから」
え? ドキッ
まったく予想していなかった言葉に耳を疑い、心臓が煩いくらいに高鳴り始めた。
「今は遥かに俺の気持ちの方が勝ってるから、何とか俺を好きになって貰わないとって、マジで努力してる真っ最中なんだよね」
先生は自嘲気味に微笑んだ。
嘘だって、演技だって分かっているけれど、守ってくれようとしているのは確か。
ちょっと嬉しい。いえ、かなり。
それに力強い言葉にも表情にも、さっきから胸がときめいている。
「それにしてもマヌケな彼氏と別れてくれてホ~ント良かったよ。いまさら返せって言われても、もう俺のだから絶対渡さないしね……」
先生はニコッと微笑み、「そろそろ行こ」
言いながら、さりげなく手を恋人つなぎにして、有無を言わせず歩き始めた。
目がハートのままの三人の方に振り返り、
「ごめんね。お先に……」
と言いながら小さく手を振った時、花音の忌々し気な表情がイヤでも視界に入ってきた。
サッと視線を逸らした瞬間、ふっと優君と目が合う。
そんな切ない目で見ないで。
そのネックレスだって私があげたものだし、ホントおかしいよ。
私を裏切ったのは、貴方の方でしょう!?
もちろん私が登録したんじゃありませんからー!
昨日、中村さんご夫妻と別れたあと、
「俺のこと登録してやるから、スマホ貸してみ。あ、ロックは外せよ」
と暴君ドクター。
くぅぅ、してくれなくて良いですってぇぇ!
と心の中で叫びつつ、おめおめとスマホを差し出す私。
「あ、そぅだ、俺のことなんて呼ぶ? 司君、司さん、呼び捨て、どうする?」
「……えと、じゃ司さん…で」
戸惑いがちに言った声に被せるように鼻先で笑って、
「何言ってんだよ、司君にしろ!」
とさらり。
お前こそ何言ってんだよ!
決まってるなら聞くんじゃないっつーの!
なんて思っているうちに、あっさり登録が完了。
「明日(日曜日)仕事が終わったら連絡するから」
って言ってたけど、ひぃぃ、ホントにかかってきたあぁぁ!!
ピッカピカに磨かれたガラス窓に映る私の顔には、思いっきり黒い縦じまが入ってる。
私の事などお構いなしに行き成り彼氏彼女、しかも小間使いにしたいから結婚前提って、勝手だし極端過ぎる。
彼のぶっ飛んだ思考回路に、心が追いついて行けませぇん!
一応承諾はしたけれど、どう接して良いか分からないし、極力係わりたくはない。
お父さんの事で緊急の用件なら、病院の固定電話を使うはず。
着メロは未だ鳴っているけれど、じぇんじぇん聞こえませ~ん……て事で、メロディーが鳴ったままのスマホを、バッグにグサリと埋めこんだ。
おほほ
三人に視線を送れば、相変わらず優君の方を見ながらピンクの靄に包まれて、色めき立っている。
とその時、バッグの中で着メロが止み、直ぐにリロンッ!
LINEにメッセージが届いたらしく、再度スマホを取り出しカバーを開くと、
『こらっ、電話とれ!!』の文字。
『今忙しくてムリです』
ささっとメッセージを送り、友人達に駆け寄ると、
「「「きゃ、こっちに来る~」」」
と三人は目をハートにし、ラウンジに夢中。
瞳にはキラッキラの星まで飛んでるし。
優君ホントに大人気だね……
と小さく苦笑した時だった。
「かぁず子、お待たされ」
ふいに背の高い細身の男性が目の前に現れ、歌うように声をかけて来る。
え?
外野三人は、彼を見ながらキャーキャー黄色い声を出しているけれど、
ん、んんん?
私こんな人会った事ない……って、しぇぇーっ、この人鈴田先生じゃないのぉーーーっ!!
見開き過ぎて、眼孔から目の玉ポロっと落っこちそう。
「ホ~ント忙しそうだねぇ、数子」
もちろん皮肉。
それにしてもこの人には、グリーンのユニホームに白衣を羽織ってサンダル履きのイメージしかなかったけれど、今日はネイビーのシャツにベージュの細いパンツ、お洒落なスニーカーとネックレス、いつもはかけてない眼鏡もかけちゃってるし、髪もワックスつけて寝癖風にアレンジしてるから、ぱっと見全然分からなかった。
この人ホントに心臓に悪い!
「電話に出なかったお仕置きは、後でたっぷりしてやるからな!」にっこり
た、助けて~!
「なんでこんな所にいるの!?」
「サプライズで迎えに来た。誕生日の埋め合わせしてやるって言っただろう?」
それいつ言ったの?
初耳ですけどォー!?
あんぐり開いた口から、白ぉい魂抜け出しそう。
この人の変わり者っぷりには、ホントついて行けませぇん!!
「でどうする、ドライブ? ネズミの大将しばきに行くか? それとも家でまったり? 映画でも良いけど、オレ昨日あんま寝れなかったから、横で爆睡するかも……」
展開について行けず呆けた顔の私の横で、彩佳と理恵子と薫子は、わっとかキャッとか桃色な声で騒めいている。
いつの間にか花音と優君も傍に来ていたようで、
「ねえ数子ぉ、レンタル彼氏……、それかホストとか?」
花音は瞳を意地悪く光らせながら、口調だけは遠慮がちに聞いてきた。
首根っこを掴まれ、行き成り現実に引き戻されるような冷たい言葉。
確かに優君と別れて日が浅いし、私に華がないからからそんな風に考えても仕方無いのかも知れないけど、みんなの前で辱めるような事言うのって、人としておかしい……。
「花音っ!」
優君が小さく声を荒らげた時、
「君さぁ、顔と同じで面白い事言うねぇ」
鈴田先生が花音にケラケラと笑いかける。
でも目は氷のように冷たくて、笑っていないような。
「誤解のないように言っとくけど、数子が彼氏と別れたって聞いて、即行口説いたの俺の方だから」
え? ドキッ
まったく予想していなかった言葉に耳を疑い、心臓が煩いくらいに高鳴り始めた。
「今は遥かに俺の気持ちの方が勝ってるから、何とか俺を好きになって貰わないとって、マジで努力してる真っ最中なんだよね」
先生は自嘲気味に微笑んだ。
嘘だって、演技だって分かっているけれど、守ってくれようとしているのは確か。
ちょっと嬉しい。いえ、かなり。
それに力強い言葉にも表情にも、さっきから胸がときめいている。
「それにしてもマヌケな彼氏と別れてくれてホ~ント良かったよ。いまさら返せって言われても、もう俺のだから絶対渡さないしね……」
先生はニコッと微笑み、「そろそろ行こ」
言いながら、さりげなく手を恋人つなぎにして、有無を言わせず歩き始めた。
目がハートのままの三人の方に振り返り、
「ごめんね。お先に……」
と言いながら小さく手を振った時、花音の忌々し気な表情がイヤでも視界に入ってきた。
サッと視線を逸らした瞬間、ふっと優君と目が合う。
そんな切ない目で見ないで。
そのネックレスだって私があげたものだし、ホントおかしいよ。
私を裏切ったのは、貴方の方でしょう!?
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