異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし

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8章 勇者の国

89.演説会

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前書き

王選について色々書いてますが、あまり考え込まずにザーッと流して貰って構いません!
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 翌日、国民に向けての王候補らの演説があるという事でシュウスイきっての大広場へと足を進めていた。

 そこでまず度肝を抜かれたのが国民の多さだ。広場を埋め尽くすだけでは足りず、国民は街道まで溢れ、あちこちで支持候補の名を叫ぶ合唱みたいのも起こっている。
 この国は民主主義ではない。しかし日本の選挙のように国民の意思を伝えようとしているのだ。前の国王がよっぽど優れた人物だったんだろう。

 そしてまあ、混雑しているという事は

 「あれ、アンはどこへ行ったんですか?」
 「どうせ迷子だろ」

 お転婆アンちゃんは必ず迷子になるという事だ。めんどくさい。
 ま、別に問題はないし、いない方が楽でよろしいので探さないが。

 そんな中、国民が一斉に静まった。何かと思えば演説が始まるようである。

 「えー、私は左大臣、いや元左大臣のルーマットである!ただいまより演説会を始める!」

 「「「ウオオオオオ!!!!」」」

 国民達が異様に盛り上がり始めた。たかが演説会だというのに結果発表のときのような盛り上がりだ。

 「では始めに我らが候補を紹介しよう!まずは西の勇者推薦、レスト殿だ!」

 左大臣の紹介に預かり1人のさわやかイケメンが国民に手を振る。すると

 「「「レスト!レスト!レスト!」」」

 とコールまで起こる始末。非常に人気が高いらしい。

 「続いて北の勇者推薦、ハガーリー殿だ!」

 すると1人の男が前にずい出てくる。仏頂面の男だ。愛嬌がないとも言える、が、またレストと違うなんとも言えぬカリスマがあるように感じられた。

 「「「ハガーリー!ハガーリー!」」」

 こちらもハガーリーコール。ただ、名前が言いにくいようである。

 「3人目は南の勇者推薦、ユーリス殿だ!」
 
 「はーい!みんなよろしくねー!」

 出てきたのはツインテールに髪を束ねる女の子。遠目でもわかる、あの子は可愛いと。
 何より男衆の人気がその証拠だ。

 「「「おおお!!!ユーリスちゃん!!!」

 ぶっちゃけ気持ち悪い。
 
 「では最後に東の勇者推薦、マーリ殿だ!」

 その紹介とともに出てくるのはバーニング野郎。名前マーリっていうんだな。

 「「「・・・・・・」」」

 そして驚愕のノーコール。みんな「あいつ誰?」って顔をしている。
 お前人気なさすぎだろ。

 「え、えー、では演説に移ろうか!レスト殿、どうぞ!」

 左大臣もバーニングの人気のなさにたじたじである。

 そして候補者の演説へと移る。主にこの場では公約、つまりマニフェストを発表するらしい。だが俺はすでにバーニングから内容を聞いていた。全員のを。

 レスト:前王を継ぎ、富国強兵の国づくり
 ハガーリー:商業の発展と外交の強化
 ユーリス:貴族院を中心とした国の発展
 マーリ:国を一体化させて国を豊かにする
 
 とまあそんな感じだった。演説を聞く限りそれに変わりはなく、演説は無難に終わった。
 演説後のコールを聞く限り、今のところの一番人気はレストだろうか。当然、人気がないのは断トツでバーニング野郎である。

 続いて、選挙方法が発表される。これについても俺はすでに聞いている。

 候補達は30票を争う事になり、上院貴族から6票、下院貴族から10票、国民投票から4票、商業団体から10票となる。
 要は、貴族とのコネや国民からの支持、そして商業団体を束ねる財力。それらを求められるわけだ。

 バーニング野郎曰く、

 「俺は財力については問題ない。だが国民、貴族とは無縁だ。だからいかに貴族を取り込んで国民を説得するかが鍵だな」

 と、そういうことらしい。
 そして俺の役割は他の候補らの行動を妨害して、貴族を取り込むこと。場合によっては武力で脅してでも取り込め、とまで言われている。
 まあ元からそのつもりだが。

 「さて、じゃあそろそろ行くか」
 「っ、そうですね」

 今日の仕事はこの演説会を見に来ている下院貴族への根回し。他の候補者たちもすでに動いている。
 まだ選挙は始まっていないようで水面下では動いているのだ。
 王選の投票は約1ヶ月後。それまでに貴族の根回しと妨害を並行してやらなければならない。全てはアリア王国へ侵入するため、エミリアを助けるためだ。

 「えっと、最初はーーーあの建物か」

 攻略すべき貴族のいる建物へと向かう。

 王選が始まったーーー






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まじめ回です。
王選でも気楽に見てもらえれば幸いです。
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