28 / 119
3章 王宮魔法使い
23.再来のあの場所
しおりを挟む
白い。
白いもやがかかったように周囲が全く見えない。
相変わらず体の感覚もなく、魂だけで浮いているような感覚だ。
2回目となるこの場所には2年間来てなかったから初期イベントとしてそのまま終了かと思いきや定期的に起こるらしい。
「やぁ。久しぶり。」
そしてここに来るということはこいつもいるだろうな。自称神。
「前は半端な説明しか出来ずにすまなかったね。」
おかげさまで謎の全裸少年としてデビューできました。
「ごめんごめん。」
雰囲気的に笑ってるぽいけど笑いごとじゃなかったんだからな!
まあそれで今回ここに呼んだのにはなんかあるんだろ?
「察しがいいね。その通りだ。」
んで?そのわけは?
「ああ。君は今国から誘われてるはずだ。簡潔に言うと、誘いに乗ってほしい。」
なぜ?
「君にとってその方が良いみたいだからね。」
へぇー。
ってことはお前も俺が誘いに乗ることで利益があるんだな?
「.....鋭いね。確かに僕に利益もある。」
正直でよろしい。
さて、良いことってのは具体的にどんなだ?
「詳しくは言えないんだけどね、まあ言うなれば魔法使いとしての能力アップとかかな。いい出会いもあると思うよ。」
ほう。なかなか魅力的な話だ。
正直行くか行かないかあと一押しが足りなかった感じだったからな。
いいだろう。行こう。
「それはよかった」
おい。ニヤニヤしてんのわかってるぞ。
「ごほんっ。えっとね、それで僕から注意が3つ。」
「1つ目は7大列強に逆らわないこと。死にたくなければね。」
そうなのか?変人だとは思ったが。
「やつらは人を簡単に殺す。強すぎる故にね。」
そういうものなのか。まあ強いやつにわざわざ逆らうほど俺も伊達に社会を生きてない。
「2つ目、王女にはあまり関わるな。面倒なことになる。」
うん。俺は平穏に行きたいからな。
そんなベタベタなイベントには引っかからないようにしたい。
「3つ目、ニコラスという男には近づくな。」
ニコラス?誰なんだ?
「王宮で近衛騎士団の副団長をやっている男だ。危ない男だから近づかない方がいい。出会うことはあまりないと思うが念のためだ。」
わかった。たぶん大丈夫だ。
「それと起きたら指輪がはまっていると思う。僕からの餞別だ。」
指輪?なんの指輪だ?
「ーーーーもう時間がない。いずれわかるさ。では、また会おうーーー」
神がそう告げた瞬間、体がグニャっと曲がる感覚。穴に落ちているようなそんな錯覚を抱きながら、ぷつんと意識が途切れた。
ーーーーーーーーーーーー
「ぐわあああぁぁ!!」
叫び声でパチリと目がさめる。
まあこれは叫び声ではなく前世でいう鶏みたいなものだ。最初は気味が悪いと思ったもんだが、今はそれに情緒すら感じてしまうーーーーようには全くならず相変わらず気持ち悪い。
さて、さっき見た夢だが間違いなく本物だろうな。
その証拠に左手の中指に濁った青色をするサファイヤのような宝石の指輪がはまっている。
随分と高そうな指輪だ。
これになんの効果があるのかはわからないが、あの神の贈り物だ。半分信用していいぐらいだろう。
「さあ、やりますか。」
独り言を呟き、ほおをパチンと叩く。
途端、まだ眠りつつあった意識が急に覚醒していく。
みんなを集めないとな。
ーーーーーーーーーーーー
「ということで、行ってみることにします。」
神の話は怪しいのでカット、指輪の話もカット、自然と短い連絡になった。
「.....そうか」
「決めたんだね」
「ええ!?」
ガドと領主が神妙に頷く中、1番驚いたのはエミリアだ。
「本当に行くの?」
弱々しく尋ねる声に決心が少し揺らぐ。
「エミリア。レイが決めたことだ。僕たちがどうこう言うことじゃない。」
ぴしゃっという領主。
俺の決心も再びぴしっとする。
「.....絶対帰ってきてね」
死地に行くわけでもないがその言葉には思わずドキリとしてしまう。
「はい。必ず帰ります。」
わざわざフラグ建設するのは気が引けるがこうでも言わないと泣きそうだ。俺が。
俺だってここにずっと居たい。みんなもいるし。だがファンタジー物の王都と王宮を見てみたいし、魔法の上達にもなる。神にも約束してしまった。もう行くしかなかろう。
そして行くからには何か成果をつかみたい。
さらにあわよくば権力とかも貰っちゃったりしてのんびり過ごしたい。
そんな思いを抱きながら、俺は王宮行きを決めたのだった。
================
白いもやが常時かかる場所。
そこに1人佇む彼は先ほど見送った人物に注意した言葉を思い出し、小さく笑いながらつぶやいた。
「まあ無理だろうけどね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
相変わらず亀みたいなスピードで進む話ですが、じわじわと伏線とか人物描写など入れていければな、と思います。
お気に入り、感想など励みになります!ありがとうございます!
白いもやがかかったように周囲が全く見えない。
相変わらず体の感覚もなく、魂だけで浮いているような感覚だ。
2回目となるこの場所には2年間来てなかったから初期イベントとしてそのまま終了かと思いきや定期的に起こるらしい。
「やぁ。久しぶり。」
そしてここに来るということはこいつもいるだろうな。自称神。
「前は半端な説明しか出来ずにすまなかったね。」
おかげさまで謎の全裸少年としてデビューできました。
「ごめんごめん。」
雰囲気的に笑ってるぽいけど笑いごとじゃなかったんだからな!
まあそれで今回ここに呼んだのにはなんかあるんだろ?
「察しがいいね。その通りだ。」
んで?そのわけは?
「ああ。君は今国から誘われてるはずだ。簡潔に言うと、誘いに乗ってほしい。」
なぜ?
「君にとってその方が良いみたいだからね。」
へぇー。
ってことはお前も俺が誘いに乗ることで利益があるんだな?
「.....鋭いね。確かに僕に利益もある。」
正直でよろしい。
さて、良いことってのは具体的にどんなだ?
「詳しくは言えないんだけどね、まあ言うなれば魔法使いとしての能力アップとかかな。いい出会いもあると思うよ。」
ほう。なかなか魅力的な話だ。
正直行くか行かないかあと一押しが足りなかった感じだったからな。
いいだろう。行こう。
「それはよかった」
おい。ニヤニヤしてんのわかってるぞ。
「ごほんっ。えっとね、それで僕から注意が3つ。」
「1つ目は7大列強に逆らわないこと。死にたくなければね。」
そうなのか?変人だとは思ったが。
「やつらは人を簡単に殺す。強すぎる故にね。」
そういうものなのか。まあ強いやつにわざわざ逆らうほど俺も伊達に社会を生きてない。
「2つ目、王女にはあまり関わるな。面倒なことになる。」
うん。俺は平穏に行きたいからな。
そんなベタベタなイベントには引っかからないようにしたい。
「3つ目、ニコラスという男には近づくな。」
ニコラス?誰なんだ?
「王宮で近衛騎士団の副団長をやっている男だ。危ない男だから近づかない方がいい。出会うことはあまりないと思うが念のためだ。」
わかった。たぶん大丈夫だ。
「それと起きたら指輪がはまっていると思う。僕からの餞別だ。」
指輪?なんの指輪だ?
「ーーーーもう時間がない。いずれわかるさ。では、また会おうーーー」
神がそう告げた瞬間、体がグニャっと曲がる感覚。穴に落ちているようなそんな錯覚を抱きながら、ぷつんと意識が途切れた。
ーーーーーーーーーーーー
「ぐわあああぁぁ!!」
叫び声でパチリと目がさめる。
まあこれは叫び声ではなく前世でいう鶏みたいなものだ。最初は気味が悪いと思ったもんだが、今はそれに情緒すら感じてしまうーーーーようには全くならず相変わらず気持ち悪い。
さて、さっき見た夢だが間違いなく本物だろうな。
その証拠に左手の中指に濁った青色をするサファイヤのような宝石の指輪がはまっている。
随分と高そうな指輪だ。
これになんの効果があるのかはわからないが、あの神の贈り物だ。半分信用していいぐらいだろう。
「さあ、やりますか。」
独り言を呟き、ほおをパチンと叩く。
途端、まだ眠りつつあった意識が急に覚醒していく。
みんなを集めないとな。
ーーーーーーーーーーーー
「ということで、行ってみることにします。」
神の話は怪しいのでカット、指輪の話もカット、自然と短い連絡になった。
「.....そうか」
「決めたんだね」
「ええ!?」
ガドと領主が神妙に頷く中、1番驚いたのはエミリアだ。
「本当に行くの?」
弱々しく尋ねる声に決心が少し揺らぐ。
「エミリア。レイが決めたことだ。僕たちがどうこう言うことじゃない。」
ぴしゃっという領主。
俺の決心も再びぴしっとする。
「.....絶対帰ってきてね」
死地に行くわけでもないがその言葉には思わずドキリとしてしまう。
「はい。必ず帰ります。」
わざわざフラグ建設するのは気が引けるがこうでも言わないと泣きそうだ。俺が。
俺だってここにずっと居たい。みんなもいるし。だがファンタジー物の王都と王宮を見てみたいし、魔法の上達にもなる。神にも約束してしまった。もう行くしかなかろう。
そして行くからには何か成果をつかみたい。
さらにあわよくば権力とかも貰っちゃったりしてのんびり過ごしたい。
そんな思いを抱きながら、俺は王宮行きを決めたのだった。
================
白いもやが常時かかる場所。
そこに1人佇む彼は先ほど見送った人物に注意した言葉を思い出し、小さく笑いながらつぶやいた。
「まあ無理だろうけどね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
相変わらず亀みたいなスピードで進む話ですが、じわじわと伏線とか人物描写など入れていければな、と思います。
お気に入り、感想など励みになります!ありがとうございます!
24
お気に入りに追加
5,149
あなたにおすすめの小説

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

きっと幸せな異世界生活
スノウ
ファンタジー
神の手違いで日本人として15年間生きてきた倉本カノン。彼女は暴走トラックに轢かれて生死の境を彷徨い、魂の状態で女神のもとに喚ばれてしまう。女神の説明によれば、カノンは本来異世界レメイアで生まれるはずの魂であり、転生神の手違いで魂が入れ替わってしまっていたのだという。
そして、本来カノンとして日本で生まれるはずだった魂は異世界レメイアで生きており、カノンの事故とほぼ同時刻に真冬の川に転落して流され、仮死状態になっているという。
時を同じくして肉体から魂が離れようとしている2人の少女。2つの魂をあるべき器に戻せるたった一度のチャンスを神は見逃さず、実行に移すべく動き出すのだった。
女神の導きで新生活を送ることになったカノンの未来は…?
毎日12時頃に投稿します。
─────────────────
いいね、お気に入りをくださった方、どうもありがとうございます。
とても励みになります。
田舎の雑貨店~姪っ子とのスローライフ~
なつめ猫
ファンタジー
唯一の血縁者である姪っ子を引き取った月山(つきやま) 五郎(ごろう) 41歳は、住む場所を求めて空き家となっていた田舎の実家に引っ越すことになる。
そこで生活の糧を得るために父親が経営していた雑貨店を再開することになるが、その店はバックヤード側から店を開けると異世界に繋がるという謎多き店舗であった。
少ない資金で仕入れた日本製品を、異世界で販売して得た金貨・銀貨・銅貨を売り資金を増やして設備を購入し雑貨店を成長させていくために奮闘する。
この物語は、日本製品を異世界の冒険者に販売し、引き取った姪っ子と田舎で暮らすほのぼのスローライフである。
小説家になろう 日間ジャンル別 1位獲得!
小説家になろう 週間ジャンル別 1位獲得!
小説家になろう 月間ジャンル別 1位獲得!
小説家になろう 四半期ジャンル別 1位獲得!
小説家になろう 年間ジャンル別 1位獲得!
小説家になろう 総合日間 6位獲得!
小説家になろう 総合週間 7位獲得!

念動力ON!〜スキル授与の列に並び直したらスキル2個貰えた〜
ばふぉりん
ファンタジー
こんなスキルあったらなぁ〜?
あれ?このスキルって・・・えい〜できた
スキル授与の列で一つのスキルをもらったけど、列はまだ長いのでさいしょのすきるで後方の列に並び直したらそのまま・・・もう一個もらっちゃったよ。
いいの?

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる