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3章 王宮魔法使い

27.王宮魔法使い

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「レイ・スペルガー。貴公を第3王宮魔法使い兼第3王女アルシア・エドワード・アリア様の魔法教師として命じる。」
前方の台座にすわるダン○ルドア校長先生のようなヒゲもじゃの老人が威厳のある声でそう言った。

一つ聞いてないのが混じっている。
「ありがたくお受けいたします」
俺は台座の前までいくと、命令書を受け取った。
王女様のカテキョとか聞いてない。
神の注意あったのに回避不可能イベントかよ。

今いる場所は魔法省の大聖堂だ。
教会のような作りで、ステンドガラスやシャンデリアが飾られてある。
馬車で到着するなりホイホイと動かされ、流れのままにホイホイここに来て、流れのままにホイホイと受諾してしまった。
基本、日本人は押しに弱いのだ。

「以上だ。部屋に戻って休むといい。」
老人はそう言うとさっさと出て行ってしまった。
あんな老人が水極級の脈紫魔法使いとは思えない。足を引っ掛けただけで転んでお陀仏しそうなのに。

ちなみに俺は風超級の脈赤魔法使いになっているらしい。
なんだか弱いように見えるが10歳にしては異例だという。
まあ脈赤にしては丹赤らしいハウルさんに勝っているがな。ドヤ。

とりあえず1人残された大聖堂から出ると、部屋に向かうーーーーつもりがまだ部屋の場所を聞いていなかった。
しかもここがどこかわからない。完全に迷子だ。

「ああ!レイ君じゃないか!」
久しぶりに聞いたこの声。
誰だったっけな。確かーーーーー

「イメルダさん!」
水超級と風超級を教えてもらった人だった。そういえば王宮魔法使いになったと聞いていたな。
「久しぶりだね!君も王宮魔法使いになったのか!」
「はい。」
「すごいなその歳で!帝級は使えるようになったかい?」
「それはまだです。イメルダさんは?」
「僕は水と然を帝級にしたよ。だから脈青魔法使いだね。」
おおっ。帝級を使えるのか。
「ところで部屋ってどこにあるかご存知ですか?」
「部屋?確か魔法省の東の方にあると思うよ。そこに寮があるから。」

この魔法省はあのネズミの王国ぐらいの大きさはある。
全世界の魔法に関しての情報はここに集まるらしい。魔法のレベルも世界最先端を行き、魔法学園に次いで2番目だという。魔法学園は学校というより規模が国みたいらしいからな。
あの老人も世界で10本の指に入るほどだと言われているらしい。
人は見かけによらず、だ。

「それなら僕もついて行くよ。」
「暇なんですか?」
「......暇だよ。僕が担任している第2王女は天才でね。言ったことすぐ出来ちゃうんだよ。1日に教えられることは決まっているからすぐ授業終わるんだ」
喋りながら歩き始める。

「ってことはイメルダさんは第2王宮魔法使いですか?」
「ああ。そうだよ」
この人でも"2"なのか。
「第1王宮魔法使いにものすごいのがいてね。君でも驚くと思うよ。ーーーーって噂をすれば」
イメルダさんが指をさした先には1人の少女が中庭を挟んだ暗い廊下を歩いていた。

「おーーい。シルクー!」
シルク、と呼ばれた少女が振り向く。
もっと老人を想像してたが魔法少女だったとは。

「なによ。」
暗い廊下からでてきた少女はテンプレ通りの美少女だった。
長い銀髪の髪を後ろでまとめ、その目は深い青色をしている。右手には本、左手には高そうな杖を持ち、フワッフワッした羽衣みたいなものをまとっている。
イメージは清楚系のおとなしそうな子に見える。外見は。
「急いでるから早くしてくれる?」
内面は外見に反してキツそうだ。

「そんなに怒らなくても。あと1時間もあるんだろ?王女様の部屋までは40分で行けるよ。」
「そんなこと知ってるわよ。だけど約束事に10分前には必ず着いておくのが当たり前でしょ?」
あ、真面目系か。もっとツンツンしてるかと思っていたが意外と真面目だ。

「ちょっと紹介したくてね。」
「ああ。その子。ファクトリア領の天才児と呼ばれるレイ・スペルガーね。領地に大量の経済発展をもたらして戦争をも終結させたっていう。あなた、どのぐらいの魔法まで使えるの?階級は?」
なんでそんなに知ってるんだこいつ。軽く引くな。
「超級の脈赤です。」
「そう。雑魚ね。」
「え?いやシルク?」
「この程度で第3なんてこの国のレベルもたかが知れてるわね。」
いや、世界最大国家だけども........。
てかやっぱりこういうキャラか。

「初対面なのになに言ってんのさ!」
「なんでも包み隠さず話すのが私の性格よ。嫌ならもう話さなくていいわ。」
あたふたと慌てるイメルダさんとツンツンするシルクは見ていて面白い。
まあ、俺のことでこうなっているんだが。

しかしここまで失礼な態度を取っておかれて黙っちゃいられない。
「一応僕無詠唱使いでーーー」
「私もよ。それぐらいで調子乗らないでくれる?精霊持ちなら一般レベルよ。」
沈没しました。

「ただ、10歳で、というのは認めるわ。実際、あんな田舎じゃろくに教えれる人もいなかったでしょうし。」
相変わらず言い方がキッツイ。だが素直に褒めれるあたり性格はそこまでひん曲がってはいないのか。
ただ素直なだけで。まあ素直すぎるがな。

「それで?他に用は?」
「.......無い」
「それじゃいくわね。時間が無いから」
シルクは俺たちに関心が無かったかのように踵を返し歩き始めた。

「ごめんな。ああいうやつだから。」
「はい。すぐわかりました。」
「実力はあるんだけどなあ。なんたって火極級だぜ?脈紫だし。」
「へえ。」
毒舌美少女強キャラか。それで多分お嬢様で優等生とか追加属性もあるんだろう。

話が合う気がまったくしない。
もうこれからノータッチで行こう。

という決意はすぐに破られることはまだ誰も知らない。


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