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3章 王宮魔法使い
23.再来のあの場所
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白い。
白いもやがかかったように周囲が全く見えない。
相変わらず体の感覚もなく、魂だけで浮いているような感覚だ。
2回目となるこの場所には2年間来てなかったから初期イベントとしてそのまま終了かと思いきや定期的に起こるらしい。
「やぁ。久しぶり。」
そしてここに来るということはこいつもいるだろうな。自称神。
「前は半端な説明しか出来ずにすまなかったね。」
おかげさまで謎の全裸少年としてデビューできました。
「ごめんごめん。」
雰囲気的に笑ってるぽいけど笑いごとじゃなかったんだからな!
まあそれで今回ここに呼んだのにはなんかあるんだろ?
「察しがいいね。その通りだ。」
んで?そのわけは?
「ああ。君は今国から誘われてるはずだ。簡潔に言うと、誘いに乗ってほしい。」
なぜ?
「君にとってその方が良いみたいだからね。」
へぇー。
ってことはお前も俺が誘いに乗ることで利益があるんだな?
「.....鋭いね。確かに僕に利益もある。」
正直でよろしい。
さて、良いことってのは具体的にどんなだ?
「詳しくは言えないんだけどね、まあ言うなれば魔法使いとしての能力アップとかかな。いい出会いもあると思うよ。」
ほう。なかなか魅力的な話だ。
正直行くか行かないかあと一押しが足りなかった感じだったからな。
いいだろう。行こう。
「それはよかった」
おい。ニヤニヤしてんのわかってるぞ。
「ごほんっ。えっとね、それで僕から注意が3つ。」
「1つ目は7大列強に逆らわないこと。死にたくなければね。」
そうなのか?変人だとは思ったが。
「やつらは人を簡単に殺す。強すぎる故にね。」
そういうものなのか。まあ強いやつにわざわざ逆らうほど俺も伊達に社会を生きてない。
「2つ目、王女にはあまり関わるな。面倒なことになる。」
うん。俺は平穏に行きたいからな。
そんなベタベタなイベントには引っかからないようにしたい。
「3つ目、ニコラスという男には近づくな。」
ニコラス?誰なんだ?
「王宮で近衛騎士団の副団長をやっている男だ。危ない男だから近づかない方がいい。出会うことはあまりないと思うが念のためだ。」
わかった。たぶん大丈夫だ。
「それと起きたら指輪がはまっていると思う。僕からの餞別だ。」
指輪?なんの指輪だ?
「ーーーーもう時間がない。いずれわかるさ。では、また会おうーーー」
神がそう告げた瞬間、体がグニャっと曲がる感覚。穴に落ちているようなそんな錯覚を抱きながら、ぷつんと意識が途切れた。
ーーーーーーーーーーーー
「ぐわあああぁぁ!!」
叫び声でパチリと目がさめる。
まあこれは叫び声ではなく前世でいう鶏みたいなものだ。最初は気味が悪いと思ったもんだが、今はそれに情緒すら感じてしまうーーーーようには全くならず相変わらず気持ち悪い。
さて、さっき見た夢だが間違いなく本物だろうな。
その証拠に左手の中指に濁った青色をするサファイヤのような宝石の指輪がはまっている。
随分と高そうな指輪だ。
これになんの効果があるのかはわからないが、あの神の贈り物だ。半分信用していいぐらいだろう。
「さあ、やりますか。」
独り言を呟き、ほおをパチンと叩く。
途端、まだ眠りつつあった意識が急に覚醒していく。
みんなを集めないとな。
ーーーーーーーーーーーー
「ということで、行ってみることにします。」
神の話は怪しいのでカット、指輪の話もカット、自然と短い連絡になった。
「.....そうか」
「決めたんだね」
「ええ!?」
ガドと領主が神妙に頷く中、1番驚いたのはエミリアだ。
「本当に行くの?」
弱々しく尋ねる声に決心が少し揺らぐ。
「エミリア。レイが決めたことだ。僕たちがどうこう言うことじゃない。」
ぴしゃっという領主。
俺の決心も再びぴしっとする。
「.....絶対帰ってきてね」
死地に行くわけでもないがその言葉には思わずドキリとしてしまう。
「はい。必ず帰ります。」
わざわざフラグ建設するのは気が引けるがこうでも言わないと泣きそうだ。俺が。
俺だってここにずっと居たい。みんなもいるし。だがファンタジー物の王都と王宮を見てみたいし、魔法の上達にもなる。神にも約束してしまった。もう行くしかなかろう。
そして行くからには何か成果をつかみたい。
さらにあわよくば権力とかも貰っちゃったりしてのんびり過ごしたい。
そんな思いを抱きながら、俺は王宮行きを決めたのだった。
================
白いもやが常時かかる場所。
そこに1人佇む彼は先ほど見送った人物に注意した言葉を思い出し、小さく笑いながらつぶやいた。
「まあ無理だろうけどね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
相変わらず亀みたいなスピードで進む話ですが、じわじわと伏線とか人物描写など入れていければな、と思います。
お気に入り、感想など励みになります!ありがとうございます!
白いもやがかかったように周囲が全く見えない。
相変わらず体の感覚もなく、魂だけで浮いているような感覚だ。
2回目となるこの場所には2年間来てなかったから初期イベントとしてそのまま終了かと思いきや定期的に起こるらしい。
「やぁ。久しぶり。」
そしてここに来るということはこいつもいるだろうな。自称神。
「前は半端な説明しか出来ずにすまなかったね。」
おかげさまで謎の全裸少年としてデビューできました。
「ごめんごめん。」
雰囲気的に笑ってるぽいけど笑いごとじゃなかったんだからな!
まあそれで今回ここに呼んだのにはなんかあるんだろ?
「察しがいいね。その通りだ。」
んで?そのわけは?
「ああ。君は今国から誘われてるはずだ。簡潔に言うと、誘いに乗ってほしい。」
なぜ?
「君にとってその方が良いみたいだからね。」
へぇー。
ってことはお前も俺が誘いに乗ることで利益があるんだな?
「.....鋭いね。確かに僕に利益もある。」
正直でよろしい。
さて、良いことってのは具体的にどんなだ?
「詳しくは言えないんだけどね、まあ言うなれば魔法使いとしての能力アップとかかな。いい出会いもあると思うよ。」
ほう。なかなか魅力的な話だ。
正直行くか行かないかあと一押しが足りなかった感じだったからな。
いいだろう。行こう。
「それはよかった」
おい。ニヤニヤしてんのわかってるぞ。
「ごほんっ。えっとね、それで僕から注意が3つ。」
「1つ目は7大列強に逆らわないこと。死にたくなければね。」
そうなのか?変人だとは思ったが。
「やつらは人を簡単に殺す。強すぎる故にね。」
そういうものなのか。まあ強いやつにわざわざ逆らうほど俺も伊達に社会を生きてない。
「2つ目、王女にはあまり関わるな。面倒なことになる。」
うん。俺は平穏に行きたいからな。
そんなベタベタなイベントには引っかからないようにしたい。
「3つ目、ニコラスという男には近づくな。」
ニコラス?誰なんだ?
「王宮で近衛騎士団の副団長をやっている男だ。危ない男だから近づかない方がいい。出会うことはあまりないと思うが念のためだ。」
わかった。たぶん大丈夫だ。
「それと起きたら指輪がはまっていると思う。僕からの餞別だ。」
指輪?なんの指輪だ?
「ーーーーもう時間がない。いずれわかるさ。では、また会おうーーー」
神がそう告げた瞬間、体がグニャっと曲がる感覚。穴に落ちているようなそんな錯覚を抱きながら、ぷつんと意識が途切れた。
ーーーーーーーーーーーー
「ぐわあああぁぁ!!」
叫び声でパチリと目がさめる。
まあこれは叫び声ではなく前世でいう鶏みたいなものだ。最初は気味が悪いと思ったもんだが、今はそれに情緒すら感じてしまうーーーーようには全くならず相変わらず気持ち悪い。
さて、さっき見た夢だが間違いなく本物だろうな。
その証拠に左手の中指に濁った青色をするサファイヤのような宝石の指輪がはまっている。
随分と高そうな指輪だ。
これになんの効果があるのかはわからないが、あの神の贈り物だ。半分信用していいぐらいだろう。
「さあ、やりますか。」
独り言を呟き、ほおをパチンと叩く。
途端、まだ眠りつつあった意識が急に覚醒していく。
みんなを集めないとな。
ーーーーーーーーーーーー
「ということで、行ってみることにします。」
神の話は怪しいのでカット、指輪の話もカット、自然と短い連絡になった。
「.....そうか」
「決めたんだね」
「ええ!?」
ガドと領主が神妙に頷く中、1番驚いたのはエミリアだ。
「本当に行くの?」
弱々しく尋ねる声に決心が少し揺らぐ。
「エミリア。レイが決めたことだ。僕たちがどうこう言うことじゃない。」
ぴしゃっという領主。
俺の決心も再びぴしっとする。
「.....絶対帰ってきてね」
死地に行くわけでもないがその言葉には思わずドキリとしてしまう。
「はい。必ず帰ります。」
わざわざフラグ建設するのは気が引けるがこうでも言わないと泣きそうだ。俺が。
俺だってここにずっと居たい。みんなもいるし。だがファンタジー物の王都と王宮を見てみたいし、魔法の上達にもなる。神にも約束してしまった。もう行くしかなかろう。
そして行くからには何か成果をつかみたい。
さらにあわよくば権力とかも貰っちゃったりしてのんびり過ごしたい。
そんな思いを抱きながら、俺は王宮行きを決めたのだった。
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白いもやが常時かかる場所。
そこに1人佇む彼は先ほど見送った人物に注意した言葉を思い出し、小さく笑いながらつぶやいた。
「まあ無理だろうけどね」
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相変わらず亀みたいなスピードで進む話ですが、じわじわと伏線とか人物描写など入れていければな、と思います。
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