断罪された悪役令息と騎士団長様〜唯一君だけが僕の事知っている世界〜

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　僕がミオさんに拾われて一週間が経った。

　ミオさんは僕が怪我をし、倒れていたところを助けてくれた。ミオさんは自分の事を何も話さない僕のことを訳ありと悟ったのだろうか、彼女は何も僕に聞いてこなかった。

　ミオさんには、家がないこと・あの日は喧嘩に負けたと言った。そして僕の名前は『レオ』だと名乗った。

　丁度空き部屋があったため今はそこに住まわせてもらっている。ミオさんには旦那さんがおり、僕が来る前までは二人暮らしだったそうだ。彼の名前はジャックさんで、ミオさんと同じ位の歳であろうか。二人は本当にお似合いの夫婦だと思う。

　この二人には感謝しかない。こんな僕を住まわせてくれて…



「おぉーい、レオ!今日も頼むな!」

「あっ!ジャックさん!
了解しました。今日はくるみパンなんですね。」

「あぁ、そうだよ。うまそうだろ?」

「えぇ、とてもいい匂いがします。」
僕はジャックさんから、くるみパンが沢山入ったカゴを受け取った。

　僕がミオさんとジャックさんのもとでお手伝いをさせて頂いている。一文なしの僕に寝泊まりする場所や食事を用意してくれるのだ。手伝わないわけないだろう…

　二人は王都では有名なパン屋で、お客が絶えない。貴族御用達だそうだ。王都一と言っても過言ではない。僕はこのパンを食べた時衝撃を受けた。元貴族の僕でも、こんな美味しいパンを食べたことはなかった。

　僕が手伝っていることは何だと思う?
………それはパンを孤児院まで届けることだ。僕は子供が苦手だ。あの純粋な目でこちらを見られると、自分がどれだけ汚れているか再認識してしまうからである。しかし、忙しい二人のためである。今日も貼り付けた笑顔で孤児院に僕は向かうのであった…